入門その頃のバス

9mサイズ大型観光バス

ボディ+シャーシ 9mサイズの大型バスは、路線バスや自家用バスを中心に古くから存在していましたが、1980年代に登場した貸切バス専用の9m車は、別の意味を持って誕生しました。
それまでの大口団体主体の貸切バス輸送から小口団体主体に移行する中で、中型バスサイズの貸切バスの需要が増加しますが、デラックス化や大型化が進んだ大型観光バスに比べて、中型バスは見た目も小さく、商品価値が低いと見なされたようです。また、カラオケやテレビをはじめとした重装備化にも中型バスでは限界がありました。そこで大型バスと同じ姿で全長を詰めた9m車が登場したのです。
いすゞと日野が1980年代中盤に相次いで市場に参入しています。続いて日産ディーゼルが「スペースアロー」RPを1991年に新設、また三菱が中型バスベースだったMMを1993年に大型バス「ニューエアロバス」ベースにモデルチェンジしています。


いすゞ LV217 1984- 

表5-14-1 いすゞ LV217
年式1984-19871987-19901990-1995
原動機型式
(出力)
8PC1-N
(240PS)
8PC1-S
(260PS)
8PD1
(275PS)
軸距4200mmP-LV217HP-LV217HU-LV270H
備考 
いすゞP-LV217H
LV217H

画像:いすゞ自動車公式カタログ(1984年)より

1984年に大型観光バスLVの一員として、大型バスのエンジンと本格的エアサスを採用し、車体も大型バスと同じスタイルを持った9mサイズ車としてLV217が誕生、この隙間市場を初めてターゲットとしました。
V型8気筒エンジンで、ハイデッカーⅣ型を基本としたハイデッカーボディを持つため、大型車に見劣りしないことで支持を集めました。ハイデッカー仕様のみが存在します。

自家用 いすゞP-LV217H
LV217H

撮影:北海道(2018.7.23)

大型車がスーパークルーザーにモデルチェンジされた後も川崎(IK)のボディはそのまま残りますが、標準ボディは富士重工のHD-Ⅰ型に変わりました。やはり外観的に見劣りが生じたためだと思われます。

ボディの組み合わせ・・・川崎、富士

自家用 いすゞU-LV270H(1991年式)
LV270H

撮影:山中湖村(2015.10.17)

平成元年排ガス規制に対応し、1990年にU-LV270Hにモデルチェンジしますが、ボディは富士重工の7HD型に変わりました。同時期の日産ディーゼルの9m車と同じボディですが、前照灯が4灯である点や側面のエンジン通気孔の位置などから区別できます。


ボディの組み合わせ・・・富士

日野 ブルーリボンRU19 1986−

表5-14-2 日野ブルーリボンRU19
年式1986-1990
原動機型式
(出力)
H06C
(205PS)
軸距4190mmP-RU192AB
備考  
元中鉄バス 日野P-RU192AB
RU192A

撮影:ヒツジさん様(北御牧村 2004.7.19)

日野自動車は1986年にこのクラスに参入しました。大型観光バス「ブルーリボン」と同じフルデッカーボディを持つ車両で、前輪独立懸架、貫通式トランクを装備しています。
1990年にセレガFCにモデルチェンジされました。

ボディの組み合わせ・・・日野

日産ディーゼル スペースアローRP(重複掲載) 1991 - 

U-RP210FBN
RP210FBN

画像:日産ディーゼル公式カタログ(1992)

日産ディーゼルでは、1986年から路線バス用の9m車RPを販売していましたが、平成元年排ガス規制に対応した1991年のモデルチェンジの際、主軸を観光タイプに変えました。
ボディは富士重工の17型で、観光タイプはハイデッカーが標準。シャーシはエアサス、インタークーラーターボ付です。

ボディの組み合わせ・・・富士

三菱 エアロミディMM (参考掲載)(重複掲載) 

岡山交通 三菱U-MM526H
MM526H

撮影:岡山駅(2012.5.26)

三菱MMは、早くから観光・自家用、路線の共通シャーシで存在していましたが、ベースが中型バスであることから、この大型9m観光バスのカテゴリには入りません。
ここで掲載した写真も中型バスとの共通スタイルです。
しかし、1993年のモデルチェンジの際、大型バスの「ニューエアロバス」と同じボディになり、商品名も「エアロバスMM」と変わりました。これにより、大型9m観光バスの仲間入りを果たしたわけですが、本稿の対象時期からは外れているため、詳細は省略します。

ボディの組み合わせ・・・呉羽

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