死に至ることもある危険なエコノミー症候群は適切な水分補給で防げる
エコノミークラス症候群は、適切な水分摂取で防ぐことができる。
飛行機から降りた途端に息苦しさを感じ、ひどいときには意識を失い、死に至ることもあります。
国際線のエコノミークラスの旅行者に発症者が多いことから名づけられた「エコノミークラス症候群」は、下肢静脈血栓症と肺塞栓症の合併症であす。
これは、太腿の奥にある静脈に血の固まり（深部静脈血栓）ができ、その固まりの一部が血流に乗って肺に達し、肺の血管を塞いでしまうというものです。
。この血栓が、足から脳や心臓に移動すると、脳卒中や心臓発作を誘発するおそれもある怖い病気です。サッカーの高原選手が、W杯日本代表の座を逃したことでも知られる病気です。エコノミークラス症候群は、命にかかわる危険な病気なのです。
この恐ろしい症状の原因はふたつあります。
「ひとつには長時間同じ姿勢で座っていると、血液が停滞し、足に血栓ができやすくなるということが挙げられます。
そしてもうひとつは、機内の乾燥で体の水分が失われ、脱水症状によって血液がドロドロになるということが挙げられます。機内の酸素濃度は地上の80％ 、0.8気圧で、これは宮土山の4～5合目と同じです。想像以上に過酷な環境なのです。
加えて、湿度はおよそ10％ 前後。これはサハラ砂漠以上の乾燥状態です。「こういった過酷な環境の中では、知らない間に呼吸器や皮膚から水分がどんどん蒸発していきます。
1時間に80cc失われるとして、12時間乗っていれば960cc、およそ1リットルの水分が体から失われる計算になります。運動で1リットルの汗をかくといったら相当な運動量です。
エコノミークラス症候群の予防法としては、足を動かしたり、歩き回ったりして定期的に体を動かすことのほかに、搭乗する前に、できるだけたくさんの水を飲み、搭乗中は1時間に80cc以上の水を摂ることが重要です。このとき、アルコールやコーヒーは、利尿作用によって逆に脱水症状を起こす危険性があるので、避けなければいけません。
また、運動では発汗によって水と塩分が失われますが、機内で失われているのは水分だけなので、塩分や糖分の入ったスポーツドリンクではなく、純粋な水を摂るのが最も体にいいと言えます。プレーンの真水がいいでしょう。
特に50歳以上の女性に、意識的にたくさん水分を摂ることを勧めています。「中高年の女性は、トイレに立ちたくないという理由や、尿失禁の問題から、旅行に行くと水を控える傾向が強い」からです。「そういう人は脱水症状になりやすく、エコノミークラス症候群にもなりやすいのです。『水分を摂ることは命を守ること』という意識をしっかり持って、飛行機に搭乗しましょう。
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