Ω.おちゃらけのスキタイ文化異聞
[]
(Laugh and strange topic about Skythai culture)

-- 2005.06.23 エルニーニョ深沢(ElNino Fukazawa)
2015.06.23 改訂

 ■討論内容と投稿者
 スキタイ(又はスキュタイ)(※1~※1-1)は




投稿者▼
  [1]:私
  [2]:弟子(=T-SEX氏)

 ■独言・その1...(*_-)

  ◆◆◆アマゾン族の女王ペンテシレイア - ギリシャ神話
 フムフム。
 先ずギリシャ神話を見て行くゾ。アマゾン族の女王ペンテシレイア(※3)についてはギリシャ神話に載って居るのじゃ。即ち「アレスの娘で、アマゾンの女王。ヘクトルがアキレウスにに殺されてのち、彼女は友軍の分遺隊を率いてトロイアに向かい、ギリシア勢を猛烈に攻撃したので、もう一息で勝利をふたたびトロイア側にもたらしかけたほどだった。だが最後にアキレウスがペンテシレイアを探し出した。彼らははげしい一騎打を演じた。しかしアキレウスはこの女戦士の美しさにたいへん心を奪われたためついほこ先がが鈍り、いつものようにあざやかな手際を見せることができなかったという。...<中略>...最後にアキレウスは本来の姿にもどり、ペンテシレイアを殺した。」という訳じゃ(△1のp247)。ここでアキレウス「すべてのギリシアの戦士のなかで最大の勇士。」と在る(△1のp13)。ワシが言いたいのは、アマゾンという女戦士の部族は神話に成っている程古くから在る、という事じゃ。この事を押さえて置いた上で次に進もうと思うゾ。

  ◆◆◆ヘロドトスの記述
 一方、「歴史の父」と呼ばれたヘロドトス(※11)は『歴史』に於いてアマゾン族(※3)の事を次の様に書いて居るのじゃ。それに拠るとサウロマタイ人については次のような言い伝えがある。ギリシア人がアマゾン族と戦ったとき -アマゾンのことをスキュティア語ではオイオルバタといい、ギリシア語に訳せば「男殺し」という意味の言葉である。スキュティア語では男をオイオルといい、バタは殺すという意味だからである- 、ギリシア人はテルモドン河畔の戦闘で勝利をおさめ、捕えることのできたアマゾンを3隻の船に乗せて引き上げたという。ところがアマゾンたちは海上で男たちに襲いかかり皆殺してしまった。しかし彼女らは船を知らず、船を使うことも帆や橈(かじ)を操ることもできぬため、男たちを殺してからは波浪のまにまに漂流した。そしてマイオティス湖畔のクレムノイに漂着したのである。クレムノイは自由なスキュタイ人の領土内にある。アマゾンたちはここで船を下り、人家のある方へ向った。はじめて出会ったのが馬の群で、これを奪いそれからは騎馬でスキュタイ人の持物の掠奪を始めた。」と在るのじゃ(△2のp64)。ここでスキュティアとかスキュタイとはスキタイの事じゃ、ギリシャ語では「キ」→「キュ」に成るのだよ。
 ここでサウロマタイ人とは黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方の人々の事じゃ、『歴史』に地図が載って居る(△2-1のp462~463)。又、マイオティス湖は黒海の北に在るアゾフ海じゃ。因みにコーカサスと言えば、プロメテウスがギリシャ神話で天上の火を人間に与えてゼウスの怒りを買い、コーカサス山に鎖で繋がれたという所じゃ(△1のp212~213)。スクリャービンの『交響曲第5番「プロメテウス」』という曲を貴方(貴女)は御存知かのう、ムッフッフ!!
 『歴史』は更に続き、「スキュタイ人には事の次第を理解することができなかった。」と在るのじゃ(△2のp65)。



    {この「独言・その1」は05年6月23日に書き始め、05年7月14日に最終更新}

 ■独言・その2...(*_-)

  ◆◆◆ヒポクラテス
 ヒポクラテス(※11-1)が著した『古い医術について』(△12)という書物が在る。この中の「空気、水、場所について」(△12のp7~37)という小論には大変面白い事が書いて在るのじゃ。即ち「ところでヨーロッパでは、あるスキュティア族(=スキタイ人)がマイオーティス湖(=アゾフ海)の周辺に住み、他の諸種族と相異している。彼らはサウロマタイ族と呼ばれる。これらの者の女子は処女の間は乗馬し、射弓し、馬上から槍を投げ、敵兵と戦闘する。そして3人の敵をたおすまでは処女を守り、習俗の定める儀式をすませるまでは結婚生活に入らない。夫を得た者は、全部族の出征のために必要が生じないかぎりは乗馬を中止している。右の乳房はもっていない。母親が、まだ赤ん坊の時に、この目的で造られた青銅製の道具を右乳にあてがって焼灼するからである。そのためにその成長が妨げられて、右肩と右腕にすべての力と体積が譲り渡されるのである。」と在るのじゃ(△12のp32)。ヒポクラテスがサウロマタイ族と呼んでる部族は、「独言・その1」でヘロドトスが語ったアマゾン族の習俗に他為らないのじゃ。アマゾン族の【脚注】※3(広辞苑)に「元ギリシャ語で「乳無し」の意。戦闘と狩りを好み、弓を引くのに邪魔な右の乳房を切除する慣わしだった」と在るのと見事に一致するじゃろう。つまり
    アマゾン族 = サウロマタイ族
という事じゃ。
 ところでヘロドトス(※11)とヒポクラテス(※11-1)は前5世紀の殆ど同時代を生きているゾ(←ヘロドトスが20年位早く生まれて居る)、これも何かの縁じゃろう。









