HALF AND HALF JOURNAL

                                                     

 

 

無 意味 な

破 片

 


無意味な破片

 

 

 

 

           

Fragments

HHJ

             inutiles

 

 

 

 

 

。。。

 

〈ホワイト・クリスマス〉は大人の歌だよ、という感じ[A]

☆ ☆         Updated 2009.12.22

 

大館橋

アロマ―文明開化の主役有栖川宮と聞くと、自然にアリスという女性の名前がひびいてくるけど、どう思う?

特派員―そうだね。背景を見ても、自然なリンクだね。〈無意味な破片〉で話し合ったように有栖川宮家の起源はキリシタン迫害と微妙な関係がある。

でも、有栖川という名前の由来については説明が見つからない。

ナモネ氏―アロマの女らしい直感が正しいと思うよ。

アロマ―そのことで、京都に同じイメージを持ってる女たちがいるのよ。これを見て。

特派員―〈Googleで有栖川宮をサーチ。約98,000件。1ページから200件までの記事の内容---有栖川宮家、記念公園関連、熾仁親王、ニセ有栖川宮事件。

そのあとに平安女学院HPの明治館と有栖館。〉

アロマ―HHJのように有栖川宮の実像に迫る記事はないけれど、それ、びっくりでしょう?

特派員―優雅なコンポジションだ。こんなすごい建物があったなんて。アリス館というのは、気持がよく出てる。

半分半分放送局長―このネーミングはまるで下着姿の女だな。

ナモネ氏―しかし、見たのは京都での自由の勝利だ。大館まで情報が伝わってこないんだから、あきれるよ。

アロマ―有栖館をサーチすると、こんな記事が引っかかった。京都新聞2009329日。〈旧京都地裁所長宿舎「有栖館」を公開 平安女学院 旧有栖川宮邸を移築〉

特派員―去年の8月近畿財務局から7億5000万円で購入した。なるほど。京都御苑にあった…しかし、いつ建築したか、書いてない。不明なんだろうね。

ちょっと地図で烏丸通り丸太町を出して。

アロマ―京都の真ん中、御所の西、烏丸通りの向かい側ね。

放送局長―平安女学院の、これはとなりにあるね。ふうん。

アロマ―女学院には聖アグネス教会が建ってる!!!

放送局長―南蛮寺の北だ。

ナモネ氏―平安女学院とは、ミッション・スクールなのか?

アロマ―1875(明治8)、アメリカ聖公会から派遣されたアメリカ人教師エレン・ガードルード・エディが大阪で始めたのがエディ女学院。1895年、現在地に移転して平安女学院と改名する。聖アグネス教会は1898年にアメリカ人建設家J.M.ガーディナーの設計で建てられた1。京都御所のすぐとなりにミッション・スクールを建てるのは、文明開化の時代でも明治政府の協力がなければうまく進まないんじゃないか、と考えるけれど?

放送局長―うむ、そうだな。明治8年と言えば、どんな年だった?

ナモネ氏―樺太千島交換条約が成立してる。

特派員―新橋横浜間に汽車が走ってから3年後。キリスト教禁止令を廃止してから2年後。

放送局長―疑いようもなく優遇されたミッション・スクールだな。明治政府の誰がそんな粋な計らいをしたのか、答は簡単じゃないか?

特派員―旧有栖川宮邸を御苑からそこに移築したのは、何年?

アロマ―よく分からないけれど、有栖川宮邸は京都御所の正面入口建礼(こんれい)門の前にあった。それを京都裁判所の仮庁舎として使用したあと現在地を買い上げて移築して、京都地方裁判所の所長の宿舎にしたということよ。

放送局長―京都地方裁判所が設置された年が分かればいいな。

ナモネ氏―そうだ。明治28年平安女学院が現在地に建てられたときは、ちょうど日清戦争だった。終わった年だ。

特派員―そうか、忘れてた。ええと、待ってください。参謀総長有栖川宮熾仁親王は広島の大本営で明治2712月腸チフスにかかり、新年の15日に兵庫県の舞子別邸で病死している2戦争が終わったのが4月。たぶん平安女学院の開校と同じ季節ですね。

アロマ―レンガ造りの豪華な洋館で、明治館と呼ばれてる。

特派員―3年後聖アグネス教会が完成…これが有栖川宮のシナリオでなくて、何でしょうか?

放送局長―南蛮寺、つまり昇天の聖母教会が破壊されてから300年の暗黒がつづいた、と前に言ったが、そうすると、聖アグネス教会は十字架の復活だ。

☆ ☆        

■ アリスと有栖川宮 a  b

 

A White Christmas; Bing Crosby

 

注記; 明治28年から下の対話を修正しました。20101.4

1         wikipedia

2        明治天皇; Donald Keen(ドナルド・キーン)

 

▼ キリシタンと朝廷

▼ 414の歴史 有栖川宮家

 

 

 

 

 

 

 

 

 


〈枯葉〉のしっとりした哀愁も似合うこの人のピアノ[A]

☆ ☆         Updated 2009.12.19

 

アトリエの庭

半分半分放送局長―しかし、鳩山首相は指導力がなさすぎるな。普天間飛行場の移設問題で、最終的に決めるのは自分だ、と言っておきながら、ずるずると引きずられてる。

特派員―連立内閣で意見が分裂してるのを見ると、非常に自由なムードで、明るい南の島らしいな、と思いますね。

ナモネ氏―馬鹿なことだ。ああいう連中を烏合の衆と言うんだ

放送局長―カラスが騒いでるっていうのは、気持悪いよ、なあ。意思決定機関であるはずだが、結論を一言言って幕だ。

特派員―イメージどおりに小沢幹事長が黒幕ですね。去年、アメリカは太平洋に第7艦隊だけいればいい、と放言した。日本にアメリカ軍の基地はいらないという意味ですよ。

ナモネ氏―そのあと、どうなるかな?…

特派員―編集長が言うように国家暴力団の天国ですね。

放送局長―しょせんロシアの周辺国だよ。

特派員―アメリカの苛立ちは当然ですね。オバマ(B.Obama)大統領はコペンハーゲンの国連気候変動サミットの機会に話し合いたいという鳩山首相の提案を断った1。そして、日米同盟に関する新たな協議の開催を延ばすことに決めた。社民党と国民新党は県外か国外への移設を求めているけれど、結論を急げば連立政権を出るとブレーキをかけるので、車は交差点の中でストップの状態です。国民新党の亀井静香代表代行は親分気取りですよ。

