土を掘る 烏兎の庭 第三部
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2008年2月


2/2/2008/SAT

記念日には、日付で記憶されるものと曜日で記憶されるものがある。

2月最初の金曜日は、私にとって曜日で記憶される記念日。そのなかでも1日が最初の金曜日にあたる年とそのつぎの年にめぐってくる金曜日の6日は、曜日と日付とあわせて忘れることができない

何か自分の人生を根底から変えてしまうような出来事が起きるのではないか。そんな予感がする。それは、もちろん、そういう出来事が実際に過去に、2月の最初の金曜日、それも1日と6日にあたる日にあったから。

でも、そんな出来事は毎年のように起きるわけではない。何かが起きる予感がして身構えたり、過去の出来事を隅々まで思い出そうとしてしまう精神状態は、記念日反応といってもいい。

『庭』を創り始めてから、2月最初の金曜日には休みをとり、思い出の場所を訪ねては、静かにもの思いにふけることを続けてきた。それができたのは、2月以外でもおだやかな気持ちでいられたから。

ところが、昨年から公私ともに多忙になり、休みをとることも、深く思い出に沈んだ時間をもつこともできなくなった。この一年は、ほとんど毎日5時過ぎに起床し、10時前には目を閉じる生活を続けている。昼間の異常な緊張感と得体の知れない不安は、長すぎるほどの睡眠でようやく鎮められている。


いまは、何も書く気がしない。これまでの2月第一金曜日に書いてきた文章を読み返してみても、何も書く気がしない。この文章を書いているのも、2月の1日でも2日でもない。

2月に文章を書くことは、かなりのエネルギーを消耗する。これまでも、2月の文章にやすやすと書けたものはない。日々の生活で消耗してしまう近ごろの生活では、読書や文章にまわす力がほとんど残らない。

そういう時もある。せめて、そんな時もあるということだけでも、書き残しておくことにする。

写真は、鉛色の冬空に浮かぶ太陽。


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