入門その頃のバス

日産ディーゼル(中型バス)

ボディ+シャーシ 日産ディーゼルが中型バス市場に参入したのは、4メーカー中最も遅い1975年のことでした。当時の中型バス市場は、自家用がほとんどを占めており、日産ディーゼルでも当初は自家用向けの観光型ボディのみの生産となっていました。
その後、他メーカー同様中型路線バス市場の拡大により路線バス用途の車両をラインナップに加え、また観光バスはデラックス化に対応するなど、バリエーションを増やしています。
型式は登場時からRMを主体とし、1988年に西日本車体専用シャーシの「スペースランナー」を発売、しばらく並行生産されたのち、1995年にRMに統合しています。


表6-2 日産ディーゼル中型バスの系譜

系譜

日産デRM 1975−1995

表6-2-1 日産デRM
年式1975-19801980-19831984-19901990-1995
原動機型式
(出力)
ED6
(150PS)
FD6
(150PS)
FD6-T
(175PS)
FE6
(180PS)
FE6-T
(200PS)
FE6
(185PS)
FE6-T
(205PS)
軸距3750mmRM90EK-RM80E    
3850mm  P-RM81E
P-RM81ER
 U-RM210ESN
U-RM210EAN
 
4280mm  P-RM81G
P-RM81GR
P-RM81GR
(1987年〜)
U-RM210GSN
U-RM210GAN
U-RM210GSP
U-RM210GAP
4290mmRM90GK-RM80G    
備考末尾R=エアサス(1987〜1990年)、末尾から2文字目A=エアサス(1990年〜) 
日産デRM 第1期 1975−1980
花巻観光バス 日産デRM90G(1979年式)
RM90G

撮影:宮野目営業所(1985.9.27)

自家用 日産デRM90E
RM90E

撮影:終点横川目様(金ヶ崎町 2007.5.13)

日産ディーゼルが中型トラック「コンドル」との共通部品で開発した中型バスがRM90です。富士重工の大型バスを基本としたボディスタイルで、当初は自家用・観光タイプのみの設定でした。長さは2種類、出力は1種類です。
後面のエンジン通気孔は左側に2つあります。

千曲バス 日産デRM90G(1979年式)
RM90G

撮影:ヒツジさん様(望月町 2004.7.19)

1976年から路線バスタイプも加わっていますが、長尺車のみの設定です。路線バスタイプは後ドアの設置を前提とし、エンジンルームの配置が自家用・観光バスタイプと逆で、後部のエンジン通気孔の位置も逆になります。

ボディの組み合わせ・・・富士

日産デRM 第2期 1980−1983
自家用 日産デK-RM80E
RM80E

撮影:上田市(2010.7.3)

自家用 日産デK-RM80G
RM80G

撮影:一関市民様(藤沢町 2008.3.9)

昭和54年排ガス規制に伴い、1980年にモデルチェンジが行われ、K-RM80に変わりました。後面のエンジン通気孔がそれまでの2つから1つに減りました。

千曲バス 日産デK-RM80G(1980年式)
RM80G

撮影:小諸駅(1980.7.31)

路線バスタイプは、引き続きエンジン配置が異なり、後面のエンジン通気孔の位置が逆になります。
また、この時、短尺車にも路線バスタイプが設定されました。


ボディの組み合わせ・・・富士

前田観光 日産デK-RM80G(1983年式)
RM80G

撮影:盛岡駅(1986.9.7)

関東バス 日産デK-RM80G(1983年式)
RM80G

撮影:吉祥寺駅(1985.1.9)

1982年に富士重工がボディのモデルチェンジを行い、16型と呼ばれる窓の大きいスタイルになりました。
写真の観光タイプはカーブドガラスを用いたデラックス仕様車。更に屋根上にはダミーのロケットも見えます。1980年代にはこのような見た目の差別化を図る観光バス会社が多く見られました。

ボディの組み合わせ・・・富士

日産デRM 第3期 1984−1990
宮崎交通 日産デP-RM81G(1987年式)
RM81G

撮影:宮交シティ(2018.11.27)

