横浜ハンマーヘッド

結婚記念日に横浜みなとみらいへ一泊の小旅行をしてきた。きっかけは友人夫婦と食べた北欧料理。このとき、無性に横浜にある北欧料理店、スカンディヤのスモーガスボードを食べたくなった。前回は友人と行ったので、妻にもいつか食べてもらいたいと思っていた。

横浜は身近なだけにかえって泊まりでは行かない。だからゆっくり観光をしたこともない。いや、飛鳥のクルーズがキャンセルになって、ランドマークタワーに宿泊したことがあった。にしても、新しい観光スポットがいくつもできているので、ゆっくりまわるために一晩泊まることにした。

高ようじの一汁七菜定食 かすむベイブリッジ

渋谷からみなとみらい線に直通の東横線に乗り、まずは新高島で下車。和食の高ようじでランチ。妻が好みそうな和食定食の店。期待どおり気に入ってくれた。この日は鶏の唐揚げと鮭ハラスの塩焼きのほか、合わせて七種の惣菜が並んだ。

驚いたのは、満席の客のうち男性は3人だけ。あとはすべて女性のグループ。

この時点で天候はすでに悪く、ベイブリッジもかすんでほとんど見えなかった。

新高島駅に戻り、京急ミュージアムを一回りしてからみなとみらいへ移動。そこからは屋内なので傘なしでホテルまで歩いた。今回、泊まったのは横浜ベイホテル東急。リゾートを意識しているようで、レストランに椰子の木が生えていて、スタッフはアロハシャツを着ていた。

マリー・アントワネット展バナー マリー・アントワネット展バナー

今回の旅の目的の二つ目。横浜美術館のマリー・アントワネット展。これは時間をかけて見たかった。思った以上に展示品が多く、閉館時間が近づいていたので最後は駆け足になってしまった。

ミュージアムショップで長谷川潔作品の絵はがきを見つけて買った。残念ながら「コップに挿したアンコリの花、過去・現在・未来」はなかった。

美術館の外へ出ると雨は本降りになっていた。

スカンディヤ外観 テーブルキャンドル スモーガスボード メイン料理

夕食は北欧料理のスカンディヤ。この店は、間接照明とテーブルキャンドルだけが照らす、ほの暗い雰囲気がいい。料理はスモーガスボード。前回食べたときよりもボリュームが多くて満腹になった。ニシンの酢漬け、スモークサーモン、ランプフィッシュのキャビア、メインのミートボールがとくにおいしかった。

他愛ないことからちょっと真面目な話まで、おしゃべりをしながら食事を楽しんだ。結婚してからは34年。その前に5年交際していたから、知り合ってから、もう40年も経とうとしている。学生時代に、吉祥寺から遠い横浜まで、よく来てもらった。スカンディヤの隣にあったポモドーロというレストランで何度か食事したことを思い出した。

二人とも首都圏の実家住まい。といっても横浜の南端と吉祥寺だったので、大学を卒業してからは会うのが大変だった。早く結婚したのは、週末に都心で会うより一緒に暮らすほうが楽だろうと考えたから。長い付き合いになった。

結婚してから子どもを授かるまで5年かかった。その分、二人の暮らしを楽しんだ。子どもたちが巣立った今の暮らしは、新鮮というよりは、昔に戻った感じ。

妻と過ごす時間は気持ちが安らぐ。私も妻にとってそうでありたい。

北欧工芸の木彫り 北欧工芸に飾られた内装

スカンディヤは料理もさることながら、内装も素晴らしい。どの壁も北欧工芸の木彫りで飾られている。階段下には船首を飾る女神の木彫りも置かれていた。伝統あるこういう店は、横浜の名所としていつまでも続いてほしい。

店を出ると土砂降り。汽車道を散歩してホテルまで帰る予定を取りやめたのはもちろん、地下鉄の駅まで帰るのも一苦労だった。びしょ濡れになった服を着替えたくて、バーに寄るのもやめにして部屋へ戻った。

ハンマーヘッドのクレーン 柳原良平の描いたハーバーのロゴ くるみっ子ファクトリーのロゴ キャラメルラテ

明けて月曜日。雨はまだ止んでいない。ゆっくり朝食を食べてから、チェックアウトした。営業職をしていた頃は、有給休暇を取った日でも、ひっきりなしに電話がかかってきた。もうそういうことはない。休みには存分に休める。当たり前のことがようやくふつうになった。

今回の旅。四つめの目的は横浜ハンマーヘッド。妻の好物の鎌倉のお菓子、くるみっ子の製造現場が見られる店舗、くるみっ子ファクトリーがあるので、連れて行きたかった。

くるみっ子以外にも、観光名所らしく生産工程を見せる店が多い。横浜銘菓、ありあけのハーバーの店では柳原良平のイラストがたくさん飾られていた。

月曜日で館内に人は少ない。ところが、くるみっ子ファクトリーの前だけは行列ができていた。店員が大きな声で種類ごとに残数を伝える。緊張しながら列が進むのを待つ。何とか買いたいものは買えたけど、週末は並んでも買えない人が多いのではないか。

せっかく来たので、キャラメルラテを飲みながらガラス張りの生産工程を眺めた。

シーバス シーバスから眺めたみなとみらい

雨は降り止まない。帰りはハンマーヘッドでシーバスに乗り、横浜駅東口へ。雨でかすむみなとみらいに別れを告げた。

スカンディヤのコーヒーカップ ランドマークタワー

おまけ。スカンディヤのコーヒーカップ。小さな家が並んでいてかわいい。ソーサーの裏を見ると"Ant"とある。いまはもうない横浜陶器の店。私たちの結婚式では引出物を何か横浜にゆかりのあるものしたくて、この店の置き時計を選んだ。不思議な巡り合わせを感じた。

もう一つ、おまけの写真。横浜美術館を出たあとに見上げたランドマークタワー。上層のホテルは改装中。

旅のあいだ、妻は何度も私の父を思い出すと言っていた。確かに、誕生日や金婚式をランドマークタワーの中華料理店で祝った。今回の旅は、新鮮でいて、同時に、とてもなつかしい気持ちになる旅でもあった。

40年前の高校時代。埋め立てられた更地に、建物の建築が次々と進むみなとみらいを毎日根岸線から見ていたことも思い出した。

my hometown


さくいん:横浜横浜美術館長谷川潔柳原良平鎌倉