第5回 ホームパーティー



  フランス滞在も10ヵ月が過ぎ、そろそろ夫の職場のフランス人たちを招いて、ホームパーティーをしようということになりました。、家の広さを考えて、限界ぎりぎりの8人に声をかけたのですが、そのうちの1人が「そんなにたくさん声をかけて大丈夫?」と夫に言いにきました。「8人ならなんとかなると思う」と言うと、「いや8人じゃすまないよ、きっと」とフランス人。ん? 話を聞くと、フランスではたとえホームパーティーでもカップルで出席するのが普通で、1人に声をかければ、その人のパートナーも一緒に誘ったことになると言うのです。と、ということは、8×2=16人! 「どうしよう〜」と夫もわたしも真っ青。でも幸い(?)にも、2人が欠席、パートナーを連れて来る人も1人だけで、結局7人となりました。ふう、よかった……。次に悩んだのが料理の献立。いろいろ考えたあげく、彼らも日本人の家に来るのだから和食を期待しているだろう、とオール和食にすることにしました。

 さて、パーティー当日。フランス人はすごく食べるので、用意した料理も10品以上。でも今さらながら、オール和食で大丈夫だろうかと心配になってきました。初めて和食を食べる人もいるようだし。でもこれは杞憂に終わりました。食べることが大好きな彼らは、どんなものにもまずチャレンジ。真っ黒いひじきの煮物も、躊躇することなくパクリ。なんと、これが大好評。醤油味がフランス人の口にあったのか、みんな食べること、食べること。大皿に盛った鶏の唐揚げや肉じゃがは、あっという間になくなり(肉じゃがのお汁までスプーンですくって、ちらし寿司にかけている人もいました)、土鍋に入れたそうめんも(そうめんつゆまで!)、デザートのおしるこもまたたく間に彼らの胃袋へと消えていきました(でもあれだけ勢いよく食べていながら、お皿に残った最後の1個(1すくい)を譲り合うところは日本人みたいで、ちょっとおかしい)。これだけ食べてくれれば、作った甲斐があるというものです。

 午後7時に始まったパーティーは夜中の12時にお開きになりました(こちらのホームパーティーは8時頃始まって、真夜中過ぎまで続くと聞いていたので、早めに始めてよかった……)。朝から立ちづくめだったわたしは、このあとソファーに倒れ込み、そのまま沈没。夫は夜中の2時までかかって後片づけ。お互いご苦労さまでした。


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