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今年見た映画。ビデオも含む(お金無いし)。

カンダハール
9.11以降世界の注目を集めた地名ですので説明は不要でしょう。この映画は、9.11以前にイラン人の映画監督モフセン マフマルバフによって作られた作品です。イラン映画というだけあって映像が美しく、乾いた土地ながら瑞々しさが漂う画面を作り出しています。展開も詩的なので、変に感動や同情を煽るようなあざとさが無く、却って現実世界での不幸を際立たせる結果となっています。でも私にとっては、NHKスペシャルにマフマルバフ自身が出演したときに、ぼろぼろ涙を流していた姿の方が印象深いです。ちなみに次回作もアフガニスタンの現実を描いた『アフガンアルファベット』です。公開を待ちましょう。
マルホランドドライブ
私の好きなデビッド リンチの新作です。この人の映画はあまりあらすじを説明しても意味が無い(するのが難しいとも言う)ので、直接感想を。もの凄く面白かったです。ほんとに。相変わらずわからない事だらけのまま映画は終わってしまうのですが、それでもやっぱり面白い。丁度心地良いトリップ感覚に身を任せる感じです。ただ、今作は以前までの作品に比べて割とわかりやすい内容でした。その分コアなリンチファンにはいまいちな受けだったようですが、私はほんとに面白い作品だと思いました。ちなみにわかりやすいとはいえ、リンチ映画未体験の人にはさっぱりだと思います。それでもリンチ映画としては初心者向けといえる作品なので、そんな人もこの作品から見はじめるのがいいのかもしれません。余談ですが、この映画が終わってクレジットが流れ去った後、画面にパスワードが表示されます。そのパスワードで公式ホームページにアクセスすると、この映画のヒントを見ることが出来ます。そこでやっとわかる事も結構あり、もう一度見たい気分になってしまいます。こういう、映画とWEBの連携というのももの凄く面白いですね。リンチ自身も最近はWEBコンテンツ作りにいそしんでいるようです。
千と千尋の神隠し
説明不要の大ヒットアニメです。ベルリンで最高賞もとりました。でも私の友人達には不評だったので期待しないで見たのですが、結構面白かった。というか、とても面白かったです。爆発する想像力を更に精巧な描写で画面に映し出すんだから、本当に凄いクリエイターだと思う。日本のアニメは世界で人気というけれど、その多くはジャパニメーションブランドに助けられている面が強いと思う。その中で、この宮崎駿は本当に世界で認められるべきクリエイターだと思う。ひょっとしたら“神様”手塚治虫の域に最初に到達した人かもしれない。
少林サッカー
いろんな意味で説明不要のバカ映画。ほぼ満員の映画館で見ました。最高に笑いました。観客は自ずと拍手してました。子供らは奇声を発して喜んでました。所々で指摘されているように、悪ふざけしすぎで下品な場面も多々ありますが、ここまでバカを徹底されると、もうどうでも良くなります。この映画はたぶん、一人で見ると相当寒いと思うので、出来るだけ大人数で見て、わいわいはしゃぐような見方をお勧めします。
クリクリのいた夏
ある自然豊かな沼地を舞台に、そこに暮らす貧しい人々のささやかな生活やその人間模様がほのぼのと描かれている作品です。クリクリというのは沼地の住人の娘の名前で、彼女が中心に据えられたポスターなんかを見ると、「ああ、また子供がかわいいだけで中身は凡庸な映画だなんだろな」という感じです。実際、ストーリー自体はありがちな感じで、全然大した事ないのですが、これがどうして、とてもいい感じの映画だったです。それぞれの登場人物の描写にとても愛情が込められていているらしく、一人一人に対していちいち親近感が沸いてきてしまい、いつのまにか彼らと同じ物語の中に入り込んだような気分になる映画でした。そして、見終わった後にはとても晴れやかな気分になれる映画でした。あんまり知られてないですが、あらゆる人にお勧めしたい作品です。
ダスト
マケドニア出身のミルチョ マンチェフスキー監督の「ビフォア ザ レイン」に次ぐ新作です。「ビフォア〜」がもの凄く良かったので、今作も期待して見に行きました。そして感想。またしてもが〜んと来るような素晴らしい作品でした。内容は、金に困った青年が老婆の住むアパートへ強盗に入るが、老婆の方もしたたかで、金のありかを教える代わりにある兄弟の昔話を聞いてほしいと言う。いらいらする青年ではあったが、次第に老婆の話す物語に引き込まれていき・・・、というストーリー。最初は普通の映画のテンポで話が進んでいくけど、後半にかけて次第に現実の世界と物語の世界とが混ぜんとなっていき、映画は映画の域を越えて歴史の流れそのものへと変貌を遂げてしまいます。こんな説明じゃ全く想像つかないかもしれませんが、この映画を見てみれば何を言っているのか即座に理解できるはずです。普通の映画と違ってやや難解な上に、かなり激しい戦闘シーンなども盛り込まれているので、とても一般受けするような映画ではありませんが、本当に凄い映画なので興味ある方は一度見てみたらいかがでしょうか。ここ数年に公開された作品の中ではかの「永遠と一日」に次ぐ大傑作だと思います。
英国職人アート・アニメーション特集
アートアニメーションと言っても殆どアードマンのクレイ(粘土)アニメーションの新作披露といった内容。上映作品は「ウォレスとグルミット」および「レックス ザ ラント」の新作短編を数編ずつ、そして最後にひとつ、アードマン以外の作品として「フラットワールド」という、紙を使用したストップモーションアニメが上映されてました。まずアードマン作品ですが、「ウォレス〜」は相変わらずほのぼのと楽しく、「レックス〜」はピリッとしたブラックジョークが効いていて、両者ともに従来からのファンを十分に楽しませてくれる作品でした。同時上映された「フラットワールド」はその名の通り、2次元の紙に描かれたぺらぺらのキャラクターが縦横無尽に動くというもの。「ウォレス〜」等に比べると娯楽性よりもアート性が際立つ作品でした。その分というか、アードマン作品ほどは楽しめなかったものの、非常に見ごたえのある作品だと思いました。

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