チカゴロの呉女9 〜10

9月3日(金) 実は……パートのオバさん、始めました。
 旅行から帰って、大雨の現地説明会なんか行って、気温が下がってからまた上がって……お腹をこわしてみたり。
体調がどーもよくないのは夏バテ&旅疲れ、つまり遊びすぎがほとんどの原因ですが、だからと言ってオウチでぼー
っと休んでいるわけにもいかなかったのは、実は今週から週3日のパートのオバさんをはじめちゃったんです。外に働
きに出るのって3年ぶりくらいなので、なんかもう、それだけで緊張して。帰ってくるとグテ〜〜っ。こんなことで大丈夫
なのか?
 でも、このトシのオバさんを今どきなかなか雇ってくれないでしょ? それがひょんなことから……知人の会社で事
務を担当していた人がやめてしまったので、今何もしていないのなら来てくれない?……てなお話が突然ありまし
て、あまりに未知な業界での未知の仕事(私は事務仕事をほとんどしたことがない!)ということで、ちょっと戸惑いは
したのですが。まあ日頃地味な生活をするだけならオオアマさまの稼ぎでも十分。共通の趣味である旅費もなんとか
捻出できる。でも、最近のチケット代、それに遠征費……この4カ月間は自分の貯蓄を崩してきたけど、そのうち底を
ついてしまうことは目に見えているから、そろそろ働かなきゃいかんかな?と思っていたところに「渡りに舟」とはこの
ことです。つまり私は内野さんのために働くことにしたのです(笑い)
 まだ3日目だし、まだ前任者から引継ぎも受けていないし……それでも「プリンターのインクが切れた」……どこかで
見たぞ〜カートリッジ。社長から「あの数字、出してくれる?」……もしかして、この数字でしょうか……「あの請求書
の控え出して」……もしかして、さっきチラと覗いたファイルにあったアレかしらん……てな感じで想像力と機転とハッ
タリかまして頑張ってます。それでもすでにどーしょーもない大失敗もやらかしてるしなあ。給料泥棒脱出までにどれ
だけかかることかしらん。でも頑張る。内野さんのためだもん!(←勝手にせぃ)

9月6日(月) 実は……DVD機器買いました!
 これでウチにも文化的な生活が……ってほどでもないけど、数日前に我が家にDVDレコーダーがやってきました。
今までプレーヤーもなかったし。それどころかビデオの一台は私がへんな繋ぎ方をしたせいかブっこわれてしまってい
て、今回はテレビとの接続も電気屋さんにお願いしました。1000円なら安いもんです。てことで、いよいよ私に見ても
らうのを一ヶ月以上箱の中で待っていた「エースをねらえ!」全5巻の登場です。
……って、なんでオオアマさまもいっしょに見るのお!
「いいじゃない、いっしょに見ようよお」「いやだ」「なんでぇ〜」「だってぇ〜〜」のやりとりのあと、結局いっしょに並ん
で見ることに……。私イヤなんですよねえ。オオアマさまといっしょに内野さんを見るの。だって本夫と愛人がハチあ
わせするようなもんじゃないですか(←チト、いやかなり違う?まあ、細かいことは気にしないで)。
 「エース」はオンエア中にある程度は見ていたので、まったくはじめて見るというわけではないのですが、オオアマさ
まにしてみても内野さんを映像で、しかも「妻が夢中になっているオトコ」と意識して見るのははじめてなわけですよ。
最初に出てきたころには「え〜〜このおにぃさんがいいのぉ? オレのほうがいいじゃん」とかってムカツくことを言っ
てましたけど、確かに第一回目あたりでは、内野さんのよさがまだ出てない。それに内野さんは単にパッと見がカッ
コイイというような薄っぺらなイイ男ではないのよ。現在のところオオアマさまは半分くらいまで見たところ。で、どうも
真剣に楽しんでるらしい。私はそれとは別に見進めて、残るは最終回のみ。オンエアでは見逃していますが、内野さ
んの名演技の評判を聞くにつけ、これは心して見なければ、と落ち着いてみられる(オオアマさま抜きで)時を待ってい
ます。いよいよ明日、その「時」が来るようです。    
 オオアマさまにも最後まで見せて、それでも内野さんのよさがわからないような人だったら……ワカレテヤルッ!

9月7日(火) ボロボロ泣いちゃった……「エースをねらえ!」
 ついにDVD「エースをねらえ!」最終回分を見ました。すごく感動する、と評判で聞いてましたけど、私の場合「内
野さんが……」という雑念が強すぎるので、それほど感動しないんじゃないかと思ってました。ところが、宗方コーチ
の絶命のシーンからは涙があふれ出て、頬をつたってポタポタと胸までグッショリするほど泣いていました。それほど
涙腺の弱いほうではないと思うんですけど……。
 さて、「エースをねらえ!」実写版全9回を見た感想です。オンエア中は、今とは全然質の違う内野さんのファンだっ
たので、ただ内野さんのかっこいいお姿だけみれればと、画面を流して宗方コーチが出てきたときだけテレビの前に
行って「かっこいい〜」とため息ついて戻ってくる、といった感じで、全く身を入れて見ていなかったのでした。今から思
えばこのドラマを見くびっていたのだと思います。ところがあとで聞いたらこのドラマ、意外にも特に原作ファンの間で
評判がいい(私、バカみたいに某掲示板の「エース」スレの膨大な書き込みに目を通してしまった、というヒマ人)。そ
の中でも内野さんの宗方コーチの演技がよかったとの評判でしたが、まあ、私は原作のファンではないですし(連載
中に少なくとも前半は読んでいたけど)、このDVDはほとんど内野さんのみを目的に見たといえるのです。
 ところが見てからの感想は「いいじゃないの!このドラマ!」。若い子主体のドラマだと見くびっていた自分を反
省します。さすが30年支持され続けた原作の忠実なドラマ化だということで、ドラマ自体もなかなかしっかりしている
し、脚本もそれなりによくまとまっていると思うし、内容的にも意外に深い。日常生活でも「あそこはこういうことを言い
たかったのかな?」なんて胸にズンとくることが早速あったり、いろいろ考えさせられます。バック音楽もそういうドラマ
性や時代感(現代のような少し前のような……)に合っていたし、出演者もみんなよくやってます。上戸彩ちゃんはドラ
マ以外のときはあまり好きではないけど、ドラマで見るとすごく魅力的な子だと思う。お蝶夫人の松本さんはこの難役
をよくやったと思う。みんなテニスは初心者で見る人が見れば「フォームがどーのこーの」という意見もよく聞いたけ
ど、私はむしろ最終回の二人の決戦なんてすごい迫力で感動してしまいました。蘭子ちゃん役の酒井さんもホレボレ
するくらい素敵だし、藤堂くん役の吉沢くんもちっとも私の好みではないんだけど(何も私の好みに合わせんでも……)
とてもいい味を出していたと思うし、某スレでいろいろ言われまくってた尾崎くん役の石垣くん、確かに演技はうまくは
ないけど、むしろその不器用で荒削りな感じが個性的な魅力になっていて、すっごくいい!と感じたけれど。私、器用
な人より不器用な感じの人のほうが好き。内野さんだって決して器用な人ではないと思うもの。なんでも無難にこなし
てしまう天才肌の人より、どこかゴツッとあたるような人(へんな表現だな……)が好きなんです。私にとって内野さん
ってそういう人なの。はぁ〜〜っ。
 内野さんの宗方コーチは……って語り出したら、またたいへんなことになる。明日は仕事だし、今日はこのあたりで
寝て、またの機会に語ることにしたいのですが、その前に告知。9月23日(祝)8時から2時間スペシャルで「エー
スをねらえ!〜奇跡への挑戦〜」が放送されます。もう死んでしまった内野さんの宗方コーチもちゃんと出演者の
中に入っていますから、新しく撮ったシーンもあるようですし、回想シーンでもバシバシお出になることと思います(でも
あんまり遺影は見たくない……)。それに先立ち関東地方では13日(月)から午後1時55分より「エースをねら
え!」本編の再放送があります。(すなおに計算すると23日が最終回?) 本放送中に見逃した方も是非どうぞ!
(←テレ朝の回し者ではありません)

