バスのカラーリング

C05-1系列会社のカラーリング

資本関係のある系列会社において、カラーデザインを統一するケースが見られます。これが、全く離れた地域に同じカラーデザインが存在する理由の主要な一つとなっています。比較的広い範囲にグループ展開をしている例としては、東急、名鉄、西武、国際興業などがありました。近接したエリアでのグループ展開の例としては、東武、京成、小田急、西鉄などがあります。
カラーデザイン統一の程度は、企業によって、または時期によって異なります。全く同じデザインを系列会社にパーフェクトに展開する例もあれば、貸切バスや高速バスのみ統一するとか、細部のデザインは系列各社の判断に任せるとか、様々なケースが見られます。
また、近年では、系列から離脱した後もカラーの変更を行わないケースも散見されます。

1-01 西武グループ

西武観光バス
西武バス

撮影:軽井沢駅(2017.8.26)

西武グループでは1978年に球団を買収し、西武ライオンズとしていますが、この球団のイメージカラーとキャラクターを、1981年から西武バスの貸切バスに採用しています。白地に青・赤・緑の3本ラインを入れ、球団キャラクターのレオマークをあしらったデザインです。
2009年に球団カラーがレジェンドブルーと呼ばれる紺色に変わった後も、このカラーは継続使用されています。

西武高原バス
西武高原バス
撮影:軽井沢駅(2004)

伊豆箱根バス
伊豆箱根バス
撮影:熱海駅(2016.6.4)

近江鉄道
近江鉄道
撮影:草津駅(2015.8.29)

西武グループ各社の中では、伊豆箱根鉄道(静岡県)、近江鉄道(滋賀県)において1982年から、貸切バス、路線バス問わず、ライオンズカラーへの変更が行われました。側面には、ローマ字表記の社名を加えた車番が青色で書かれている点などもデザイン的に統一されています。
なお、西武バス(埼玉県)の路線バスにこのデザインは採用されていませんが、1991年に長野県軽井沢地区を分社した西武高原バスは、一時期ライオンズカラーに塗り替えられていました。

1-02 国際興業グループ

路線バス
国際興業バス
国際興業

撮影:池袋駅(2017.2.12)

国際興業(東京都)では、1959年から緑の濃淡の鋭角デザインを用いています。淡いほうの緑色は、草色のような色合いでしたが、1998年にノンステップバスを導入するに当たり、ライトグリーンに変わりました。その時に、塗り分けも若干変わり、ライトグリーンの面積が増えています。
当初、国際興業グループとして路線バスのカラー統一はしていませんでしたが、2000年代に入る頃から、グループ各社にもこのカラーが普及しています。

十和田観光電鉄
十和田観光電鉄
里の杜のメルファ7様

岩手県交通
岩手県交通
長谷川竜様(盛岡駅 2013.6.8)

山梨交通
山梨交通
敷島営業所(2015.5.23)

グループ会社のカラー統一は2000年頃から始まっています。
山梨交通(山梨県・1961年グループ入り)は、1999年のCNG車から国際興業のライトグリーンのカラーを導入しています。譲受車で草色の旧カラーも入りましたが、早くにライトグリーンに塗り替えられています。
秋北バス(秋田県・同1962年)、十和田観光電鉄(青森県・同1969年)、岩手県交通(岩手県・同1986年)では、2000年頃からこのカラーを採用しています。十和田観光、岩手県交通では当初は草色の旧カラーを新車で導入していましたが、その後ライトグリーンへ切り替えています。
なお、各社とも現在は国際興業グループではなくなっていますが、このカラーは踏襲しています。

貸切バス
国際興業
国際興業

撮影:板橋不二男様(横浜営業所 1974)

国際興業の貸切バスは白地に紺色のピンストライプカラーを用いています。これは、国際興業が1959年に神戸タクシー(兵庫県)を買収し、神戸にて貸切バス事業を開始した際に、神戸タクシーが用いていたカラーを採用したことから始まります(注1)
ベースとなったのは「ブルーリボンカラー」ですが、ストライプが紺色で、細いピンストライプが若干太くなっているようです。また、前ドア後位の臙脂色の細かいライン部分に車番を入れ、側面中央部のピンストライプ分に臙脂色でローマ字の社名を入れるなどのアレンジがされています。(→ブルーリボンカラー)

