共食いキャラ 〜駅弁編〜
「共食いキャラ」(注1)。
仲間を食材にしておきながら、その仲間を売り込もうとする姑息な動物たちを指す言葉です。しかし、彼らの中には決して悪意を持って行動しているわけではないものが多数います。人間たちの指示によって、知らないうちに自分の仲間、或いは自分自身が食べられてしまう。そんな悲しい運命の彼らをここに集めます。
ただし、「共食いキャラ」研究の先人たちの足跡を汚さぬように、ここではその対象を「駅弁」に絞って追うことにします。
(画像下の駅名はメインの発売駅で、購入場所とは限りません。年号は購入年を示します)
豚さん系
トンかつ弁当
(千葉駅 2010)
古くからのデザインと思しき黄色い賭け紙の駅弁で、価格も480円とお手ごろ。中身も透明タッパーにハムかつ程度のカツが載ったご飯で、駅弁というより商店街の総菜屋さんの弁当という感じ。
フライパンを持ったコックの豚は、自分が何を料理しているのか知ってか知らずか、目が逝ってしまっています。あんまり長い間自分の仲間を揚げ続けてきたせいでしょう。
トンかつ弁当
(千葉駅 2013)
上のトンかつ弁当の復刻版のようですが、ジャンボサイズのようで、価格もほんのちょっと高めです。
豚さんの親子はチンドン屋さんになって、とんかつ弁当を宣伝しています。
ところで、「とん」と「かつ」は平仮名で書くのとカタカナで書くのとどちらが正しいと思いますか? 答えは「とんカツ」が正解です。「とん」は日本語の「豚」、「カツ」は外来語の「カツレツ(Cutlet)」だからです。このページは勉強にもなるでしょう?
名古屋とんテキ
(名古屋駅 2014)
同じ名古屋でも松浦商店のシリーズとは真逆の地味な共食いキャラを展開する(株)だるまのとんテキ弁当。
地味なブタはコック帽をかぶり、「だるま秘伝の特製しょうゆだれ!」と呟いています。
裏面の原材料の所にも「トンテキ」と書かれていますが、トンテキは原材料名なのでしょうか。そもそもとんテキって何なんでしょう。昔は牛のステーキのことを「ビフテキ」と呼んでいましたが。
豚重
(南千歳駅 2015)
この豚野郎は間抜けそうだから、体に賞味期限のシール貼っちゃえ。
和豚 もちぶた照り煮弁当
(羽田空港 2010)
羽田空港の「空弁」です。
和豚を素材にした照り煮ということで、「和豚」の文字のところに顔の大きいブタが登場しています。彼の表情から察するに、役目をしっかり告げられずに連れて来られたようです。「とりあえずそこに立っててもらえばいいから」みたいな感じで。
「もういいの? 終わったの? 帰っていいの?」とちょっと不安げな表情になった彼のその後は不明です。
幸福の黄色い豚めし
(郡山駅 2011)
また頭の悪い共食いキャラが現れました。
「生姜味だよ♪」などと言いながら2匹で踊っています。気楽なもんです。
みちのくあったか豚みそ丼
(郡山駅 2011)
黄色い豚めしの続編が出ました。やはり「生姜でぽかぽか」などと言いながら踊っています。
その下には「豚も踊る美味しさ♪」などと書いてあります。しかし、踊ってしまったのは美味しいからでしょうか?
