その頃
のびぞう 「ノラざえもん。ボク、気になってることがあるんだ」
ノラざえもん 「体脂肪率かい」
のびぞう 「違うよ。もっと深刻な悩みだよ」
ノラざえもん 「来場所の番付編成会議だね」
のびぞう 「違うって。昔仲良くしてたみずきちゃんのことだよ」
ノラざえもん 「昔ったって、あんた、10年かそこらして生きてないでしょうに」
のびぞう 「ボクなりに昔なんだよ、5年前でも」
ノラざえもん 「5年前にみずきちゃんって子に何かしたのかい?」
のびぞう 「絵本を借りたまま返してないんだ。借りてすぐに、どこかに引っ越しちゃったんだ」
ノラざえもん 「返さなかった言い訳が上手になったね」
のびぞう 「本当だよ。だから、返すために、引っ越し先を知りたいんだ」
ノラざえもん 「無理だよ、そんなこと」
のびぞう 「無理じゃないでしょ! ♣どこでも電話帳!とかってないの?」
ノラざえもん 「お! あるある。♣どこでも電話帳!」
のびぞう 「よし調べよう。よし分かったぞ。さあ行こう」
ノラざえもん 「手早いな。じゃあ行こう」
のびぞう 「着いたぞ。この街か。あ、いた!」
ノラざえもん 「もう見つけちゃったのね。場面転換ハヤ!」
のびぞう 「じゃあ、ボク絵本返しに行ってくる」
ノラざえもん 「今回は簡単に終わったな。やれやれ」
のびぞう 「ノラざえもん、大変だ。みずきちゃんが悪い奴らにいじめられてるよ。助けてやってよ」
ノラざえもん 「え? 僕は喧嘩は強くないからさ、のびぞう君に任せたよ」
のびぞう 「ボクだって弱いに決まってんだろ。なんか道具出してよ」
ノラざえもん 「喧嘩を止める道具だね、ちょっと待ってくれよ。ええと、喧嘩を止める奴、喧嘩中止、喧嘩やめて、と」
のびぞう 「何してんの?」
ノラざえもん 「ちょっと黙っててね。今検索してるから」
のびぞう 「早くしてね」
ノラざえもん 「500件くらい出てきたけど、喧嘩の原因は痴話喧嘩かい、それとも兄弟喧嘩、親子喧嘩?」
のびぞう 「どれも違うよ。弱い者いじめだよ」
ノラざえもん 「もう1回検索、いじめを止める・・・いじめを止める・・・」
のびぞう 「何ノロノロしてんだよ、みずきちゃん、お気に入りのペンダント取られちゃってるよ」
ノラざえもん 「お、出た出た、♣しめじ抜きの味噌汁!」
のびぞう 「いじめを止めるんだよ。しめじを抜いてどうするんだよ!」
ノラざえもん 「急がせるからあ」
のびぞう 「♣いじめっ子を追い払う犬!とかないの」
ノラざえもん 「♣いじめっ子を追い払う北川景子!ならあった」
のびぞう 「追い払えてないよ。なんか強面の男どもがいっぱい集まって来ちゃったよ」
ノラざえもん 「でも、このすきにみずきちゃんを救い出すんだ」
のびぞう 「救い出したよ。でも、みずきちゃん、ペンダントも帽子も手袋も自転車の鍵も、あいつらに盗られちゃってるんだよ」
ノラざえもん 「しょうがない奴らだな。大事な絵本を盗るなんて」
のびぞう 「違う違う、絵本はボク、今度のはペンダントに帽子に・・・」
ノラざえもん 「人のものを盗るなんて、罪は同じだ!」
のびぞう 「だから絵本は今返すよ。早く盗られたペンダントと帽子と・・・」
ノラざえもん 「ええと、盗られたものを取り戻す道具・・・検索」
のびぞう 「早くしてよ。あいつら、北川景子の後ついて行っちゃうよ」
ノラざえもん 「急がないでよ。色々ある道具の中から一つを見つけ出すことの大変さを小学生の君に分かれというのは無理かもしれないけど」
のびぞう 「能書き長いよ! ♣取り戻しマジックハンド!とかないの?」
ノラざえもん 「あったあった♣取り戻しマジックハンド!」
のびぞう 「ありがとう、これで何とかするよ」
ノラざえもん 「やれやれ、あいつ、意外と道具の名前覚えてるんだな。てか、特定の記憶力だけがいいのかも知れないな」
岩手県のバス“その頃”