放送局長―なぜそんなことを言うのか、説明が見当たらない。問題を解決する意欲がないとしか思えないな。

編集長―普天間飛行場は狭い空間だが、アメリカにとってはもちろんな日本にとっても戦略的な広がりがあると思うね。平和なときでもオープンに話せないことだろう。

ナモネ氏―なるほど。

放送局長―困るのはアメリカだな。しかし、来年の参議院選挙がこの問題のレフェランダム(国民投票)になるとすれば、カラスの寄り集まりは勝ち目があるかな?

アロマ―16日のNHKニュースでは、移設先は与党3党が協議して決める。読売新聞によれば、この政府の決定に対して、アメリカ海兵隊コンウェイ総司令官は〈一段と問題の行方がわからなくなった。残念だ〉と答えた2。アメリカ政府は来年2月議会に普天間基地移設にともなう海兵隊の半分8000人のグアム移転に関する2011年度予算を提出するけれど、TBSによれば、〈アメリカ政府筋は、「こうした状況が続けば、いずれ議会の理解を得られなくなる」と危機感を募らせるとともに、「それは普天間の現状固定化につながる」と警告〉した1

特派員―財政面から考えれば、今の日本政府は普天間のヘリコプターを移すなんてことに金をかける余裕はないだろうな。

アロマ―アメリカも同じことよ。国際テロとの戦争がクライマックスに近づいてるんだから。

放送局長―東シナ海のセキュリティを視野に入れれば、栄光のUSマリーンは絶対に信頼できるね

ナモネ氏―私が沖縄にいれば、自衛隊を追い出すんだが、な。国民を飢えさせて平気なんだ、彼らは。

特派員―国民が何なのか、分かってるのかな?東京新聞を見たら、防衛省の予算が〈基本設計図を欠いたまま〉の拡大路線だとあった。〈旧海軍の空母に匹敵する大きさのヘリ空母型護衛艦の建造〉もやるということですよ3。平気は兵器…非常におもしろくないだじゃれですね、はい。

ナモネ氏―結局、朝日新聞のタイトル・バックだ。満開の桜の花…地下にある古いパターンがこわいんだよ、なあ。

☆ ☆        

A Autumn leaves; Wynton Kelly Trio

 

1  TBS 1010:43

2  読売新聞200912161235 

3 東京新聞20091217

 

▼ 仮面について ギャルリー 3; 女森の桜とリンゴ

▼ 日米同盟か、連立政権か?

▼ 〈異様な静かさ〉の裏に何がひそむのか?

▼ 国際テロ組織の起源

 

 

 

 

 

 

 

 


〈ウィスパー・ノット〉のしんみりしたムードは秋にぴったり[A]

☆ ☆           Updated 2009.12.10

 

宮袋橋下流と大館市街

特派員―普天間飛行場の移設問題で日本とアメリカが危険な状況にはまり込んでいる。岡田克也外務大臣は同盟関係が揺らいでいることを認める発言をして、一般国民の主観的な認識を裏打ちしてくれましたが、タイミングがいいですね1

ナモネ氏―それもそうだが、アロマから見せてもらったメモにアーミテージ(Richard Lee Armitage(元国務副長官の意見がある。〈(決断が)夏までかかるようなことがあれば、アメリカの人々は『(日本は)日米同盟より連立政権の方が大事なんだな』と思うでしょう。〉社民党の顔、福島瑞穂が逆襲するとは予想外だったよ。県内への移設を認めれば連立政権から出てゆくなんて脅迫して、な。

アロマ―彼女が沖縄の島から出ていけばいいのよ、ね

半分半分放送局長―そうだ、そうだ。平和な島になる。

ナモネ氏―県内と言うだけで、沖縄と言わないのはどんなもんかなあ…?

編集長―ううむ、この小麦粉にポテトを混ぜたクッキーは芸術的だな。〈試される北海道〉の名品ですよ。

アロマ―あたしが作ったミックス・パンのコメントがないなんて、いやあね。

編集長―アーモンド、カシューナッツ、ピーナッツ、クルミ、それから何だ?

アロマ―シークレット。あら、お邪魔だったかしら?

放送局長―シークレットが入ってる?天才的な作品だ!

特派員―シュールレアリストにはまいりますね。

アロマ―サレンダー(surrender)の語源はフランス語のse rendreらしいけど?

放送局長―そうだな、降参というぴったりな日本語があった。

特派員―民主党と社民党が公約を盾にすると、いわゆる日米同盟が破局を迎えるかもしれませんが、この間の選挙で勝利に酔った国民はどう思うでしょうか?

ナモネ氏―そこがおもしろくないところだな。右がだめだから、左に行ったら、どっちも根は同じで痛い目に合わされるというドラマなら、な。

編集長―ありふれた構図ですよ。しかし、軍事同盟が危機におちいらなくても、これ以上アメリカと日本の仲が悪くなるのをうれしがる人はそう多くないんじゃないか?