上電バス 日産デP-RM81E(1987年式)
RM81E

撮影:ヒツジさん様(上田車庫 2004.4.21)

昭和58年排ガス規制に対応して、1984年にモデルチェンジが行われ、P-RM81に変わりました。車体はこれまでと同じ富士重工16型ながら、リベットレスになりました。路線バスタイプは正面窓が下方に拡大されました。
後面のエンジン通気孔は、このグループからなくなりました。
なお、1988年に富士重工の大型路線バスは7E型にモデルチェンジされましたが、中型車はそのままのスタイルで1990年まで生産されています。

大岡村 日産デP-RM81E
RM81E

撮影:聖高原駅(1990)

自家用 日産デP-RM81E
RM81E

撮影:上田市(2018.8.19)

自家用・観光バスタイプは富士重工のいわゆる6B型ボディで、メトロ窓の両端のRがすべてなくなりました。

日産デRM 第4期 スペースランナー 1990−1995
茨城交通 日産デU-RM210GSN(1994年式)
RM210GSN

撮影:水戸駅(2014.8.23)

会津乗合 日産デU-RM210GAN(1993年式)
RM210GAN

撮影:坂下営業所(2018.8.6)

平成元年排ガス規制に対応して、1990年にモデルチェンジが行われました。1988年に登場したフレーム付RB(1990年からはJM)と同じ「スペースランナー」の名前が付きました。
こちらは自家用、路線用を中心にしたラインナップに変わります。
車体は富士重工18型ボディに変わり、路線バスタイプは8E型と呼ばれるスタイルになりました。

自家用 日産デU-RM210GSP
RM210GSP

撮影:上田市(2010.7.3)

観光・自家用はフロントガラスを上方に拡大した8B型と呼ばれるボディスタイルです。ターボ付も用意されます。ただし、自家用送迎用途が主体で、デラックス観光は下記の西工ボディのシリーズに譲りました。

ボディの組み合わせ・・・富士

日産デRB/JM スペースランナー 1988−1995

表6-2-2 日産デRB
年式1988-19901990-1994
原動機型式
(出力)
FE6
(180PS)
FE6-T
(200PS)
FE6
(185PS)
FE6-T
(205PS)
軸距3930mmP-RB80E/P-RB80ER
(P-RB80ET)
 U-JM210ESN/EAN
(U-JM210ETN)
 
4360mmP-RB80G/P-RB80GR
(P-RB80GT/P-RB80GS)
P-RB80GRU-JM210GSN/GAN
(U-JM210GTN/GCN)
U-JM210GAP
備考末尾R,S=エアサス(1988〜1990年)、末尾から2文字目A,C=エアサス(1990年〜)
( )内は路線用低床シャーシ 
グリーン観光 日産デP-RB80G(1990年式)
RB80G

撮影:長谷川竜様(栗原市 2017.6.3)

宮崎交通 日産デU-JM210GCN(1995年式)
U-JM210GCN

撮影:宮崎駅(2018.11.27)

1988年にRMと並行してフレーム付シャーシの「スペースランナー」RB80を発売しています。これは西日本車体のみの設定で、フレーム付のメリットを生かして、窓の大きいスマートなボディスタイルを展開しています。日産ディーゼルのこの型式にしか架装されないオリジナルボディです。
エンジンや長さのバリエーションはRMと同じです。
1990年には平成元年排ガス規制に対応してU-JMに変わりました。

自家用 日産デU-JM210GAP(1991年式)
JM210GAP

撮影:鶴居村(2016.6.12)

こちらは観光バス仕様のスーパーデラックスで、ハイデッカー(全高・・・3,160mm)、大型カーブドガラス、ターボエンジンという仕様です。なお、このボディは1988年度のグッドデザイン賞を受賞しています。

