その頃
のびぞう 「ノラざえもん、竹トンボ返してもらってきたよ」
ノラざえもん 「ありがとう。のびぞう君、役に立つな」
のびぞう 「さあ、改めてヒネ夫の所へ行ってみよう」
ノラざえもん 「先に行っててくれないか」
のびぞう 「ボクが行ってる間に未来世界へ逃げ帰ろうなんて、ボクは許さないよ」
ノラざえもん 「何だ、分かってたのか」
のびぞう 「ノラざえもんは汚いよ。それでも男か?」
ノラざえもん 「一応、人間社会で違和感のないように男のようなテイストに設定されているけど、生殖機能はない。ロボットなんで生物学的な雄とか雌とかの区別はないんだな、これが」
のびぞう 「そうやってはぐらかしていればいいよ。ロボットだから、心も痛まないんだね」
ノラざえもん 「のびぞう君、キミは事の重大性が理解できていないみたいだね。のびぞう君に竹トンボを貸したのはボクだけど、死んだヒネ夫に竹トンボを貸したのはのびぞう君なんだよ。責任はキミにあるんだよ」
のびぞう 「それがどうしたの? 今は責任とか大人のようなこと言ってる場合じゃないんだよ。それにボクは現在社会の人間だから、時空裁判で裁かれることもない」
ノラざえもん 「甘いな。現世でも航空法と言う法律があるだろう。竹トンボで飛ぶことが航空法に抵触するかもしれないよ」
のびぞう 「え? そうしたらどうなるの?」
ノラざえもん 「法律を破ったらどうなると思う?」
のびぞう 「どうなるの?」
ノラざえもん 「例えばだ。人を殺したらどうなると思う?」
のびぞう 「死刑になる」
ノラざえもん 「竹トンボで空を飛んだのびぞう君は、法律を破ったかもしれないんだよ」
のびぞう 「え? じゃあどうなるの?」
ノラざえもん 「人を殺したらどうなると思う?」
のびぞう 「死刑になる」
ノラざえもん 「竹トンボで空を飛んだのびぞう君は、法律を破ったかもしれないんだよ」
のびぞう 「え? じゃあどうなるの?」
ノラざえもん 「おい。何回おんなじ質問するんだ? 航空法だけじゃないぞ、キミは移動ドアでシズミちゃんの家に行ったろ。アレは住居不法侵入だな。ほかにも電波法違反とか、迷惑防止条例違反とか、理容師法違反とか、思い返せば色々あるな」
のびぞう 「ど、ど、どうしよう。ボク、死刑になりたくないよ」
ノラざえもん 「そうだろう。だったらキミも証拠隠滅に協力するんだ」
のびぞう 「分かった。あとは何をすればいい?」
ノラざえもん 「そうだ。肝心なこと忘れてた。ヒネ夫が使ってた竹トンボを探し出さないと」
のびぞう 「わかった。今すぐ探してくるよ」
ノラざえもん 「頼んだよ。・・・ふう。のびぞう君、しっかりやってくれよ」
岩手県のバス“その頃”