これまでブルックスブラザーズについて書いたことはない。自分の持ち物、とりわけ服装について書くと自分のハビトゥスが透けてしまうようで避けてきた。今回、200周年記念で展覧会があったのでBBとの馴れ初めから書いておく。
中学生の頃、ファッション雑誌、MEN'S CLUBを読みはじめた。毎年2月と11月はIVY特集だったので必ず買っていた。IVYへの憧れはおそらくアメリカへの憧れと重なっていた。BBはIVYファッションの頂点に君臨するブランド。憧れの的だった。風格だけでなく値段も高く中学生にはとても買えなかった。 高校生のとき、初めて買ったブレザーもBBではなかった。
大学一年の春休み、アメリカ東海岸へ旅行したとき、ニューヨークの本店へ行った。ネクタイくらいは買っただろうか。大学生の頃もまだ高いという印象があり、BBで買った記憶はあまりない。
大学を出て就職してからBBのスーツを買った。今でもまだ着ている。それからは服はほとんどBBで買っている。スーツとY シャツは身体の方がこの店の服に合ってきたので他の店で買うことはもうない。
今回の展覧会で目についたのはピンクのボタンダウンと1940年代のブレザー。
ピンクを男性向けシャツに採用したのはBBが最初だったとは知らなかった。
ブレザーはいまでは珍しい3つボタン中二つ掛け、パッチポケット。同じデザインでフラノ地のものを持っている。最近は薄くても暖かい生地があるので厚いフラノは"吊るし"
では見かけない。他に気になったのは小村寿太郎が着ていたフロックコート。「日本国内に現存する最古のブルックスブラザーズのアイテム」。ポーツマス会議に臨む前に買った物という。これがなかなか格好いい。まさに勝負服という威厳を感じた。
ブルックスブラザーズのデザインは古典的に見えていて、実は毎シーズン少しずつ変わっている。今年の春に買ったパンツは、流行に合わせてかなり細身だった。定番のボタンダウンシャツもかなり細身
守りながら変わる。トラッド、”伝統”とはそういうものだろう。
この展覧会では図録がなかったので、特集した雑誌がいい記念になった。
さくいん:アメリカ