岩手中央バス
岩手県交通
板橋不二男様(早坂高原 1978)

岩手県交通
岩手県交通
53様(大船渡営業所 2005.8.22)

山梨交通
山梨交通
新宿駅(1988.2.18)

貸切カラーのグループへの展開では、1961年にグループ入りした山梨交通(山梨県)が1970年頃から採用した例が最初期のものと思われます。続いて1970年にグループ入りした岩手中央バス(岩手県)が1972年頃に中距離バス用カラーとして採用しています。このケースでは、腰板部分のローマ字社名はありませんでした(写真は岩手県交通移管後)。
また、岩手県交通(岩手県)、早池峰バス(岩手県)では、1987年以降、路線バスタイプの車両でも廃止代替バスに使用されるものについては、貸切カラーを採用しました。これは、当時廃止代替バスが貸切登録だったからと思われます。この場合も、腰板部分のローマ字社名などを省略した例が見られます。

1-03 京王グループ

路線バス
京王帝都電鉄
京王帝都電鉄

撮影:板橋不二男様(八王子営業所 1973)

西東京バス
西東京バス

撮影:板橋不二男様(五日市営業所 1973)

京王帝都電鉄(東京都)では1949年頃に朱色と黄色のカラーデザインを導入しています。
グループ会社の西東京バス(東京都)については、前身である高尾自動車が1955年に京王傘下に入った後、奥多摩振興、五王自動車も1961年までに京王傘下に入り、1963年に3社合併により西東京バスが発足しています。カラーデザインは、旧3社時代に京王カラーになった模様です。
京王と西東京では同じカラーデザインではあるものの、車体裾に違いがあります。これは、京王が裾の朱色部分に白い2本線を入れるパターンを標準塗装としたのに対し、西東京が白線を入れないまま推移したため。さらに京王では1972年頃に裾の朱色を廃止、1978年からは簡略塗装化でこのカラーデザインから遠ざかってゆきました。
結果的に本家の京王から消えたデザインを、子会社の西東京が現在も維持しているという、変わった対比となりました。

貸切バス・高速バス
京王帝都電鉄
京王帝都電鉄

撮影:板橋不二男様(新宿車庫 1973)

西東京バス
西東京バス

撮影:板橋不二男様(皇居前 1973)

京王の貸切・高速カラーは、1965年に軽合金車体の三菱「オバQ」タイプを導入した時に採用されたものを、後にすべての車両に展開したようです。クリーム色地に朱色の細いラインが5本ずつ入る独特のデザインです。
西東京バスでは、ほとんど同じながら、細いラインの数が3本となっています。屋根上のデザインも異なっています。京王帝都電鉄と全く同じにしないのが、西東京バスのアイデンティティのようです。

1-04 小田急グループ

小田急バスと立川バス
小田急バス
小田急バス

撮影:二子玉川駅(2016.4.9)

立川バス
立川バス

撮影:立川駅(2016.5.4)

小田急グループでは、貸切・高速カラー以外はデザイン統一をしていませんが、小田急バス(東京都)と立川バス(東京都)の2社では、古くから共通カラーになっています。
小田急バスのカラーは、1953年に採用されました。赤と白のツートンは鮮やかで、腰板の赤い部分に白い3本ラインが入るのが特徴です。立川バスは1954年に小田急グループに入り、それを機に小田急バスと同じカラーを採用しました(注2)
両社ともに当初は側面に犬のマークがありましたが、1969年以降つけられていません。
また、細かい部分では、立川バスは窓下の細いラインが正面で段下げされないため、ボディメーカーによっては正面窓下には細いラインがないという特徴があります。これは1980年代のいすゞキュービック導入時にデザインの調整が行われた名残のようです。写真のエルガではわかりませんが窓周りのブラックアウトも両社では異なります。

