入門その頃のバス

日野自動車(小型バス)

ボディ+シャーシ 日野自動車は、最初期のコンマースを除くと、大型ディーゼル車メーカーとして比較的大型の29人乗り小型バスに絞って生産をしています。1966年に帝国ボディで早くもスケルトン構造のボディを架装したり、1985年にはクラス初のリアエンジンを発表するなど、時代を先取りした取り組みも見られます。
基本的には、系列のトヨタが乗用車寄りのマイクロバスを、日野がバス寄りのマイクロバスを製造するという役割分担がされているようです。
1968年に「レインボー」の愛称がつき、1990年代まで小型バスの商品名として使われました。1981年からは中型バスにも「レインボー」の名前がつき、最終的には小型バスが「リエッセ」に移行する中で、「レインボー」の名前は中型バスの名前に変わっています。

表7-5 日野小型バスの系譜

系譜

日野コンマース 1960 - 1963

表7-5-1 日野コンマース
年式1960-19611962-1963
原動機型式
(出力)
GP10A
(28PS)
GP20
(35PS)
軸距2100mmPB10BPB11B
備考  
保存車 日野PB10(1960年式)
PB10

撮影:お台場旧車天国会場(2015.11.22)

モノコックボディで、FF(フロントエンジン、フロントドライブ)方式を採用し、全輪独立懸架で低床仕様としたミニバスが日野コンマースです。先進的な技術を採り入れていましたが、時期尚早で、2000台程度で生産を終了したそうです。
写真は、日野オートプラザの保存車で、ルートバン仕様。

車長・・・3,940mm
車幅・・・1,690mm
乗車定員・・・10〜11人
総排気量・・・893cc
ボディの組み合わせ・・・帝国

日野 レインボー 1966−1985

表7-5-2 日野BM/AM系
年式1966-19761976-19801980-19831983-1985
原動機型式
(出力)
DM100
(100PS)
EC100
(130PS)
EH100
(145PS)
W06C
(145PS)
軸距3800mm AM100K-AM101P-AC140AA
3805mmBM320   
備考  
日野ライトバス → レインボー(初代)BM 1966−1976
1966年に輸出用小型バスBM300の国内版として登場したのがBM320で、小型バス限界ギリギリの大きさで、貸切バスや路線バスにも対応しています。
丸みの大きいセミモノコックボディの金産車体製K型ライトバスと、スケルトンボディを採用した帝国車体製T型ライトバスの2種類があります。
1968年に「レインボー」の名前がついたようです。

日野BM320-K
BM320

撮影:長野県(2022.10.9)

高知県交通 日野BM320-K
BM320

撮影:板橋不二男様(高知県 1977頃)

こちらは金産車体のK型ライトバス
1970年以降の車両からは、側面最前部に三角窓のような小窓が付きました。写真の車両はまた正面窓は1枚ガラス、屋根はハイルーフ形状になっています。

自家用 日野BM320-T
BM320

撮影:上田市(2010.7.19)

自家用 日野BM320
BM320

撮影:終点横川目様(一関市 2007.11.3)

こちらは、スケルトンボディを採用した帝国車体製のT型ライトバス
この時代には珍しい角張ったボディです。

伊那バス 日野BM320-T(1975年式)
BM320

撮影:草ヒロ探検隊様(長野県 2008.5)

こちらは、路線バス仕様のハイルーフ車。側板をそのまま上に伸ばした独特のスタイルです。
また、ウィンカーが大型化された末期のモデルです。

ベース車・・・3.5tトラック「レンジャー」
車長・・・6,975mm
車幅・・・1,995mm
乗車定員・・・29人
総排気量・・・4,313cc
ボディの組み合わせ・・・帝国、金産

日野レインボー(2代目)AM 1976−1985
伊那バス 日野AM100(1979年式)
AM100

撮影:伊那本社(1990)

自家用 日野AM100
AM100

撮影:終点横川目様(奥州市 2009.4.18)

1976年に「レインボー」はフルモデルチェンジされ、AM100になりました。
ボディは日野車体工業製のスケルトン構造ですが、前モデルの斬新さは影を潜めています。

自家用 日野K-AM101
AM101

撮影:太田市(2012.11.10)

1979年からは「AMハイカスタム」という上級車を追加しています。これは側面固定窓、前面窓上にスカイウィンドウを設けたデラックス仕様で、当時の上級志向から新設されたものです。写真は開閉窓のタイプ。上級クラスはドアの窓が角型になりました。

自家用 日野P-AC140AA
AC140AA

撮影:能勢町(2015.12.31)

1983年に昭和58年排ガス規制に対応し、P-AC140AAにモデルチェンジされました。この時に、前照灯は角型になり、ドアの窓もグレードに関係なく角型になりました。

ベース車・・・4tトラック「レンジャー」
車長・・・6,990mm
車幅・・・2,195mm
乗車定員・・・29人
総排気量・・・5,010cc
ボディの組み合わせ・・・日野(金沢)

日野RB/AB レインボー 1985-1995

表7-5-3 日野RB/AB
年式1985-19901990-19921992-1995
原動機型式
(出力)
W04D
(115PS)
W04C-T
(140PS)
W04D
(120PS)
W04C-T
(140PS)
W04D
(120PS)
W04C-T
(140PS)
W04C-T1
(165PS)
軸距3330mm
(前ドア)
     U-RB1WEAAU-RB1WEAA
3780mm
(リアエンジン)
P-RB115AAP-RB145AAU-RB2WGAAU-RB1WGAAU-RB2WGAA  
3780mm
(フロントエンジン)
P-AB115AA U-AB2WGAA U-AB2WGAA  
備考   
第1期(1985〜90)
自家用 日野P-RB145AA(1986年式)
RB145A

撮影:盛岡駅(1986.4.19)

伊那バス 日野P-RB115AA(1988年式)
RB115A

撮影:伊那本社(1988.11.27)

1985年にクラス初のリアエンジンバスとして登場したのがRB「レインボー」で、背の高い角張ったボディはマイクロバスよりも中型バスの機能を持ち合わせています。また冷房ユニットを最前部に置くスタイリングも、登場時の中型バスRJを連想させます。
冷房車の写真はターボエンジンのスーパーサルーン、冷房なしの写真は路線バスタイプです。
幼児バスなど後面に非常口を設ける必要のある特殊車用には、同じスタイルでフロントエンジンのABも用意されています。ABには、運転席側に運転手用ドアがあるため、外観上の見分けがつきます。

第2期(1990〜92)
自家用 日野U-RB1WGAA
RB1WGAA

撮影:上田市(2010.7.19)

1990年に平成元年排ガス規制に対応するシャーシのマイナーチェンジを実施、フロントグリルや側面セイフティウィンドウの形状が変わりました。

第3期(1992〜95)
防長交通 日野U-RB1WEAA
RB1WEAA

撮影:徳山駅(2016.5.29)

1992年には前ドア対応を可能にするマイナーチェンジを実施しています。中ドア仕様も継続生産されています。
写真は路線仕様。

自家用 日野U-RB1WEAA
RB1WEAA

撮影:長野県(2016.7.18)

こちらは160PSインタークーラーターボ付きエンジンをもつ観光バス仕様。
1995年には「リエッセ」に生まれ変わりました。

車長・・・6,990mm
車幅・・・1,995mm
乗車定員・・・29人
総排気量・・・4,009cc
ボディの組み合わせ・・・日野

商品名の由来

・コンマース(commerce)・・・商業、通商、貿易。
・レインボー(rainbow)・・・虹。
(以上は直訳)
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