ゆとり教育

　私が常日頃『ゆとり教育』で扱う問題に疑問を抱くのは、どう考えても『教師の指導力の問題』としか思えないことまでゆとり教育のせいにしているということです。

　ゆとり教育を批判している人の主張を冷静に考えればすぐに分かってしまうでしょう。

　駅前やコンビニといった街の片隅でくすぶるどうしようもないクズたちがたむろするようになったのは、ゆとり教育とは全く関係ありません。そんな奴ら、遥か昔からいました。

　また、不良たちの凶悪犯罪も、ゆとり教育とは結びつきません。

　…っていうか、どこをどうすれば繋がるの？

　お釣りの計算ができない店員とゆとり教育とどのような関係があるんでしょうか？

　…っつうより、それ以前に、その店員はゆとり教育世代なのか？

　ゆとり教育では足し算や掛け算を教えなくなったんですか？

　例を上げればきりがありません。

不良たちを叱らないことがゆとり教育ではありません。

基礎科目を教えないのもゆとり教育ではありません。

　みなさん、知っていました？

　…って、どうもこんなことも知らない人間だらけのようです。

　さすが！

　自分の頭で思考せず馬鹿なことを言ってるなんて、偏差値教育の賜物ですね！！

　学習時間が減ったから学力が低下した？

　すごい！

　…ということは、学校の授業時間の半分にも満たない時間で学力をつけさせる俺たち受験屋、塾屋って、もしかして天才？

　週５時間、数学の時間をとっている学習塾があったら教えてくれぇ！！

　授業時間が減ったからどうだというのは、実際の学校の授業を見学してから言いましょう。こんなのは、仕事のできない学校教師の言い訳にすぎません（笑）。

世の中の人間は、こんなことも分からないのか？

　また、学力低下を叫ぶ学者さまや官僚さまのお話を読んでみましょう。思いきり笑えます。

　しかし、その際、注意してください。彼らは、村○ファンドの社長の記者会見のように非常に雄弁ですから、ことの本質を見失わないように読まなければ騙されてしまいます。注意して読むようにしましょう。

　そうすれば分かります。結局、彼らは『お勉強ができる人間こそ思いやりのある優れた人間だ』と言いたいだけなのです。

　なら、それ以外の『お勉強ができない人間は野蛮で凶悪な性質を持っている』の？

　…実際にお読み下さい。

　世の大人たちは、馬鹿親や、指導力のない馬鹿教師といった『自分の頭で思考できない偏差値世代の大人たち』によって育てられた子どもたちの結果を、ゆとり教育のせいにしています。

　こんな頭の悪い大人だらけなんだもん。

　これじゃぁ、世の中、悪くなるわけだ。

　ものごとの本質を見抜けないなんて、正に偏差値教育の賜物ですね。

2012年