9月8日(水) 怒涛の引継ぎ
 仕事をはじめて、今まで何回かは想像力で仕事してきたけど、それも限界。今日前任の方がわざわざ遠方から貴重
な時間を割いていらしてくださって引継ぎをしてくださいました。若いのにとってもしっかりしていて、とても気持ちのい
い方で(「何、このオバさん、こんなこともできないのッ!」とかって感じの人だったらどうしよう、と実は不安だったので
す)、「自分も引継ぎなく仕事してつらかったから」と仕事の流れから懇切丁寧に教えてくださいました。私は「これはこ
うやるの」とストレートに実務を教えられるより「ここはこうだからああなってこうなって……」と理屈で教わるほうが頭
に入るタイプだから、とっても助かりました。怒涛のようにいろんなことを一度に教わって、かなりの部分は抜け落ちた
かもしれないけど、少しずつ慣れれば思い出しもするでしょう。それまで多少ギクシャクするのは素直に「ゴメンナサ
イ」です。それでも今日は時間が足りなくて、予定の半分くらいしかできませんでした。次に来ていただけるのはいつ
かわからないので、まだ不安はいっぱいありますけど、少しは先が見えたようで……。しかし、この仕事、本当に週3
日で勤まるのかしら……? おっとりかまえていたけれど、今度はそれが不安になってきました。それに、一番忙し
そうなこの会社の決算時期って、来年の内野さんの公演期間にちょうど重なるのよねえ……(←あいかわらず、こうい
う悩みしかない私ですが、深刻だぁ……)

9月9日(木) 宝塚月組「飛鳥夕映え〜蘇我入鹿」観劇
 今日は前々から楽しみにしていた宝塚月組公演「飛鳥夕映え〜蘇我入鹿」を観てきました。なんてったって宝塚と
飛鳥の組み合わせですから、責任上(何の?)観ないわけにはいきません。
この作品の脚本を書いた宝塚の座付作者の柴田侑宏先生は私が古代史に興味をもつきっかけとなった「あかねさす
紫の花」を書いた先生。その後も「万葉ロマンシリーズ」として大津皇子の変を扱った「あしびきの山の雫に」と長屋王
の変を扱った「たまゆらの記」を書いていらっしゃいます。今回は久々の万葉もの。「あかねさす」の後、いわゆる「大
化の改新」に対する見方が変化していることをお知りになって、この作品を書いてみようと思われたのだそうです。
 確かに一昔前は、蘇我入鹿が悪者で、中大兄と鎌足が主役の英雄でした。今では必ずしもそのような見方がされ
なかったり、蘇我氏が再評価されたりしています。中大兄ファンの私でさえ、実は中大兄はこの事件の主役ではなか
ったのではないか、という説を内心支持しているのです。そんなことで、柴田先生が入鹿を主役にどんなふうに描くの
か、とても興味がありました。
 私の感想で結論から言うと……、作品としての面白さは残念ながら今ひとつ。入鹿は夢をもって大らかに生きた青
年、鎌足が出自のコンプレックスから野望を抱き陰謀をめぐらせ、それに石川麻呂と軽皇子が巻き込まれていく、とい
う描き方なのですが、ラストの入鹿暗殺シーンにきたときに、なぜ入鹿が殺されねばならなかったのか、見ている立
場としてしっくり来ない。鎌足の陰謀はわかるけど、急に「暗殺」に至るのが唐突な感じ。
 それに、私は登場人物の名前を聞けば、その人がどういう人か全部頭に浮かんでしまうから、ドラマに描かれている
倍くらいのものを楽しめてしまうのだけれど、普通の人が見たら、どの人がどういう人かだけで頭がこんがらがっちゃう
んじゃないかなあ? だいたい見た目では皇族とそうでない人の区別がつかないし、登場人物の立場の違いを見極
めにくいと思うんだけど、多分。私が端から解説してあげたくなっちゃう(笑い) それに古代の恋愛に大らかな感じも、
古代に慣れていない人には違和感を感じるかもしれない。
 面白いと思ったのは「日本書紀」の入鹿暗殺シーンにも出てくる「俳優(わざおき)」の存在。これがどういう人だった
のかははっきりしないのだけど、多分芸能集団、つまり神の前で舞ったり神祀りに関係していた人たちなんじゃない
か、という説も強い。今回はわざおきたちがあちこちのシーンにショーっぽく出てきたのが宝塚らしく盛り上げていてよ
かったし、神祇の家柄である鎌足のスパイとして暗躍していたという設定も納得いくし面白い。
 衣装も主役級はわりと素敵だった。特に私が注目したのは皇極天皇の冠。オペラグラスでじっくりみたら先ごろ奈
良や韓国で見た新羅の古墳から出てくる冠に似ていて、緑の勾玉がいっぱいぶら下がっているの。これに感激して
しまったりして。
 キャストでは、鎌足と石川麻呂と軽皇子がトリプルキャストで3人がそれぞれを期間によって交替で演じている。今日
は鎌足が大空さん。石川麻呂が貴城さん、軽皇子が瀬奈さん。大空さんは美しさという意味ではあとの二人に一歩
譲るけど、それだけに(?)鎌足っぽかったし、休憩をはさんで洋物のショーのほうでは個性的でとてもよかった。ショ
ーまで入れて3人の誰が気に入ったか、といえば大空さんかな。あとの二人はとにかく美しくて……。石川麻呂なん
て私にとっちゃ「おじいちゃん」だし(さらら様の祖父だから。でも石川麻呂とて生まれたときからおじいちゃんだったわ
けでなし)。軽皇子の瀬奈さんは今度「エリザベート」でエリザベートを演じることに決まった人(ちなみにトートは入鹿
役の彩輝さん)。でも見ている最中に「軽皇子がエリザ……」などと考えるとオカシクなりそうなので、なるべく意識し
ないようにしてました。
 私が注目したのは古人皇子を演じた月船さららさん。この芸名が昔から気になってしかたなかったのだけど、月組に
はなぜか縁がなくてずっと見ていなかったから今回はじめてこの方を見たと思います。プログラムによればやはり讃
良様を尊敬していてこの芸名をつけたそうです。プログラム中で一人アツク語っているのが微笑ましい……。どうせな
らパパの中大兄を演じられたらよかったのに。今回は古人のほうが大きな役だったから、ちょっと出世しすぎていた、
というところでしょうかか。芸風も明るくてとてもいい感じ。
 その古人も含め、この作品の中心的な登場人物たちって鎌足以外はほとんど数年のうちに悲劇的な死をとげている
のです。そこまで知って観てもらえれば、もうちょっと深くなるんだけどな。

9月11日(土) 「海が見たいのです……」(?) 高来神社と江ノ島 
 今日はオオアマさまは車で出勤。でも仕事は3時くらいに終わるというので待ち合わせして
湘南ドライブ。とは言っても目的地はシブ〜く大磯の高来(たかく)神社
 高来神社は明治30年までは高麗神社といい、渡来人、もっと具体的にいえば高麗王若光
ゆかりの地と伝えられています。今年のゴールデンウィークに訪ねた武蔵国高麗郷を開拓し
た若光がもともと住んでいたのがこの大磯といわれているのです。
 私がこの神社に興味をもったのは、昨年だったか、箱根神社の宝物館で「箱根権現縁起絵
」の展示を見てからでした。縁起の内容はちょっと荒唐無稽な継子いじめの話なのです
が、最終的には箱根権現と伊豆山権現を開いた異国の王子と姫が、この国に渡ってきたとき
にたどり着いたのは大磯の浜だというのです。それで大磯にある高来神社とそこに住んでい
たらしい若光のことを思い出し、一度たずねてみたいと思っていたのです。 

高麗山と高来神社
 湘南のデートコースとして有名な湘南平から東へ連なる山のひとつ、高麗山のふもとに高来神社はありました。明治の廃仏毀釈までは高麗寺という寺と一体の神仏習合だったそうです。今は海と少し離れていますが昔はもっと海に近かったのではないかしら? 思ったよりこじんまりした小さな神社で、すぐ裏から湘南平のほうに通じるハイキングコースがあるようですが、今歩いたらすぐにオオアマさまの大の苦手なクモの巣にひっかかりそうな、そんな雰囲気。「百済と新羅には行くことができたので、諸々の問題が解決して、いつの日か若光さんのふるさとである高句麗にも行ける日がきますように」とお祈りしてきました。

