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久遠の空 −1枚の写真に寄せて−
「昭和」という響きがもう既に懐かしい過去のものであるかのようになってしまった今、「昭和」というのはすべてがレトロであり、レトロというのは「昭和」であるかのように語られることが多くなりました。しかし、「昭和」というのは64年もの長い年月をさすもので、とても昭和レトロの一言でくくられるものではありません。特に私たち昭和生まれの人間にとっては、昭和の各年代はそれぞれ全く別の時代であったはずです。
そこで、そういった昭和のある一コマを切り取った写真をご紹介するコーナーを作ってみました。
京都知恩院山門(1951年)
画像:所蔵写真(京都市 1951.4.18)
遊覧バスで京都観光の途中、知恩院の山門前で撮った記念写真。着物姿の女性と背広姿の男性、赤ちゃん連れの男性も含む40人ほどの団体です。
両脇には2名のガイドさん、左端の石燈籠の前には運転手さん。腰に手を当てた運転手さんはちょっと偉そうです。
終戦から間もなく6年、大勢での観光旅行もできる時代になったのでしょう。これだけの大人数を運べるのは、後ろでキャブ(運転台)を右にかしげたトレーラーバス。終戦後に輸送量の急増に合わせて作られました。
バスの車内には2人掛けのハイバックシートが並び、2段窓の中央にあるはずの桟が見えませんので、遊覧バス用に大改造を施したのかも知れません。通勤などの大量輸送に活躍した後、今度は急増する観光需要に流用されたと考えれば、短期間ながらも太く生きられたバスだと言えるかもしれません。
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