放送局長―しかし、人でないのがいるから、なあ。

編集長―状況が変わったのは明白なんだ。公約に反することをやるときは一般国民と目を合わせて十分な説明をすればいいと思う。それに民主党か社民党に投票した人たちは公約のすべてに賛成したはずがない。ぼくのように政権の交代が民主主義の基本的なルールだと信じて、それを第1の目的に選んだ人たちが増えたから、新しい政府ができた。

放送局長―国民の絶対多数が支持したのは何なのか、それを誤解してはいけないということだな

アロマ―戦争じゃないわよ。

特派員―そうだ。国民の意思だからそうする、なんていうのはふざけてるよ。

ナモネ氏―無責任な岩手県人がやりそうなことだ。うっかりしてたが、小沢一郎幹事長は沖縄と北方領土の問題で何の発言もないな。

編集長―そこが先天的な悪知恵でして、ね。東条英機が首相になったとき、高松宮宣仁(のぶひと)は日記にこう書いた、〈うまくやったな〉…なかなかおもしろい、ね?

アロマ―アーモンド、カシューナッツ、ピーナッツ、クルミ、シークレット?

☆ ☆          

 

A Whisper not; Wynton Kelly Trio

 

1 TBS 0818:07

 

日本とアメリカの政治的な関係と沖縄

▼ アメリカ兵の子どもたちが日本の法律マシンの犠牲に

▼ 沖縄で何が?: 非近代的なメカニズムの犠牲

▼ 弱い人たちの生活を犠牲にしない方法

▼ 防衛省予算を半分、北秋田と沖縄の救済に回そう

 

▼ 沖縄の火花でノイローゼ

 

 

 

 

 

 

 

 


暗いけれど、気持がいいピアノで〈ブルーなケリー〉[A]

☆ ☆           Updated 2009.12.5

 

JR花輪線 長木川鉄橋

特派員―来年は日本とアメリカの安全保障条約が改定されてからちょうど50年。同盟関係を緊密にする意思はオバマ(Barak Obama)大統領と鳩山首相が確認したけど、現実を見ると、不安は消えませんね。

編集長―そうだな。言葉を信じられないから、困ったことだ。

ナモネ氏―1960年岸内閣のとき改定したのはよく覚えてるが、ね、70年は自動延長で肩すかしを食らった。残念なことだった。

特派員―それから1年ごとに更新されるようになったとは知りませんでしたね。一方が条約廃棄を告げれば終わりというわけでしょう?

編集長―そういうことだろうな。ぼくはあのころスイスのような永世中立国を理想の未来像と考えてたから、同盟関係が終わっても、それだけではおもしろくない。防衛のための組織が大きくなれば、民主主義が危ない。アメリカと連係してる現実をただ傍観していたね。

半分半分放送局長―その理想は社会主義系に多かったな。キャンパスでは気づかなかったが、アメリカ軍のプレザンスは自由のために役立ってるよ。つまり、自衛隊の軍事力を適当に抑えることになる。おれのように無力な生き物は歴史のおそろしい影におびえてるんだから、な。

アロマ―あたしなんか自然に無意識的にアメリカ人のそばに流れてしまう。

ナモネ氏―オンリーはだめだぞ。

放送局長―地位協定の問題でアメリカ人の立場を少しは理解したね。日本人は全体的に考えるのが苦手だが、ご自分の思考に自信を持ってるみたいな人が多い。あれは変だよ、な。

特派員―疑いを持たないというのは、正しくない態度ですね。

編集長―疑問符は、その人の精神が自由かどうか、教えている。だから、未来がある。そうでなければ、ただ現在のコピーだよ。

放送局長―隠し味は大事だ。ヨーロッパ風の信頼される大人になろう。信頼されるアメリカ人の真似をしよう。

編集長―別に悪いことじゃない。一度富里の別荘にアトリエの生徒と誘われたことがある。成田空港の南西にあるリゾートだ。その帰りにアンダーソンさんが突然のように缶ビールを飲みながら運転した。夜の国道だから不安を感じたけど、荻原さんは助手席で振り向いて、アルコールが入ったほうが安全、と言う。ぼくにはそう思えなかったね。あれはどの辺だったか、考えてみると、東京に入る前、つまり、荒川を渡る前の国道14号線なんだ。

放送局長―フランク永井、〈夜霧の第2国道〉…1949年に起きた下山事件の現場だったかな?…

編集長―そう、何かあるな、と今でも思ってるよ。

☆ ☆ 

 

A Kelly bleu; Winton Kelly Trio

 

▼ アメリカ兵の子どもたちが日本の法律マシンの犠牲に

▼ 沖縄で何が?: 非近代的なメカニズムの犠牲

▼ 弱い人たちの生活を犠牲にしない方法

▼ 防衛省予算を半分、北秋田と沖縄の救済に回そう

 

下山事件を読む

▼ カレンダーのある事件

 

 

 

 

 

 

 

 


〈ノー・ブルース〉のドライブ感もすごい懐かしい組み合わせ[A]

☆ ☆           Updated 2009.11.27

 

       田町交差点

半分半分放送局長―懐かしい名前だ。カミュは、反抗の哲学だよ。

特派員―そうですか?ぼくには《ペスト》の主人公ですね。編集長は?

編集長―そうだな、最初に読んだのが《異邦人》だから、不条理との戦いの象徴だな。

アロマ―あたしも、そうよ。

ナモネ氏―私が若かった時代は、革命の情熱がすごかったから、遠慮して反抗を選んだもんだ。

編集長―ぼくも革命の思想に反抗した一人だけど、《ギロチン》をめぐって死刑廃止の議論を徹夜でやったこともある。

放送局長―結論は出なかったな。ハセは高校のときにカミュ(Albert Camus)をかなり愛読してたんじゃなかったか?