←何か渡来人の面影はないかな、と。この所在地の住所くらいでしょうか。
 さて、念願の高来神社見学があっけなく終わってしまったところで、私が「海がみたいのです……」とお蝶夫人の台
詞を言ったわけではなくて(オオアマさまはまだ「エースをねらえ!」の最終回を見ていないので、コレを言っても通じ
ない)、何となく江ノ島にしらすでも食べに行こうか、という話になり、そのまま湘南を走りました。深刻な渋滞にもは
まらずに、夕暮れどきには江ノ島に到着しました。 
 実は県内の代表的観光地のわりには、前は通っても橋を渡って江ノ島へ渡るの
は私は10年ぶりくらいなんです。島のてっぺんには新しい展望台が立ったし、島
の入り口あたりは10年前にはなかったような飲食店が立ち並んでいたけれど、江
ノ島神社の参道は昔ながらのお土産屋さんが立ち並び、これはこれでまたいい
雰囲気。神社の前まで来たところで「ここで右に曲がったほうが海のほうへ早く出
れるんだ」というオオアマさまの意見で右へ。すると夕焼けの海を見下ろしながら
歩いて神社の奥津宮へ。頼朝の寄進の鳥居なんてのもありました。私はもっと海
を見たくなって、下ったら上らなきゃいけないとは知りつつも、どんどん階段を下り
……「これじゃ近道をきた甲斐がないでしょ〜」と言うオオアマさまを尻目に、夕焼
けの海を見て、ちょっとお蝶夫人の気分になってきました(笑い) 別に傷ついたこ
とがあるわけではありませんが。

お蝶夫人にはなれない呉女。
(縦ロールにすればよかった?)
 それからまた階段をのぼってお腹がすいたところで夕食タイム。江ノ島亭という雑誌などでも見かけるお店で(ミーハ
ーだなあ) 私は江ノ島ビールと、しらすかき揚げ丼と江ノ島亭定食を二人で分け合いました。定食のお刺身も新鮮
で、海風に吹かれるお座敷で海と夜景を見ながら、というロケーションも最高でした。来た道を戻るとオオアマさまは
神社の参道の紀伊国屋という店へまっしぐら。ここの「浜辺のアイス」に目をつけていたんだそうです。アイス最中な
のですが、アイスの味と最中の皮の形(サザエ・ハマグリ・ホタテ)を選べるんです。店先でいただいたら皮もパリパリ
でおいしくて、ついでにお店特製のお饅頭とサブレも買ってしまいました。

江ノ島ビール

しらすかき揚げ丼

江ノ島亭定食

浜辺のアイス(ほたて抹茶)
 「湘南には素敵なお店がいっぱいあるのに、ウチのほうには何にもないな〜」などとブツブツ言いつつ、夜のドライブ
をして帰ってきました。

9月12日(月) 「エリザベート」大阪公演前売り初日
 昨日英気を養ったところで、「今日は頑張るぞっ!」とめずらしくオオアマさまより早く起き、電話予約開始の9時前
には電話、携帯電話、インターネットと用意してのぞんだのですが……。はぁ〜〜。
 だいたいここのところ、電話予約については「モンテ・クリスト伯」の当日券で成功したし、8月に前売りのあった内
野さんとは関係のない公演でも発売開始20分後にかかってしまい最前列の席がとれちゃったんです。なにも内野さ
んの出ない舞台でこんな席じゃなくてもいいんだけど。それで今回いろいろ考えて、「ぴあ」の窓口に並んだりするよ
り電話に賭けてみたのですが、やっぱり運を使い果たしちゃっていたのかなあ。家事をやりつつ、買い物ついでに公
衆電話で架けたりもしつつ、5時半まで一日中休まずにかけ続けたけど、ついに一度も架かりませんでした。途中イ
ンターネットのほうは、こういうときに限ってパソの調子が悪くなったりしアセル、アセル。それでも何とか途中で「電子
チケットぴあ」にはつながり、その時点でまだ買える日の表を見て、全く行く予定のなかった日のチケットを「あら〜購
入ボタンを押しちゃったぁ〜〜」。オオアマさまは傍で見ていてあきれてました。もう達観しているみたいです。
 今日は頑張ったわりには惨敗だけど、一応「ぴあ」のプレリザーブで予定していた1枚は取れているし、チケット戦
線はまだ途中。気長に頑張ろうっと。それにしても何回か往復することにはなりそう。ま、普段から関西往復交通費
は必要経費みたいなものだからね……。

9月16日(木) 内野さんのお誕生日に……お蔭さまで20000ヒット
 本日、お蔭様で当サイトも20000ヒットを達成したようです。
 この記念すべき日が奇しくも内野さんの誕生日〜〜〜〜!!! 何日か前から、ちょっぴり意識はしてたんです。
16日にあたればいいな、でもちょっと無理かな?と。そしたら今日、フラのお稽古から帰ってパソを開けてみたら、ちょ
うど20000を越えたところでした。ヤッタ〜〜〜!! 
 しかも、今日は英字新聞「THE DAILY YOMIURI」に内野さんの記事が。一面ドーンとですよ。写真もカラーで大きく、
明るく自然な笑顔ですっごく素敵なの〜〜。しかも!その写真を撮った場所が新宿御苑なんですって。新宿御苑とい
えば私のお見合い写真を撮った思い出の場所なんです〜〜。ちゃんと写真屋さんに撮ってもらったんですよ。すごく
いいデキの写真でした〜(つまり詐欺みたいなもんです)。ちょうど今回の内野さんのバックの緑と同じような感じだっ
たかな〜。それはともかく記事の内容のほうは……なんせ英語でびっしり一面分だから、ナナメに読んだだけです
が、「モンテカルロテレビ祭」で主演男優賞をとった話で、ほとんどは「蝉しぐれ」に関するインタビューが中心。内野さ
んの時代劇や殺陣に対する思い入れが語られていました。それから早稲田のESSで英語劇をやったのが芝居を志
すきっかけになった話とか。これから辞書を片手にじっくり読まなきゃ。
 今日、フラに行くときにはしっかり新聞を握り締めていて、お稽古後にお昼を食べながらキャッキャッとしゃべってい
たら、一人の方が「この人、テレビでも見たけれど、あなたが好きだというの、わかる気がしたわ」とおっしゃる。「やっ
ぱり、カッコイイから……」と思いきや、次に続いたのはあまりにも意外なお言葉。「なんとなく、あなた自身に雰囲気
が似ているもの」「……はあ?」………………喜んでいいのか、悲しんでいいのか。ま、ここはオキラクに喜んでおこ
うか。内野さん、ごめんなさい!
 内野さんは今日で36歳。いわゆるオトコ盛りですねェ……。でも身近に同じ年のヤツがいます。弟です。最近、弟を
見ると張り倒したくなります。どうしてこんなに違うんだぁ〜〜〜、と。それで張り倒されても弟も困ると思うので、グッ
とこらえてガマンしてます。
 昨日は仕事で税理士さんに一日簿記を教わったりしてグッタリしたけど、仕事でも新しく覚えることがいっぱいある、
フラの振りも歌詞も覚えなきゃ。DVDレコーダーの操作も。読みたい本もいっぱいある(主に韓国関係と古代史関係)
……と、グータラな私がめずらしく張り詰めた充実した日々を送っているみたい。思えば、内野さんに魅了されてしま
ったあの4月末から、私の生活は変わってしまいました。まるで世界の色が違ってしまったように。それはとっても素
敵なことだったのかも、と今になって思ってます。
 もちろん、20000ヒットを機に、ちょっとは気をひきしめて、「さらら紀行」のほうも頑張っていこう、と思っています。
これからもよろしくお願いいたします。

9月19日(日) 国立歴史民俗博物館へ
 昨日はオオアマさまが調べたい資料があるというので、千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館(歴博)へ行って
きました。何も私がついていかなくてもいいんですけどね〜。
都営新宿線の終点本八幡で京成線に乗り換えて、特急でさらに30分ほどで京成佐倉へ。そこからバス停でふたつ
ほど。神奈川県民からするとえらく遠いところですが、結婚してから何度かここへは足を運んでいます。現在「弥生時
代の始まりは通説より500年早かった」という研究結果を提示して議論をよんでいる、あの研究施設でもあります。私
が仮眠室がほしいと思うのはまさにこの博物館のことで、ゆっくり見ていたら一日あっても見終わりませんし、途中で
倒れてしまいます。ポイントを絞ってみるのがオススメです。
 何度か行っているとはいえ、前回は特別展示を見に行ったので常設展示を見るのは久々だったらしく、以前見たと
きと古代室に関してはかなり変わっていると思いました。新しい研究成果などが取り入れられているのだと思いま
す。復元模型が増えてわかりやすく親しみやすくなったかも。私になじみのものでも、三内丸山、箸墓古墳、平城京、
薬師寺などの復元模型がありました。マイナーなところでは志田郡衙の復元模型とかも。展示をまわりながら、この
10年の間に私もいろいろな史跡を見てまわったものだなあ、と思ったものです。