ボディの組み合わせ・・・西工

日産デRM/JM スペースランナー 1995−2007

表6-2-3 日産デRM/JM
年式1995-19991999-20042004-2007
原動機型式
(出力)
FE6E
(195PS)
FE6TA
(235PS)
FE6E
(206PS)
FE6TA
(240PS)
J07E-TC
(225PS)
軸距3900mmKC-RM211ESN/EAN KK-RM252ESN/EAN 
4280mmKC-RM211GAN/GSNKC-RM250GAN/GSN
KC-JM250GAN
KK-RM252GAN/GSNKK-JM252GAN
4300mmPB-RM360GAN
4300mmPB-RM360HAN
備考末尾から2文字目A=エアサス
日産デRM/JM 第1期 1995−1999
茨城交通 日産デKC-RM211GSN(1996年式)
RM211GSN

撮影:水戸駅(2014.11.8)

平成6年排ガス規制に対応して、1995年にモデルチェンジを行い、これまで分かれていた富士重工製ボディと西日本車体の両モデルが統合されました。
ハイデッカータイプがJMとして残った以外は、RMに統合されています。また、「スペースランナー」の名前は観光バスと自家用バスにのみ残り、路線バスから愛称はなくなりました。
ボディスタイルは、前モデルと変わりません。

自家用 日産デKC-RM250GAN
RM250GAN

撮影:長野県(2018.8.19)

観光・自家用仕様で、前面窓を上方に拡大し、側面に横引き窓を持つ8Bタイプ。
前モデルでは側窓は5枚ありましたが、このモデルから4枚に変わっています。

ボディの組み合わせ・・・富士、西工

日本交通 日産デKC-RM211GAN改(1999年式)
日本交通

撮影:鳥取駅(2016.5.28)

西日本車体での架装もあります。B型と呼ばれる通常スタイルと、低床車用の前面1枚窓のスタイルがあります。
写真は、1998年にラインナップされた改造扱いのノンステップバスで、中型バスのノンステップはクラス初。架装は西工のみ。

ボディの組み合わせ・・・西工

日産デRM/JM 第2期 1999−2004
頸南バス 日産デKK-RM252GSN
頸南バス

撮影:本社(2015.3.8)

1998年のマイナーチェンジで、型式が変わりました。
富士重工製ボディは、これまでのスタイルと変わらない8E型です。
富士重工のバスボディ製造中止により、2003年で終了しています。

西日本鉄道 日産デKK-RM252GSN(2002年式)
西日本鉄道

撮影:小倉駅(2017.11.25)

こちらは西日本車体のB-Ⅰ型と呼ばれる通常スタイルで、ワンステップ。

ボディの組み合わせ・・・富士、西工

日本中央バス 日産デKK-RM252GAN(2000年式)
日本中央バス

撮影:前橋駅(2023.3.11)

こちらは低床車用の前面1枚窓のボディ。
ノンステップバスの架装は西工のみ。

ボディの組み合わせ・・・西工

軽井沢観光 日産デKK-JM252GAN
軽井沢観光

画像:西日本車体工業カタログ(2001)

ハイデッカータイプのJMは、引き続き西日本車体の専用ボディが架装されます。
1999年のモデルチェンジの際に、マスクの形状が変わりました。

ボディの組み合わせ・・・西工

日産デRM 第3期 2004−2007
羽後交通 日産デPB-RM360GAN(2004年式)
羽後交通

撮影:横手営業所(2019.7.21)

2004年に平成15年排ガス規制に適合したモデルチェンジを行い、短尺車の廃止、リーフサスの廃止、ハイデッカーの廃止など、車型が整理されました。エンジンは日野自動車製に変っています。
ボディは前面1枚ガラスの日産ディーゼル専用ボディが廃止され、路線バスはB型、観光バスはマスクが96MCの形状に変ったF型となりました。
2005年には路線バスにも「スペースランナー」の商品名が復活しています。
2007年には三菱ふそう製のエンジンを搭載したRM820にモデルチェンジし、三菱にもOEM供給することになりますが、これ以降は割愛します。

ボディの組み合わせ・・・西工

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80s岩手県のバス“その頃”