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今年見た映画。DVDも含む(時間無いし)。

旅芸人の記録
テオアンゲロプロスのDVD全集を買ったので以降はそれらの作品をレビュー。まずは初期の代表作。不穏な政情に翻弄される旅芸人一家を案内役に据え、近代ギリシャの激動の歴史をギリシャ神話になぞらえて描いた、4時間以上に渡る壮大な作品。史上最高の作品と称える映画評論家も少なからずいるのも頷ける、あまりにも素晴らしい作品。ギリシャの歴史やオマージュされたギリシャ神話を知らないとかなりわかりにくいが、長回しのワンカットの中で時代がシームレスに切り替わる独特の映像や詩情感のある演出によって4時間ずっと飽きずに見れる。そして、後で解説を読み、あらためてその含蓄の豊かさにおどろく。天才の仕事が漲っている。はっきり言って、映画と呼ぶにはもったいない。
1936年の日々
同じく初期の作品。これも政治色の強い、日本人にはなかなか理解しづらい作品だが、印象に残るシーンも多々ある。アンゲロプロスにしては強烈な日差しが全編を支配する異色な作品でもある。
狩人
政治の功罪をダイレクトに扱った前2作とは違い、過去の歴史の業を背負うブルジョアジー達を描く事で、決して風化し得ない歴史の重みや残酷さを生々しく描写した作品。現在のような幻想的な作風に変遷していく事が伺える。
ユリシーズの瞳
実は私が最初に見たアンゲロプロス作品がこれ。「最初のまなざし」を追ってギリシャから戦火のサラエボへ向かう映画監督の壮大な旅。最初に見たときはこのような難解な作品に慣れておらず、消化不良を起こしてしまったが、いくつかの他作品を見た現在に見直してみて、あらためてその素晴らしさに気付かされた。これ以上説明する言葉が見つからない。
こうのとり、たちずさんで
「国境」をテーマに据え、失踪した政治家とその妻、それを追うジャーナリスト達を描く。国境を挟んだ沈黙の結婚式、あまりにも美しく、幻想的なラストシーン。そういった印象的なシーンの多い作品。
シテール島への船出
革命の戦士だった老人が数十年ぶりに戻った故郷で味わう時代に取り残されたものの孤独、そして時代が変わっても揺るがなかった妻の愛。静謐に満たされるラストシーンは本当に感動的。

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