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宝塚こども狂言教室レポート
「善竹兄弟、山本泰太郎・東西若手狂言方インタビュー〜善竹兄弟狂言会から」

「善竹兄弟狂言会3」 2005年4月26日/大阪能楽会館

 大蔵流狂言方の若手、神戸の善竹隆司さんと東京の山本泰太郎さんは、このほど大阪で開かれた「善竹兄弟会」で初共演を果たした。同じ流儀ながら山本郎次郎家の泰太郎さんは武骨な様式性、善竹忠一郎家の隆司さんは写実的な色合いを、それぞれ醸す。交流する機会が少ない東西の狂言について善竹隆司・隆平兄弟と、泰太郎さんに聞いた。(敬称略)

狂言「入間川」― 選んだ曲は「入間川」
 隆司 この曲は、関東・入間川を舞台に、大名と、入間に住む某との「逆言葉」をめぐる物語。関東の言葉がテーマの曲だけに、入間の某を東京の泰太郎さん、大名を私で、ぜひ、やってみたかった。
 隆平 善竹の狂言に比べ、山本家は、かたいせりふ回し。舞台で、うまくかみ合うのか。気になって仕方がなかった。

― 山本家と関西の狂言方の共演は珍しい
 泰太郎 実は京都の茂山千五郎家と経験があったので、不安はなかった。

― 終わってみれば
 隆平 不思議と違和感はなく、「同じ流儀だ」と改めて関心した。
 隆司 せりふ回しの違いが、曲の内容とぴたりとはまり、客席の反応も上々。
 泰太郎 しかし、関西では、大阪のある会で、笑うところなのに客席は静まりかえったというつらい思い出がある。

― 感情移入を抑えた山本家の芸は関西には難解?
 隆平 独特の抑揚をもつせりふだが、はっきりと力強く、分かりやすいはず。
 隆司 山本家の狂言に慣れていない。関西の柔らかい狂言になじんだ観客は戸惑ってしまうのでは。

― 東京の観客は
 泰太郎 様式性が強くため、好き嫌いははっきりする。近年、ブームで笑いを求め狂言を観にくる人が多く、「狂言ではない」と評されることもある。客席にあわせるのは簡単だが、山本家の芸が崩れてしまう。

― 山本家の狂言とは
  泰太郎  能と狂言は同じという意識が強い。舞台も、能との距離が極めて近い。能楽は、人間を題材に、能は悲劇、狂言は愚かさを、それぞれ描く。当主の東次郎は「能と狂言は、氷とお湯。違っているようでも、同じ水の変化」と、よくいう。

― 善竹家は、写実で知られた人間国宝善竹弥五郎の直系
 隆司 父に教えられた型通りに演じているだけ。特別に意識していない。

― 型の世界ながら、各家に個性がある
 隆司 だから狂言は面白い。同じ流儀でも、それぞれに演出やせりふを工夫してきた。今後も、いろいろな狂言を紹介し、関西の観客の目を成熟させたい。
 泰太郎  とにかく関西の人に山本家の狂言を観てほしい。事前の知識はいらない。狂言は、普遍的な人間の姿を描いているのだから。

やまもと・やすたろう 1971年生。東京を拠点とする4世山本東次郎の実弟則直の長男。東次郎と父に師事。1976年10月に初舞台。能楽協会会員。

*このインタビューはH.K氏が行われたもので、この度、ご好意により寄せていただいたものを掲載させていただきました。転載を禁じます。
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