街角のイルミネーション

久しぶりに「行きつけの」美術館を訪ねた。今回は展覧会は絵本の原画。

しばらく慌ただしかったので、前から行くつもりだった特別展に1月の末、最終日直前に なんとか行くことができた。

ずらりと並んだ作品のなかで目がいくのは画面いっぱいに小さなものが細かく丁寧に描かれているもの。

例えば、かこさとし『だるまちゃんとかみなりちゃん』の、おおきなテーブルにたくさんならんだご馳走。 長野ヒデ子『せとうちタイ子さん デパートいきタイ』でショーウィンドウのなかにまで描き込まれた洋服。西村繁男『絵で見る日本の歴史』や安野光雅『度の絵本』についても同じことが言える。

伊勢ひでこの繊細な描画も今回見ることができてうれしかった。


ダイナミックな画風や素朴な風合いは、どちらかといえば好みではない。

それでもかつて読み聞かせた作品の原画は懐かしい気持ちで見た。岡部冬彦『きかんしゃやえもん』。車庫に逃げ込んだやえもんの顔はとても悲しそうだし、やえもんの横を駆け抜けていく特急列車のスピード感は原画で見ると迫力がある。

他にも、わかやまけん『しろくまちゃんのホットケーキ』や武田美穂『となりのせきのますだくん』も懐かしい作品。


今回展示されていたちひろの作品の多くは最新のデジタル技術による印刷だった。確かに精彩ではあるけれど、絵の具のノリのような原画のもつ立体感は再現できていない。

ちひろ作品の多くは色の淡い水彩画だから作品を保護する観点からするとやむを得ないのだろう。原寸大で見られるだけでも製本された絵本とは違う魅力がある。


以下、原画が展示されていた画家で印象に残った人。

元永定正かこさとし、安野光雅、岡部冬彦、わかやまけん、 西村繁男、 武田美穂長野ヒデ子いせひでこ


いつ行っても立ち止まる再現されたアトリエの横にある絵本画家の言葉。

大人というものはどんなに苦労が多くても、自分から人を愛していける人間になることなんだと思います。(1972)

午後遅くになってしまったのでカフェには寄らずに帰った。


さくいん:いわさきちひろ