はにわくんどら焼き。一個
100円。包装紙もかわいい。
 全部で第五展示室まであるのに、私は古代の第一展示室だけでも2時間近くかかってしまい、警備員さんに「閉館時間はご存じですか?」と声をかけられてしまいました。というわけで、私は何度行っても古代から先になかなか進みそうにないのですが、たとえば近世の展示で「洛中洛外図屏風」の世界を立体的に模型にしたものなど、何度見ても楽しいです。
 展示を見たあとはミュージアムショップをのぞくのも楽しみ。今回みつけたのは「にわくんどら焼き」。小さいけど、食べてみたらけっこうボリュームのあっておいしかった。ちゃんと佐倉市内のお菓子屋さんで作っています。それからここでは全国各地の博物館の図録なども買うこともできてます。飛鳥関係の本(「明日香風」なども)も売っています。前々から買おうと思って買いそびれていた本を買ってしまいました。
 夜、オオアマさまは一人夜行バスで京都の菩提寺で行われる彼岸法要へと向かいました。いつもなら私もホイホイ着いていくところなのですが……いろいろな事情により珍しく今回はオトナシク留守番です。
 
9月24日(金) 「エースをねらえ!スペシャル〜奇跡への挑戦」
 昨日の夜、上記の番組が放映されました。だいたい、私が内野さんに夢中になってから、内野さんがバッチリ出演
するテレビ番組ってはじめてなわけです。ここのところ「エース」本編の再放送をしているのさえ落ち着かないのに
(DVD持ってるのに再放送も録画している私はバカ?)、2日くらい前から興奮しすぎて頭が痛くなって、それでも午後
の再放送の最終回は見て、泣いて。そのあと外出から帰宅したオオアマさまと一緒にDVDの最終回をもう一度見て
(オオアマさまは本当にこの作品を見て楽しんじゃってます。しょっちゅう主題歌歌ってるし)、夜8時の放送にのぞんだ
のです。そのころにはすでにフラフラ(笑い)
 オープニングからすでに「宗方コーチ特集」ってな感じでもうドッキドキ。でもやっぱりいくらドラマとわかっていても遺
影の写真はツライ。それに、その前の棺が生々しくて目をそむけそうになりました(普段はしょっちゅう棺を見てるくせ
に……)。思いなおして「トート閣下ならバタっと棺から出てくるのにぃ〜」とか考えて。
 そしていよいよ新しく撮ったシーン。本編より以前にさかのぼり、自分の寿命が短いことを知った宗方が寺に桂を訪
ねてくるシーンです。……何なんですか! あの、あの、あの色香は〜〜〜! その後の和服姿で雪を見
ながら煙草をくゆらせるシーンもです! 思い出すだけで眠れなくなりそう。寝ちゃったら起き上がれなくなりそう……
(実際今朝起き上がれませんでした) 
 内野さんの魅力を語るときによく使われるフェロモンという言葉の意味は厳密にはよくわからないけれど、多分イケ
メンだとかいう客観的判断基準とは違って、感じない人には感じないけど感じる人にはどうしようもなく感じてしまう、
そして本人も出そうと思って出すものではなく、自然に出てしまう、といったものなんじゃないかしら。……出すぎてま
すよっ!内野さんっ!もうカンベンしてっ!
 宗方は死をまっすぐに見つめている。死の影をまとっている。名古屋でトートを演じている最中に撮ったから「死」の
感じが出ているんじゃないか、という人もいるけど……。確かに宗方もトートもあの世から愛した一人の人をじっと見て
いる、という共通点はあります。でも自分の死を利用してまで尽くそうとする宗方と、なんとしても自分に振り向かせよ
うとするトートでは方向性が違う。だから同じ「死」でも違うと思う。宗方のそれは、透徹。でもトートと同じように、エロ
ティック……。エンディングでフワッと出てくる宗方コーチの姿も、目から離れない……!
 ……と書いてますが、実はドラマそのものとして見た場合にはちょっと不満なのです。実際にネットで見る限り、原
作ファンの間では「本編はよかったのに」という人が多いようです。私は原作はまだ読んでいないから、本編からのド
ラマの流れだけでしか判断できませんが、桂コーチの描き方が中途半端だと思うんです。前半の寺でひろみを修行さ
せるところはいいとして、後半でわざわざ山を下りてコーチになったのなら、そのあとでもガップリとひろみと組んでほ
しかった。蘭子ちゃんにはコーチしてるのに、ひろみのことは藤堂くんにまかせちゃってる。それで最後に「これでオレ
の役目は終わりにさせてもらうぞ」って、アナタ、宗方コーチに自分が育てた選手を引き継いでくれって命がけで頼ま
れたでしょう? 立ち直れそうだからこれで終わりってそれでいいわけ?と、ツっこみたくなりまして、正直なところあ
まり感動はできませんでした。結局後半は桂と藤堂で空中分解しちゃったみたいな……それでいて宗方の存在は厳
然としてあるから、2時間のドラマで3人分も描くのは無理があったのかも。
 まあいいのです。素敵な内野さんを堪能できましたから、私にはそれだけで。早速録画を編集して宗方コーチの登
場シーンの頭にチャプターをつけ、ボタンひとつでそれらのシーンに飛んでいけるようにしました。そうやって「宗方特
集」にして見ると、あっという間に終わっちゃいます(あたりまえやん)。でも、これで私は満足。というか、しばらくはうな
されそうです。はあ〜〜〜っ。

9月26日(日) 「愛の〜ために〜歩いていこう〜♪」 
 昨日は終日、オオアマさまがいくつかの用事のために県内の何ヶ所かを車で巡るのに、助手席でナビしてました。
  その目的地のひとつが右の写真。これ見てピンときた方はスバラシイ!
「エースをねらえ!」本編のエンディングのバックがこの建物。ちゃんと「撮影
協力」のところに大学名も出しているから書いていいと思いますが、文教大
学の湘南校舎です。実はここを訪ねるのははじめてではなく、高市皇子ゆか
り(?)の下寺尾西方A遺跡の近くなので、今年の2月(つまり本編放送中)、
遺跡に来たときに寄ったのです。そのときは大学は全面休日で守衛さんから
資料を受け取っただけでした。昨日はオープンキャンパス。オオアマさまは
生徒が希望する大学のオープンキャンパスなどで実際に先生と話をしてくる
のが趣味(?)なんです。そうするとその大学の将来性とか、なんとなくわかる
んですって。以前来たときもエンディングの校舎だとは気づいていましたが、
今回はもっとちゃんと意識して見てみようと思って。こういう動機で訪ねちゃ
いけませんよね。スミマセン。でも、あくまで私はお供ですから許して〜。
 校舎の下に見えているテニスコート。本編のファーストシーンでお蝶夫人がプレイしていたコートです。これを桜の木の上からひろみが見て憧れるわけです。でも私が見る限りにおいて、この学校が使われているのはファーストシーンとエンディングとキャンパスの入り口だけで、他のシーンでは校舎もコートも違う学校を使っています。だから残念ながらここには内野さんはいらしていないと思われます。でも「エース」の雰囲気をちょっと感じただけで楽しいのです。そしてキャンパスの外側を歩いていたら「あ、ここは……」。ファーストシーンでひろみが走ってきた桜並木の道を見つけました。左の写真の奥からひろみは走ってくるのです。そして柵によじのぼり、藤堂さんの上に落っこちるのもここ。その下に先ほどのテニスコートがあります。
  すべての用事を足して帰宅途中、めずらしく二人でカラオケに寄りました。もちろん歌ったのは「エース」のエンディ
ング曲「愛のために。」(←やってることが単純すぎ〜)。それから私は「エリザベート」の「私だけに」を3度リピートしま
した。普段鼻歌で歌っているわりにはマイクを持って歌うとむずかしいものですね。