編集長―ああ、そうだ。《太陽の賛歌》というエセーには深い影響を受けたと思う。忘れたことが人を本当に動かしてるとすれば、カミュの作品がそうだ…ニーチェ哲学の実存的なリアリズムから出発してる。《異邦人》はフランス語で読んだ最初の小説だよ。しかし、太陽の意味を理解したのは真夏の沖縄に行ったときだ。北国では、絶対にあんな太陽はない。

放送局長―ル・クレジオ(J. M. G. Le Clézio)の小説と共通点があると思うね。二人とも地中海で育った。アルジェリアの青年とリヴィエラの青年。

編集長―そう言えば、実存論的なテーマだな。人間とは、ハイデッガー(Martin Heidegger)の定義によれば、精神と肉体の総合ではなくて、その実存なんだ。生活の中での行為が人間の本質を作る。それを新たな視線で見れば、世界内存在という概念になる。人間が〈世界の中にある〉というのは歴史を変えた重要なキーワードだ。

放送局長―ぴったり当てはまる。二人とも行為を描く。心理描写で分かりきった型にはめないのは、自分と違う人間、他者の存在を大事にすることだ

ナモネ氏―カミュは、そういう作家だ。それ以前の人間の解釈に対して反抗したのが、《異邦人》だ。

特派員―確かに既成のあらゆる思想に対する〈ノン〉がありますね。だから、これはどういう意味だ、という疑問があとからしつこく追いかけてくる。しかし、それはおろかな疑問です。自分の古い考え方を反省しなければいけない時代なのに、それに執着してる。

アロマ―日常生活や環境に人間を置きなおして考えるなんて、リビング雑誌みたいね。

編集長―そうだ。世界内存在という見方には人間への優しさがある。世界(環境世界)とは身の回りの環境のことだが、現代は地理的な意味も強調しなければいけないな。ル・クレジオの作品には明らかに世界内存在の危機が記号論的に描かれてる。しかし、ニースのうっとりする街で思ったけれど、単語が無意味に増殖するような環境じゃないね。

特派員―そうなんですか?…別に言うことがないけれど、世界内存在の危機はサン・テグジュペリ(Antoine de Saint-Exupéry)が《南方郵便機》の中でしんみり語った。ヒロインは自分の世界内存在から世界を奪い取られて、マッチの火が消えるように死んでしまう。あれは、本当にすばらしい小説です。

放送局長―日本の馬鹿な教授や知識人は間違ってるよ、な、君。うその本でうその人間を作ってる。うその放送でうその世界を作る。20世紀の思想でつまづいたのに、いつまでも強情だ。それで政治をやれば、ひどい国になるに決まってる。

ナモネ氏―自分の頭が悪いんじゃないな。向こうがおかしいのだ。

放送局長―カミュの戯曲《戒厳令》というのは、実際占領下のパリの恐怖政治だったかもしれないな。しかし、死の管理でなぜかワイド・ショーを想い出したよ

特派員―米さんも、ですか?

放送局長―容疑をかけられた政治家が入院するドラマをときどき見るだろう?あれは仮病だと思ってたけれど、本人の意思に関係なく本当に病気になるんじゃないか、ある組織が患者を作るんじゃないか、そういう裏面が見えたのさ。

編集長―なるほど。国会における人生・生活・生命の管理だな。薬漬けの人はすぐ罠にかかる。

アロマ―あたしは薬の世話になってないけど、街で買う食べものやプレゼントにはノイローゼよ。

☆ ☆ 

A  No Blues; Winton Kelly trio,Wes Montgomery

 

▼ カミュ: 正義と自由が結びついた憂い

▼ 見えない壁…人生・生活・生命の管理

▼ ロスト・ジェネレーションの小説

《南方郵便機》についてもう少し

▼ 夜のきらびやかな明かりの奥

世界内存在についてリアルに考える

▼ 朝の食事

▼ 実存と表現

▼ 言葉の力

 

 

 

 

 

 

 

 


〈パーカーズ・ムード〉はアルト・サックスのための名曲[A]

☆ ☆           Updated 2009.11.16

 

アトリエの庭の秋

アロマ―大館シャンソン・クラブがいい例よ。創設したときはただのシャンソン・クラブ。レコードを聞いて楽しむための集まりだった。

ナモネ氏―そうだった。地下室ムードがいっぱいの大人のクラブだったな。

編集長―意外に大人が集まって、ときどきぼくは照れましたね。

半分半分放送局長―シャンソンは、地下室の片隅で大人が聞く歌だよ。それで、大館シャンソン・クラブと変えたのは?

特派員―ぼくも聞きたいことです。

編集長―簡単に言えば、ちょうどフランス革命200周年で世間の関心が高くなって、存在が目立つようになると、他の地域のシャンソン・クラブと区別する必要に迫られた。たとえば、鹿角シャンソン・クラブは歴史が古いけれど、となり町だから、どっちのシャンソン・クラブなんだ、という場合がある。

特派員―きわめて単純な、しかし、なおざりにできないことですね、国境線の問題のように。今日の会話がどこへ行こうとしてるか、みなさん、分かりますね?

放送局長―おれにはさっぱり、だ。ラジオを聞いてる人たちもさっぱり訳が分からないよ。

特派員―よくある形式で、最初はテーマと共通点があるさりげない話ですね。シャンソン・クラブと大館シャンソン・クラブ…どうでもいい、馬鹿げてる、退屈、そういう話。ラジオを聞いてる人はもうスイッチを切りたがってる。

ナモネ氏―重要な話に移るなんてことは予期しないんだから、なあ。

編集長―そうだ、そろそろリンクしてくれないか?

