12/6/2015/SUN
さだまさし スタジオライブ、NHK-FM、1978
オフコース スタジオライブ、NHK-FM、1978
まさしんぐWORLDカーニバル、BSフジ、2009
アナログ・レコードとカセットテープをMP3で録音できるプレイヤーを買った。二度と聴くことができないラジオ番組の録音からデジタル化している。70年代、ラジオ番組を録音することを“エアチェック”と呼んでいた頃に録音した音源。
MP3に変換したい番組はたくさんある。CDやビデオレコーダーがまだなかった時代にNHK-FMから“エアチェック”した音楽番組。
なかでも、さだまさしとオフコースのスタジオライブはYouTubeでも見つけることができなかったので、カセットテープが劣化する前にデジタル化しておきたかった。
録音して聴いてみると、思いのほか音質がいい。ラジオの感度が良好だったのだろう。カセットしかなかった1987年頃までは繰り返し聴いていたので、内容はいまでもそらで言えるほど覚えている。
カセットテープに詳細な録音日時は書かれていない。曲目から推測すると放送日は1978年の春。
さだまさしのライブは、「きみのふるさと」や「セロ弾きのゴーシュ」などアルバム『風見鶏』(1977年7月発売)からの選曲が多い。
「昨年は目立ちすぎたと言われている」と漏らしている。これは、「雨やどり」(1977)のヒットを受けての発言と思われる。サポート・バンドは「コーラス」と紹介されている。
アルバム『私花集』を発売したばかりとも言っているので、放送日は同アルバムが発売された1978年3月から間もない頃と思われる。
観客のいないスタジオでのライブのせいもあるがあるにしろ、「イルカ虐殺」を理由に来日しなかったオリビア・ニュートン・ジョンをチクリと批判したり、「雨の青山通りを歩くとなぜだか死にたくなる」、さらには、「歌にもできない辛い別れもあった」と吐露したり、熟練した最近のライブで披露される出来上がったネタとは違う「本音」が聞けて面白い。
全体として、このライブには、さみしい感じが漂う。
見たいテレビ番組がないので、古いDVDのストックを探していたら、2009年1月にBSフジで放映された「まさしんぐWorld 第23回」を見つけた。ファンクラブの会員を対象にしたこのコンサートでは、曲目は、ほとんど70年代の作品だった。
終盤が「飛梅」と「つゆのあとさき」という選曲は30年前のスタジオライブと同じ。
2009年もすでにかなり前のこと。70年代の曲を聴けたのはうれしかった。
オフコースのライブは1979年5月以降と思われる。アルバム「Three and Two」から選曲がなく、「最近、ベストアルバム<SELECTION>を出した」と言っている。
このライブでは「めぐる季節」と「ロンド」が好きだった。特に「ロンド」は2002年以降、図書館でCDを借りられるようになるまで、聴き返すことがなかった。
そしてもう一曲、Brouthers Fourの曲を5人のコーラスでカバーした“Graduation Day”も、もう一度聞きたかった。
このコーラスには年末恒例となっている音楽番組『クリスマスの約束』で、小田和正が実現しようとしていることの原点を感じる。
この番組では、コーラスのほか、松尾一彦による長嶋茂雄のモノマネなど、後年の音楽一本のライブとは違うオフコースが聴ける。
「老人のつぶやき」は、NHK「みんなのうた」のために書いてボツにされた曲と紹介されている。儚い人生と若いころの恋を懐かしむ「老人のつぶやき」。私も好きな曲ではあるけれども、老若男女が楽しむ「みんなのうた」に相応しいとは思えない。
ボツにされたことよりも、そもそも、この曲を提案したことに驚く。
このカセットテープを繰り返し聴いていた「あの頃」、さだまさしの歌詞についてよく語りあっていた。
「胡桃の日」で、サビの部分の歌詞、「君の前には」は、二番では「死人の前には」に聴こえる、だから恋人を殺してしまったんだ、とか、「飛梅」のおみくじについて「上り詰めたらあとは下るしかない」と歌うのは「何度引いても「大凶」しか出なかったということだよね、とか⋯⋯。
とても楽しく、とても親しい時間だった。
何もかも、皆、懐かしい(©沖田十三)。
スタジオライブの曲目は次の通り。
さだまさし
- 案山子
- きみのふるさと
- セロ弾きのゴーシュ
- 加速度
- 檸檬
- 飛梅
- つゆのあとさき
オフコース
写真は、「各駅停車の檸檬色」。