入門その頃のバス

なぜ型式を知る必要があるのか

前のページでは、バスの型式を調べるのがいかに難しいかということを書いてきました。また、バスの型式には意味がほとんどないということも書いてきました。そんな型式を調べることは必要なのでしょうか。
結論から言うと、型式を知ることは、そのバスが何者かを知るためには必要なことでした。つまり、バスの型式がバスを正確に分類するための唯一の指標だったのです。型式が分からないと、そのバスを客観的に説明できなかったのです。
かつてのバスにはボディメーカーのバリエーションが多く、その上ユーザー仕様によるカスタマイズがなされるため、カタログ上は同じモデルであっても、出来上がったバスの外観は千差万別です。その結果、バスというのは見た目のスタイルや特徴などによって単純に分類することが出来ない、理解しにくいものでした。

見た目が同じでもシャーシメーカーが全く異なる


BU04


4R95


MR470

例えば上の写真は、ほぼ同じスタイルのバス3台です。
細部には相違点がありますが、大体同じような形なので、兄弟のような存在の車両だろうと思うのが普通です。乗用車であれば「コロナ1500DX」とか「コロナ1600」とか同じような名前がついているだろうし、電車であれば5000系と5200系くらいの違いしかないであろうと思うのが普通です。
ところが、先に回答から出してしまうと、3台はシャーシメーカーが異なり、①から順に、いすゞ、日産ディーゼル、三菱となっています。乗用車にたとえると「コロナ」と「ブルーバード」と「ギャラン」が同じ形をしているようなものです。ライバル会社が同じスタイルの商品を販売しているのはなぜなのか。
ここで、普通の人はバスについて研究することを放棄します。

この時、周囲によき理解者がいて丁寧に教えてくれるとか、分かりやすく解説した本があって理解の助けになるとか、そういうことがあると、バスの趣味について1歩も2歩も前身するチャンスを得ることが出来ます。しかし、通常はそういうことはなく、難解なバスの世界からほとんどの人が離れていくのです。

見た目が全く異なるのに型式は同じ


BU10


BU10


BU10

次に、上の3枚の写真ですが、こちらは逆に見た目は全く異なるのに、みな同じいすゞBU10という型式のバスです。
ボディメーカーが異なり、①から順に川崎車体、富士重工、日野車体です。また、ドアの配置も異なります。
これはどういうことかと言うと、バスの型式はシャーシで決まるので、同じシャーシメーカーで作った同じ長さで同じエンジンのシャーシを使っていれば、どんなボディを載せていても型式は同じになります。ドアの配置や窓の形や座席形状などは、シャーシの型式とは関係ありません。
普段通勤や通学で乗っているワンマンカーと、夏休みに高原のキャンプ場に行くのに乗った観光路線のロマンスシートの車両が、同じ型式だったということがありえます。電車でいえば、中央線のオレンジ色の101系と東海道線の急行「東海」号153系が同じ形式だったというようなものです。
普通の場合、やはりこれを知った時点で、バスを趣味とすることが面倒になります。

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80s岩手県のバス“その頃”