放送局長―次のページを早くめくってくれ。

特派員―じゃ、ご期待にこたえて言いますが、高松宮日記の日ソ戦プランを読んで、アロマと特派員は〈国軍〉という言い方をおもしろいと思ったんです。編集長はさすがそのことにマークをつけていました。〈皇軍〉でも〈帝国軍〉でもない、と。やはり陸軍幕府の意識が反映してる。

放送局長―そこで数秒止まって考えないのは、馬鹿だよ。しかし、想像するほどじゃないね。

アロマ―だめ、ねえ。国語という単語にリンクしないなんて…なぜ日本語とは言わないのか、不思議に思ってたのよ

特派員―国語というのも徳川派が作った言葉ですね。鎖国時代には〈我が国〉と言えば、十分意味が通じた。オランダ人と貿易するとき以外は、日本とか日本人と言う必要がなかった。しかし、国際社会の仲間入りをすると、自分の存在を限定しなければいけない。

編集長―なるほど。ありそうなことだ。法律のない島国で好き勝手にできた将軍らが世界に開かれた明治時代の社会を窮屈に思わないわけがないな。彼らは力を制限されたと感じただろうな。たぶん、これは〈我が国〉という言い方が好かれる心理的な理由だ。

ナモネ氏―徳川と保守派にしてみれば、広い世界に無理やり追い出されたようなもんだ。

放送局長―しかし、限定するというのは自我の確立なんだよ、な。自分が何であるか、どうあるか、言葉で知ること、これはプラスになる。

編集長―そう、それで自分の新たな可能性を生きることができる、国際社会との関係の中で。

アロマ―和風なんていう表現もそう考えていいのね?

特派員―ちっとも和がない国だよ。

ナモネ氏―あれは大和の国を意味すると思うが、なぜ和だけになったのか?

放送局長―沖縄の人は、ヤマトゥと呼ぶ、本土の日本のことを。

編集長―単純に日本風料理とか日本風建築と言えばいいんだ。国の名前をあまり使いたがらないのは変だ。

アロマ―フランス人やアメリカ人と正反対ね。

特派員―邦人なんていうのも、そうだよ。

編集長―何か屈折したような昔の言葉はいつまでも災いが残るなあ

☆ ☆ 

A Parker’s mood; Charley Parker

 

 

▼ 高松宮日記メモ; 書式設定を疑わせる秘密のプラン

 

 

 

 

 

 

 

 

 


〈ルート66〉は快調なテンポで飛ばすが、狭い島では?[A]

☆ ☆           Updated 2009.11.9

 

田町球場の外野通り

アロマ―ブッシュ(G.Bush)前大統領が4日早稲田大学でスポーツ経営について講演したって。メジャー・リーグのテキサス・レンジャーズを経営してた人なのね。

半分半分放送局長―スポーツ経営とは、優雅だな。コントロールが絶妙だったんだろうな。

アロマ―学生から指導者の資質を聞かれて、何と答えたと思う?

放送局長―ルールを守ること…

アロマ―〈真実を語ること〉

特派員―プラトン哲学の三つのイデア〈真、善、美〉が源流ですね。さりげなくそれを想い出させたテクニックは、さすがという他はありません。

放送局長―ダイヤモンドでイデアを学んだのか、ね…ボテボテのゴロをさばくのがうまかったよ、な、国際テロとの戦争じゃあな。

編集長―野球は、何と言っても、チームワークが大事だ。

アロマ―日本とアメリカの関係ががたついてるけど、日本人とアメリカ人の関係なんだという意識が日本人にはほとんどないみたい

放送局長―ううむ、今のせりふは走者一掃のツー・ベース・ヒットだ。ラッキー・セブンの逆転だよ。国と国の外交関係を語るとき、現実から浮き上がって経済の座標軸や安全保障の座標軸で考える癖があるから、な。

アロマ―いつもの生活のように人間と人間の交わりなのよ。

編集長―そう、大事なのは一人称の関係だ。

特派員―国際連盟や国際連合というのは、その点立派な発明ですね。世界各国のリーダーが顔を合わせて仲良く話し合う場を作った。それだけですが、紛争や戦争を未然に防止したり国際問題を解決したり、一種の安全装置になった。

アロマ―日本人は影がうすいわね。

放送局長―影がうすい、ねえ。

 

放送局長―72年の沖縄返還のあとまもなく沖縄に旅行したときだった。金を節約するためにヒッチハイクで回ろうとしたけど、合図しても、沖縄の人はブレーキを踏まないんだ。毎日空振りで、哀愁のハーバー通り。最初に拾ってくれたのはオープン・カーの若いアメリカ人だよ。当時コザと言われてた区域の国道58号線で。思いきって〈名護に行きたい〉って言ったら、退屈なのか優しいのか、街の入口まで送ってくれたよ。過去は過去。戦争の傷跡が深い島だけど、そういう態度なんだ。

アロマ―いつもそうじゃないといいけど、ね。

特派員―米さんはいつでも米さんだから、なあ。でも、単純な問題じゃないですね。原住民は貧しくて時間に追われてるとしたら…?

編集長―そうだな。あのころはアメリカ人より本土の日本人が嫌われていたが、無理もないと思ったね。いずれにしても、人を理解する気がないのは最低だ。

アロマ―理解させようと思わないのも最低よ。

☆ ☆ 

A Route 66; Nat King Cole

 

▼ 何にもならない計画というドラマ

▼ 沖縄の基地問題: 心情論はアメリカ人にもあるかもしれない

▼ ガソリンの輝き/ハーバー・ライト

 

 

 

 

 

 

 

 

 


★〈ノー・プロブレム〉はファンキー・ジャズの燃えるような名曲[A]

☆ ☆           Updated 2009.10.26

 

風呂屋町バス停

特派員―風呂屋町というのは、秋北バスターミナルの裏に風呂屋があるけど、あれから取った名前かな?

