1/10/2016/SUN
ありがとう あなた、斉藤とも子、フィリップス、1979
たけくらべ、斉藤とも子、フィリップス、1980
想い出のかけら(1976)、中村雅俊、日本コロムビア、1989
レコードの音楽をデジタル信号に変換してMP3で録音できるプレイヤーを買った。アナログ音源をパソコンにUSB経由で取り込み、それをデジタル化する。曲ごとの切れ目はアナログの波形を見ながら、自分で設定する。
手持ちのレコードのなかで、一番聴きたかったのは、田中星児と斉藤とも子。いずれも1970年代後半にはよく聴いていた音楽。
まず、斉藤とも子のアルバムを2枚、デジタル化した。
歌はお世辞にも上手とは言えないが、歌のなかの台詞や朗読はとても上手い。
お気に入りは『たけくらべ』収録の「青春プラスα」。落ち込んでいる片想いの相手を陰で励ますセンチメンタルな歌。当時、彼女が出演していた青春ドラマの役柄とも重なるところがある。
同じように中村雅俊が主演した一連の青春ドラマに必ず出演して、可愛くてお調子者を演じた藤谷美和子よりも、どの作品でも斉藤とも子が好きだった。彼女を見ると、斉藤ではなく「岡田」とつい呼びたくなる。
頭がよくて、努力家で、知らない人からはちょっときつい性格と思われている。でも、親しくなるとお茶目な顔も見せる。そんなところに憧れていた。
70年代の青春・学園ドラマで何度も主人公を演じた中村雅俊のアルバムもレコードで持っている。レコードをデジタル化してから検索すると近くの図書館にCDがあった。
このアルバムで聴きたかったのは「風のない日」。小椋佳作詞作曲の作品。「風のない日のコイノボリ」という言葉は「思い込み part I」(「遠ざかる風景」)にもある。
青春の歌というと爽やかな恋や友情の歌が多い。小椋佳はすこし違う。彼の歌には、「青春の屈託」がよく描かれている。「風のない日」にしても「しおさいの歌」「さらば青春」にしても。
小椋佳の作品のほかにも、このアルバムには「青春の屈託」を歌う作品が多い。
「いつか街で会ったなら」(喜多條忠作詞、吉田拓郎作曲)も、「あゝ青春」(松本隆作詞、吉田拓郎作曲)も。
何をしても満足できない。自分が何をしたいのかもわからない。そんな思春期から青春時代によくあるモヤモヤした気持ちを歌にしている。
中学校に入る前は、中学校は「桜中学」みたいなところで、高校は「ゆうひが丘高校」みたいで、大学生は「俺たちの旅」のような暮らしをするものと思っていた。
でも、現実は想像とは違っていた。斉藤とも子が演じた岡田君子のような女子生徒に出会うこともなかった。
だから「青春ど真ん中」にいたはずなのに、青春を謳歌することもできず、うつうつと「青春の屈託」を繰り返し聴いていたのだろう。
『ゆうひが丘の総理大臣』(YS-3)のエンディングは、いつも砂浜か夕陽だった。
さくいん:斉藤とも子