― setsugetsuka ―

『 雪月花 』




『 雪 』

雪が、降っていた。
ふわふわと、まるで、真綿のような雪が。
触れればつめたく、しかし眺めれば心あたたかく。
微笑んだ泉水は、鳥の羽音を聞いて天を振り仰ぐ。
まるで、雪の形作ったような、真白の梟。
赤い実をつけた南天の枝が、ぱさりと雪を落として。
その人の訪れに、ふわりと浮き立った胸に。
あたたかな雪が、やさしく、舞い降りた。




『 月 』

月は、いと高き天より、皆を見下ろしている。
人の子も、そうでないものも。
等しく、やさしく、照らしてくれる。
その光に手を伸べても、触れることは叶わないけれど。
ただ、その眼差しだけは、確かに。
醜い正体を暴くことなく。
さりとて、目をそらすこともなく。
喜びも、苦しみも。
だた、ずっと。
見守っている。


『 花 』

花の降る、春の空。
永泉は、それを見上げ、微笑んだ。
幾重にも、かさなる花を、日の光がすり抜けて。
ひらひらと、永泉を包む。
「泰明殿、花が・・・」
振り返った永泉の、花のような笑顔。
泰明の胸にも、一輪。
ふわりと、花ひらく。







上のステキSSは 【Lunatic Blue】の風緒いくり殿からいただきましたvv
短い文章で シリーズそれぞれの玄武の雰囲気を書き表す筆に、
遥かシリーズと玄武への深く濃い洞察力と愛を感じます…vv
まさか 雪・月・花すべてにSSを書いていただけるとは夢にも思わなかったので、
とても嬉しいです** いくり殿、本当にどうもありがとうvv

↓いくり殿の萌え満載サイトはこちらからどうぞ↓
泰明×永泉、ヒノエ×敦盛の、湿度ある
ラブラブなお話が拝読できちゃいますvv





さて、こちらの絵は2005年2月から5月までの長きにわたってフリー配布させていただきました。
お持ち帰りくださった方々には、心から感謝しております。どうもありがとうございました**

この絵を描いていて、改めて遥かシリーズの面白さと萌えを発見できたような気がいたします。
とくに玄武は、運命だとか魂だとか 幻想的なテーマが似合うキャラかなと思っていたので、
せっかくの連作だし…と、そのような雰囲気が出し切れればと念じながら描きました。
構図としては、これからまた様々な妄想をすることになるであろう3玄武を中心に、
1・2の玄武を ほぼ対照的に配しました。また、どのシリーズの運命も魂も、
森羅万象 時間が等しく流れている感じを表現してみたかったので、
それぞれの絵に春夏秋冬を織り交ぜてみました。
玄武'Sとともに、静かに流れていく時間を感じていただけたら幸ですv

これからも変わらず 玄武ファンとして、また趣の違った絵を描いていけたらな〜と思っていますvv