考えてみてください。皆さんも自分の大切な人が生姜焼きにされたとき、人食い人種たちを前にして、どう行動するでしょう。もう踊ってしまうしかないのではないでしょうか。
いわて黒豚とんかつ弁当
(秋田駅 2015)
「龍泉洞黒豚」と書いた黒い豚の部分はシールです。
なぜ印刷しなかったのか。いつでも剥がせるようにしたのか。であるのなら、多分、動物愛護団体から共食いキャラクターの展開について、何らかのクレームが発生していることが想像されます。
牛さん系
牛肉ど真ん中
(米沢駅 2010)
「おい、俺たちのどまん中ってどこだ?」
「ど真ん中って言えばヘソじゃね?」
「俺たちのヘソの弁当か。やなもんだな」
「じゃあこうやって口と口をくっつけりゃ、口と口がどまん中ってことだぞ」
「俺たちずっとこうやって口をくっつけるのか?やなもんだな」
牛肉道場
(米沢駅 2011)
「天下無双」とか「豪華絢爛」とか何だか自信に満ち溢れた言葉が散りばめられたパッケージですが、一番上に描かれた牛の落ち込み具合はなんと表現すればいいでしょう。杭につながれ、しょんぼりとうな垂れたその姿は、人間の快楽の陰で犠牲になる動物の悲哀を余す所なく表現しているといっても過言ではありません。
なお、左端の駅弁マークの下にある牛の笑顔のマークには、「ふざけんな」と言っておきます。
八甲田牛しぐれ煮弁当
(青森駅 2011)
他人の身体に「希少な、地方特定品種【日本短角種】の八甲田牛は、肉質が赤肉主体です。」とかって書いてんじゃねーよ・・・と八甲田牛が申しております。
近江牛焼肉めし
(草津駅 2016)
だーかーらー。
他人の身体に「豊かな自然と水に育まれた近江のブランド牛、歴史が生んだ深い味わいをご賞味ください」とかって書いてんじゃねーよ・・・と近江牛が怒り狂っております。
牛めし
(高松駅 2011)
瀬戸大橋の夕暮れを背景に、高松駅舎とにこやかでふくよかな牛さんが描かれたおいしそうなパッケージです。こういう風によく太らされた牛の絵を見て、「おいしそう」などと言ってしまう自分に、罪の意識を感じないかといえば嘘になります。
特撰元祖牛肉弁当
(松阪駅 2011)
日本で最初の牛肉を使った駅弁だそうです。さめると硬くなる牛肉を、さめても柔らかく食べられるようにしたそうです。それも牛肉の王様松阪牛を使っています。
しかし、箱に描かれた牛の顔は、牛のミイラというかゾンビというか恐ろしい顔をしています。こんな顔に睨まれながら、柔らかい牛肉を舌鼓を打つことができるのでしょうか。できました。
上州牛肉弁当
(高崎駅 2014)
極旨の上州牛をステーキ&しぐれ煮にしたという駅弁ですが、右下に牛の形の切抜きがあり、そこから中身が見えるようになっています。
この部分に牛が「いる」ということなのか、切り抜かれているので、「いない」ということなのか、もし後者であれば、ここには共食いキャラも存在しないわけで、ここでこの商品を紹介すべきであるのかないのかも悩む所です。そんな哲学的な悩みさえ生じさせるという高度な共食いキャラ駅弁なのでした。
肥後あか牛しぐれ弁当
(熊本駅 2015)
おなかがすいた肥後あか牛は、森の中で見つけたお屋敷で、何か御馳走になろうか、それともそこに住むばあさんを食ってしまおうか思案していました。
しかし、自分がしぐれ弁当にされてしまうと悟った肥後あか牛は、腰が抜けてしまって、もうどうすることも出来ませんでしたとさ。
鳥さん系
チキン弁当
(東京駅 2014)
駅弁としては古くからの定番の一つになったチキン弁当です。ケチャップ味のチキンライスを連想するオレンジ色のパッケージに、片手(羽?)を上げたニワトリのコックさんが描かれています。
自分の仲間を料理するコックさんという共食いキャラの王道です。
とりめし
(塩尻駅 2010)
丸々と太った鶏が嬉しそうに駆けて来る「とりめし」。どうして自分がここまで丸々と太らされたのか、知らされないまま走る先に、彼の運命を待ち構えている何かがあります。
とりそぼろ弁当
(長岡駅 2017)
既視感のあるニワトリだと思ったのですが、かつての「のりたま」のパッケージと似ているのではないでしょうか。いや、のりたまはタマゴの黄身とニワトリが一体化していたかもしれないな。でも脚の感じはそっくりだな。
このニワトリ、大きな黄身を見上げながら、声にならない声を発しているようです。
鶏めし弁当
(高崎駅 2010)
親鳥「さあお前たち、行っといで」
ヒナ鳥「どこへ?」
親鳥「駅弁工場だよ」