9月30日(木) 「RIMPA展」
 今日はフラのお稽古が終わって家に向って下り電車に乗っていたところ、ふと、もうすぐ会期の終わる美術展のこと
を思い出しました。今日はオオアマさまの帰りも遅いことだし「今をっ逃すと、もうっ二度と、チャンスはないぞ〜〜♪」
(←わからない方にはスミマセン)とばかりに上りの電車に乗り換え、竹橋の東京国立近代美術館の「RIMPA展」
へ。「琳派」って私好きなんです。それに……12年前オオアマさまとお見合い中、結婚を約束した日に二人で行った
のが「琳派展」だったんです。それでますます「琳派」には親しみが湧いて〜〜(←新婚じゃあるまいし……)。本当
はオオアマさまと来たかったけど、3日までの会期では無理そうだから、一人で行っちゃえと。
 「琳派」は、江戸期の画派ですが、狩野派みたいに師匠から弟子へと伝えられたものではなく、16世紀の俵屋宗達
から17世紀の尾形光琳、19世紀の酒井抱一などを後の時代から見てひとつの「派」と捉えたものです。その特徴の
第一は「装飾性」。この展覧会に興味をもったのは「琳派」だけでなくクリムトなど作品も並べるということ。会場に入る
とまずクリムトの裸婦像。私、琳派とクリムトって並べてみたかったんですよ! 光琳の「紅梅白梅図」なんて見ると、
どうしてもクリムトを思い出してしまって。時代的には光琳をほうがずっと先ですが。やっぱり違和感ないです。感激
っ。それにしても、会期終了直前は込んでいますね〜。特に最初の宗達、光琳のあたりなんて見れたものではありま
せんでした。歴史の展示と違って絵は自分の感性でフワッと見たいんです。その絵が好きかどうかだけでいいじゃな
いですか。だからあまり人を掻き分けて必死に見る、ということが好きでなくて。それで「私はこの一枚が見たかっ
た!」という作品だけは食い入るように見てきました。鈴木其一の「朝顔図屏風」です。これ、ずっと憧れていたので
す。メトロポリタン美術館から来てくれたんですね〜。都の雅が江戸の粋に転化したような鮮やかさ。期待通り。満足
です。それから日本の影響を強く受けたボナールなど19世紀末の画家の作品が展示されていました。私はボナール
とかヴュイヤールとかドニとか、平面的かつ装飾的な絵がすっごく好きなのですが、日本美術の中でも、特に琳派に
近かったんですね。なるほど〜。
 ……なんて書いていると、私は絵画に造詣が深いのか、と思われるかもしれませんが、残念ながら全然そういうわ
けではありませんので、悪しからず。


10月9日(土) ますますウチノな日々。
 今日の台風22号で何か被害にあった方はいらっしゃらないでしょうか? 
 私は昨日のうちに食糧を買い込んで今日は一日ウチにコモルと決め込んでいましたから、台風もなんとなく通りす
ぎちゃったという感じ。ダンナはパソコンを占領して仕事三昧。私は仕方なくアイロンがけなどしながらDVDの編集作
業をしていました。やっと「エースSP」をHDDからDVDに保存したり。本編の再放送を私流に編集して保存するまで
にはまだ時間がかかりそう。普段、なかなかこういうことをする時間がないのだもの〜。
 10月に入ってからずっと日記をサボッてましたが、コレと言って書くネタもないんです。私とてプライバシーの端から
端までここに書くつもりもないですしね(笑い)  仕事のほうは一ヶ月たって、まだいろいろ失敗しつつスリリングな
日々を送っています。
 ただ日々の生活について言えることは……郵便が届けば内野さん関係、宅急便が届けば内野さん関係、メールを
書いても電話をしても、もちろんDVDも……我ながら見事なほどにウチノな日々を送っています。ついにCATVも申し
込んじゃいましたし、大阪公演の準備も徐々にできつつあります。最近新たに見ることができた内野さんの過去の出
演作の映像に……またカンペキにヤラレマシタ……。クラクラ〜〜。
 もちろんオオアマさまのことも忘れてません。あいかわらず仲良くしてます(笑い) でも今日、オオアマさまの顔をの
ぞきこんでつくづく言ってしまいました。「オオアマさまってさあ、年のわりには渋みとか色気とかはないのよね……」
「……」「ま、そういうものは別のヒトに求めるから、いいわ」「……」。
 あとから考えると自分のことを棚どころか天袋に上げちゃって、かなり失礼な妻ですよね〜。それでもオオアマさま
は仕事の息抜き時間に「エースSP」の録画を見て楽しんでいるくらいだから、我が家は平和です。オオアマさまの忍
耐(開き直り?)の賜物かもしれません。というか、現実のオトコとウワキするよりはよほどいいか、とくらいに思ってい
るみたいです。そもそもウワキするような才覚のある妻じゃないんですけどね(笑い)

10月11日(月) がんばれ!お見合いカップル
 雨続きの連休。台風が頭上を通り過ぎた土曜はひたすら家の中にこもって一歩も外へ出なかったので、少し晴れ
間のあった昨日はちょっと二人で町へ出てランチを楽しみました。
 私たちが住んでいるのは郊外なので、近辺にシティホテルなんてものはほんの少ししかありません。そのうちの一
軒にあるカジュアルレストランへ行ったのですが、そういう場所柄のせいか、私たちの隣に席に座っていたカップル、
そしてその二人が去った後に同じ席に座ったカップルも……私はお見合いカップルと見た! 昨日がはじめて会うの
ではなくて、2度目か3度目のデートでしょう。二人のお互い気を遣いながらもちょっとよそよそし気な雰囲気、崩しす
ぎない程度の服装、もれ聞こえる話題の内容(趣味の話とか写真の話とか……別に耳をダンボにしていたわけでは
ないのですが)などからそう推察しました。「ねえ、多分、隣の二人……」とオオアマさまに言うとオオアマさまも同意
して、12年前のちょうど10月に自分たちが同じ状況であったことを思い出し、笑ってしまいました(←なぜ笑う?) 今、
お見合い結婚の割合はすごく低いと聞いているけれど、結婚する人が減っている、ということは、結婚する相手がい
ない人が増えている、ということだろうから、実際にはお見合いをする人自体は意外にいるのかもしれません。また
「お見合いなんて……」という人も多いけれど、その「お見合い」で自分にとってこれ以上の人はいないだろう、という
人を見つけられた私としては、お見合いもいいもんだよ、と声を大にして宣伝したい(笑い) だからお見合いらしきカッ
プルを見ると「頑張ってね!」と応援したくなります。頑張る、というのは、相手の人に気に入られるように、ということ
では決してなくて、自分に合う人を見つけて幸せになってね、という意味ですけどね。
 私たちは結婚しても少子化を促進しただけだったけど(笑い) 罪滅ぼしのつもりで、お見合い12周年記念、少子化
対策!「呉女のお見合い講座」でも本気でやろうかしら?(←その前に別の更新しなきゃダメよね……)

10月14日(木) 死にたい……?
 先月から何だかへんな事件が続々と……って感じでニュース見るのも新聞読むのもユウウツな気分でした。殺人
事件の話もイヤだけど、昨日の「集団自殺」みたいな話も暗くなります。そんなに死にたい人っているのか、と。私み
たいにシアワセな人間には計り知れないようなツライ生活の人もいるのだろうし、私だって状況によっては自殺願望
を抱くかもしれない。でも、今の状態がいつまでも続くとは限らないのに、ね。
 思い出せは、私も20歳代のころ「もうすぐ死ねたらいいなあ」ってよく考えていました。あのころ、自分の能力の
120%くらいを出していないと毎日がまわっていかないような状況で、それがツライと同時にシアワセだったんです。
でも、いつまでもこのシアワセは続くわけない。近いうちにいろいろな人生の選択をしなきゃならなくなって、今のよう
なシアワセはもう来ないだろう。それならいっそ今の状態で人生を閉じられたら……って本気で考えてましたもん。若
いころには時折ある心境なんじゃないかなあ。あのときにはその「人生の選択」のあとで、こんなシアワセが待ってい
るとは想像だにしていなかったもんなあ。人生なんていつどんなきっかけでどう転ぶか、誰にもわからないもの……。
 なんて考える一方でトート閣下のことを考えてる。トート閣下はエリザベートの自殺願望が生んだキャラクター。エリ
ザベートの死への憧れを「死(トート)がエリザベートを誘惑する」という形で描き、エリザベートは死の誘惑に抗いなが
ら生きていく。でも最終的に彼女を救ったのは死(トート)だった……。私はなぜこの物語に夢中になっているのだろ
う? 自殺願望のある人だったら、この舞台をどう見るのだろう? うまい具合に「願望」が昇華されて、あの世に行っ
た気分にだけなってスッキリする……なんてことはないのかしら? 少なくとも、私は見ると元気になるのだけど(なり
すぎも困るけどね)