貸切バス・高速バス
小田急シティバス
小田急シティバス

撮影:世田谷営業所(2016.3.27)

西伊豆東海バス
東海バス

撮影:修善寺駅(2016.6.4)

小田急グループでは、貸切バスと高速バスについては、1996年からCI(コーポレート・アイデンティティ)による統一カラーとなっています。
側面のローマ字社名は、字体を含めて各社ごとに異なります。また、犬のレリーフがつくのは小田急バス、小田急シティバス(東京都)のみです。

東海バスグループ(静岡県)で見られるアレンジ版。側面のデザインが赤ではなく、東海バスのイメージカラーであるオレンジ色になっており、正面は誤乗防止のためか東海バスカラーになっています。
中距離路線用の前ドア車がこのようなデザインになっているようです。

伊豆東海バス
伊豆東海バス

撮影:伊東駅(2016.6.4)

1-05 東急グループ

東京急行電鉄
東京急行

撮影:板橋不二男様(1977.2.15) 

東京急行電鉄(東京都)のバスは戦前から銀色地に赤帯のデザインを続けています。
1950〜68年の間、裾にライトブルーを入れていた時期がありますが、一旦赤帯1本に戻ります。その後、1985年以降、都市新バス、低床車などに上下の赤帯や金色、青色を配したデザインに変わっています。
東急グループのバス事業者は、北海道を中心に群馬県、長野県などに見られますが、2001〜2009年にほとんどの会社がグループを離脱し、他資本、または地元資本に変わっています。現在地方のバス事業者で東急グループに残っているのは、じょうてつ(北海道)のみです。

函館バス
函館バス
左党89号様(函館駅 2014.3.2) 

群馬バス
群馬バス
ポンコツ屋赤木様(前橋駅 1988)

越後交通
越後交通
本社営業所(2014.11.14)

東急グループの路線バスでのカラーデザイン統一は、一部の事業者にとどまります。
函館バス(北海道)は、1957年にグループ入りし、2003年にグループを離脱しています。その後も、東急バスからの車両譲受などの関係もあり、カラーデザインは維持されています。
群馬バス(群馬県)は、1957年にグループ入りし、2001年にグループを離脱しますが、カラーデザインはそのまま維持されました。結果的に、正面の塗り分けは旧来の東急カラーのままです。
越後交通(新潟県)は、中越自動車時代の1959年に東急グループとなり、その際に東急カラーとなりました。越後交通となった後、1966年には東急グループを離脱しています。こちらもベースデザインを継承しており、正面の塗り分けは変わりませんでした。

群馬バスでは、東京急行の戦後カラーをベースにしながらも、当初は本家にはなかった塗り分けでした。車体裾のブルーが直線状で、腰板に白い線が3本入ります。この白い線は、下にブルーの細線を伴っており、立体的に見えます。 草軽交通(長野県)にも似たような塗り分けがありました。

群馬バス
群馬バス

撮影:板橋不二男様(高崎営業所 1978頃)

初代観光カラー

上田交通(長野県)は1958年に東急グループ入りし、東急の当時の観光カラー(ブルーグレー)を路線バスにも採用していました。東急が観光カラーを変えた後もこのカラーが使われ続けています。
1997年頃から譲受車のカラーをほぼそのまま使うようになり、このカラーは順次姿を消しました。

上田交通
上田交通

撮影:ポンコツ屋赤木様(上田駅 1992.8)

2代目貸切カラー
東京急行電鉄
東京急行

撮影:板橋不二男様(1977.2.15)

じょうてつ
じょうてつ

撮影:板橋不二男様(洞爺湖)

1967年導入のデラックスバスから、白地に赤とゴールドのカラーが採用されました。
東急グループの貸切カラーとして、じょうてつ、函館バス、網走交通、北見バス(北海道)、群馬バス(群馬県)などがこのデザインを採用しました。その後、多くが東急の塗装変更に伴い「マーキュリーカラー」へと変化しています。
なお、群馬バスでは、東急グループ離脱後にデザインを変更していますが、使用色は現在でもそのままです。

