入門その頃のバス

いすゞ自動車(LRの詳細)

ボディ+シャーシ 1984年に、いすゞでは大型車と同時に中型車もフルモデルチェンジを行い、キュービックスタイルに生まれ変わりました。全体的には大型車を小さくした形ですが、正面スタイルは傾斜窓を基本にした成型になっています。
観光・自家用は引き続き「ジャーニーK」という愛称で呼ばれています。
シャーシの排ガス規制に伴うマイナーチェンジが1990年と1995年に行われており、ボディのカスタマイズも若干変わっているようです。1999年にフルモデルチェンジで「エルガミオ」に生まれ変わりますが、型式のLRはそのまま引き継がれています。
本稿では基本的に1980年代までのバスを対象にしていますが、同じ基本スタイルが続いた1999年までの期間の変化を概括します。

いすゞLR 路線バスタイプ

路線バスタイプは、傾斜窓を基本に正面方向幕が張り出した独特のスタイルとなっています。リーフサスとエアサスの設定があります。
大型バスの「キュービック」がシャーシのモデルチェンジに伴い窓構造などを変えて行ったのに対し、こちらは製造期間を通じて大きな変化はありません。ただし、細部には違いが見られますので、ここでは3期に分けて記述します。

川重車体
第1期(1984-1990)
岩手県交通 いすゞP-LR312J(1985年式)
LR312J

撮影:北上営業所(1986.8.24)

山梨交通 いすゞP-LR312J(1990年式)
LR312J

撮影:塩山駅(2018.12.10)

最初期のLRは、大型バス「キュービック」と同じ特徴を持つボディスタイルになっています。フェンダの形状は楕円になっています。

第2期(1990-1995)
山梨交通 いすゞU-LR332F(1995年式)
LR332F

撮影:敷島営業所(2015.5.23)

宮崎交通 いすゞU-LR232J(1992年式)
LR232J

撮影:宮崎駅(2018.11.27)

1990年に平成元年排ガス規制に基づくマイナーチェンジを行い、U-LRになりました。
エンジン型式が変わり、195PSにパワーアップされました。エンジン配置が変わった関係で、側面後部のエンジン通気孔の位置が、左側面から右側面に変更になりました。
ボディスタイルは基本的に変わっていません。「キュービック」と異なり、側面窓や後面スタイルも第1期と同じです。なお、側引き戸の窓の形状は、Rが少なくなり、角張った形になりました。

第3期(1995-1999)
岩手県交通 いすゞKC-LR333J(1996年式)
LR333J

撮影:長谷川竜様(一関営業所 2014.7.13)

平成6年排ガス規制に対応して1995年にマイナーチェンジが行われました。エンジンは210PSに強力化され、これまでのデラックス観光タイプとの出力の差はなくなりました。
ボディスタイルはやはりほとんど変わらず、側面窓の窓柱も細いままです。ただし、後面については、後面窓のくぼみはそのままにテール灯部分のくぼみがなくなりました。
バンパー部分にコーナーランプが増設された点が、前側から見分けられる特徴です。

岩手県交通 いすゞKC-LR333J(1997年式)
LR333J

撮影:長谷川竜様(一関営業所 2014.7.13)

富士重工ボディ
CCM/CDMの時には設定のなかった富士重工製ボディが、LRになってからは見ることができるようになりました。
富士重工製ボディの中型バスは、日産ディーゼルでも見られますが、モデルチェンジのタイミングは必ずしも同じではなく、いすゞの場合8Eタイプへの移行は遅れていました。

初期(1984-1995)
しずてつジャストライン
   いすゞP-LR312J(1990年式)
LR312J

撮影:ポンコツ屋 赤木様(清水駅 2015.4.28)

日立電鉄交通サービス
   いすゞP-LR312J(1989年式)
LR312J

撮影:日立駅(2014.8.23)

