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今年見た映画。ビデオも含む(お金無いし)。

地雷を踏んだらサヨウナラ
チームオクヤマの作品だと知ったのは劇場に行った時でした。その時点で期待は一気に落ちたのであまり極端にがっかりすることは無かったけど、相変わらず鼻につく演出が嫌だった。これにも無理矢理羽田美智子が出てた。ただ、アンコールワットは幻想的に描かれて良かったし、主演の浅野忠信も良かった。でもそれだけだった。オクヤマ作品はこれからも発展しそうにありませんね。もう見ないでしょう。
運動靴と赤い金魚
マジット マジディ監督のイラン映画。イラン映画は前から書いているように、いつも新鮮でいい。この映画も素晴らしく良かった。ストーリーは割とありがちなパターンだけど、イラン映画になると、こうも印象的になるかと思う。出てくる人々がみんないい表情をしている。貧富の差が大きかったり、社会的な背景は決して恵まれていないけれど、そんなことは微塵も感じさせずに、返って人間らしい豊かな表情だ。イラン映画はこれで3本目だが、全部良かった。ラストは事の顛末をほとんど描かず、その後のシーンを暗示するだけ。このラストシーンはほんとに素晴らしい。イラン映画は今全世界で最良のセンスを持っているんじゃないだろうか。
僕のバラ色の人生
女装趣味のある少年が、その趣味が原因で騒動を起こしてしまうという話。少年の想像の世界のシーンが随所に挿入されているが、これが恥ずかしいくらい、ハートとバラが散りばめられた、少女漫画風の耽美世界。色使いもやたらポップ。但し、この映画がかわいい男の子のコミカルな物語だと思ったら大間違い。家族がヒステリーになったり、周囲の住人から疎外されたり、クラスメイトにいじめられたりと、後半はかなり深刻。結構現実の厳しさを考えさせられる。私としては女装したくらいどうって事ないと思うけどな。なにがそんなに困るのか理解できない。
風が吹くまま
「桜桃の味」も実に良かったアッバス キアロスタミ監督の新作。その土地に古くから伝わる珍しい葬式を取材するためにやってきた男が、ある老婆の死を待つ内に思わぬ人助けをするというストーリー。面白いのは、主な登場人物以外はほとんどカメラに映らず、声だけが聞こえる。それでもそれらの人々の顔や表情から、生活感までもが伝わってくるようで不思議。イラン映画らしく、事件らしい事件は起こる気配もなく、いたって平穏。風景を映すだけのシーンがそこにある感情を映すようで、見終わって時間が経つ程に印象が鮮明になってくる。静かで繊細な映画です。
スリーピー ホロウ
ティム バートンとジョニー デップが組んだゴシックホラー。ジョニー デップは相変わらずいい感じだった。私の好きなコッポラが関わっているらしく、どろどろした雰囲気が、ティム バートンのポップさと絡んで完成された世界観が広がっている。ただちょっと展開が速すぎて、その雰囲気を味わう余裕はないかも。クリスティーナ リッチは、太ったけど却って良い女優になりましたね。
ストレイト ストーリー
私の好きなデビッド リンチの新作。でも、攻撃的で不条理な今までとは打って変わって非常に穏やかな映画。とうとう年取って丸くなったかと思いきや、全然甘い。穏やかなのにワンシーンワンシーンの瞬間が恐ろしく鋭い印象を刻み込む。この監督の映像にはいつも驚かされる。何も特徴の無い平凡な景色をアラーキーの写真のように息の詰まるような緊張感を持ったフレームに落とし込む技は、他の監督には出来ないのではないだろうか。画面がひしと締まり、明るい所よりも漆黒の暗闇がざわめき蠢くような。でも、本当にこの監督の恐ろしい所は、多分そんなことは全く意識せずに、ごく自然な行動としてやってしまうところだろう。
HANA-BI