ヒナ鳥「お母さんは行かないの?」
親鳥「お母さんは行かないんだよ。大人になると肉が硬くなるから、食べられないんだよ」
親子めし
(静岡駅 2010)
親鳥「さあお弁当の時間だよ」
ヒナ鳥「お弁当食べるの?」
親鳥「いいや、お弁当になるんだよ」
ヒナ鳥「お母さんも?」
親鳥「いいや、お母さんがこれから産むタマゴとオマエがお弁当になるんだよ」
かしわめし
(折尾駅 2011)
折尾名物「かしわめし」は、鳥さんが「ケッコーなお味」とか言いながら呑気に歩いている楽しい賭け紙なのですが、その鳥さんの上にラベルを貼ってしまうデリカシーのなさには返す言葉もありません。命を賭けている共食いキャラを一体どう考えているのでしょう。
阿波地鶏弁当
(徳島駅 2013)
透明のパックにパソコンで印刷したような薄い掛け紙を掛けただけの簡単な駅弁。コルクのような地でできた鳥の絵は、肝心の顔の部分が折り曲げられてしまっており、上から見ると鳥だか何だか分かりません。
それにしても、食用鶏の名前を「阿波尾鶏(あわおどり)」と名付けているそうですが、その駄洒落精神をこの駅弁で押し出さないところに徳島県民の奥ゆかしさを感じます。
からあげべんとう
(新神戸駅 2015)
「なあ、俺たちの説明書きに『からあげべんとう』だってさ。笑っちゃうよな」
「おめえ、からあげべんとうの意味、分かってるのか?」
「分かんねえ。茶色くてカッコいいニワトリのことじゃね?」
「ちょっとちがうな。油で揚げた茶色くておいしいニワトリのことだよ」
みちのく銘柄鶏唐揚げざんまい
(上野駅 2014)
最近の駅弁売り場では、中身を見せることをメインにしていたり、大きなPOPを出していたりするので、どんな掛け紙かが見えないことが多いのです。
これを買った時も同様で、数多くあった駅弁の中から、名前を頼りに共食いキャラが描いてありそうな駅弁を選びました。
狙いは見事外れて、掛け紙は漫画家の伊藤理佐さんの描いた親子3人の漫画でした。
ところが、なんとその掛け紙の端っこ。つまり、箱の下に回ってセロハンテープで固定するあたりに、小さく3羽のヒヨコが描かれていたのです。「めし」「あが」「れ」などと言っています。
隠れ共食いキャラ弁当の登場です。
いばらきいいものとりあい弁当
(水戸駅 2017)
しいたけ、レンコン、ピーマン、栗など茨城県のいいものを抱えたニワトリ君です。おっと、タマゴが落っこちてるよ。
・・・って、取り合いされる対象に自分自身も含まれているかも知れないから、「原材料」欄をしっかり読んでみた方がいいと思うよ。
キャラクター系
みそカツ
(名古屋駅 2010)
これほど偉そうにした共食いキャラも珍しいと思います。腕を組んで「だがね。」などと言っています。裏面の説明によると、彼はこだわりの駅弁職人「松浦トン平」だそうです。
ただ、ここで気づいたのですが「みそカツ」という名前にブタの文字はありません。多分この料理人は自分で調理しながら、まさか材料にブタが使われていることに、とんと気づいていないのでしょう。右側にある「海老カツ付き」の文字を見て「海老はかわいそうだぎゃあ」などと思っているのに違いありません。
みそカツ丼
(名古屋駅 2010)
上と同じブタがまたいました。今度はみそカツのどんぶりを自から抱えています。その顔はちょっと嬉しそうです。パッケージの「丼」の文字を豚風にして、材料がブタであることをそれとなく教えているのに、このブタはまだ気づきません。
ついに全身を現したことで、下半身が裸であることを晒してしまった事からも、彼がかなり間の抜けた性格であることがわかってきました。
からあげ弁当
(名古屋駅 2010)
「松浦トン平」の同僚に「松浦とり吉」がいました。やはり「まじめな駅弁職人」だそうです。
敬礼しながら「食べたってちょ。」などと言っていますが、やはり「からあげ弁当」の文字の中には鶏肉であることのヒントはなく、彼は材料を知らずに働かされているもようです。
ひつまぶし弁当
(名古屋駅 2014)
ひつまぶし弁当には新キャラクターのウナギが登場です。ねじり鉢巻きをしたウナギの着ている法被には、「松浦うなポン」という彼の名前が書かれています。
これまで「松浦トン平」「松浦とり吉」という純日本人的な名前だったのに、「うなポン」とはどういうことでしょう。君はニホンウナギではないのか。そこいらのユルキャラに魂を売ってしまっていいのか。
モー太郎弁当
(松阪駅 2011)
