廃車体は生きている

バス集会所

地域の集会所として利用されているバス廃車体です。これもバスラーメンと同様、各地で見ることができる廃車体の利用方法です。
バスを活用する理由も恐らく同じで、建物を建てるための費用や手続き、税制面のメリットによるものと推測できます。もっとも最近ではバス車体の維持や防犯上の問題などからか、こういった集会所も減少傾向にあるようです。

下金地集会所
シビリアン

撮影:美咲町(2022.7.30)

日産シビリアン

かなり標高の高い集落の道端に置かれたマイクロバス。SNSでも人気とのことで、地元の観光パンフレットのサイクリングガイドにも載るという有名物件。場所を隠す必要もないので、名前も所在地も書いておきます。
しっかりとした瓦の屋根が掛けられ、出入口には新聞受けも設置されています。

集会所
MR470

撮影:Kj様(岐阜県 2018.4.3)

名古屋鉄道 三菱MR470
MR470

撮影:Kj様(岐阜県 2018.4.3)

とんでもない細い道を入った奥にあるというバス集会所。屋根だけでなく、四方も囲われており、よほどの興味がないとバスだとは分かりません。
前ドアと右側面中央の非常口が出入口として使われているようです。右側面のエンジン蓋の所で囲いが切れているのは、これを何かの入れ物に使っているのでしょうか。
ドアや窓の形状などから、三菱ボディのMR470で1964〜66年式と思われます。非常口の窓が固定窓になっています。

公園の集会所
E690

撮影:埼玉県(2012.3.18)

日産自 E690

公園の片隅に置かれた青いバス。看板はありませんが、建物用のドアや室外エアコンの存在(後ろ面にあります)、公園という立地などから、集会所に分類しました。
富士重工製ボディの場合、キャブオーバー車は丸型の旧タイプのボディで作り続けられていましたが、1970年頃には13型と呼ばれるヒサシつきボディに変わりました。
日産「キャブスター」の流れを汲みますが、この年式では単に「ニッサンバス」と呼ばれていたようです。

町内会館
BU10

撮影:北海道(2021.6.6)

くしろバス いすゞBU10

いすゞのワンマンカーで、元くしろバスだと思われます。
屋根が付けられ、左の建物に頭を突っ込んだような状態です。左端にドアがあり、ガラス張りの窓からバスの前面が見え、まるで博物館で展示されているようです。
ボディ後方の特徴から、1969〜70年式くらいだと思われます。

公園の集会所
BU10

撮影:和歌山県(2018.6.24)

南海電鉄 いすゞBU10

公園の中に置かれた集会所。正面が視野拡大窓の車両をこういう形で残していただいています。
脇にはエアコンの室外機も置かれており、集会を開くときにはエアコンも使えるようです。
台座に「S57.10 起工」というプレートも丁寧につけられています。この車両が1969〜70年式ですので、1982年に廃車になったとすれば、計算は合います。

自治公民館
RC300P

撮影:宮崎県(2018.11.27)

日野RC300P

入口部分が建物とつながれて、車内が座敷になった自治公民館。屋根が掛けられ、建物用のエアコン室外機が見えます。
立地的には宮崎交通エリアですが、この車両の前歴は分かりません。

集会所
RC300

撮影:奈良県(2011.11.3)

奈良交通 日野RC300P(1971年式)

やはりグリーン系1色に塗られた集会所。前ドア脇には表札や掲示板が付けられています。
車両は金産ボディで、後輪にフェンダカバーがあるのが特徴。また側窓はこの時期の金産ボディが得意だったサッシ窓です。

自治会の一時避難所
RE100

撮影:神奈川県(2018.8.21)

自家用 日野RE100

グランドの脇で「一時避難所」の看板を付けてたたずむ白いバス。地震や大雨なのの災害時には避難できるように、非常用具などが用意されているのでしょうか。隣には同じ目的のプレハブ小屋もありますが、バスの方も健在。
中央には壁が作られ、「ボールや石をぶつけないでください」という注意書きが書かれています。
車両は前中折り戸で車掌台付き、後面方向幕なしという仕様。首都圏の路線バスでは見られないタイプですが、正面の標識灯が橙色なので、恐らく自家用の企業送迎バスか何かでしょう。

集会所
MM104H

撮影:和歌山県(2018.6.24)

