● 第7話 うらないなんて信じない! ●
<あらすじ>
メモルがマリエルとピアノを弾いて遊んでいたら、ピアノの弦が切れてしまいました。
「これは不吉の前触れです」とペネローペさん。
マリエルは、メモルに何かよくない事が起こるのではないかと心配します。
気になったメモルたちは、村の占い師ガルダさんにうらなってもらいますが、
占いの結果が出るまでは二、三日かかるといいます。
そんなとき、ボオボオがケガをして飛べなくなってしまいました。
治るまでは、マリエルの家まで行けません。
メモルたちは、マリエルに事情を伝えられないことが気にかかって仕方ありません。
マリエルはとうとう、お屋敷の窓から抜け出して森へ出かけ、森の中で迷子になってしまいます。
ボオボオの代わりに、バオバオに乗ってマリエルの山荘に行こうとしたメモルは、
バオバオの方向音痴のおかげで偶然マリエルと合流します。
木の実を摘んで、火をおこして。メモルや森の動物たちと楽しいひとときを過ごしたマリエル。
探しに来てくれたペネローペさんやジョルジュに発見されて、無事山荘にかえりました。
メモルがリルル村に帰ると、ちょうどガルダさんの占いの結果が出たところでした。
「占いの結果は、不幸にならない、と出ましたぞ!」
「わあ、当たったわ!」
そうです。メモルもマリエルも、だれも不幸になんかなりませんでした。
<甘辛コメント ●「甘」●〜萌えドコロ> 第7話は、はじめて山荘の外にでたマリエル「マリエルの冒険:第二弾」です。 (第一弾は第5話…マリエルは部屋を出て山荘の中を歩きました) 自分の足で外の世界を歩きはじめたマリエルは、メモルのおかげで森の楽しさに気づき、束縛のない自由な世界の開放感を覚えます。 私好みのディテールが満載の今回。いつものように冒頭から追って行きましょう! ●演出 和やかな練習の中、突然大きな音を立ててピアノの弦が切れてしまいました。 あわててペネローペさんが部屋をたずねて来たので、メモルは花瓶に入っている百合の花の陰に隠れます。 百合の花の間に見え隠れするちいさなメモル。 ペネローペさんが不吉な話をしたとき、メモルが思わず身じろぎした拍子に花びらがヒラリとこぼれます。 くう!キレイだ! 同じようなシーン(ペーさんが現れて身を隠すメモル)というのは何度もあるのですが、この百合の花に身を隠すメモルは個人的に非常にお気に入りです。 いやな予感は的中します。ボオボオが怪我をしたために、マリエルとメモルはしばらく会えなくなってしまったのです。 二人の不安は日を追うごとに高まります。 しかも、メモルに何が起こったのかまったくわからないマリエルの方が、不安は大きいようです。 ●アンビバレント 「薬なんか、飲まないわ!私はもう病気じゃないもの」 イライラしたマリエルは、作中はじめて(だと思う)ペネローペさんに反抗的な態度を見せます。 ところが、 「…そうですか。それでは街のお屋敷に帰りましょう」 ペネローペさんは冷ややかに言い放ちます。 「街へ…!? …いいわ、飲むわ」 おとなしく従うしかないマリエル。 そうです、マリエルは「健康」になったら、この別荘を離れなければならないのです。 つまり彼女は「病気」だからこそ、メモルと会っていられるのです。 このアンビバレントな状況に、マリエルは「当分の間、”病気”でいる」事を選ぶほかありません。 視聴者はマリエルに「元気になってほしい」と願う一方で、マリエルが元気になったらメモルとのことはどうなってしまうのだろう、という一抹の不安を覚えます。 この不安は、メモルとマリエルの無邪気な友情の底辺にいつもあります。 その緊張感がまた、二人の間柄を何ものにも代えがたい、特別なものにしていることも確かです。 このことについては後のエピソードへのコメントでまた触れることになるでしょう。 ●いよいよ「マリエルの冒険」 マリエルに現在の状況を伝えたいメモルたちに、リュックマンが与えたアドバイスは「大声で叫んでごらん」ということでした。 「声は届かないかもしれないが、気持ちは届くかもしれないぞ」 いいですねえ。このやさしさがリュックマンです。 直接的にマリエルの不安を減らすことができないのであれば、彼はむしろ、「何もできない」と不安になってしまうメモルたちの心情をフォローしているのではないでしょうか。 確かにその声はマリエルには届きませんが、大声でメッセージを伝えようとすることによって、メモルたちのストレスは多少解消したんじゃないかと思います。 さて、そんなグッドアドバイスをくれる人が誰もいない(哀)マリエルは、不安に駆られてとうとう窓から外へ飛び出してしまいます。 (窓から下半身だけ出してバタバタしてるマリエル、めっちゃ愛しいです) 普段のマリエルからしたら、信じられないほどの行動力です。 ほんと、ぎゅーって抱きしめてほめてあげたいくらいです(やめい)。 あてもなく、森の中でメモルの名前を呼び続け、そしてあっさり迷子になる(笑)マリエル。 無謀というのは簡単ですが、これが、彼女が自分の環境に抵抗して起こしたはじめての「アクション」です。 ●森の中で 暗い森の夜、突然現れたキツネにおびえるマリエル。 森の泉に手を浸し、水を飲んでそのおいしさに驚くマリエル。 はじめて自分の意思で行動しはじめたマリエルは、いろんな表情を見せてくれます。 といってもこのまま森の中をさまよい続けたら大変なことになっていたでしょうが、メモルが方向音痴のバオバオに乗っていたおかげで、森の中にいたマリエルに会うことができました。 いつものようにボオボオに乗っていたらマリエルとはすれ違ってしまうわけで、うまいストーリー運びだなと感じます。 