オペラ「カルメン」研究 〔HOME〕 〔音楽関係〕 〔スキー関係〕 〔掲示板〕



現時点での結論A(2012.11.29)


 ”意思”。自由にプラスという印象。

 我々が生きる世界は、”意思”の織りなす世界と捉えるほうが自然なのではないか?






現時点での結論(2011,10,27)


 やっぱり現時点においても、主題は”自由”なのではないかというのが結論です。

 ジプシーの開放的なイメージは何故か、魅力的に感じる部分があると思うのです。


 このオペラはストーリーが強烈で、男女の恋のもつれから起こる殺人だから、ある意味、主題が埋もれてしまいがちではあると思うのだけど、本当の主題を探させる仕掛けがいっぱいあることに何度見てもおもしろい、噛めば噛むほど味が出てくるような芸術作品になっているではないか、というのが結論です。





強弱記号からの考察 (2010,07,30)

 
 表現したいこと、= 強弱記号最大 

ともし仮定したとすると。

 2幕の最後”自由”を主張する場面でフォルテシッシモ、fff 、の場面がでてきます。

 〈カルメン〉
 ああ!サエない言葉ね!
でも いいわ!そのうち慣れるわ
あんたが目にすればね
とても素敵な さすらいの人生を!
世界が故郷 望めば それが掟!
そして何より素晴らしいのは 自由よ!


〈女達〉
ついて来るのよ 野を横切り
一緒に来るのよ 山の中を
ついて来るのよ そして慣れるの
あんたが目にすればね 遠くまで・・・


〈男達〉
友よ ついて来るのだ 山の中を・・・


〈合唱〉
広々とした空!



 ここで、ちょっと思う疑問点。

 第2幕でのある意味”結”なのだとおもいますが、本当に主張のメインであったのであれば、4幕(カルメンは3幕で3幕の1場、2場、というふうに書かれる場合が多々あります)にあっても良いと考えることができます。

 もう一つの疑問点は、”自由”ということに関してのイメージです。

 考えることとして、見田宗介の言葉を借りると、

 自由とは、魅力的ではあるのだけど、さびしくもあるのではないか?

 人間の欲求 = 出会うこと、と、支配すること


 いずれにしても、台本のメイヤックとアレヴィの対置のうまさというところに置かれてしまいそうではありますが・・。


 メイヤック、アレヴィ、ビゼー、もし可能であれば当時の3人のやりとりを観てみたいです。






オペラ「カルメン」(2008,10,13〜随時更新 最新:2010,06,28)

 
 オペラ「カルメン」の魅力

 このオペラが持つ魅力とは何なのか。おそらく一生をかけてもすべてを解明できないであろうと思うけれども、突き動かされずにいられないものがあります。

 具体的に文章化するのに必要な、多少のイメージはあるけれども、まだそれも定まったものでもないです。なので、途中、内容的に紆余曲折するとかなりの確率であるのだけれど、進めていけたらと思います。

 大枠として(この大枠も揺るぐこともありそうですが)、


 1.オペラ「カルメン」紹介

 2.ビゼーの音楽

 3. オペラに出てくる人間感情

 4.オペラ = 人生読本

 結. カルメン = みえないものを、みえるもの、とする芸術


という展開にしてみようと、今は、思っています。





1.オペラ「カルメン」紹介


 自分はサックスが趣味なので、なにげなく買ってきたCDにボルヌという方が作曲した、「カルメン幻想曲」というのを聴いたのがきっかけです。

 サキソフォンのCDの多くを紹介しているこのサイトのそのCDを紹介しておこうと思います。

http://www.iwakami.ne.jp/~mcken/sax/asatry-k.html

 なんか、かっこいい曲だからやってみたいという気持ちがおこって、実際にピアノの方ともあわせて、演奏をしました。

 そしてまた、バイオリンの「カルメン幻想曲」も聞き、そして、カルメンのオペラが収録された、DVDを観、実際の上演を音楽ホールで観、ツボにはまった、としか言いようがありません。

 何に惹かれたのか、冷静に分析していくと、こうではないかと思います。

 ビゼーの魅力あふれる音楽 → ストーリー → 各々の役への感情移入 → オペラのスケールの大きさ、表現力の力強さ

といってよいと思います。


 今自分が今現状知っている(購入して観ている)DVDと音源をまとめてみました。どれもお店で見つけて購入したので、比較的手に入りやすいものと思います。

・DVD

発売元 お気に入り度(★5つ満点) コメント
株式会社小学館 小学館DVD BOOK 魅惑のオペラ
第3巻 カルメン
グラインドボーン・フェスティバル・オペラ
☆☆☆☆☆ 初演当時の再現性は、もっとも高いと言えるでしょう。完全なオペラコミック形式。
世界文化社 DVD決定版 オペラ名作鑑賞9
カルメン

(オーストリアザンクト・マルガーレーテン音楽祭))
☆☆☆☆
同上 同上

(ナポリ・サン・カルロ歌劇場)
☆☆☆
ユニバーサルミュージック株式会社 ビゼー 歌劇《カルメン》全曲
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
☆☆☆