「モー太郎弁当」という可愛い名前の弁当です。パッケージ(左)には薄く松阪牛が描かれており、黒い耳が覗いているのですが、開けてビックリ。黒いプラスチックケース(右)はリアルすぎる牛の顔。それも恨みを込めてこちらを睨んでいるようです。
「俺の肉を使ったおいしいすき焼き風の弁当を食べるのか?」と言っています。
この蓋を開けると、いきなり「ふるさと」のメロディが流れます。2度ビックリです。
モー太郎寿司
(松阪駅 2011)
どうやら「モー太郎」というのはこちらのキャラクターを指すようです。漫画風ですがキリリとした表情で列車の発車を見守っています。箱の中のシールによると「ボク日本男児です」だそうです。
どうせならこちらのキャラクターに統一した方が食欲が増すのではないかと思います。
対決系
前沢牛vs白金豚対決弁当
(八戸駅 2010)
東北の大自然に育まれた前沢牛と白金豚を素材にした駅弁です。
前沢牛は「おいらはカルビで勝負だ!!」と意気込み、白金豚は「こっちは特製ダレ生姜焼きで勝負だ!!」と負けません。暑い炎を背景にシルエットとなったこの二人(2匹)は、自分が言っている意味が分かっているのでしょうか。特に白金豚の方は、タレをつけられて焼かれると言う行為によって自分がどうなるのか想像したことがあるのでしょうか。
そして、この勝負に勝ったとき、彼ら自身は一体どうなっているのでしょう。
牛バラ焼肉vs白金豚焼しゃぶ対決弁当
(八戸駅 2011)
対決弁当の第2弾です。
前作がリアルなシルエットだったのに対し、第2弾では可愛い感じのキャラクターに変わりました。牛は「甘辛いタレがからまって、モーお箸が止まらない美味しさだぞ!」と怒った目を輝かせ、豚は「柔らかーい食感としっかりとした肉の旨みが自慢だよ!」と呼びかけます。
キャラクターにしたことによって、実は更に残酷さが増していることに、早く気付いていただきたいと思います。
奥入瀬黒豚vs十和田黒牛対決弁当
(八戸駅 2013)
対決弁当の第3弾です。
動物たちは炎のシルエットに戻り、対決宣言も彼ら自身ではなく、別人のナレーターが解説しているようにアレンジされています。
しかし、彼らのシルエットも、何年も不毛な対決を続けていることで、疲れが見え始めているようです。結局のところ、どっちも食べられてしまうのですから。
鹿児島黒豚イベリコ豚味くらべBOX
(出水駅 2014)
味くらべといいながら、鹿児島黒豚はしょうゆだれで、イベリコ豚は塩だれです。素材の味を比べたくても、味付けが違うのでは、比べようがありません。
大体パッケージからして、鹿児島黒豚とイベリコ豚と全く同じシルエットを左右逆にしただけの手抜きです。両豚のアイデンティティを全く無視しています。
別に今日の私の機嫌が悪いわけではありません。
鹿児島黒牛ステーキ弁当
(出水駅 2014)
共食いキャラを強さ弱さで表すことが間違いだとは言いませんが、「ギュージンガーブラック」と名付けた戦隊ヒーローに「食べるほどに、強くなる。鹿児島黒牛」などと説明を付けた掛け紙に、意図的なものを感じてしまいます。
ただし、この戦隊ヒーローが戦う相手が黒豚であったりしたら、それはそれで涙を誘います。
但馬牛めし
(姫路駅 2010)
これは頼もしい怒りを露わにした共食いキャラです。「食われてなるものか」という、普段の共食いキャラには不足している意志がはっきりと感じられます。
しかし、箱の横には「生体を「たじまうし」・牛肉を「たじまぎゅう」と読みます」などと、牛の神経を逆なでする台詞も書かれています。
とちぎ霜降高原牛めし
(宇都宮駅 2016)
掛け紙のデザインの背景に影絵のようにたたずむ霜降り高原牛の怒った目がこちらを睨んでいます。
しかし、掛け紙の側面には、とちぎ霜降高原牛のキャラクターと見られる丸っこい牛が笑っています。
さてさて、一体どちらが本当の彼を表しているのでしょうか。
共演系
東海道肉づくし
(東京駅 2017)
東京では「やきとり」などと呟きながらニワトリがカメラを持って観光中、名古屋ではしゃちほこを抱えた豚が「みそかつ」と叫んでいます。そして大阪では大阪城から「すきやき」とか言いながら牛が望遠鏡で眺めています。
楽しい東海道になりそうです。
上毛三山弁当
(高崎駅 2011)
「牛さん、もう少し我慢して塩焼きになってね。痛くないからね。あ、ブタさんはちょっとそこで待っててね」
こだわりのとんかつ弁当
(東京駅 2010)
筆字のタイトルと豚の尻尾、そして赤い判子のような豚が舌なめずりをしています。
何で舌なめずりをしているの? 何を食べたいの?