三菱MM104H

お尻にエアコン室外機を置いて、頭はプレハブの小屋に突き合わせた配置の集会所。
車両は三菱の9m車MMではごく初期の、お尻の丸い1974〜76年式。
ブルーと白に塗り分けられています。

集会所
U20H

撮影:ちょご姉様(沖縄県 2004)

琉球バス 日産デU20H(1978年式)

集会所に改造されている車両。車体中央部に大きな開口部が増設され、新しい玄関となっているようです。
元の車両は1978年の沖縄通行方式変更に伴い新造されたいわゆる730車と思われます。

老人福祉センター
MS613S

撮影:栃木県(2012.12.1)

三菱 K-MS613S

団地の一角に置かれたバス。ちゃんと屋根が掛けられており、雨漏りなどの心配がないようになっています。
社名表示窓に自治会名が、ナンバープレートの位置に「老人福祉センター」の文字があります。
「自家用」表示がありますので、元は自家用の送迎バスだったようです。型式は、トランクリッドの大きさなどからの推定です。

集会所
MP118K

撮影:大阪府(2018.6.23)

大阪市交通局 三菱K-MP118K(1982年式)
MP118K

撮影:大阪府(2018.6.23)

比較的新しいバスの集会所です。呉羽車体が当時中型車と同じスタイルで先行的に製作した角型の大型車で、関西などの一部の事業者にしか見られないレア車でした。後のエアロスターKには見られない方向幕周りやリアスタイルに特徴が見出せます。
後ろドア部分はシャッター式の出入口に改造され、エアコンの室外機も見えます。リアタイヤのカバーは現役時代の物がそのまま活用されているようです。

集会所
BR20

撮影:旅男K様(札幌市 2009.5.5)

札幌市交通局 いすゞBR20
BR20

撮影:旅男K様(札幌市 2009.5.5)

バスに屋根をつけて建物と一体化し、主にグリーン系の淡い1色塗りにするという町内会の集会所が、まるで全国にチェーン展開されているようです。
この町内会は2台の同形のバスを並べています。川崎航空機の1965年頃のボディですが、通常はスタンディーウィンドウの下にしかない雨樋が上にもあるのが特徴。非常口の窓が角丸の固定窓なのは寒冷地仕様でしょうか。
(注2)
(2022年9月に解体撤去)

富士見1丁目自治会館
BU05

撮影:韮崎市(2005.8.27)

山梨交通 いすゞBU05(1968年式)

自治会の集会所になっているツーマン仕様のBU05。方向幕の部分に名称が書かれています。塗装は若干変化しているようですが、山梨交通の面影が残ります。
情報提供者によると、車番はA324だそうです。
(情報提供:ちょご姉様)
(2017年現在撤去済み)

中央ハイツ集会所
RB10

撮影:松山市(2011.11.3)

伊予鉄道 日野RB10

これも公園の片隅に置かれた青いバス。中ドアの脇に木製の表札がついています。タイヤの位置にブロックで足がついており、フェンダは板でふさがれています。
多分、錆などが原因で雨漏りが始まってしまったのでしょう。屋根にはシートがかけられた状態です。
(2018年7月現在、撤去済み)

集会所
RB120

撮影:高槻市(2007.1.27)

高槻市交通局 日野RB120
RB120

撮影:高槻市(2007.1.27)

公園の中で集会所となったバスですが、2台のバスが建物とほぼ一体化しています。手前の車両は西日本車体の日野車で、尺の長いRB120のようです。側面の窓ガラスには「バスにボールをぶつけないでください」との注意書きがありますが、いくつかの窓は既に割られています。
奥の車両は川崎ボディのいすゞ車で、BA741だと思われます。こちらは後面に方向幕があります。
(2016年現在撤去済み)

集会所
BT51

撮影:大阪市(2007.11.21)

大阪市交通局 日野BT51
BT51

撮影:大阪市(2008.3.23)

京橋駅近くにあった前後同一プレスのセンターアンダー車を用いた集会所。後ろドアは左側に開く引き戸です。
大阪市営で保存している「ゼブラバス」は後ろドア折り戸なので、それより新しい車両です。
(ストリートビューによると、2016年5月から2018年10月の間に撤去)

集会所
BR20

撮影:横浜市(2005.3.26)

横浜市交通局 いすゞBR20
BR20

撮影:横浜市(2005.3.26)