10月17日(日) チケットのネットオークションって……
 実はちょっとイラつく出来事が。
 人に頼まれて、演劇とはジャンルの違うイベントのチケットを電子チケットぴあでとったのですが、ちょっとした行き違
いでそのチケットが不要になってしまいました。システム的にキャンセルもできないので、いろいろ考えた末、ネットの
オークションに出してみることにしました。
 最大手のオークションサイトは私も入札者としては利用させていただいたことがありますが、出品者となるためには
郵送による手続きを踏まねばならず、イベント当日が差し迫っているので間に合いません。それでネット検索して、最
近人気が出てきているという別のオークションサイトなら、それなりの手続きですぐに出品できるとわかり、そちらに登
録しました。当該のページを見ると、私が売ろうとしているチケットと同じものがたくさん出ていましたが、私のチケット
は条件としては悪くないし、儲けたいわけではないので、価格も低く設定したし、目にさえ留まれば売れる可能性は
ある、と考えていました。
 深夜までかかって出品登録をして、翌日昼にPCを立ち上げたところ、オークションサイトからメールが入っていまし
た。それによると私の出品がそのサイトのポリシーに反するので削除したとのことでした。理由として「個人会員は無
形のサービスの出品はできない」というのです。確かに規約にそういう項目はありましたが、その例として「何かを教
える」とか「何かを作る」ような会員個人によるサービスの提供はあげられていましたが、チケット類は書かれていま
せん。
 私のチケットが「電子チケットぴあ」でとったものなので、チケットがまだデジタルであることが問題なのか、とも思い
ました。でも「予約番号」と違って紙発券をすればいいことです(実際、予約番号もいくらでも売り出されています)。ま
た、興行そのものはたしかに「無形のサービス」ですが、チケットそのものは「実物」とも解釈できます。何が問題にさ
れているのか質問のメールを出したところ、その返事が今日来たのですが「個人会員は無形のサービスの提供はで
きません」の繰り返しだけ。「チケットはだめ」とか「デジタルがだめ」とか言ってくれたのならまだいいのですが、とて
も不親切に思えたので、即刻退会しました。
確かにそのサイトの会員登録には個人と法人の別がありました。私は、チケットをオークションに出すというのは、商
売でやっている人がいるのもわかってはいましたが、基本的にはチケットをとったけれど都合で行けなくなった人など
が出すものだと思っていました。ところが、少なくともこのサイトではそれが禁じられているとすれば、オークションにチ
ケットを出しているのはすべて法人、つまりプロということになります。それってへんじゃありません? 普通に自分で
とれば定価で買えるものを、オークションですから高く吊り上げられたりするわけですよ。それをプロが組織的にやっ
ている、ということでしょう?自分が落札するときにも、情報を見ていかにも「仕事」としてやっていそうだなあ、という
人からは買いたくない、という気持ちが私は働くのですが、一般的にはどうなのでしょう?
 ネットオークションって便利なシステムであることも確かで、今後も利用することはあるでしょうが、今までもどこか納
得できなかった部分が、今回のことでますます広がってしまったことは確かです。私が世間知らずなだけなのかし
ら?
 結局、不要になったチケットは私にチケットを頼んだ本人に託して、金券ショップに売ってもらいました。

10月18日(月) 今日は何の日?
 今日は何を隠そう、呉女とオオアマさまの12回目のお見合い記念日です。ここのところ、毎年この日はお見合い現
場の新宿でデートしていたんですけど、今日はそこまで時間がなかったので、ダンナの職場の近くにあって、婚姻届
を出した日に食事をしたお店で食事をしました。しっとりしたデートというよりは……最近、仕事を始めてから、私、異
様に食欲があるんです。秋のせいもあるのかしら? あっという間に目の前のものを平らげているんです。オオアマさ
まもあきれるほどに。今日も「ああ、食った、食った〜」という感じでした〜。ごめんなさーい。
 家に帰る途中、そして帰ってからもオオアマさまがいろいろ話すことには……というか、よく話していることなのです
が、高校3年の担任をやっているんですけど、今受験シーズン真っ只中なんですよ。推薦入学とかの。最近は上位校
以外では一般入試より一般ではない入試のほうが「一般的」になっちゃっているんですよ。12年前のお見合いのとき
も「今推薦入試のシーズンですね」って話題をしていたんですけど、それがこんなにはびこる時代がくるとはあの時に
は思わなかったよね〜、なんてつくづく話し込んじゃって。そのうち「推薦入試を考える」第2段を書くかも(第1段は
ちら)。先日、大学受験を来年度に控えた息子さんのいる友人に昨今の入試事情についていろいろ話したら、すごく
参考になった、と言われましたから。
 今日の終わりに「ところで今日は何の日だっけ?」「そりゃ推薦入試について語りあう日だろ?」……来年も語り合
っているのかな?

10月19日(火) デジタルな一日
 今日の午前中、CATVの工事が入り、今まで地上波しか映らなかった我が家のテレビにいろんなものが映るように
なりました。CATVについては以前この日記上でも悩んでいましたが、結局家中にケーブルが張り巡らされるのはさ
けて、ケーブルが短くてすむ寝室の小さなテレビに接続してもらいました。今回はほとんど私の独断で導入してしまっ
たので、オオアマさまが帰ってきて、ケーブルやアダプターを見てあきれていました。「いろんな番組やってるんだよ
ー」「たとえば?」「おとといのプロ野球ニュースとか」「……そんなもん見てどーする?」確かにそうなんだけど……導
入したからには、なるべく有効活用したいと思ってます。ハイ。
 さて、昼過ぎ、CATVの見方もだいたい理解して、今度はPCを立ち上げ、まずやらなきゃやらなきゃと思っていたO
Sのアップデートをしました。ところがその後、なぜかネットにつながらない! エラーが出たのがフレッツの接続ツー
ルだったので、NTTのサポートセンターへ電話したら、これは込んでいてつながらない〜。やっとつながったら「アップ
デートのあとの不具合の相談は今多いのです。マイクロソフトさんの問題のようなので、そちらにかけて下さい」ですっ
て。だいたい、PCって困ったとき、どこに聞いたらいいのかわからないことってありませんか? 問題があるのがPC
本体なのか、OSなのか、ソフトなのか、プロバイダーなのか、通信会社なのか、初心者にはわからないんだもん。以
前にもいろいろ電話をかけて聞きまくっているうちに、自分がどこにかけているのか忘れて混乱したこともありましたっ
け。とにかく、今日は次にマイクロソフトにかけたら、やっぱりなかなかつながらず、つながっても時間予約であちらか
ら電話がくると。一番早くて5時過ぎですって。待つ間、またPCがこわれたときのことを考えてバックアップをとった
り、サイトの更新作業をしたり、夕食の買い物に行ったり。5時、電話がきて説明しました。私のPCのメーカーが入れ
ているソフトとの相性が悪いらしく、そのソフトを無効にすればいい、とまず言われたのですが、調べたら私の場合す
でに無効にしていたので、それが原因ではないらしい。とすると、とあちらもあせりはじめ、他に入っているソフトの名
前をいろいろ言わされて「あやしいものがゾロゾロですね」なんて気味の悪いことを言われたけど、いろいろやってみ
た結果そのあたりは問題なさそうで、結局NTTの接続ツールが壊れたのではないか、ということに。「えー、またNTT
に電話するのぉ〜?」と思ったところ、「そのツールを使わずに接続すればいいんです」と別の接続方法を教えてもら
い、めでたくネットはつながりました。なんてことない解決方法だったんだけど、ものすごーく疲れました〜〜。
 つながることが確認できたところで、夕食のしたく、オオアマさまの帰宅……で、再度ゆっくりネットを見たのは夜遅
くなってから。うれしいことに、内野さんのオフィシャルサイトに内野さんのメッセージが更新されていました。まさか公
演中に更新があるなんて思ってもみなかったので、感動〜〜! こういうメッセージってテキストで出す人が多いと思
うのだけど、内野さんの場合、たいてい直筆なんです。私なんか、自分の字がキライで最近友人に書く手紙もPCで
打って署名だけしたりしますが、字がきれいな方の直筆というのは、やはりいいものです。内野さんの字は、宗方コ
ーチの日記などで見たことのある方もいらっしゃると思いますが、味わいのある字ですよねえ……。あの方がこういう
字をお書きになるんだなあと、しみじみ不思議な気分になってきて……。一日の終わりにアナログな出来事があっ
て、なんだかほっとしました。