黒毛和牛のハンバーグ弁当
(東京駅 2010)
上の「こだわりのとんかつ弁当」のブタと同じポーズで舌なめずりをする黒毛和牛。今度は自分の仲間がミンチにされているというのにこんな顔です。
どうやらこれらはシリーズの弁当のよう。次は鳥の舌なめずりを期待します。
サンド系
梅林のカツ
(羽田空港 2010)
東京銀座のトンカツ専門店「梅林」のカツサンドが羽田空港で売られていました。
着物を着たブタが嬉しそうに三味線を弾いています。ちんとんしゃん・・・の「とん」が「豚」になっているようです。老舗と言うのも残酷なもんです。
ヒレかつサンド
(東京駅 2011)
ブタのヒレかつサンドなので、関係のない牛が半笑いをしている残酷なパッケージです(上)。
しかし、箱の右側面を見てみると、当事者のブタの家族が、優雅にお散歩中でした(中央)。ただし、その上にはやはり半笑いする牛が見え隠れしています。自然界の食物連鎖という残酷な現実の前で、この牛を責めようとは思いませんが、にこやかな休日を楽しむブタたちに何と言葉を掛ければいいのか、人の心を持つ者ならば、しばし悩むに違いありません。
そして、いざかつサンドを食べようと箱を開けたところ、更に衝撃的な現実に直面します。箱の蓋の耳の所には、ブタの家族と一緒になって、半笑いの牛の家族たちがピクニックをしているのでした(下)。
駅弁屋のカツサンド
(静岡駅 2013)
豚がこんなにニコニコしながら、富士山のふもとでカツサンドを食べることはありえません。とだけ申しておきます。
それよりも、カツサンドが5切れ中3切れだけで、残りはハムサンドとタマゴサンドだったことが、私にとっては非常に残念でなりません。
海の幸さん系
鯖威張る寿司
(新潟駅 2014)
「サバイバル」と「鯖が威張る」とを掛けるという小学生並の駄洒落をそのまま商品にしてしまうという度胸もたまげたものですが、鯖が威張るというイメージを鯖がメガホンを手に「この世は喰うか喰われるか」と怒り顔をするという姿に置き換えるセンスも大したものです。
しかし、「喰うか喰われるか」と威張ってみたところで、鯖は既に寿司にされてしまっている時点で、「喰われる」という選択肢しか残されていないわけで、この鯖も空威張りといわれてもしようがありません。
駅弁屋のいくらめし
(旭川駅 2015)
「うぇっ。この弁当は、いくらを使っているのか。いくら? いくらって俺の卵じゃねえのか? 俺の卵? 俺? 俺はオスか? ということは、俺は卵に精子をかけただけしかしてねえんだな。あんまり役に立ってねえな」
ビックリたこめし
(広島駅 2011)
「開けてビックリ、食べてビックリ!!」というビックリたこめし。
怪訝そうに表題を見上げるたこ自身はビックリする余裕さえありません。
元祖たこむす
(新大阪駅 2012)
大阪名物のたこ焼きとおむすびのかけ合わせ。
リアルなタコが「たこむす」を手に取り「ん? なんかちゃうやん・・・こりゃうまい!」と言っています。
そういやあ以前、上岡龍太郎司会の「大発見!恐怖の法則」という番組で、イカの水槽にスルメイカを入れると、イカが驚いて水槽から飛び出す・・・という法則をやっていました。そりゃあ、人間だっていきなり人のミイラが部屋に入ってきたら、驚いて逃げ出しますよね。
桜海老とじゃこの海物語
(小田原駅 2010)
桜海老といいじゃこといい、なんか優雅に仲良さそうに泳いでいるだけで、危機感が感じられません。「海物語」なんて月9のラブストーリーみたいな名前をつけてしまったので、彼らもそんなつもりで余裕こいているのでしょう。
桜海老2匹の体勢はちょっと気になります。
焼たらこトロ鮭弁当
(新潟駅 2013)
トロ鮭弁当になろうとしている日本海の鮭は、焼かれているのが誰のタマゴなのかが分からず、心が落ち着かない様子です。
「そのタマゴはタラのタマゴですよ」と教えてあげたところで、鮭自身も切り身にされてしまうことに変わりはありませんが。