 この様な「文化の地下水脈」に光を当てることは、▼当サイトの重要なコンセプト▼なのじゃ。
  当サイトのコンセプトについて(The Concept of this site)
    {この「独言・その2」の後半は2014年10月10日に追加、2015年6月23日に最終更新}

 ■独言・その3...(*_-)

  ◆◆◆
 フムフム。





    {この「独言・その3」は2014年2月5日に追加、2014年2月22日に最終更新}

ΩΩ 以上 ΩΩ

【脚注】
※1:スキタイ/スキュタイ/スキュティア(Skythai, Skythie)は、前6世紀から前3世紀迄、黒海北岸の草原地帯に強大な遊牧国家を建設したイラン系の遊牧民族武器車馬具を発達させ、動物意匠を愛好した。その文化や美術はユーラシア内陸地帯に広く伝わり、ギリシャ(ヘロドトスが「歴史」に記録)/インド/中国、取り分け匈奴に大きな影響を与えた。
※1-1:スキト・シベリア文化(―ぶんか、Skyt-Siberia culture)とは、BC6世紀、南ロシアの草原地帯に建設されたスキタイ王国に起源を持ち、北方ユーラシア一帯に広がった文化の総称。武器馬具動物意匠に特徴が有り、特にヤギ/羊/シカ/馬や、噛み合う動物の意匠は「スキト・シベリア動物意匠」と呼ばれる。
※1-2:匈奴(きょうど、フン、フンヌ)は、前3世紀から後5世紀に亘って中国を脅かした北方の遊牧民族。首長を単于(ぜんう)と称し、冒頓単于(ぼくとつぜんう)(B.C.209~174)以後2代が全盛期。武帝の時代以後、漢の圧迫を受けて東西に分裂、後漢の時、更に南北に分裂。南匈奴は4世紀に(前趙)を建国。種族についてはモンゴル説とトルコ説とが在り、フンも同族と言われる。→フン。
※1-3:フン(Huns)は、カスピ海の北・東方に住んでいた北アジアの遊牧民族4世紀中頃から西方へ移動を始め、375年ドン川を渡って東ゴート、次いで西ゴートを圧迫、所謂ゲルマン民族大移動の原因を成した。5世紀前半アッティラの時が最盛期で、ライン川/ドナウ川以北に大帝国を形成したが、451年西ローマとゲルマン連合軍に敗れ、アッティラが死ぬに及んで崩壊した。匈奴と同族と見做す説も在るが不明。→匈奴。<出典:「学研新世紀ビジュアル百科辞典」>


※2:遊牧民族(ゆうぼくみんぞく、nomadic tribe)は、ウシヒツジヤギヤクなどの家畜を移動させ、遊牧し乍ら季節的/周期的に移動する民族。農耕生活を営む定着民族とは全く異なる文化圏を形成。その住地は農耕の営めない中央アジアチベット高原イランアラビアなどの草原/乾燥/半砂漠地帯。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※2-1:騎馬民族(きばみんぞく、equestrian people)とは、中央アジアなどに住み、馬の機動性を利用して遊牧と軍事力を発展させ対外進出を行なった遊牧民族。西方のスキタイ/フン、中央の烏孫(うそん)、東方の匈奴(きょうど)/烏桓(うがん)/鮮卑/突厥(とっけつ)/ウイグル/モンゴルなど。夫余(ふよ)/高句麗/渤海/女真などを加えることも有る。


※3:アマゾン(Amazon)/アマゾン族(Amazones)とは、(元ギリシャ語で「乳無し」の意。戦闘と狩りを好み、弓を引くのに邪魔な右の乳房を切除する慣わしだった)[1].ギリシア神話に出てくる女武者から成る部族。小アジア北東部に住み、ペンテシレイアなどの女王に率いられて戦った。
 [2].転じて、女丈夫女傑勇婦の意。




※11:ヘロドトス(Herodotos)は、前5世紀ギリシャの歴史家(B.C.485?~B.C.425?)。小アジアのハリカルナッソスの生まれ。エジプト/メソポタミアなどを旅行し、見聞を広めた。著書「歴史」ペルシャ戦争を中心に東方諸国の歴史/伝説、アテナイやスパルタなどの歴史を叙述、ヨーロッパ最初の史書。「歴史の父」と呼ばれる。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※11-1:ヒポクラテス(Hippokrates)は、古代ギリシアの医師(B.C.460~B.C.375)。コス島の人。病人についての観察や経験を重んじ、当時の医術を集大成、「医学の祖」或いは「医術の父」と称される。→ヒポクラテスの誓い。
※11-2:ヒポクラテスの誓い(―のちかい)とは、ヒポクラテスの属したコス派の医師集団に由来すると言われる医師の職業倫理を述べた誓文。古今を通じて医師のモラルの最高の指針とされる。






    (以上、出典は主に広辞苑です)

【参考文献】
△1:『ギリシア神話小事典』(バーナード・エヴスリン著、小林稔訳、教養文庫)。




△2:『歴史(中)』(ヘロドトス著、松平千秋訳、岩波文庫)。
△2-1:『歴史(上)』(ヘロドトス著、松平千秋訳、岩波文庫)。



△5:『【詳解】世界史用語事典』(山本洋幸・中村哲郎著、三省堂編修所編、三省堂)。





△10:『旧約聖書(1955年改訳版)』(日本聖書協会編・発行)。
△10-1:『新約聖書(1954年改訳版)』(日本聖書協会編・発行)。





△12:『古い医術について』(ヒポクラテス著、小川政恭訳、岩波文庫)。


△15:『男が女になる病気 医学の人類学的構造についての30の断片』(植島啓司著、福武文庫)。





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