マーキュリーカラー
草軽交通
草軽交通

撮影:軽井沢(2016.5.15)

函館バス
函館バス

撮影:左党89号様(北斗市 2012.5.1)

1985年に東京急行電鉄が導入したサロンバス「SSマーキュリー109」に採用した新塗装が、その後の東急の貸切バスの標準カラーとなり、「マーキュリーカラー」と通称されます。
このカラーは、各地の東急グループの貸切バスにも採用されました。
また、函館バスでは長距離路線バスにもマーキュリーカラーを採用しています。

上電バス→上田バス(長野県)では、マーキュリーカラーを貸切バスに採用するとともに2001年には路線バスにも拡大しています。
同社の場合、屋根部分にオレンジ色のラインが鉢巻状に回されているのが特徴です。写真の車両は、上田バスから草軽交通に移籍した車両。

草軽交通(元上田バス)
上田バス

撮影:軽井沢駅(2017.8.26)

じょうてつ
じょうてつ
左党89号様(真駒内駅 2011.5.3)

上電バス
上田バス
ポンコツ屋赤木様(上田駅 2014.9.29)

東急トランセ
東急トランセ
ポンコツ屋赤木様(御殿場市 2015.8.17)

「マーキュリーカラー」をアレンジしたカラーデザインも見られます。
じょうてつの路線バスは、後ろの方にマーキュリーカラーの面影が残りますが、前の方は異なるデザインです。使用している色は同じで、斜めラインの角度も継承しているようです。
上電バスは、2001年頃に路線バスもマーキュリーカラーに塗替えを始めましたが、塗装工程簡略化のためか、2002年頃から直線的なデザインに変わりました。過渡期には、正面のみマーキュリーカラーを残した車両もありました。2009年に東急グループを離脱し、上田バスと社名変更したのち、2013年よりオリジナルカラーに変更を開始しています。
東急トランセ(東京都)の高速バスは、2014年より運行を開始、やはりマーキュリーカラーの色を生かしつつ、新たなカラーデザインを展開しています。

1-06 名鉄グループ

名古屋鉄道
名古屋鉄道

撮影:板橋不二男様(一宮営業所 1988)

名古屋鉄道(愛知県)では、中部地方、北海道地方を中心に系列会社を多く持っており、一時期、ほとんどの会社のバスが親会社と同じ白地に赤ラインの「名鉄カラー」に統一されました。
その後、1990年代以降、各社が独自性のあるカラーデザインに変更するという自由度が与えられたようです。

根室交通
根室交通
ポンコツ屋赤木様(根室駅 1990)

大井川鉄道
大井川鉄道
板橋不二男様(千頭駅前 1984)

宮城交通
宮城交通
盛岡駅(1985)

一旦、名鉄カラーになったバス会社には、網走バス、根室交通(北海道)、大井川鉄道(静岡県)、豊橋鉄道、知多乗合(愛知県)、濃飛バス、北恵那交通(岐阜県)、おんたけ交通(長野県)、尾小屋鉄道(石川県)、福井鉄道(福井県)などがあります。

独自性の時期

岐阜乗合自動車
岐阜バス
岐阜BC(2016.10.30)

東濃鉄道
東濃鉄道
多治見駅(2016.4.16)

小松バス
小松バス
小松駅(2016.4.23)

独自色を強めた名鉄グループ各社の一例です。
岐阜乗合自動車(岐阜県)は、長くオリジナルカラーでした。写真の車両はノンステップバスに採用されたブルーを加えたカラーです。
東濃鉄道(岐阜県)は、名鉄グループカラーをベースにしながら、色使いを自社伝統の緑色にしています。
小松バス(石川県)は、尾小屋鉄道時代から名鉄カラーでしたが、ノンステップバス採用時にシルバーを地色にした独自カラーに変わりました。

グループカラーへの回帰
名鉄バス
名鉄バス

撮影:高蔵寺駅(2017.5.20)