いすゞLRのボディは川崎車体が標準ですが、富士重工や西日本車体の架装例もあります。
富士重工製ボディでは、大型車のボディ呼称が奇数なのに対し、中型車のボディ呼称は偶数になります。従って、大型車で15型(5E)と呼ばれるスタイルは、中型車では16型(6E)になります。
いすゞLRでは、ノーリベットの6Eが架装されます。日産ディーゼルのRMとは同じスタイルです。
大型車のボディは1988年に7Eにモデルチェンジされますが、中型車はこのスタイルが継続生産されています。

庄内交通 いすゞU-LR332J(1993年式)
LR332J

撮影:ソルティドッグ様(鶴岡営業所 2013.11.16)

1990年のシャーシのモデルチェンジでU-LRになり、エンジン型式の変更によりエンジン通気孔の位置が変わりました。
同時期の日産ディーゼルは8Eボディに変わりましたが、いすゞLR6Eボディのまま生産が続けられました。

後期(1995-1999)
頸南バス いすゞU-LR332J(1995年式)
LR332J

撮影:本社営業所(2014.11.15)

1995年のKC-LRへのモデルチェンジの直前に、UDの中型バスに遅れて角張った8Eボディに変わりました。
1995年のうちにシャーシがKC-LRに変わったため、U-LRでの8Eボディは少数派です。

鹿児島交通 いすゞKC-LR333J(1996年式)
LR333J

撮影:鹿児島中央駅(2015.8.1)

鹿児島交通 いすゞKC-LR333J(1996年式)
LR333J

撮影:鹿児島中央駅(2015.8.1)

KC-になってからの富士重工ボディは、8Eと呼ばれる角張ったボディになっています。
日産ディーゼルのRMとはよく似ていますが、右側面後部のエンジン通気孔の形状が逆凸形になっているのが、いすゞLRの特徴です。

いすゞLR 観光バス・自家用バスタイプ

観光バス・自家用バスタイプは、正面の傾斜窓がルーフラインまであるため、面長な印象になります。
デラックス観光タイプには、スィングドアや正面1枚ガラス、側面固定窓などの仕様がありますが、ハイデッカータイプはありません。また、1995年まではターボ付の強力形仕様が選択できました。
「ジャーニーK」の愛称で呼ばれます。

第1期(1984-1990)
自家用 いすゞP-LR312J
LR312J

撮影:長野県(2010.7.31)

観光バス・自家用バス用は、エアサスとリーフサス、無過給エンジンとターボ付エンジンのバリエーションがあります。デラックス観光タイプの場合、スィングドアや側面固定窓なども選べます。
大型バス「キュービック」の場合と同様に、側面窓は上部が固定窓になるT字形窓になります。
正面の観光マスクの用意はなく、ライト間に社名表示窓を設置した形になります。

自家用 いすゞP-LR312J
LR312J

撮影:山梨県(2013.5.25)

1989年のマイナーチェンジの際に、通常の引違窓に変わりました。

第2期(1990-1995)
岩手県交通 いすゞU-LR332J(1991年式)
LR332J

撮影:海さん様(新庄墓園 2008.4.20)

平成元年排ガス規制に対応して、1990年にマイナーチェンジが行われました。無過給エンジンは195PSに、ターボ付エンジンは210PSにそれぞれ出力アップされました。
無過給エンジンの場合、エンジン配置が変わったため、側面のエンジン通気孔が右側面に変わりました。
ボディスタイルは変わりません。

自家用 いすゞU-LR312J
LR312J

撮影:長野県(2018.8.12)

ターボ付エンジンの強力型は、これまでのエンジン配置を踏襲しており、外観的には側面のエンジン通気孔の位置がこれまで通り左側です。
写真は、サブエンジン冷房のデラックス観光仕様で、前面窓は1枚ガラスという特別仕様です。

第3期(1995-1999)
自家用 いすゞKC-LR333J
LR333J

撮影:長野県(2013.7.6)

1995年に平成6年排ガス規制に対応して、マイナーチェンジを実施しました。観光・自家用タイプは路線バスタイプとともに出力210PSに統一されています。
ボディスタイルは、ヘッドライトが異形2灯になるなど、顔つきが変わりました。

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