入門その頃のバス

DMV(デュアル・モード・ヴィークル)

DMV 道路と鉄路の両方を走行できるのが軌陸車で、これを2000年代に過疎地の新しい交通システムとして試作するに当たり、DMV(デュアル・モード・ビークル)と呼ぶようになりました。
道路では柔軟性のあるきめ細かな運行ができ、鉄路では定時性に優れた高速運行ができるメリットがあります。一方、走行モードの切り替えに時間がかかるなどのデメリットもあります。
JR北海道が試運転を重ねた後、導入を見送りましたが、2021年に徳島県の阿佐海岸鉄道が初めて実用化しています。

国鉄バス「アンヒビアンバス」

日本国有鉄道 三菱R480(1962年式)
R480

画像:所蔵写真(東京都晴海 1962.6.20)

鉄道技術研究所が中心となり、1962年に、一般道路と線路との両方を走ることのできる車両が試作されました。
ベース車は三菱R480で、車体は富士重工製。軌道用台車も富士重工製です。
“両生類”という意味の「amphibian(アンフィビアン)」と呼ばれたそうです。
国鉄としての形式番号は043-2001

DMV(デュアル・モード・ビークル)

表9-7-1 DMV
所属形式改造年ベース車エンジン型式備考
JR北海道DMV901号2004年日産シビリアン(KC-RW40型)TD42
JR北海道DMV911/912号2005年日産シビリアン(PA-AVW41型)4M50T連結試験車
JR北海道DMV920号2008年トヨタ・コースター非連結
JR北海道DMV921〜923号2009/10年トヨタ・コースターN04C-UP三重連可能
阿佐海岸鉄道DMV931〜933号2019年トヨタ・コースター(XZB70)N04C-VJ
JR北海道
DMV試験車(SALAMANDER 901)
日産シビリアン

撮影:北海道鉄道技術館(2018.11.10)

JR北海道 DMV901(2004年改造)

JR北海道が過疎路線での効率的運行のため、日本除雪機製造(2018年にNICHIJOと改称)とともに開発した試作車両。1995年式の25人乗りマイクロバス「日産シビリアン」(3代目)を改造し、道路と鉄道とを直通運転できるDMVに生まれ変わりました。
当初の愛称は「サラマンダー」(salamander=水陸両用種のサンショウウオ)でしたが、後に後継車種に合わせて「ダーウィン」(Darwin=近代化論を提唱したチャールズ・ダーウィン)に改称されています。

U-DMV(DMV911/912)
日産シビリアン

画像:JR北海道発行絵葉書(2007年)

JR北海道 DMV911(2005年改造)
日産シビリアン

画像:JR北海道発行パンフレット(2007年)

2005年に日産シビリアン(4代目・2004年製)を改造して、DMVプロトタイプ車2両(911・912号)が製作されました。U-DMVと呼ばれますが、ユニットタイプのDMVという意味で、線路上での連結走行が可能です。
連結運転は、前前、後後、前後の3パターンが可能で、どのパターンが現実的かを試験しました。
2006〜2007年にかけて営業用車に改造され、営業用の緑ナンバーを取得しました。

Darwin 920
ダーウィン920

画像:JR北海道発行パンフレット(2008年)

JR北海道 DMV920(2008年改造)
ダーウィン920

画像:JR北海道発行パンフレット(2008年)

2008年にトヨタ、日野、富士重工の共同開発により、トヨタコースター(3代目後期)を改造したDMVです。
全長8mのロングボディで、定員が28名となりました。また、連結システムは非搭載、車検もないためナンバープレートはありません。
この車両から、愛称が「Darwin(ダーウィン)」に変りました。

Darwin 921〜923
ダーウィン922

画像:阿佐海岸鉄道パンフレット(2021)

JR北海道 DMV922(2010年改造)

2009〜10年にトヨタコースター(3代目後期)を改造したもので、実用化を目指すために開発されました。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)との共同研究が始まりました。
三重連での連結システムを備えますが、連結の向きは前向きに固定されています。921号は標準ボディ、922/923号はロングボディです。
2012年には阿佐海岸鉄道で実験運行を行っています。

阿佐海岸鉄道
阿佐海岸鉄道 DMV931号(未来への波乗り)
阿佐海岸鉄道

撮影:阿波海南駅(2023.1.28)

阿佐海岸鉄道

撮影:阿波海南文化村(2023.1.28)

阿佐海岸鉄道では、トヨタコースター・ロングボディをベースに、3両のDMVを登場させました。改造はJR北海道のDMVを改造した実績のあるNICHIJO(旧日本除雪機)で、フレームの前輪周りを補強した上で、鉄車輪を設置し、それを格納するボンネットを増設しています。
青色の車両は、宍喰駅の伊勢えび駅長がサーフィンするイラストが描かれ、「未来への波乗り」と名付けられています。

阿佐海岸鉄道 DMV932号(すだちの風)
阿佐海岸鉄道

撮影:畦道ノスタルヂィ様(道の駅宍喰温泉 2023.11.25)

緑色の車両は、阿波の名産すだちと徳島県の鳥である白鷺が舞い上がる様が描かれ、「すだちの風」と名付けられています。

阿佐海岸鉄道 DMV933号(阿佐海岸維新)
阿佐海岸鉄道

撮影:畦道ノスタルヂィ様(道の駅宍喰温泉 2023.11.25)

赤色の車両は、高知の英雄・坂本龍馬と南国土佐に降り注ぐ太陽が描かれ、「阿佐海岸維新」と名付けられています。

阿佐海岸鉄道

画像:阿佐海岸鉄道パンフレット(2021)

主な参考文献
  1. バスラマ編集部(2022)「DMVが徳島・阿佐海岸鉄道で待望の運行開始」(バスラマ190)P26-30
  2. グラフィック社(2022)「DMVパーフェクトガイド」
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