10月21日(木) オバさんがころんだ。
 各地に被害をもたらした台風が去った今日の朝、呉女はいつもの木曜と同じく「フラのお稽古に遅刻する〜」と駅に
向って走っていました。もうすぐ駅だというところで、マンホールの取っ手に足がひっかかり、ズデーンと派手にころび
ました。もともと頭がでかく足が短くバランスの悪い体ですから、小さい頃からよく転びました。でも、結婚してからこん
なに派手に転ぶのはじめてじゃないかなあ。そのあとはさすがに走れませんでしたけど、何とか電車には乗れてフラ
にも間に合いました。それで着替えのときに、先ほど派手に打ってしまった右の膝を見てみたら、なんと高さ1.5cm、
直径5cmくらいのコブができているではありませんか〜。痛みはそれほどなかったからビックリ! 教室の人たちも
「え?ころんだの?」「子どもみたいね〜」と口々にいろんなこと言う。「コブって子どもはあまり痛がらないけど、大人
は痛いのよね」「いえ、痛くないんですけど」「ううん、きっと明日かあさってあたりにクルのよ」。結局、フラのお稽古も
普通にして、薬を買って帰って、今はすでに腫れもかなり引いて痛くもないんですが……赤くなったり青くなったり、キ
モチわるーい! この子(コブのこと)、これから一体どうなるんだろう? 今日はせっかく秋用に2月に木更津で買った
お気に入りのパウスカートをはじめて履いて、気分のいい日になる予定だったのにぃ〜〜。
 「あのさあ、転ぶってのは、ことによっては命とりになるんだから、本当に気をつけてねー」と私のコブを見たオオア
マさまはとっても困った顔をしました。そりゃ、私が転んで寝たきりにでもなったときには、介護するのはオオアマさま
だものね。そりゃ、気の毒だわ……。

10月25日(月) 大スクリーンで見る「(ハル)」
 昨日は六本木と渋谷で開催中の「東京国際映画祭」で森田芳光監督作品を特集して上映する企画の中の「(ハ
ル)」を見に六本木ヒルズへ行きました。「(ハル)」以前にも日記に書きましたが、1996年公開の深津絵里さんと内
野さんが主演したパソコン通信をテーマにした映画です。はじめて見る大スクリーンの内野さんにワクワク……。
 「(ハル)」はレンタルビデオで見たあとDVDも買ったのですが、他に見るものが多すぎて見ないままになっていまし
た。おととい予習にDVDの中の森田監督のインタビューを見ました。なぜこの二人を主演に選んだのか、との問いに
見るからにマジメそうだから」ですって。思わず頷いてしまいました。
 とっても優しく穏やかな映画で、ものすごく感動するとか泣いちゃうとかいう感じではないと思っていたのですが、ラ
ストで主人公の二人が東京駅ではじめて会うシーンで、まず右目からぼろっ、そして左目からぼろっ。あわててバック
の中からハンカチを探し出し……。この映画、こんなに感動的だったんだ! 今まで気づかなくてごめんなさいと素直
にあやまりたい気持ちでした。日常的な淡々とした流れの中に主人公たちのもつ傷とそれを乗り越えていく成長の過
程がきれいに描かれていて、それがラストではじける感じ。私、舞台の場合、テレビ中継などの映像で見てもそれは
あくまで「記録」であって鑑賞の対象にすべきものではない、少なくともその作品を評価することはできないと思ってい
ますが、映画は二次元のものだから、大スクリーンでも自宅のテレビでもそう変わらないものだと思っていました。で
も違うんだ、とわかりました。舞台の場合でもそうであるように、鑑賞の「場」の違いというのも大きいのだと思いま
す。すべてがその鑑賞のための場である劇場と、日常空間の中にあるテレビでは、感じ方が違ってしまうのも無理は
ありません。やはり映画として作られたものは映画館で見るのがいいのです。ただ、これが同じ森田監督作品であっ
ても「黒い家」だったとしたら……私の場合、映画館ではダメだったと思いますけど(笑い) 
 ところで、今回の場合、国際映画祭だから英語の字幕がついているんです。これが意外に面白かったです。。パソ
通の文章はさすがにかなりはしょった訳になっていましたし、英語にすると何だかな、という台詞もありました。たとえ
ば「もしかして私といっしょに(映画を)見たかった?」と彼女に聞かれて「見たかった……」と答える内野さんが私のお
気に入りのひとつなんですけど、この台詞が字幕では「Yes」。何だか省エネだわ……。
 それにしてもサ。パソ通の相手がお互いにあんなに素敵な人でよかったですねぇ〜。私だってさ、深津さんみたい
にかわいかったら(この映画の深津さんは特に本当に魅力的)「会いに行きます」なんて言えるけどサ。私だったら、相
手が惹かれる男性だったらなおさら一生会いたくないなあ(笑い) 「な〜んだ」って他人のフリして帰られちゃうかもし
れないし(←かなりイジケモード(笑い))。
 内野さんに関して言えば、前日に予習としてこの映画と同じ時期のテレビドラマ「奇跡のロマンス」をビデオで見たん
ですけど、不思議なほど「別人」なんです。ヘアスタイルは前髪の分け方が違うくらいで長さは同じくらいの短髪。
「(ハル)」ではものすごーく素直に若者を演じているのに対し、「奇跡のロマンス」では元教え子との間に過去のある
教師の役で「内野さんって昔から普通にきれいに演じちゃってもいいような役でも、その人のもっているある種のエゴ
とかズルさとかとかまで演じちゃう人だったのね〜」という感想を私はもっていたくらいですから、本当に全然違う。こ
れだから内野さんってヤメラレナイ……。
 実は、私が今パートのオバさんをやっている職場は六本木にありまして、と言ってもヒルズなんて全然縁もないし用
事もないんですけど、今日はわざわざヒルズの前のコンビニにお弁当を買いに行って「昨日はここで内野さんの映画
を見てたんだな……」とつくづくシアワセな気分に。世の中、たいへんなことが起こっているというのに、あまりにも平
和なヤツで申し訳ないです。

10月28日(木) 被災者の方へお見舞い申し上げます。
 台風の被害、地震の被害。今たいへんな思いをされていらっしゃる方に、心からお見舞いを申し上げたいと思いま
す。
 そんな言葉だけではどうにもならない。本当なら飛んでいってボランティアをするのが一番よいのでしょうが。
 特に未だに余震の続く中越地域の方。ご自分の家から離れたくない気持ちもおありでしょうが、避難所や車の中で
生活している方々の映像を見ていると、ほんの一時でもいいから、余震のない、ライフラインもきちんとした場所、たと
えば周辺の宿泊施設などにお連れして、ゆっくり休んでいただきたいと思い、じれったくなってしまいます。私の母は
新潟出身で、親戚にも新潟に縁のある者はおりますが、幸いにも今回被災した縁者はいないようです。もしいたら、
ゴチャゴチャの家でかえって落ち着かないかもしれないけど、しばらく我が家にお泊めしてさしあげたいところでした。
 天災はいつ誰の身に降りかかるかわからないことです。結婚してすぐのころ、私たちは非常に地震の危険が高いと
言われる地域に住んでいました。人に言うと「そんなの、どこだって危ないんだから……」と一笑に付されましたが、
住んでみるといろいろな情報が入ってきて、本当にこわいと思うこともあるのです。そこに昔から住んでいる人は諦め
ているのか慣れているのか、あまり深刻な感じには見えませんでしたが。今はその地域からは少し離れた場所に住
んでいますが、オオアマさまは今もその地域に通っています。毎朝オオアマさまを玄関で「生きて再び会えますよう
に」と祈るような気持ちで送り出します。こんなんだったら、私もいっしょにオオアマさまとその地域に住んでいたほう
がいいのだろうか……といつも悩みます。
 今日は「エリザベート」博多公演の千秋楽でした。いろいろな掲示板などで、こんなときに観劇なぞという浮かれた
ことをしていていいのだろうか、と罪の意識を抱きながら見に行った、という人の声を聞きました。よくわかります。そし
て夢を売る舞台の上の方たちも胸を痛めているようで、せめてできることをとロビーに義援金箱が置かれ、内野さん
がご協力をとのご挨拶をされたそうです。
 みんなが胸を痛めている。でも、だからといってみんなが自粛して生きたとて、どうなるものでもなし。ましてやたま
たま今回は被災したのが自分でなかっただけで、明日はどうなるかはわからぬ身。結局私たちは日々誠実に、明日
死んでも後悔しないくらいの生き方をする以外にないのではないでしょうか。都合のいい解釈かもしれないけど……。

