4/5/2015/SUN
かべ―鉄のカーテンのむこうに育って(The Wall: Growing Up Behind the Iron Curtain, 2007)、Peter Sis、福本友美子訳、BL出版、2010
おとうさんのちず(How I Learned Geography, 2008)、Uri Shulevitz、さくまゆみこ訳、あすなろ書房、2009
4/12/2015/SUN
錯視芸術図鑑:世界の傑作200点(The Art of the Illusion: Deceptions to Challenge the Eye and the Mind, 2012)、Terry Stickels and Brad Honeycutt,、北川玲訳、創元社、2014
錯視のメカニズムは完全には解明されていないらしい。
その証拠に、毎年、それまでにはなかったトリックを用いた作品が発表されている。
本書に収められた作品の中で一番驚いたのは、新しい作品として序文で紹介されている「2枚のピサの斜塔」。同じ写真が並べてあるだけなのに、右側だけより傾いて見える。
4/19/2015/SUN
成田亨作品集、富山県立近代美術館・福岡市美術館・青森県立美術館編、羽鳥書店、2014
成田亨が『ウルトラマン』の初期シリーズで、ウルトラマンに加えて怪獣のデザインをしたことは知っていた。
『ウルトラセブン』では、ウルトラ警備隊の飛行機、ウルトラホークから特殊自動車のポインター、制服からロゴまで関わっていたとは知らなかった。
さらに驚いたのは、ウルトラマン「バラージの青い石」などの舞台背景もデザインしていたこと。
本書にはそれぞれのデザイン画に成田自身のコメントがついているので、発想の原点がわかる。
そして、知らず知らずのうちにそれは私にとっての「カッコいい」ものの原点になっていった。
4/26/2015/SUN
「幸せ」の戦後史、菊池史彦、トランスビュー、2013
著者は元編集者だったせいなのか、自分を語ることについて禁欲的過ぎて、著者自身の「幸せの戦後史」は冒頭で短く触れられているだけで、本編ではあまり語られていない。
そして、社会学の概念である「社会意識」を操作して戦後日本の「社会意識」の変遷をたどろうとしている。ところが、取り上げられている本や歌には、日本の「社会意識」と呼べるほど広く知られたとは言い難いものも少なくない。
おそらく著者は、「自分語り」に陥ることを恐れて、俯瞰的な論述を試みたのだろう。とはいえ、研究論文を書いているわけではないのだから、執筆の意図からみれば、もっと自分史に重きを置いてもよかったのではないか。
社会学の概念や手法を使うにしても、通俗的な視点から日本社会の全体を見渡すこともできる。たとえば、輪島祐介『創られた「日本の心」神話――「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』では、菊池も多くを割いているヒットソングを通じて新しい戦後史の見方を提案している。
ほかにも、永井良和『南沙織がいたころ』では、一人の歌手のデビューから引退までをたどりながら、時代とともに移り変わってきた日本と沖縄や奄美の「社会意識」をあぶりだしている。
研究者が、あえて学問的な「価値中立性」や厳格な学問的な概念を用いずに、積極的に自分視点で掘り下げた本もある。その好例といえる原武史『滝山コミューン一九七四』と比べながら読むと戦後育ちのインテリ層がどのように生きてきたか、内容だけではなく、表現方法についても興味深い比較ができる。
もちろん、その興味は、私自身が「自分史」を書く前提として、ということ。