平成20年6月(水無月)の短歌
わが下駄の音澱みたる湯の町に空低くして夜霧たちこむ
(わがげたの おどよどみたる ゆのまちに そらひくくして よぎりたちこむ)
指間よりこぼるる清水のひいやりと微かに川の匂い沁みくる
(ゆびまより こぼるるしみずの ひいやりと かすかにかわの におい しみくる)
船底の大きく揺れて蛇行セり 阿賀ノ川の流れいと変わるらし
(ふなぞこの おおきくゆれて だこうせり あがのがわのながれ いと かわるらし)
早苗田の真直中を走り来てインターチェンジに遠かわず聞く
(さなえだの まっただなかを はしりきて インターチェンジに とおかわずきく)
耳鳴りかと歩を緩めれば浅草岳の裾野うずめて春蝉の鳴く
(みみなりかと ほをゆるめれば あさくさだけの すそのうづめて はるせみのなく)
もうとっくに入梅しているのに一向に雨らしい雨が降らない。よどんだ空気がじっとりと体にまつわり、今にも降り出しそうになるのだが・・・。もしや?と思い、草花の水やりをしないでいるときに限って陽が差して暑くなる。まったく今年は「気まぐれ」な6月。
そのせいだろうか。紫陽花の開花が遅いように思う。梅雨の中で、まあるく盛り上がって咲くアジサイが好きなのに。先月、屋久島へ行ったときに見たアジサイはふんわりと大きかった。やはり、今年の新潟の6月はちょっと異常気象になっている。後でまとめて大雨にならなければ・・・と私の力ではどうにもできないことを念じているこのごろである。
街路樹の木の葉揺らして緑風は梅雨夕焼けの埠頭へ渡る
(がいろじゅの このはゆらして りょくふうは つゆゆうやけの ふとうへわたる)
菜を刻む音の確かさ主婦吾のたつきのリズムは厨より始む
(なをきざむ おとのたしかさ しゅふわれの たつきのリズムは くりやよりはじむ)
想い出は色を保ちて蘇る吾が見えし日のメガネかくれば
(おもいでは いろをたもちて よみがえる わがみえしひの メガネかくれば)
探せどもみつからざりき腕時計雨降りて着たるコートより出ず
(さがせども みつからざりき うでどけい あめふりてきたる コートよりいず)
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