名鉄バスでは2006年から、正面の塗り分け形状を岐阜バスが使用していたデザインに合わせ、そこに社名を入れるパターンに変更しています。同じ頃からグループ内での車両の共通仕様化も実施し、再度グループ内でのカラーデザイン統一化を進めています。

岐阜乗合自動車
岐阜バス

撮影:岐阜駅(2016.10.30)

東濃鉄道
東濃鉄道

撮影:多治見駅(2016.4.16)

一旦、名鉄カラーを離脱したものの、2000年代に入ってから名鉄カラーに戻っている会社も多く見られます。
岐阜乗合自動車(岐阜県)は、名鉄バスカラーとほぼ同じですが、赤いラインの下には、岐阜バスが使ってきた金色の細いラインが入ります。
東濃鉄道(岐阜県)は、やはり赤帯の下には、古くからの自社カラーである緑色のラインが入っています。

北恵那交通
北恵那交通

撮影:恵那駅(2016.10.30)

宮城交通
宮城交通

撮影:長谷川竜様(仙台駅 2017.5.5)

北恵那交通(岐阜県)は、赤帯の下には青いラインが入ります。
宮城交通(宮城県)は、以前は正面の塗り分けがV字形でどの名鉄グループの塗り分けとも異なっていましたが、名鉄バス塗り分けに変更になりました。ただし、正面の台形の部分に社名文字は入りません。

1-07 京成グループ

京成グループでは、千葉県を中心に数多くの系列会社を持ちますが、その中で貸切バス、高速バスについては、統一カラーが設定されています。
使用している色は路線バスと同様、クリーム色地に紺色と赤色のラインですが、デザインは大きく変わっています。また「KaNaC」(カナック)のロゴが共通して入ります。
なお、これに準じたデザインは、関東鉄道(茨城県)の鉄道車両でも使われています。

成田空港交通
成田空港交通

撮影:つくばセンター(2016.5.14)

1-08 帝産グループ

帝産観光バス
帝産観光バス

撮影:東京都(2016.10.10)

帝産観光バス(東京都)では、赤色系3色の矢印形ラインに、グレイハウンドのレリーフを付けた独特のカラーリングを長く続けています。東京だけでなく、愛知県、京都府、大阪府などにも営業所を持ち、広域的な営業展開をしています。

帝産湖南交通
帝産湖南交通

撮影:瀬田駅(2017.3.25)

帝産グループには路線バスを運行する帝産湖南交通(滋賀県)もあり、貸切バスと同じカラーデザインを路線バスに展開しています。
グレイハウンドの犬のマークは白いペイントになっています。

函館タクシー
函館タクシー

撮影:左党89号様(函館駅 2011.4.30)

函館タクシー
函館タクシー

撮影:左党89号様(函館駅 2016.2.12)

函館タクシー(北海道)では、函館空港のリムジンバスを運行していますが、北海道で見られる帝産カラーとして知られています。路線タイプ車両へも展開しており、同じ路線タイプの帝産湖南交通とは、犬のマークや正面、屋根上の塗り分け位置に違いが見られます。また、スーパーハイデッカーのデザインをハイデッカーに施した事例もあります。いずれも本家の帝産観光バスでは見られない日野車です。

1-09 近鉄グループ

近畿日本鉄道
近畿日本鉄道

撮影:板橋不二男様(1976.5)

防長交通
防長交通

撮影:板橋不二男様(1975頃)

近畿日本鉄道(大阪府・現在近鉄ホールディングス)の系列会社は数多くありますが、カラーデザインの共通性では、防長交通(山口県)が見られるだけのようです。
近畿日本鉄道の貸切バスカラーは、防長交通の長距離バスカラーとしてそのまま使用され、更に青色に変えたものを路線バスカラーとしていました。その後、路線バスの冷房車には緑色に変えたものも登場しています。