北野作品を見るのは実は初めて。日本映画でこんな映画が見られるなんてと驚いた。静かで憂鬱なシーンと、血生臭い暴力シーンの対比が際立っており、イメージがどんどん膨らむ。余計な説明がほとんど無いのも気に入った。役者では、岸本加代子が本当に良かった。感心しない点もある。せっかくの抑えた演出に対して、久石譲の音楽が邪魔になっている。観客より先に音楽が感激してしまうのはやはり良くない。ラストシーンは、結構平凡で残念だった。
イクジステンズ
グロさが売りのデヴィット クローネンバーグの作品。ジェニファー ジェイソン リーが出ているので見ないわけにはいかなかった。共演者たちもかなり良かった。ジュード ロウ、クリストファー エクルストン、サラ ポーリー等々。ストーリーも非常に楽しめた。ゲームと現実の境界がどんどん曖昧に交差していく様子は圧巻だった。映画館を出てから歩く街並みに現実感が薄れて、妙な気分だった。
太陽は僕の瞳
イラン映画。マジット マジディの新作。前作の「運動靴と赤い金魚」はとても幸福な映画だったけど、これは違った。ストーリーについては説明できないけど、見終わってすごく複雑な気分になった。登場人物それぞれに楽しい一時と重い苦悩があって、その感情が複雑に絡み合って一つの結末に収束していく様子を一本のフィルムに収めてしまった感じ。この映画は見る人によってぜんぜん違う印象を与えると思う。ほんとに、すごい映画だと思う。
スモークシグナルズ
失踪した父親の訃報を聞いて旅立った二人のネイティブアメリカンの青年のロードムービー。インディアンの悲劇を描いた映画はダンス ウィズ ウルブスとか、ラスト オブ モヒカンとかがあるけど、そういうタイプではなく、純粋に父親と息子の葛藤を描いた映画。デッドマンに出てた体格のいいおっさん(名前は忘れた)が出ている。父親が失踪するまでの謎が明らかにされ、成長して帰ってきた二人の逞しさに感動します。そしてラストシーンでの問いかけにはかなり心を揺さぶられた。まあ、見てみてください。
季節の中で
ベトナムが舞台のオムニバス形式映画。何よりも映像が瑞々しく、青いパパイヤの香りを思い出すよう。登場人物の中で唯一アメリカ人のハーベイ カイテルがやや浮き気味だったけど、オムニバスながら、それぞれの生活が交差して、纏まっている。演出が抑えているので穏やかで、清々しい、気持ちのいい映画となっております。ただ、シクロ乗りのおっさんがやや変態入ってます。
あの子を探して
何気にヴェネチア獲った中国映画。殆ど前知識を持たずに見に行ったけど、思いの外良くて驚いた。辺境の村で代理教師に就いた少女が、出稼ぎに居なくなった生徒を探しに街に出る話。出てる人は殆ど素人らしいけど、頑固なとこやちょっとわがままなところなどもそのままで、飾りが無い。ストーリーも割と地味だし。それなのにとても幸福感の湧く良い映画だった。あの映画、一体どこからどこまでがフィクションで、どこからどこまでが本当の話なのかがいまいちよくわからなかった。でも、ほんと映画は良かったです。
リフ ラフ
ケン ローチ監督作。労働者階級を描いた群像劇。建築工事現場で虐げられている男たち。他の町から来た前科者の男。歌手としての成功を夢見る女。希望もあり、絶望もあり、全てが相俟って一つの出来事に収束する。でもそれで終わりではなくてまだまだ貧困や差別に喘ぐ日々が延々と続いていくことを示唆している。
レイニング ストーンズ
これもケン ローチ監督作。娘の聖餐式のために大金を稼ごうと奮闘する頑固な男。その男が辿る破滅への道と、意外な結末。貧しさや悲惨さを描いて重苦しい映画だが、ケンローチらしくユーモアが散りばめられて、鑑賞後は意外なほど清々しかったりもする。

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