平成20年5月(さつき)の短歌
写真:二輪の赤いカーネーション
耳慣れぬロックを厨に響かせて娘は母の日のケーキ焼きいる
(みみなれぬ ロックをくりやに ひびかせて こは ははのひの ケーキやきいる)
オルゴールゆっくりとなり止まるとき 過去にふれたるひそかな想いに
昨年の「母の日」に娘夫婦が植えてくれた芝桜がみごとに咲いた。20株ほどが色を競い合い、まるで花模様のじゅうたんを敷いたように。今年はカルミヤと西洋シャクナゲを植えてくれた。「水をやっておいたからね」と大人びた声が頼もしい。いつの間に気の利く子になったことかと・・・。
だが、その喜びもほんのつかの間。水やりをしたのは自分たちが植えた芝桜と今日のプレゼントだけ。すぐ隣にある私が育てている草花は、2,3日続いた晴天にしおれたままだったのだ。
野良仕事の母の帰りを待ちながら夕焼けの空見ていし日のあり
吾にまだ母あることの嬉しくてブローチのカーネーション赤きを胸に
針箱の母の指ぬき節くれの吾の指になじみて母の温とさ
(はりばこの ははのゆびぬき ふしくれの あのゆびになじみて ははのぬくとさ)
夜更けまで縫い物していた母でした 象牙の篦のすべすべとして
(よふけまで ぬいものしていた ははでした ぞうげのへらの すべすべとして)
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