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今年見た映画。ビデオも含む(お金無いし)。

PARTY 7
今年初の映画は日本映画です。以前公開された『鮫肌男と桃尻女』の監督による新作です。ストーリーはというと、あってないようなものなので説明しません。とにかくやたら勢いのある映画で、ストレスがたまり気味で、なにやら犯罪でも犯してやろうかという気分の人には是非お勧めしたい作品です。前作の鮫桃とストーリー的な繋がりは無いようですが、キャラ設定などは鮫桃が伏線となっているようなので、先にそちらを見といた方が更に楽しめるようです(私はまだ見てません)。みんなそれとなくこちらを向いていて、話す人が順番にアップになって、モノクロームで見ても変わり映えしないという印象だった日本映画もだんだん進化してきているんだなあと思った。ハリウッド化しなければ、これからも面白い映画が次々と出てくるのでしょう。楽しみ楽しみ。
アードマン コレクション vol.1
アードマンと言われてもピンと来ないでしょうが、ウォレスとグルミットならご存知の方も多いはず。粘土細工をちょっとづつ動かしながら撮影して作られるアニメ(クレイメーションなんて呼ばれたりもします)の世界的なプロダクションであるアードマンの作品を一挙に上映するプログラムを見てきました。代表作であるウォレスとグルミットの他にも、かなり面白い短編作品が見れて非常に楽しかった。中でも一番気に入ったのがレックス ザ ラット。このシュールでブラックなひねくれアニメにはほんとはまります。粘土アニメなんてそんなに面白いのかと疑っていた私ですが、すっかり楽しんでしまいました。作品によっては粘土造詣の完成度が異常に高く、優れた芸術性を感じるものもあったし、粘土アニメであるというもの珍しさを無視しても十二分に楽しめる娯楽作品もあり、ほんとにほんとに楽しい作品集でした。
ジュリアン
「ガンモ」等で知られるハーモニー コリンの最近の作品。大体想像できる事だけど、かなりどぎついと言うか、あまり見たくないものを見せ付けられるようないや〜な感触の映画。出てくる人々が皆狂気じみていて、終始暗鬱な雰囲気に飲み込まれている。特にトレインスポッティングでも危ない奴を演じてたユエン ブレンナーがどうしようもなく不快な主人公を演じていて、もう本当に救いようの無い絶望感を感じさせてくれる。他人に勧めたいとは間違っても思わない作品だけど、頭の中には強烈な印象を刻み付けられてしまった。
キング イズ アライブ
私の好きなジェニファー ジェイソン リーの出演作と言うことで何も考えずに映画館へ足を運んだ。ストーリーはバスのガス欠によって砂漠のど真ん中に放り出された人々が極限状態の中暇潰しにシェイクスピアのリア王を演じるというもの。青い空に黄色い砂漠、開放感と閉塞感、群像模様と孤独感。これらの対比を強烈に演出していて印象深い。ただ肝心の極限状態とか人々のエゴとかはそれほど熾烈に描かれていないのでやや中途半端な感じも受けた。もっともっとどろどろに描いても良かったと思う。
夏至
「青いパパイヤの香り」のトラン アン ユン監督の新作。「パパイヤ」がかなり好きなので今作も期待して見に行った。相変わらず瑞々しく美しい映像に驚きます。蒸し暑いベトナムの風景を涼しげに映して、もうそれだけで幻想的な印象。ストーリーは捉えどころの無いタイプのものだったけど、特に気にもならない。なんだか良いもの見たなあと。「パパイヤ」同様今作でも料理をするシーンがあり、なんだかやたら魅惑的。この監督の映画はほんとに好きだ。
ピストルオペラ