会えない間お互いを心配し続けたメモルとマリエル、喜びの再会です。 しかし… … …うーん、こんないい所でオープニング画像の使いまわしはどうかなあ…! 残念。せっかく前半からずうっと引っ張ってきたのだから、ちゃんと描きおこしてほしかったです。 森の木の実をいろいろと摘み、切り株のテーブルに並べて食べるメモルとマリエルの楽しそうなこと。 森の動物たちもお相伴です。 さくらんぼにぶどう、野イチゴ… 季節感無視ですがもうそんな野暮なことはいいません(笑)。 そして水晶かなにかで太陽光を集めて火をおこすメモルとマリエル。 なんて楽しそうなプチ・キャンプ。 マリエルにとってははじめてなことばかりで、そのはしゃぎようは並大抵ではありません。 第7話はこのシーンに尽きると思います。 ●「帰りたくない、私」 マリエル:「こうしてメモルとずうっといられたらいいのになあ」 メモル:「マリエルが戻らないとみんなが心配するわ」 マリエル:「私のことを心から心配してくれるのは、メモルだけよ」 メモル:「……」 見返してみて、先ほどのプチ・キャンプよりもある意味印象的だと感じたのが、マリエルとメモルのこのやり取りです。 マリエルは現在の自分の環境に物足りなさを感じはじめています。 その空虚感がなんなのか、まだはっきりとはわからないのかもしれませんが、 「メモルはいいわね、小さいから、雨でも風でも寒さでも、何でも防ぐことができる」 ここでは自由で健康なメモルへの羨望として、その気持ちが表に出ています。 「話すことなんて何もないわ、私ずっと寝たっきりだったんですもの」 第4話でマリエルはそういっていました。 病弱で孤独で束縛された自分しか知らないマリエルは、その生活に不満を持つことはありませんでした。 でもメモルに出会い、森の中で自由なひとときをすごしたことで、 マリエルは自分の生活が(病気というだけではなく)いかに不健康なものか、次第に気づきはじめます。 それでも、迎えに来たペネローペやジョルジュたちにおとなしく保護されるマリエル。 どんなに空虚な生活でも、山荘に帰らなければ自分は何もできない(雨をしのぐ方法すらない)ことがわかっているのです。 肉体的にも精神的にも、「健康」に向かいはじめたマリエル。 でもまだひ弱で、はっきりと何かに反発するエネルギーを持ってはいません。 * 最近マジメなコメントが長くなる傾向にあり疲れます(笑) さてマニアな萌えどころ♥(^^;) 今回小物が非常にそそります。 まずは負傷したボオボオを運ぶ荷車を、ハムスターみたいなずんぐりむっくりのネズミがひいてるんですがこれがラブリー。 (今回動物さんたちが普段にも増してかわいいです) マリエルの家にいくためにルパングとピーはドングリのイカダで湖を越えようとしますが、これもまた萌えるアイテムです。 それからリュックマンが石臼でぶどうをつぶしてジュースにしているところとか、 あからさまに魔女ふうの占い師ガルダさんの家がカボチャでできているところ、 メモルがおもむろに取り出す火おこしの水晶?もメルヘンですよね〜! イカダをナマズに壊されておぼれそうなピーとルパングを勇ましく助けにいくポピットもいいですが、ぬれた服を乾かす間葉っぱにくるまって頭だけ出してる男の子3人もかなりイイです。 それにしてもパジャマのメモルはかわいい(みつあみ♥)。 |
<甘辛コメント ●「辛」●〜つっこみドコロ> <甘>が非常に長くなってしまったしそんなに辛口になりたいとも思わない出来なので、ちょっとだけ。 ●これも連弾?(笑) 冒頭、マリエルがピアノの練習をしている手元の鍵盤を飛び回るメモル。 これってマリエルが弾く曲の手伝いをしてるんでしょうか? つまり、メロディーの一部を(しかも飛び飛びの一音一音を)メモルが受け持ち、マリエルはその音を飛ばして弾いているんでしょうか? だって全体の音(曲)に破綻がないもんねえ。 だとしたらおそろしく高度な技だと思われます。 すごいぞメモル&マリエル。 ●ガルダさん 大仰な祝詞(のりと)をあげたあと、どうやって占うのかと思えば、 「メモルは不幸に〜…なる〜!…ならない〜!」 といいながら木の葉をむしりはじめたガルダさん。 このバカバカしさはリルル村らしくてすごくオッケーだと思いますが、 メモルたちは、ガルダさんの占いはよく当たるからな、といっているのに占いのやり方(と所要時間)を知らなかったみたいな感じで、なんかヘンです。 ●ラスト マリエルが無事山荘に帰って、めでたしめでたしのラストシーン。 「最後の一枚…不幸に、ならない〜!」 ガルダさんの占いが終わったそのとき、メモルの乗ったバオバオが村に帰ってきます。 「メモル、占いの結果は、不幸にならないと出ましたぞ〜!」 「わあ、当たったわ!」 …ちっとも当たった気がしないのは気のせいなのか。 このナンセンスさはおとぼけとしては結構面白いと思うのですが、 占いってなんだっけと思ってしまうのは私だけでしょうか(笑)。 そして今回のタイトルは 「うらないなんてしんじない」 なんですけどね。(こっそり) |
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●勝手に総合評価(★5つが最高評価) ストーリー:★★★★☆ 萌え度:★★★★☆ 作 画 :★★☆☆☆ かなり魅せるところの多い回だったと思いますし、マリエルの変化をていねいに描いているのはすばらしいと思います。 ただし作画については、全体の水準は普段どおりですがオープニング映像丸写しが大きな減点。 |
2003.05.05 記
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