三菱自動車B8
三菱B8系は、MR400系の高出力バージョンと位置づけられるV6タイプ予燃焼室式エンジンを搭載したグループで、1967年に登場、MR400系とともに1978年まで生産されました。車体はMR400系と共通ですが、エンジンが小型化されたため、車内のデッドスペースが少なくなり、外観ではエンジン通気孔が小さくなっています。いすゞBU_KPや日野RCと同様に、路線バスだけでなく、初期には観光バスや長距離バスとして使用された例も多く見られます。
特に1968年に追加された230PSのB806は貸切バスを念頭に開発された型式ですが、車型がB8系を基本にしているため、ここでまとめて記載します。
三菱自動車B8 1967 − 1978
三菱B8 製造時期による分類
三菱B8 前期(1967〜71)
福島交通 三菱B805L(1970年式)
撮影:板橋不二男様(郡山営業所 1974頃)
1969年に登場したB8系の最初のグループ。当初3種類の長さ(K,L,M)が設定されましたが、すぐに短尺のJが加わりました。
B800はリーフサス、B805はエアサスです。1968年には、更に高出力化した観光バス用のエアサス車B806が登場しています。
三菱B8 後期(1971〜78)
弘南バス 三菱B805L(1975年式)
撮影:高崎営業所(1986.12.26)
1971年にマイナーチェンジが行われ、フロントオーバーハングが延長されました。
各サイズの全長も微修正されています。M尺はホイールベースも延長されてNに変わりました。
三菱B8系 長さによる分類
羽後交通 三菱B800J(1972年式)
撮影:田沢湖畔(1985.8.6)
B800J(1968-1978)
B800Jは1968年に追加された短尺車で、全長10,260mm、ホイールベース4,900mmです。この型式は対応するのはMR410です。
1971年にフロントオーバーハングの延長などを含むマイナーチェンジを受けています。
側面の窓配置としては、小さめの窓が2枚(写真の車両だと前から2枚目と3枚目)あるあたりが特徴です。
自家用 三菱B800K
撮影:黒部市(2005.4.2)
B800K(1967-1978)
B800Kは1967年にこの系列が発売開始されたときに用意された標準尺車で、全長10,560mm、ホイールベース5,200mmです。この型式は対応する長さのMRはありません。
1971年にフロントオーバーハングの延長などを含むマイナーチェンジを受けています。
側面の窓配置としては、小さめの窓が1枚(写真の車両だと前から1枚目)あるあたりが特徴です。
諏訪自動車 三菱B800L(1972年式)
撮影:諏訪市(1977.7.23)
B800L(1967-1978)
B800Lは1967年にこの系列が発売開始されたときに用意された長尺車で、全長10,585mm、ホイールベース5,400mmです。MR470とほぼ同じサイズです。
1971年にフロントオーバーハングの延長などを含むマイナーチェンジを受けています。
側面の窓配置としては、大きめの窓が1枚(写真の車両だと前から1枚目)あるあたりが特徴です。
京王帝都電鉄 三菱B800M(1970年式)
撮影:聖蹟桜ヶ丘駅(1981.10.10)
B800M(1967-1971)
B800Mは1967年にこの系列が発売開始されたときに用意された長尺車で、全長11,205mm、ホイールベース5,650mmです。MR420とほぼ同じサイズです。
1971年にフロントオーバーハングの延長などを含むマイナーチェンジでB800Nに変わっています。
京王帝都電鉄 三菱B800N(1972年式)
撮影:府中営業所(1981.10.10)
B800N(1971-1978)
B800Nは1971年にB800Mを引き継いだ長尺車で、全長11,240mm、ホイールベース5,700mmです。路線系のMR450、観光系のB905Nと同じサイズです。
三菱B8系 後面スタイル
富士重工製ボディ(初期)
千曲自動車 三菱B806N
撮影:ヒツジさん様(真田町 2004.4.3)
初期のB8系の後面のエンジン通気孔は、MRと同様に、大きなものが並んでいます。右隅にも通気孔が配置されているのが特徴です。
写真は、富士重工製ボディの一例です。
三菱ボディ
コトデンバス 三菱B806L(1975年)
撮影:OKMR様
三菱ボディの後面です。
やはり右隅に通気孔があるのはB8系の特徴のようです。
呉羽ボディ
自家用 三菱B805N
撮影:上士幌町(2016.6.12)
呉羽ボディの後面です。
右隅に通気孔がありますが、縦長で丸みがあります。
三菱B8系 特殊な型式
コトデンバス 三菱B820J(1971年式)
撮影:OKMR様(1986.6)
コトデンバス 三菱B820J(1971年式)
撮影:OKMR様(1986.6)
1969年に超低床試作車のB820Jが発表されました。これは、都市型ワンマンカーの低床化をにらんで試作されたもので、エンジンをリアの右コーナーに搭載するなどで床を下げたもの。前後ドア車のみが設定されています。後ろドアのステップはワンステップになっているなど、この時期の車両としては画期的です。
エンジンはMRと同じ6DB1型(165ps)で、型式はともかくとして実質的にはMR系列だと考えていいでしょう。
1971年に商品化されましたが、大阪市交通局、高松バスなど一部への導入にとどまっています。