1-10 JRグループ

JRグループは、これまで掲げた系列会社の事例とは異なり、元々同じ日本国有鉄道であったものが、分割民営化により異なる事業者になったというものです。カラーデザインも、元々同じデザインであったものが、各社の判断の中でアレンジされたり変更されたりしてきました。
貸切・高速カラー
日本国有鉄道
国鉄バス

撮影:盛岡支所(1987.7.18)

国鉄バスでは民営化前の1985年に、高速バス車両のイメージ刷新のため、青と白の新カラーを採用しています。
このカラーは、これまでの国鉄バスの青色イメージを生かしながら、より明るい青色を採用し、塗り分けパターンをシンプルにするなど、ハイデッカータイプの新しいバスにマッチするデザインになりました。側面には大きなつばめのシンボルマークが入っています。
このカラーデザインは、全国の国鉄バスの貸切バス、高速バスに急速に普及しています。また、それらは、1987年の分割民営化により、各地の分割会社に引き継がれました。

JRバス関東
JRバス関東
新宿(2016.5.3)

JR東海バス
JR東海バス
新宿(2016.5.3)

中国JRバス
中国JRバス
出雲市駅(2016.5.28)

国鉄バスカラーを引き継いだJRバス各社のうち、北海道は1987年に、九州と四国は1988年に貸切、高速バスを独自のカラーに変更しています。本州の5社は、国鉄バス時代のカラーを踏襲していますが、細部には違いが見られます。
JR東海バスは、下の青色に細線を添わせるなどの独自性を見せています。
JRバス東北、JRバス関東、中国JRバスの3社は国鉄バス時代を基本的に踏襲していますが、正面や屋根上など細部には違いが見られるようです。

JRバス関東
JRバス関東
宇都宮営(2016.5.21)

JR東海バス
JR東海バス
武智麻呂様(瀬戸市駅 1990年代)

西日本JRバス
西日本JRバス
金沢駅(2015.7.6)

民営化された時点では、路線バスは紺色の路線バスカラーでしたが、分割後、貸切カラーを路線バスに展開した会社もあります。塗り分けの特徴は貸切・高速バスに準じています。
西日本JRバスは、中央部にピンク色を入れて他社とは差別化を図っていますが、これは貸切・高速バスとも共通です。

路線カラー
日本国有鉄道
国鉄バス

撮影:北福岡営業所(1985.9.26)

国鉄バスの路線バスは、1972年から当時の高速バスカラーであった白地に紺と銀色を配したデザインに統一されており、民営化時にも基本的にはこのカラーでした。正面には動輪マーク、側面にはつばめマークの標章が付けられています。
分割民営化後、上記のように貸切カラーベースへと変更した会社がある一方で、路線カラーを一部アレンジして使用している会社もあります。

JR北海道バス
JR北海道バス
左党89号様(札幌営 1995.7.30)

中国JRバス
中国JRバス
新山口駅(2016.5.29)

JR四国バス
JR四国バス
松山駅(2016.5.29)

最初に大きなアレンジを施したのがJR北海道(後のJR北海道バス)で、1988年から、青色の明度を増すとともに、前方に向けて段差を付けるなどスマートなデザインに変更しています。屋根上のデザインも銀色をやめて青いラインに変えています。
似たようなアレンジを施したのが中国JRバス(広島県)で、腰板のブルーのデザインがJR北海道と共通しています。ただし、腰板のブルーの下部に銀色がないことや、屋根上のデザインは原形を踏襲している点などに違いがあります。
JRバス東北(宮城県)とJR四国バス(香川県)は原形に忠実なデザインを継続導入しています。

1-11 京福グループ

京都バス
京都バス

撮影:京都駅(2016.3.5)

京福バス
京福バス

撮影:福井駅(2016.4.23)

京福電気鉄道(京都府)では、同社の福井支社(福井県)のバスと、子会社でバス事業を営む京都バス(京都府)、丸岡バス(福井県)のバスが同じカラーデザインでした。京都バスがこの色を採用したのは1961年だそうです(参考文献5のP.86)
2000年に福井支社のバス事業を丸岡バスに譲渡し、丸岡バスが京福バスと社名を変更。京都の京都バスと福井の京福バスの2社が同じカラーで残るという形に落ち着いています。

