イタリア紀行

イタリア……。
ヨーロッパの中のこのひとつの国が
何となく特別の響きをもって聞こえるのは
なぜなのでしょう?
ローマ帝国の栄光。
ローマ・カトリックの中心地。
そしてルネサンスの都。
はじめて訪れたイタリアは、
想像していたよりはるかに多彩な顔をもち
長い歴史を大切にしている国でした。

 2002年夏、世界史担当になってしまったオオアマさまの研修、ということで、夏休みはどーんとイタリアへ飛んでまいりました(今年は海外へ行くつもりはなかったのに、大散財!)。
 あくまで「呉女流」の「イタリア紀行」です。それぞれの町の歴史と風景をお楽しみください。

長い歴史と天才の名画
ミラノ
水に浮かぶ、幻の都
ヴェネチア

ロミオとジュリエット
の町、ヴェローナ
ルネサンスの都
フィレンツェ
最小の国の
大聖堂と大美術館
バチカン

海洋国家の栄華
ピサ

ローマ帝国の栄光と
バロックの町
ローマ

ちょっと長いけど出発までの話
なぜ、イタリアか……
 世界史だからってなぜイタリアか? これは思いだしてもはっきりしないんです。なんとなく「イタリア」と決まっていたんですね。多分、ローマ帝国やルネサンスのイメージが強いからなのでしょう。
 特別にイタリア料理が好きなわけでもなし、イタリアに対するこだわりとか憧れのようなものはなかったのです。新婚旅行の行き先を決めるときにはイタリアは候補にあがらなかった。なぜかというと、見るものが多すぎてのんびりはできない、ちゃんと勉強してからでないと行ってはいけない、と思ったからでした。実際そうなんですけど。その反面、いつかは必ず行くべき国だ、とも思っていました。それはなぜなのか?ヨーロッパの中でも特別なイメージのある国なんですね。
 余談ですが、宝塚の作品を区分するのにどこを舞台にしているかによって、日本物、洋物とかいう言い方をします。その洋物の中で「フランス物」とか「イギリス物」という言い方は聞いたことがないけれど、「スペイン物」と「イタリア物」だけは慣習的にあるんです。それだけ独特のイメージかあるということなんです。私が見たイタリア物を思い出してみれば、昨年の「ミケランジェロ」とか、10年前の「スパルタカス」とか「ヴェネチアの紋章」とか(何組ファンだったかバレてしまう……)、今回の旅行のイメージをふくらますのにも役立ってくれました。
ツアーをさがす……
 行くことを決めたらツアー選びです。これは時間のある呉女の担当。旅行会社のパンフレットというパンフレットを片っ端から集めまくり、目を通しました。新聞の広告やインターネットも見ました。呉女は必ず最初に自分なりの条件を決めてそれに合うツアーをさがす、という方法をとります。日程、日数、予算、コース、内容、食事の回数、自由行動時間の有無。あんなにたくさんのツアーがあるのにすべての条件を満たすツアーってなかなかないものなんです。個人旅行も視野に入れましたが、新婚旅行で病気をした経験から添乗員さんはいてくれたほうがいいと。海外旅行中はただでさえにお腹をこわしやすいので、調節できるように食事が全部ついているものはパス。少なすぎるのもたいへんだから食事回数はバランスが大事です。価格はホテルのランクによるようです。高いほうが観光の内容も充実している場合が多いのですが、リゾートではないのでホテルは寝に帰るだけだから、ホテルのランクは下げることと、お盆のトップシーズンは避けることで予算はクリア。いちばん問題なのはコース内容。京都や奈良みたいに「また、来ましょ」ってわけにはなかなかいかないので主要都市は周りたいけれど、あちこち周り過ぎは疲れるだけ。せっかくならゴンドラにも乗りたいし、システィーナ礼拝堂は見たいし。自由時間に市内観光では行かないところを補うわけですが、疑問に思ったのはローマで自由時間のたっぷりあるツアーがすごく少ないこと。なぜなのでしょう?
申し込んだら……
 やっと「これなら」と思えるツアーを決めて申し込んだら、希望の日は人数が集まらずツアーキャンセルになるから、2日後の出発のにしてほしいと。「2日後のだと、ローマでの自由行動が日曜日で、システィーナ礼拝堂が見られないんです!!」と訴えたけどだめ。別の会社の候補のツアーも軒並み希望日はツアーキャンセルで(はじめから催行する気がないんじゃないの?)結局、帰りの飛行機の時間が遅ければ最終日に見られるかもしれないという可能性に賭けて、その「2日後の」ツアーに申し込みました。
 「なんで曜日のことまで考えてくれないんだろ?」と言うと、オオアマさまは「ツアーに行く人だって呉女みたいにヒマ人ばっかりじゃないから、そんなことまで考えないんだよ」。でも実際ツアーに行った先で話したら、ローマの日曜を避けようと別の日を希望したけどだめだった、という人が何人もいましたよー。結果として飛行機の時間が遅かったので見ることができたからよかったけど、旅行会社にはそのへんのことも考えてもらいたいなー。
予習……
 旅行するには予習しなけれゃなりません。だいたい呉女は世界史苦手なんで、イタリアの歴史なんてさーっぱり知らなんだ。ガイドブック読んだだけでも「へえーっ」て驚くことばかりであります。今回の目的は「世界史の先生の役にたつ」ですから、深ーく勉強するより、大きく捉えることが大切です。教科書とか史料集と数冊のガイドブック(一冊のガイドブックで必ずしも知りたいことが書いてあるとは限らないから、少なくとも数冊は目を通します)、それから週刊朝日百科の「世界100都市」シリーズ(この程度のブックレットがいちばんとっつきやすくてよい)とか、図書館で手当たり次第借りてきた本……。すべてに目を通すことは無理でした。だって、イタリアって各都市ごとに歴史があるから、いっぺんにってわけにいかないんだもの。自分なりの「旅のしおり」を作ってまとめて……。その作業も途中のままに当日が来てしまいました。
いよいよ出発……
 総勢34名というツアーとしては大人数。1クラス分ですものね。添乗員さんやガイドさんの話が聞こえるのかしら?と思ったら、世の中進んでいるんですねー。全員にイヤホンガイドなるものが配られて、添乗員さんやガイドさんがマイクでしゃべるとそれがイヤホンで聞こえるというシステム。離れていても「どこどこを右に曲がりまーす」とかちゃんと聞こえるんです。メンバーには下は小学生が3人、新婚旅行カップルから3世代親子まで、年齢はウチが真ん中より少し上くらいかな? 夫婦で参加という人が多かったですが、仲がいいから旅をするのか、旅をするから仲がいいのか、仲のよさそうな夫婦ばかりでした。ウチなんかなんてことないですよ。とにかく、いい人ばっかりでいいツアーでした。
 さて飛行時間は約12時間。時差7時間(イタリアはサマータイム中)でこちらを昼過ぎに出て、ミラノに着いたのがあちらの夕方。飛行機内では予習の続きをしたり、ゲームをしたり、で意外にあっという間でした。
(2002年8月記)

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