公園に置かれた集会所でしょうか。北村製作所製の丸型ボディの廃車体です。窓にはガラスを保護するための柵がつけられています。非常口側にHゴム固定の中途半端な窓があるのは、この時期の北村ボディの特徴かもしれません。
前中引き戸のワンマンカーで、首都圏では珍しくない窓配置の車両ですが、ちょご姉様より元横浜市交通局とご教示いただきました。
(この廃車体は2007年に撤去されました)

集会所
MR490

撮影:相模原市(2006.12.2)

小田急バス 三菱MR490(1963年式)
MR490

撮影:相模原市(2006.12.2)

やはり公園内に置かれた廃車体です。三菱ボディの丸型ボディで中ドアが引き戸のワンマンカーです。
ブランコの側は、子供が下に入るのを防ぐためか、車体下に板が張られています。塗装は最近明るい色に塗り替えられたのか、綺麗な状態です。
(注1)
(2016年現在撤去済み)

吉塚1丁目1区町内会集会場
MR490

撮影:福岡市(2007.11.10)

西日本鉄道 三菱MR490
MR490

撮影:福岡市(2007.11.10)

綺麗に黄色く塗装された廃車体の集会所。屋根が付けられ、下半分も壁がつけられ、堅く守られている感じです。古い車体ですが、大事に使われているように見えます。
西日本車体の丸型ボディですが、後面2枚窓なので1960年代前半の車両。中ドアは折り戸で、位置がだいぶ前にあるようですが、このシャーシの標準なのか初期ワンマンカーの仕様なのかは分かりません。
(2018年現在撤去済み)

北長瀬南町内会
DR10

撮影:岡山市(2012.5.19)

トヨタDR10
DR10

撮影:岡山市(2012.5.19)

高架橋の下に納まった廃車体の集会所。高架ができてからバスを入れたのか、バスの上に高架橋を造ったのか、興味のあるところです。
その上この車両はトヨタの中扉専用車で、ボディは西日本車体の架装という、これもまた希少なものです。
薄緑に塗りつぶされた下からブルー系のラインが見えます。
(2016年現在撤去済み)

下江津十町内公民館
BA30P

撮影:熊本市(2018.11.28)

自家用 いすゞBA30P(1972年式)
BA30P

撮影:熊本市(2018.11.28)

大切に維持されているバス公民館。屋根もあり、再塗装もされており、今後も長く使用していただきたいと思います。
場所柄、産交バスかと思いましたが、三角のスクールバス表示の痕跡が見えるほか、ドアに自動扉表示もないので、元から自家用のようです。正面方向幕の両脇には、スピーカーがあります。
また、側面には松本車体のロゴが残されていました。川崎航空機と提携関係にあり、同形車体を製造していた熊本のボディメーカーです。保存車も含めて現存車はほかにもありますが、希少価値のある廃車体であることは間違いありません。
(畦道ノスタルヂィ様によると、2022年1月現在撤去済み)

町内公民館
RE100

撮影:熊本県(2015.8.25)

熊本市交通局 日野RE100

かつては市の後押しもあって数が多かったというこの地区のバス公民館ですが、現在では上の1台と合わせて2台に減っているようです。車体の半分以上が建物に取り込まれています。
系統幕付の日野車ということで、熊本市交通局だと推察します。ウィンカーやフェンダの形状から、1968〜72年式。帝国ボディです。

梅村町自治会1組集会所
BH20P

撮影:松阪市(2011.11.25)

三重交通 いすゞBH20P

三重交通では相当数を購入していたオバQのいすゞBH20Pが集会所として残っていました。
やはり1色に塗りつぶされていますが、一部に下地のグリーンが覗いています。
(ストリートビューによると、2021年11月時点で撤去済み)

注意事項
本ページは、「廃車体は文化遺産である」という趣旨によって作成しております。当サイトを訪れる方は、この趣旨を御理解いただける方だと思いますが,万が一,本ページの悪用による廃車体への損傷等があった場合は,本ページ及び関連する事項は即刻削除いたします。
(注1) 元所有者と年式は、小田急バス私設ファン倶楽部内の「除籍車両追跡調査会」の調査結果を参照した。
(注2) 元札幌市交通局であるということは、相互リンク先の気・ま・ま・な・博物館に記載の情報に基づいている。
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80s岩手県のバス“その頃”