1-12 いわさきグループ

鹿児島交通
鹿児島交通

撮影:鹿児島中央駅(2015.8.1)

いわさきバスネットワーク
いわさきバスネットワーク

撮影:鹿児島中央駅(2015.8.1)

いわさきグループ(鹿児島県)は旧鹿児島交通のいわさきコーポレーションを統括会社とする交通グループで、鹿児島交通といわさきバスネットワーク(元の林田産業交通)などがありました。
ヤシの木のシンボルデザインと独特のカラーバリエーションのセンスが特徴です。カラフルなヤシの木を車体に散りばめる1990年代中盤からのデザインでは、鹿児島交通は5色のヤシの木をランダムに配置するのに対し、いわさきバスネットワークは黄緑色のみのヤシの木を配置しています。種子島交通では桃色のヤシの木だったようです。
これより前、1990年からのデザインでは、ヤシの木をテーマにしつつ、6色のメインカラーを車両によりを変えて展開するなど、カラフルで楽しい色使いでした。

1-13 瀬戸内グループ

瀬戸内運輸
瀬戸内運輸

撮影:大阪駅(2016.5.7)

瀬戸内海交通
瀬戸内海交通

撮影:今治桟橋(2016.5.29)

瀬戸内運輸(愛媛県)では、高速バスのカラーデザインを「パイレーツ号」のデザインに統一していますが、グループの瀬戸内海交通(愛媛県)の急行バス用車両は、そのデザインをアレンジしたものとなっています。
瀬戸内海交通では中央を走る波の曲線が大きくなっているほか、濃いブルーが加わるなど印象の強いデザインに変わっています。

>>5-04 ラ・メール号一族へ

1-21 鉄道車両などとの共通カラー

京福電気鉄道福井支社
バス
京福電気鉄道

撮影:板橋不二男様(1975)

鉄道
京福電気鉄道

撮影:福井口駅(1982.3.28)

京福電気鉄道福井支社(福井県)のバスと鉄道の同一カラー事例です。同社では、本社の京都で運行する鉄道車両はバスとは異なる緑系のカラーでした。2003年に福井支社の鉄道事業をえちぜん鉄道に譲渡しており、このカラーの鉄道車両はなくなりました。
地方私鉄でのバスと鉄道車両の共通カラーには、十和田観光電鉄(青森県)、茨城交通(茨城県)などの事例もあります。
(注)鉄道車両の写真は、白黒写真をカラー化したものです。

静岡鉄道
バス(復刻カラー)
しずてつジャストライン

撮影:静岡駅(2017.3.19)

鉄道(復刻カラー)
静岡鉄道

撮影:日吉町−音羽町(2017.3.19)

静岡鉄道(静岡県)では、1969年にバスのカラーをシルバーの地色にブルーのラインの入ったデザインに変更しました。これは筆頭株主である東京急行電鉄のバスの色違いでした。
1970年代に入り、鉄道線の300系について、これと同様のカラーに塗替えを行っています。写真はその復刻カラーです。復刻カラーはステンレス車を使用しているため、ステンレスの地色ですが、当時の300系は普通鋼製だったため、バスと同様に銀色は塗装でした。

東京都交通局
バス(復刻カラー)
東京都交通局

撮影:巣鴨営業所(2017.3.4)

都電(保存車)
東京都交通局

撮影:都電おもいで広場(2017.3.4)

東京都交通局(東京都)では、1959年にバスの塗装を都電のカラーに合わせて、クリーム色に臙脂の帯が入るデザインに変更しています。
しかし、1968年には再度変更されてしまい、バスと都電の統一カラーは10年程度で終わりました。なお、都電のほうは、黄色の彩度を上げたカラーになった後、1977年には青帯に変わっています。

伊豆箱根鉄道

バス
伊豆箱根鉄道
撮影:修善寺駅(2016.6.4)

十国峠ケーブルカー
伊豆箱根
画像:パンフレット(1987)

