入門その頃のバス

呉羽自工(観光バス)

ボディ 呉羽自工の観光バスは、三菱ボディと同様に路線バスの正面窓を大型化した形で、全体に丸みのあるスタイルのまま推移していました。中型観光バスもほぼ同じスタイルになっています。ただ、三菱ボディと設計図を合わせた時期も何度かあり、オリジナリティと効率性の間を揺らめいている感じがあります。
なお、1985年に発売されたダブルデッカー「エアロキング」は呉羽自工の製造で、このイメージを生かしたスーパーハイデッカー「エアロクィーンK」も人気車種となりました。
ダブルデッカーについては、2階建てバスの項目で解説します。


1968−1979

前期型 1968−1977
富士急行観光 三菱B805N
B805N

撮影:東京都(1977.5.18)

富士急行観光 三菱B805N
B805N

撮影:東京都(1977.5.18)

1968年の路線バスのモデルチェンジと同時に観光バスもそれを基本にしたスタイルになりました。正面は大型の2枚ガラスで、側面はメトロ窓ですが、屋根のRが深く垢抜けないスタイルです。後面は路線バスと同じで、おでこの丸い2枚ガラスです。
三菱ボディと似た感じではありますが、正面窓上にヒサシ部分が少なく、彫りが浅い顔つきです。正面のグリルも両端の下がったオバQテイストが標準です。
1974年のマイナーチェンジで側窓の縦寸法が多少拡大されました。三菱ボディと同じ「東名グリル」の選択も可能になりました。

岩手観光バス 三菱MAR470(1967年式)
MAR470

撮影:盛岡営業所(1985.6.20)

三菱ボディ同様、初期の頃からセミデッカーの設定がありました。

シャーシの組み合わせ・・・三菱

1977−1979
羽後交通 三菱MS512N(1977年式)
秋22あ668

撮影:盛岡バスセンター(1986.8.29)

豊橋鉄道 三菱MS512N
MS512N

撮影:奈良市(1979.5.19)

1977年に後面がルーフラインまでの大型窓に変わりました。これは同じ呉羽自工の中型バスと同じ変化です。もっとも全体的なボディの丸みは変わりなく、他のメーカーに比べて古く見える印象はぬぐえません。
三菱ボディのMSと共通の樹脂製グリルも選択可能です。

諏訪バス 三菱MS513N(1977年式)
MS513N

撮影:茅野営業所(1989.3.21)

1977年からセミデッカーが標準設定されました。標準床車の客席部分を段上げしたスタイルで、屋根の丸みは変わらないため、やはり古く見えます。
一部には、一つ目の側窓の後ろからルーフラインの上がるタイプもあります。

シャーシの組み合わせ・・・三菱

1979−1982

八戸市交通部 三菱MS513N(1978年式)
MS513N

撮影:盛岡駅(1986.6.29)

1979年より三菱ボディと共通化するモデルチェンジが行われました。当初の車両は細部が異なり、屋根や窓の丸み、側面最後部窓の形状など、これまでの呉羽自工の特徴を残しています。
後半、三菱ボディと全く同じスタイルも生産されるようになりました。セミデッカーや「フルデッカⅡ」もラインナップに加わっており、三菱ボディとの見分けは難しくなっています。

1982−1988

羽後交通 三菱P-MS725S(1985年式)
MS725S

撮影:盛岡駅(1986.8.30)

越後交通 三菱P-MS715S(1986年式)
MS715S

撮影:新潟駅(1988.12.31)

1982年に三菱自動車ではシャーシとボディを一体開発したエアロバスを登場させましたが、呉羽自工では中型バスMKを大きくしたスケルトンタイプのボディにモデルチェンジを図りました。
「サンシャイン」と名付けられたこのボディは、エアロバス人気の陰に隠れてしまった感がありますが、一部のユーザーには好んで導入されています。
後ろ姿は標準床車。

1985−1992 エアロバス

三菱ボディがエアロバスを発表したのは1982年のことですが、呉羽自工でもそのバリエーションの一部を担当しています。
特に、ダブルデッカーの「エアロキング」とその意匠を引き継ぐ「エアロクィーン」は呉羽自工が製造しています。
1992年に三菱ボディの「ニューエアロバス」に一本化されました。
エアロクィーンK 1985−1992
日本交通 三菱U-MS729S(1991年式)
MS729S

撮影:ヒツジさん様(軽井沢町 2004.3.13)

呉羽自工では1985年に三菱のダブルデッカー「エアロキング」を発表し、エアロバスのイメージを進化させた独特のフォルムを持つダブルデッカーとして人気を集めました。更に、これを元に全高を低くしたスーパーハイデッカー「エアロクィーン」が作られ、2階建てバス風のスーパーハイデッカーとして人気を博しました。
エアロバスシリーズでは三菱ボディでも複数のタイプのスーパーハイデッカーを製作しており、三菱ボディの「エアロクィーンM」が登場した後は、こちらは「エアロクィーンK」と呼ばれています。

全高・・・3,535mm

エアロクィーンKⅡ 1987−1992
神奈中観光 三菱U-MS729S(1992年式)
MS729S

撮影:勝沼町(2004.10.2)

1987年には、エアロクィーンKの車高を下げた「エアロクィーンKⅡ」も作られています。
「エアロクィーンK」ではドアの上辺と側窓の下辺が同一ラインですが、こちらはドアの上辺が上がっている点で区別できます。

エアロバスK 1988−1992
琴参バス 三菱P-MS725S(1989年式)
MS725S

撮影:HIMAJIN様

ダイトウ 三菱U-MS726S
MS726S

撮影:那覇空港(2016.12.31)

1988年に呉羽では中型バスエアロミディと同時に大型観光バスもモデルチェンジを行い、前モデル同様中型車をそのまま大きくしたスタイルになりました。
エアロバスファミリーの一員ですが、三菱ボディとは異なった丸みを持ち、バンパーにヘッドライトを組み込んだ独特のフロントスタイルになっています。社名表示はバンパーの上にあります。スィングドアの窓も独特です。
「エアロバスK」と名付けられましたが、これまで呉羽自工を導入していた一部ユーザーに採用されたのみで、あまり多くは見られません。。

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80s岩手県のバス“その頃”