ナモネ氏―そうだろうな。

特派員―風呂屋町バス停の裏に薄汚れた小屋があって、21世紀になるまで毎日新聞の大館通信局だった。

ナモネ氏―あそこに記者が寝泊りするようになったのは、風呂屋町大火のあとだと思うが…冬は隙間風がひどくて、進藤さんは震えながら書きものしてたもんだ。

編集長―進藤さんとは長木ダム建設反対運動で知り合いになったけど、何か白黒映画に出てくるレジスタンスの闘士と言いたいような人でしたね。

ナモネ氏―そのとおりだ。並の精神力じゃない。初代大館市長の佐藤敬治も、そういう人だったよ。戦前、栄町に風呂屋と旅館があったことは、覚えてる人がほとんどいないが、そこで生まれ育った。市長選で勝って、長倉町に家を構えたが…この夏オープンしたホテルがあるところだよ。

 

秋北バス・ターミナルと銭湯

編集長―母さんの話だと、ぼくはよく遊びに行ったそうだけど、全然記憶がない。ただ、市長の母親が我が家に来ると、鶴のお母()さん、とおばあちゃんが呼んでいたんで、おかしなことだと思っていた。

ナモネ氏―鶴っていうのは、〈鶴の湯〉から来てる。何もおかしなことじゃない、何も…

アロマ―ナモネ(何もない)氏っていうニックネームは、風呂屋町大火から?

ナモネ氏―まあ、そうだ。そういうことだ。そう思っていいよ。

半分半分放送局長―風呂屋町大火というのは、風呂屋から出た大火じゃないわけだな。大館の人は何か表現にこだわる癖があるね。どんな火事なんだ?

特派員―ええ、他に資料が手に入らないので、大館市が編集した市の歴史〈大館市史〉を参考にすると、風呂屋町大火は昭和28年、1953年、429日午前4時ころ、馬喰(ばくろう)町の裏町よりの一角、ミシン販売業赤井金治宅の裏の物置小屋付近から出火した。

放送局長―馬喰町の裏町より、か?

編集長―裏町は、さっき言った毎日新聞通信局のぼろ小屋があったところだよ。正確には馬喰町大火だ。

放送局長―暴露、ねえ。

ナモネ氏―ちょうど天皇誕生日だ。

特派員―火は、どうなったかと言うと、南南西15メートルの強風にあおられて、たちまち官庁街の片町に広がった。そして、午前6時ごろ炎が消えるまでの2時間あまりの間に大館公立病院、郵便局、電報電話局、おまけに北鹿新聞社、商工会議所、信用組合、食糧事務所などと旅館、各種事務所、一般住宅など123棟が焼けた。

放送局長―死傷者は?

ナモネ氏―ありがたいことに一人も出なかった。もう少し大火の恐ろしさが伝わるように読んでもらいたいが、な。

特派員―NHKで習わなくっちゃあ。

☆ ☆ 

 

A No Problem; Art Blakey and The Jazz Messengers

         フランス映画《危険な関係》のテーマ

 

▼ 待っていた大火

▼ 函館大火と大館大火

▼ 昭和7年 風呂屋町と周辺の地図

 

 

 

 

 

 

 

 

 


〈殺られる〉のドラミングはモダン・ジャズの栄光[A]

☆ ☆           Updated 2009.10.10

 

常盤木町交差点

特派員―鳩山内閣は次から次と古い国家を21世紀の世界に適応させるための手を打ってるけど、文句なしに賛成できるのは取り調べの可視化を義務づけることと天下り禁止ですね

半分半分放送局長―適応が目的か?まあ、それはいいとしても、自民公明連立政権が失敗したことを繰り返したら、国民が逃げ出してしまうよ、〈島国、バイバイ〉だ。女性法務大臣の千葉景子は、状況を甘く見てない。

特派員―確かに甘い状況じゃありませんね。

放送局長―甘そうに見えて中味は塩味なんだ。

アロマ―塩漬けよ!!!

特派員―どうもテーマがずれるような危険があるけど、これは鳩山内閣が決めたこと。今年の4月野党の民主党と社民党が議員立法として参議院に提出したのが取り調べの全過程の可視化、つまり、DVDへの録音録画を捜査機関に義務づける刑事訴訟法改正案です1。参議院で可決されたが、衆議院ではやはり問題にされなくて廃案になった。

放送局長―そう、そう、だから、あの政府はみじめに沈没してしまった。進水式で沈没だよ。今度はうまく行くだろう。

アロマ―でも、警察がこわい。交番の前を歩きたくないよ。

特派員―そうだなあ…中井洽(おさむ)国家公安委員長が記者会見で録音録画による取り調べの透明化を強調したとき、安藤隆春警察庁長官がこう答えた。〈第一線における捜査の実情を踏まえ適切に対応していきたい。〉しかしながら、〈一般論で言えば真実の解明について影響を及ぼすとの懸念がある。〉2

放送局長―何か、地平線で戦車の地響きが聞こえるような気がするね。

アロマ―映画のシーンでしょう、《存在の耐えられない軽さ》? 3

放送局長―正解。警察の取り調べっていうのはとにかく残忍なんだ。足利事件で再審が決まった菅家(すがや)利和さんがうその自白をしたことについて刑事の恐ろしさを理由にあげてるけれど、ね〔4〕。精神異常患者と24時間一緒にいれば、誰でも一時的に狂うよ。人間はそんな生き物なんだ。

特派員―島国の日本人には警察に対する恐怖心の遺伝子があるんじゃないかな?

放送局長―そう言ってもいいだろうな。それを利用して言葉の暴力をふるう…汚い教育映画だよ、君。

アロマ――汚い教育、何となく真実がちらっと見えたような気がする。

放送局長―警察が言う〈真実の解明〉なんて、誰が信用するか?

☆ ☆ 

A 殺られる; Art Blakey and The Jazz Messengers

           フランス映画《消え去った女たち》のテーマ

14 読売新聞 2009918日 927 

2 京都新聞 共同通信 2009/09/24

3 1988年制作 アメリカ 

監督 フィリップ・カウフマン Philip Kaufman

 

国連拷問禁止委員会の日本批判

▼ 警察の取調べを透明に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


〈ブルース・ウォーク〉はセクシーな隠し味がいい[A]

☆ ☆           Updated 2009.10.1

 

長木川源流 上寄岩沢合流地点

編集長―ぼくは歴史と環境問題から哲学に入ったんだ。環境というのは絵の空間でもある。どっちも大好きだったね。反対に数字は見るのも嫌だった

特派員―すると、学校の成績は?