伊豆箱根タクシー
伊豆箱根タクシー
撮影:三島駅(2016.6.4)

伊豆箱根鉄道(静岡県)は西武グループでライオンズカラーのバスを運行していますが、箱根地区で展開する直営の十国峠ケーブルカーや駒ケ岳ケーブルカー、駒ヶ岳ロープウェイも同じカラーになっていました。また、グループの伊豆箱根タクシーも同じカラーです。
なお、箱根地区のケーブルカー、ロープウェイともにその後に塗装変更を行ってしまったようなので、ここではパンフレットからの転載写真をお見せします。

小田急電鉄
小田急箱根高速バス(復刻カラー)
小田急電鉄

撮影:新宿(2016.4.9)

小田急電鉄ロマンスカー(復刻カラー)
小田急ロマンスカー

撮影:新宿(2017.2.12)

小田急箱根高速バスを運行する小田急電鉄(東京都)は、自社の鉄道車両「ロマンスカー」と同じ朱色とグレーを使用した上で、塗り分けは系列の小田急バスの基本デザインに近づけたカラーデザインとなっていました。
このカラーリングは、小田急グループの箱根エリアのイメージカラーとなっており、箱根登山鉄道(神奈川県)の電車、ケーブルカー、ロープウェイにも同じ配色が用いられていました。
もっとも、1990年代以降、ロマンスカーのカラーが赤と白を基調としたデザインに変わるのに合わせ、箱根エリアの乗り物も塗装を変更し、一方で箱根高速バスは小田急バスのCIカラーへと変わったため、バスと鉄道の共通デザインは解消されてしまいました。
写真は両方とも復刻カラーです。

京王電鉄

バス(京王電鉄バス)
京王電鉄バス
撮影:八王子駅(2017.4.30)

電車(京王線)
京王線
撮影:高幡不動駅(2017.3.4)

タクシー(京王自動車)
京王自動車
撮影:新宿区(2017.3.4)

京王帝都電鉄(東京都)では、1990年にCIを導入し、アイボリーを地色に京王レッドと京王ブルーと呼ばれる2色のラインが入った塗装に変更しました。グループの京王自動車のタクシーは路線バスとほぼ同じカラーデザインです。電車の場合は、ラインにグラデーションがなく、全長に渡ってラインが入ります。
なお、1997年に設立された分離子会社の京王バスは全く異なるカラーとなるなど、完全な統一カラーではありません。

伊予鉄道
バス
伊予鉄道

撮影:松山駅(2016.5.29)

鉄道(市内電車)
伊予鉄道

撮影:大手町駅(2018.7.12)

伊予鉄道(愛媛県)では、2015年にCIを導入し、愛媛県の特産品である柑橘類をイメージするオレンジ色1色のカラーデザインを導入しました。これまでもオレンジ色を使用したデザインでしたが、単色にすることでインパクトを増しています。バス、市内電車、郊外電車すべてがこの色に塗り替えられます。
CIによる地方私鉄のバスと電車のデザイン統一では、松本電気鉄道(長野県)の例があります。

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主な参考文献
  1. 日本バス友の会(1994)「日本のバスカラー名鑑」
  2. 和田由貴夫(1998)「シティバスのカラーリングを考える」(「年鑑バスラマ1998-1999」P.97〜103)
  3. 三好好三(2006)「バスの色いろいろ」(「昭和40年代バス浪漫時代」P.124〜125)
  4. 満田新一郎(2005)「昭和30年代バス黄金時代」
  5. 満田新一郎(2006)「続昭和30年代バス黄金時代」
  6. 満田新一郎(2006)「昭和40年代バス浪漫時代」
(注1)
鈴木文彦(2001)「国際興業のあゆみ」バスジャパンニューハンドブックスNo.33 P.23-29
(注2)
鈴木文彦(2008)「小田急のあゆみ/立川バスのあゆみ」バスジャパンハンドブックシリーズR No.65 P.18-31
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80s岩手県のバス“その頃”