・CD

発売元 お気に入り度
東芝EMI株式会社 マリア・カラス
ビゼー 歌劇「カルメン」全曲

プレートル指揮 パリ国立歌劇場管弦楽団
/ルネ・デュクロ合唱団 他
☆☆☆☆
株式会社 BMG JAPAN ビゼー:歌劇「カルメン」〔ハイライト〕
カラヤン&ウィーン・フィル
☆☆☆


・実際に鑑賞した上演

年月 場所 お気に入り度 コメント
 2011年9月  なら100年会館  ウィーンの森Buhneバーデン市劇場 歌劇カルメン  ☆☆☆☆☆☆  
2010年11月 森ノ宮ピロティホール 喜歌劇楽友協会「カルメン」 ☆☆☆☆
2010年10月 神戸ホール キエフオペラ「カルメン」 ☆☆☆☆☆
2010年6月 芸術劇場 新国立劇場「カルメン」 ☆☆☆☆☆
2009年6月 兵庫県芸術文化センター 佐渡裕芸術監督「カルメン」 ☆☆☆☆☆
2008年11月 大阪フェスティバルホール ローザンヌ歌劇場「カルメン」 ☆☆☆☆☆



・参考文献

発売元
新書館 カルメン プロスペール・メリメ 工藤庸子訳・解説
音楽之友社 名作オペラ ブックス8 ビゼー カルメン



おそらく 2. 以降の話では、上記の文献の引用が増えると思います。


 今後の展開のキーワードと、ポイントとなる上記参考文献の引用部分

〈 キーワード 〉

・ニーチェ ・写実主義 ・ディオニュソス的 (・見田宗介((参考:気流の鳴る音自我の起源 ・宮沢賢治)) ) 


〈 参考文献の引用 〉

 「人生におけるあらゆる局面が《カルメン》の中の音楽のどれかを割り当てられる。
我々の経験はそのひとつひとつが《カルメン》の中の何らかの曲と密接に結びついている。《カルメン》は舞踏の最も高次の意味での人生読本となった。これはディオニュソス的奇蹟である。」(P.253)

 この方は、このオペラは台本ありきではなく、このビゼーの音楽そのものなのだということを主張します。

 たしかに、このオペラは台本があってできているのだけれども、音楽がその瞬間瞬間のその役の感情を表現するのみにとどまらず、物語が進んでいくのも、この音楽があるから、というか、音楽がそのもの、という錯覚(この表現が正しいのかわかりませんが)に陥るときがあるのです。


 エゴン・フォスは上記の参考文献の中で、従来のカルメン像は真のカルメンか、副題、伝統的解釈に対するアンチーテーゼの試み、としてカルメンの死に対して、最後にこうしめくくっています。

 「彼女が死ぬことを了承するのは、希望が全くない―――それは絶望と言ってもいいかもしれない―――からであって、カルメンが持っていると思われている、あの自然との関係から来る運命に対する従順さからではない。カルメンは自分の人生の悲惨さからの逃げ道として死を選ぶのだ。」(P.35)

 自分がこのオペラを観たときの感じ方とはあきらかに違うものです。死を恐れることなく自分の意思を貫く、強い女性という印象であったのですが、これが、世の一般的な見方だと思います。

 このように、一見、自明のこととして、捉えていたものを、もしかしたらそうではないのかもしれないという、見方をすることで、また興味深いものに、見えてくることがあります。

 何はともあれ、このオペラが人を惹きつけるものは、何なのか、そこにちょっとでも近づけたらと思います。

 (プラスアルファ、触れておきたい項目 → @初演当時の評価、Aギローのレチタティーボ版とアルコーア版オペラ・コミック形式)



 2.ビゼーの音楽


(研究中)


 3. オペラに出てくる人間感情

 列挙すると

 ・故郷の愛着     (第1幕 二重唱)
 ・母親への愛情   (第1幕 二重唱 及び 第4幕 カルメンから離れる場面)
 ・ミカエラへの愛情  (第1幕 二重唱 )
 ・カルメンの魔力   (第2幕 愛の歌)
 ・軍隊を捨てられない感情 (第2幕 カルメンの踊りの前)
 ・ジプシーの主張 (第2幕 冒頭)
 ・占いへの傾倒 (第3幕)
 ・力の顕示 (第4幕 エスカミーリョ)



 4.オペラ「カルメン」 = 人生読本




 結. カルメン = みえないものを、みえるもの、とする芸術


 結論として、何がこのカルメンの魅力となっているか、説明すると以下のとおりです。

 現在の世の中でも存在しえる事象のなかで、存在するのだけど、存在を意識されないものがいっぱいある。それを、明るみにだすこと。このオペラ「カルメン」は、メリメの小説を題材に、ビゼーの音楽の工夫と、なお今でも、この作品にかける音楽家らが、その多くを明るみにだし続けている、と言えるのではないだろうか。

 というのが、結論です。


続く・・・


(追加で触れておきたい項目 → メリメの小説 カルメン)

 (2010年6月現在 加筆、修正中)



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