10月31日(日)  装飾古墳見学。黄泉の国を覗く
  昨日は雨が降る中、二人で久々の史跡見学。茨城県ひたちなか市にある虎塚古墳へ行ってきました。ひたちなか
市には3月に水戸の偕楽園ツアーに行ったときにも那珂湊へ行っていますが、そのときに地図を見て有名な装飾古
である虎塚古墳へは行ってみたいなあ、と思っていたのです。そこへたまたま今が年に2回装飾壁画の公開時期
(11月7日まで)だということを知り、出かけていったのです。オオアマさまは以前にも見たことがあるそうですが「これ
は是非とも呉女にも見せたかった」のだそうです。
  東京駅からひたちなか市の勝田駅まではバスで昼過ぎに到着。雨だったのでそこからはレンタカーにしましたが、
茨城交通の中根駅からなら徒歩25分くらいだそうです。車ではほどなく虎塚古墳のすぐ近くにあるひたちなか市の埋
蔵文化財調査センターに到着。小さな展示室ではありますが、真ん中に虎塚古墳石室の復元がデーンとあり、全国
の装飾古墳の分布や写真。それからひたちなか市近辺でみつかった埴輪など。オオアマさまがいろいろ質問をした
ところ、センター長さんがわざわざ出てきて説明してくださったり、いろいろ資料をいただいたり。本当にありがとうござ
いました。
 さて、いよいよ虎塚古墳へ。虎塚古墳は7世紀前半に築造された全長
56mほどの前方後円墳。中央では7世紀に入るともう前方後円墳は出
てきませんけど、東国ではあるんです。春秋2回の石室公開ですが、雨
のせいか見物客は家族連れがチラホラという程度。一度に中に入れるの
は数人なので入れ替え制ですが、昨日は二人でゆっくりと見学させてい
ただくことができました。案内されて古墳の中へ。厚い扉を二つほど入る
と、小さな部屋があって、そこにある50cm四方くらいのガラス窓から中を
のぞくと1mくらい先に石室があって、内部を見ることができるようになっ
ています。中は明るくはありませんが、説明してくださる方が懐中電灯で
照らしてくれたりするので、壁画の装飾ははっきりと見ることができます。
本当に黄泉の国を覗いている感じ(笑い)

虎塚古墳。前方部から。石室は後円部にありますから、この裏側から入ります。

実物は撮影できないので、
かわりに古墳前の案内板の
写真です。この壁画、写真
などで見たことありません?
 装飾古墳といえばまず思い出すのは高松塚とキトラ。この二つは漆喰で壁が白く塗られていますが、虎塚は白粘土で塗られている。その違いはあれど壁が白く塗られているのはこの三つだけなんだそうです。高松塚やキトラのような写実的な絵はめずらしくて幾何学的な文様などが多いわけですが、虎塚古墳の壁画は幾何学的ではあるんだけどちゃんとした絵にもなってる。色はベンガラで描いたという赤一色ですが、先ほど模型で見た印象では壁に調理道具や食器やアクセサリーが飾られた居心地のいいリビング……みたいな雰囲気に思ったんですけど、さすがにそんなわけはなくて、まあ実際のところはわからないわけですが、今のところの有力な説では左の壁に連続する丸型は鏡、奥の下部の絵は弓矢や剣などの武器、右の絵も盾などを表しているのではないか、と。つまり鏡や武具など、通常副葬品として埋葬されるようなものが描かれているわけで、それでは実際の副葬品はというと、この地域の有力者の墓と見られ、盗掘もされていないわりには、小さな刀など、ごく少量の副葬品しかなかったそうです。なんだか、かつては権力を誇ったけれど、だんだん凋落してきてしまった首長を埋葬するのに、副葬品が少ない代わりにかつての栄光を偲んで壁画を描いた……なんていうイメージを思い描いてしまいました。もちろん赤く塗られた天井や床など、呪術的な意味が主にこめられているんでしょう。それにしても、こういう装飾古墳は九州地方に多く分布するので、この古墳の壁画も写真では何度も見ていましたが、九州にあるものという勝手な思い込みを長いことしていました。この常陸あたりから太平洋沿いに少し北のあたりまでには、いくつもの装飾古墳が確認されるようです。九州とこのあたりが海路を通じて何かつながっていたのかもしれません。
  もうひとつ、説明を受けて興味深かったのは、この石室の調査をしたのは1973年、つまり高松塚発見の翌年。盗
掘を受けていない密閉状態の石室の内部を調査して高松塚の保存のための資料にするのも目的の一つだったのだ
そうです。それで装飾壁画が見つかるとは思っていなかったそうですが。その後、この虎塚古墳はガラス窓などで密
閉状態を復元しているだけで、内部の空調調節などは全くしていないそうです。自然の状態を保つことで今のところカ
ビもはえずに保存に成功している上に、年に2回ながら一般公開までしている。高松塚とはいろいろ条件も違うので
しょうが、参考にしようとしたこちらが成功していて、なぜ肝心の高松塚でカビや退色の問題が起きるのか……。 
 さて、次なるは虎塚古墳のすぐ近く、とは行っても雨に濡れたグシャグシャ
の道と狭い下り坂を歩き、十五郎穴横穴群(じゅうごろうあなおうけつぐん)
へ。ふと見ると、そこはひたちなかインターチェンジのすぐそばでした。凝灰
岩がくりぬかれた横穴墓群。鎌倉時代の「やぐら」をもう少し小さくした感じで
す。こちらは虎塚より少し時代が下って8世紀くらいのものだそうです。先ほ
どセンター長さんが、この横穴の一つから出た大刀を今別の博物館に貸して
いて展示していないのが残念なので、せめて写真をと言って奥から持ってい
らしたのが、なんと見慣れた「飛鳥藤原京展」の図録。正倉院御物の中に
も、この古墳から出た黒作大刀にそっくりなものがあって、この地域と中央と
の関わりを感じさせる貴重なものなのだそうです。実物を見れなくて残念でし
たが、そんな大刀がここから出てきたのかと思うと、目の前の「まむしに注
意」の看板もなんのその、と思えるのでした。

十五郎穴横穴群。これは一部で横穴墓が300かそれ以上あるそうです。

台渡廃寺跡の礎石
 ここまでの見学で2時間近くを費やしました。近くには埴輪製作址もあるそうですが、オオアマさまは水戸市郊外の常陸国那珂郡の郡寺(最近は「郡家隣接寺院」というらしい)である「台渡(だいわたり)廃寺跡」(7世紀末創)に行きたいというので、そちらへと急ぎました。那珂川を渡って水戸市に入り、まずは台渡廃寺跡の遺物が展示されているという水戸市立博物館を訪ねましたが、残念ながら特別展で今は展示されていないとのこと。それでもオオアマさまが一応研究者のハシクレであることを告げると、学芸員の方(若い女性)がわざわざ遺物の一部を出してきて丁寧に説明してくださったり、最近あった現地説明会の資料をコピーしてくださったりと、とても親切にしてくださいました。そのお蔭で台渡廃寺跡にもなんとか日が暮れる前に見に行くことができ、塔の礎石なども見ることができました。
  ところが、そこで私たちは傘を博物館に忘れてきたことに気づき、博物館に電話してさきほどの学芸員さんにわざわ
ざ外までもってきていただいたり……。雨、降ってたのに気がつかないなんて、二人ともよほど興奮していたんです
ね。なんかいろんな方のお世話になった一日でした。茨城の方は親切です〜〜。
 さて、すっかり暗くなって水戸駅前でレンタカーを返し、またバスに乗って帰ります。水戸の町……3月に偕楽園に
来たときには、そんなこと意識していなかったのだけど、徳川慶篤さまの町。誰それ?……って慶喜の兄で水戸藩
主。大河「徳川慶喜」で内野さんが演じた役ですよ。水戸の町中を走っている間は、実はそんなことばっかり考えてま
した(笑い)
 

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