鈴木清順監督の新作です。今年は旧作のまとまった回顧上映が行われ、清順イヤーという感じでしたが、その勢いに乗って新作が登場しました。私は回顧上映の方も見たいと思っていたのですが、なかなか都合がつかず逃してしまい、結局清順作品とは初対面。そのせいもあってかどうか、ものすごく驚かされることが多く新鮮な印象でした。一つ一つのシーンがそのままポスターにできるような映像美を持っており、ちょっと間違えば笑ってしまうくらい、過剰なほどに、ばちっと決まっている。そういう映像としての切れを前面に出しているせいか、ストーリー等はかなり唐突で、支離滅裂なところがあるけど、却って体験として記憶に刻み込む力がある。主演の江角マキコの演技はいまいちだったけど、映画は凄く楽しかった。ちなみに、音楽を担当しているのはダブ アーティストで元MUTE BEATのこだま和文。この人の乾いたリズムとトランペットの音色が限りなく映像にはまりまくっていてほんと素晴らしかった。まさに映像と音楽のシンクロニシティー。この音が無かったら映画の魅力も半減していただろうという程。更に更に、オープニングとエンディングのテーマを歌っているのがエゴラッピン・中納良恵!。特にオープニングで「サイコアナルシス」が流れた時には鳥肌が立った。このオープニングを体験できただけでも見に来てよかったなあ。
アメリ
待ちに待ったジャン ピエール ジュネの新作。前作が『エイリアン4』だったからジュネらしいジュネ作品としては『ロストチルドレン』以来。もう何年ぶりになるんだろう。但し今回今までと全く異なる点が2つ。一つ目は野外ロケが中心だということ。今までは全部スタジオ撮りだったんだそうです。その結果全体に何だか晴れやかな雰囲気になりました。二つ目は、マルク キャロと組んでいないという事。今まではジュネ&キャロという言われ方をしていた2人ですが、今回はピンで撮ったとの事です。このため、細部へのマニアックなつくりこみが緩くなって、あの独特のクセが薄くなりました。なので、ジュネ映画にしてはかなり一般受けしやすい作品です。ジュネファンにとってはちょっともの足りないけれど、今までジュネ作品を見た事がないと言う人にとってはエントリー作として最適と言えるでしょう。事実、シネマライズの観客動員数記録を塗り替えたって言うんだからびっくりです。さて、以前からのジュネファンの私の感想は、「これはこれですごく楽しかった」です。もっとクセを出してくれればと思う事もありますが、素直に見ていて楽しかったし、見終わった後の気分もとても晴れやかだった。そうかと思えばジュネファンが待ち望んでいたようなジュネらしさがオープニングから随所に現れているのも良かった。あらゆる人にお勧めします。でも、これでもまだくどいとか消化不良だとかついていけないだとかって言う人もいるらしい。信じ難い。そんな人は『デリカテッセン』なんかまず見れないだろうね。そういう人の住んでる世界って本当にもの凄く狭い世界なんだろな。かわいそ。
青い夢の女
こちらも待ちに待ってたジャン ジャック ベネックスの新作。こちらは前作『IP5』以来8年ぶり。ジャン ユーグ アングラード演じる精神分析医がマゾヒストの女の告白を聞いているうちに居眠りをしてしまい、その女の首を締めて殺す夢を見る。診察時間の終了と共に目を覚ますと現実世界でも女が息絶えていた。という事件から夢と現実の入り混じった精神の迷宮に迷い込んでいくというストーリー。今回は妖しい内容なので映画館に見に行くのにちょっと抵抗があったけど、やっぱり見てよかった。なにより映像が素晴らしい。「ベネックスブルー」とも呼ばれる全体に青みがかった画面に様々な色がちりばめられて、本当に美しい。更に、今までにまして「影」の使い方がレベルアップしていた。画面の随所に漆黒の「影」が流し込まれ、非現実的で、危険な雰囲気を醸しだしている。この「影」の使い方に関してはデビッド リンチにはかなわないけれど、本当に素晴らしかった。今作は『ベティーブルー』等とはガラリと雰囲気が変わったからあんまり評価されないかもしれないけど、かなり鮮烈に印象に残る映画でした。デビッド リンチの映画と雰囲気が似ているのでその手の映画が好きな方にはお勧めです。かなり脳みそをかき回してくれます。

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