ナモネ氏―笑い話だったよ。

編集長―ええ、しかし、〈人生は簡単に割り切れるものじゃない〉なんて小学生のときから批判してたから、ね。絵も、概念という言葉は知らなかったけど、型にはまった描き方に文句をつけて、それで県のコンクールに入選した。

アロマ―国語は好きだったんでしょう?

編集長―食堂に新聞と雑誌があるだけという変な環境だったから、図書館が気に入ってたよ。昔の物語が好きだったね。

半分半分放送局長―秋田県の小中学生が国語と算数・数学の全国学力テストでトップ、というニュースは悲しいことだよ、な?

編集長―実際の出来事を想い出そう。長木ダム建設反対運動でダム資料の数字ばかり並んだ文書を分析して批判したのは、誰か?運動に参加した学校の先生たちがダム資料を理解できなかったのはなぜか?

特派員―〈川の中に入らないと分からない〉と話してましたね。

アロマ―長谷川編集長は一番暇がなかったのに、ねえ。長木川ドキュメンタリー制作、秋田県と大館市と角館町の公費悪用問題で。

ナモネ氏―外聞が悪いもんだから、学校の先生たちと共産党は今でも早稲田のグループが分析したと信じてるんだぞ。

編集長―肩をすくめるしかないな。

放送局長―日本人はやはりどうしようもなく本の虫、文字の虫なんだよ。いつもと同じ結論だ。

編集長―そうだな。学校教育もゼロから考えなおさなければいけないということだよ。

☆ ☆          

 

A Blues walk; Lou Donaldson

 

長木ダム建設計画検討報告書

 

 

 

 

 

 

 

 

 


不滅の名曲〈アット・ラスト〉をとうとう聞くことができた[A]

 

半地下室の扇風機

☆ ☆           Updated 2009.9.21

編集長―そのあと下村宏はA級戦犯容疑者のリストにのったが、なぜか起訴されなかった。

特派員―1951年までただ公職追放ですね。朝日新聞時代の部下だった緒方竹虎と同じ。

編集長―下村はいい加減なことを言う。近衛文麿が開戦当時の責任者だなんていうのは、デマでしかない。

特派員―ええ、近衛文麿は19407月から411018日まで首相。アメリカに戦争をしかけたときは東条英機。

アロマ―緒方は情報局総裁じゃなかった?

特派員―下村の前に、ね。

半分半分放送局長―朝日新聞とNHKはとぼけてうまく逃げたよ、な。マッカーサーの日本語廃止計画を秘密にした責任をどうしてくれるんだ?

編集長―これは教科書に入れなければ、だめだな。

ナモネ氏―そうだ、それだけで本当の歴史が見えてくる。占領軍の独善的な政策だとは思わない。しかし、それにしても…

放送局長―何よりも朝日新聞とNHKがその問題を取りあげるべきだよ。漫画や歌謡曲を止めて、歴史特集をやってもらわなければいけない。

編集長―どこかに関連する文書があるはずだな。

放送局長―下村の話の数日前105日に東久邇内閣が総辞職、ということは日本語廃止計画案を受け取ったのは東久邇内閣かもしれない。だったら、公文書だよ、な、君?

特派員―当然そういうことになります。証拠隠滅に罪悪感を覚えない組織だから、悲観的ですね

ナモネ氏―宮様の日記が処分されなかったのは、本当に奇跡だ。

ナモネ氏―下村はローマ字を嫌ってるが、カタカナじゃあ敗戦前と何も変わらんな。

編集長―ひらがなが消えたら戦争なんだ、日記では。

特派員―宮様の考え方に賛成ですね、ぼくは。つまり、漢字を使わなくてもいいように改良すること。

編集長―そうすれば、象形文字の乱用や呪術的な使用は不可能になる。

放送局長―啄木日記のようにローマ字でゆくっていう手もある。あれは人に読まれたくないから、じゃない。呪術的な漢字表現に対してノイローゼになったから、なんだ

ナモネ氏―そうか?…忘れてたが、ひらがなの発明も事情が似てるな。平安貴族の才女たちが編みだしたノイローゼ対策だと聞いたことがある。

編集長―確かにあの時代は20世紀前半と共通する環境世界の変様が起きたように思える。紫式部はそれを《源氏物語》で描いた。つまり、意味のある事物の連関が切り離されて訳が分からなくなる不安な状況…

アロマ―翻訳できないの、ね。漢字のフォルムにも、そういうときがあって、いやね。

☆ ☆          

 

A  At last; Glenn Miller and His Orchestra

 

▼ 秘密にされたマッカーサーの日本語廃止計画

 

 

 

 

 

 

 

 

 


〈イエスタデイズ〉のゲッツはボサノバのゲッツにかなわない[A]

☆ ☆           Updated 2009.9.13

 

東大館駅前の大火発生地点

ナモネ氏―HHJ一座が復活できて、こんなうれしいことはないな。

特派員―函館大火と大館大火について話をしたあとですから、ねえ。ナモネ氏が〈北秋田地方では言葉が灰になった〉と悪影響を語ったら、その悪影響がコンピューターに現われたというわけです。

編集長―しかし、責任はぼくにある。〈強制終了〉で電源を入れなおさなければワード文書の動作があまりにも遅くなるので、それを繰り返してハードディスクを壊してしまった。早く修理に出すべきだった。

半分半分放送局長―それはそうだが、CD-ROMが壊れなかったら、あんな失敗はしなかったよ。安物はだめだ。

アロマ―アメリカ製のPCは宇宙船に乗ってるようなもんよ

編集長―カミカゼと違って、立派に帰ってくるからなあ。

アロマ―〈ユーラシアの灯は消えない〉が動かないのはどうして?

放送局長―ふうむ、あれ、ねえ。スクリプト・エディターでスクロール文字を書きこむと、プレヴューでは動く。しかし、web文書では文字さえも消えてしまう。たぶんOffice2000の機能がWindows XPに合わないのかもしれない。

編集長―HHJの財政状況では新しいのをインストールできないね。ぼくはそれよりもレタリングの種類が減ってることにいらいらしてる。

特派員―あれは嫌がらせですね。

アロマ―ブロードウェイのローマ字が好きだったのに、ない!!!

特派員―HHJが愛用するレタリングで残ってるのは、クーリエ・ニューとタイムズ・ニュー・ロマンだけですよ。

編集長―クーリエ・ニューの生存はハッピーだ。あれは芸術作品だから、な。

特派員―〈無意味な破片〉は今までほとんどスウィング・ジャズばかり流したけど、これからモダン・ジャズなどもやりたいと思っています。

放送局長―それはいいことだ。ダイソーの100CDがあんなに活躍してくれたんだから、感謝しなければ、な。

アロマ―ストリーヴィルが編集したサウンディーズのジャズも、よかったわ。フィルムと音楽の組み合わせが街の中で気楽に見れたなんて、今より進んでる

編集長―もったいないアイディアだ。テレヴィジョンの出現に負けたというわけじゃないんだから。

放送局長―そう、そう、ジュークボックスはずっと裏通りの人気者だった。

編集長―サウンディーズという装置を嫌った組織があったと思うね。

特派員―そこで今日のアルバムは《進化の悲劇》。演奏はHHJ楽団。

☆ ☆ 

 

A Yesterdays; Stan Getz

 

 

 

 

 

 

 

 


〈イフ〉情感がつたわるのは、もっともなこと[A]

☆ ☆           Updated 2009.9.8       

 

アトリエのLEDランプ

特派員―漢字の仏蘭西なんて、どんな人が発案したんでしょうね?

半分半分放送局長―仏教を嫌う人じゃないな。

アロマ―フランスの国を漢字で書く人は今はいないけど、仏語という省略形はときどき見かける。

特派員―そう、ぼくはあれが嫌でしようがないんだ。寺のイメージが意識の隅に浮かぶから、ね

放送局長―その気持はよく分かるよ。フランス人の思想と仏教は根本的に違う。しかし、日本とフランスの関係は第2次世界大戦を除けば、かなり良好だった、と言っていいんだ。漢字の仏蘭西とか仏国なんていうのは敬愛心の表われだったかもしれないな。

アロマ―蘭の花を飾ってる。

特派員―えっ、あんまりだ。嫌味だと思ってたよ。フランス語を嫌う民族主義者の仕業。

アロマ―漢字の露西亜は絶対にそうね。

放送局長―そう言えば、西という方角は縁起が悪いはずだな。太陽が沈むところなんだから。

☆ ☆  

A If; Perry Como

 

 

 

 

 

 

 

 

 


〈イージー・ゴー〉を聞きながら表通りを散歩しよう[A]

☆ ☆   Updated 2009.8.11       

特派員―自分で理由が〈よく分からない〉というのは、歴史に残る一言ですね

 

歩行者用の信号

半分半分放送局長―分からないから、しようがなくそうする...この国際文化振興会の人事には環境サイン問題が見え隠れしてるよ。分からなければ、もう自分を失ってるということだ。

ナモネ氏―責任のある仕事はできないな。

アロマ―でも、分かっていながら恐怖と遠慮で言葉が出ないのかもしれない。

編集長―そうだな。この背景には確かに環境サインがあるね。周囲のいろんな事物が何か他の意味にリンクしていて、そういう記号のメッセージを分節して自分の行動を決めたケースだと思える。それを明快に話すことができても、精神異常患者にされたり暗殺されたりするような国だから、困る。

放送局長―国際文化振興会の異変は、他でもない徳川頼貞がそんなシナリオを書いたと教えてる。高松宮日記はもっと早く敗戦後GHQの占領時代に出版するべきだったよ。

特派員―外務省情報局を批判してるけど、これは内閣情報局という名称で知られてる機関ですね。

放送局長―右なのか左なのか、迷子になっちまうよ。

アロマ―情報局を調べてみたら、ウィキペディアにそう書いてた。でも、宮様がそんな重要なことを間違うはずがない。

特派員―何か知らないけど、これには深い訳があると思うね。ざっと読んでみると、情報局とは第2次近衛内閣のとき1940126日に発足。戦争に向けた世論形成、プロパガンダと思想取締の強化が目的。〈内閣情報部と外務省情報部、陸軍省情報部、海軍省軍事普及部、内務省警保局図書課、逓信省電務局電務課の情報事務を統合して設置された内閣直属の機関〉で、〈国内の情報蒐集、戦時下における言論・出版・文化の統制、マスコミの統合や文化人の組織化、および銃後の国民に対するプロパガンダを内務省・陸軍省などとともに行った。〉任務で特に目を引くのはこれですね。〈ラジオなどの放送無線、電話による放送事項に関する指導及び取締 /映画・蓄音機レコード・演劇・演芸の国策遂行の基礎たる事項に関する啓発宣伝上必要なる指導および取締

放送局長―なるほど、曲の題名や歌の内容をも指導するということだな

アロマ―メッセージを送るために。

ナモネ氏―それは戦後も変わってないよ、本当。

特派員―公然の秘密ですけど、ひとつの県にひとつの新聞という制度はそのときから続いてる。

編集長―起源がすべてを語ってる。

☆ ☆  

A Easy go; Stan Kenton and His Orchestra

 

▼ 高松宮日記 : 文化という美名に隠れて

分節について

▼ 実存と表現

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                                                                                                  

                       

                                               

 

Atelier Half and Half