入門その頃のバス


路線バスの行き先表示窓

ボディ 路線バスにとっては、経由地や行き先などを表示する行き先表示器は不可欠な装置です。行き先表示器の主流となるのは、コマ毎に文字の書かれた布(後にビニル製に)を巻き取り器で動かすタイプで、通常「方向幕」と呼ばれます。
「方向幕」は事実上、前、横、後ろの順で優先順位が高いようで、ほとんどのバスに前の方向幕はありますが、後ろの方向幕はない車両が少なくありませんでした。また、横の方向幕は、多くのバスについていますが、その位置には色々なバリエーションがありました。また、1980年代に入る頃から普及し始めた「大型方向幕」についても、バス事業者によって導入には温度差がありました。
これらのバリエーションは、徐々に統一化が進み、車両仕様の統一化、バリアフリー法の施行、LED式行き先表示器の普及などにより、2000年代にはほぼ統一され、ユーザーによる違いを楽しむことはほとんど出来なくなっています。
(注1)


前面の行き先表示器

大きさの分類

小型方向幕
BX352
小野澤正彦様(函館駅 2010.5.9)

普通サイズ方向幕
BA20
板橋不二男様(米内沢営 1975頃)

大型方向幕
MP118M
拝島営業所(1983.7.25)

戦前から終戦後にかけての小型の行き先表示器は、サイズがどの程度標準化されていたのかは不明です。幕板(おでこ)に収まる程度の大きさで、文字数も地名一つが限界ではないかと思われます。またデザイン上、行き先表示器の両脇に明かり窓がつくことも多かったようです。
1950年代中頃から、丸いオデコに飛び出したような形のサイズの方向幕が主流になります。これを基準に、1960年代に入る頃には全国的にほぼ同一サイズに統一されたようです。横幅は90cm、縦幅18cmくらいです。1960年代中にほとんどのボディメーカーがオデコ部分をヒサシ状にするモデルチェンジを実施していますが、その際、このサイズの方向幕がちょうど収まるようになりました。
1970年代後半から、視認性を高めるため、大型の行き先表示器を備える例が現われます。横幅は150cmくらいで、縦寸法も拡大されています。当初は、幕板(おでこ)からはみ出すものが多かく見られました。1980年代にボディのモデルチェンジが行われた際、大型方向幕が標準になりました。

配置による分類
行き先表示のみ
西武バス 三菱MR410
標準方向幕

撮影:立川駅(1977.7)

前面に行き先表示器1枚を配置するのが最も標準的な形態です。
ここにすべての情報を表示するので、文字はあまり大きくできません。写真でも、系統番号、経由地、行き先といった情報が盛り込まれています。

系統幕つき
系統幕左側
京王帝都電鉄 いすゞK-CPM550(1981年式)
系統幕付方向幕

撮影:府中営業所(1981.7.5)

行き先表示器の向って左側に、系統番号を表示する窓を併設する例も多く見られます。
系統番号を表示する窓は、「方向幕」に対して「系統幕」と呼ばれます。通常はこの部分には系統番号を表示しますが、経由地や種別などを表示することも出来ます。写真では白幕です。
なお、系統幕を方向幕から独立させるメリットは、系統番号と行き先を別々に動かすことで、コマ数を削減することができる点だと思われます。

系統幕右側
関東バス 日産デU20L
系統幕付方向幕

撮影:吉祥寺駅(1977)

行き先表示器の向って右側に、系統番号を表示する窓を併設する例です。
西日本鉄道や京都市交通局などでも見られる方式ですが、バスが連なって到着する場合に、利用者から系統番号が判別しやすいというメリットがあるようです。ただし少数派です。
写真の関東バスでは、この時点では幅の広い系統番号表示器でした。

表示窓3枚
系統番号、種別表示付
広島交通 日産デPR106(1973年式)
PR106

撮影:板橋不二男様(広島県 1976.12.30)

表示窓3枚を持つタイプ。
方向幕を中央にして、小窓が左右についていますが、左側に系統番号、右側は種別表示のようで「普通」の文字が入っています。この部分に「ワンマン」「市内」などの文字が入る場合もあります。
写真は広島交通ですが、広島電鉄でも同じ配置が見られました。

行き先表示器2枚
札幌市交通局 三菱MR420(1665年式)
系統幕付方向幕

撮影:板橋不二男様(車両工場 1973)

札幌市交通局の一例ですが、表示窓3枚があるタイプ。
左端は系統番号、中央は行き先を表示していますが、右端の使用方法は分かりません。(注2)
行き先表示器の大きさは、側面の表示器と大きさを合わせているようで、機器及び幕の共通化という合理性を追求した結果かもしれません。
また、この後札幌市交通局では、行き先表示窓を1枚にしたものの、運転席側に寄った仕様としていますが、これは運転手が操作・確認しやすいという点を考慮したもののようです。

観光タイプ
社名表示窓部
岩手県交通 いすゞBU20KP(1972年式)
社名表示窓

撮影:盛岡バスセンター(1986.7.29)

観光バスの場合、1960年代後半から正面窓を上方に拡大したものが主流になり、腰板のライト間に社名表示窓を設置するケースが多くなっています。このタイプのバスを路線バスに使用する場合は、その部分に行き先表示窓を設置することになります。
写真は貸切バスを路線バスに改造した一例。新造時からこの位置に設置する場合もあります。

正面窓上に移設
東武鉄道 日野RV731P(1978年式)
観光タイプ

撮影:ポンコツ屋赤木様(群馬県 1988)

観光バスを路線バスに格下げする際、おでこの部分に方向幕を設置した例。ヘッドライト間の社名表示窓だと、通常の路線バスと表示位置が異なり、利用者が混乱することを防ぐ意味があったのだと思います。
栃木県周辺での流行だったのか、写真の東武鉄道のほか、関東自動車、東野交通でも見られた改造方法です。

側面の行き先表示器

大きさの分類

小形サイズ
日本国有鉄道
北福岡営業所(1985.8.23)

普通サイズ
富山地方鉄道
富山駅(1989.6.18)

大形(フルサイズ)
伊豆箱根鉄道
沼津駅(1992頃)

側面の方向幕の大きさは、前面の方向幕とほぼ同じ経過をたどります。
側窓の幅に満たない小型幕もありました。写真は国鉄バスの例ですが、元々窓下にあったものと同じサイズを継承しているものと思われます。
普通サイズは側窓幅と同じ幅で、これが標準的なもの。1960年代から1980年代にかけて、長く見られたものです。
大型方向幕は、横幅はそのままで縦寸法を大きくするのが標準的。前面と同じく1970年代終わりごろに関西から見られるようになり、1980年代に全国に普及しています。写真は、側窓の縦寸法いっぱいのサイズで、大型方向幕の中では最大サイズになります。

大形(上位置)
西日本鉄道
博多駅(1992頃)

大形(下位置)
立川バス
国立営業所(1985.1.15)

大形(分割)
北陸鉄道
金沢駅(1992頃)

大型方向幕にも複数のパターンがあり、上や下に小窓を配置したり、2分割して行き先と経由地を区別しているものなど、ユーザーによるバリエーションは数多くありました。最終的にこのサイズがその後の標準的な大きさとなり、LED表示器にも引き継がれています。

配置による分類
屋根肩部(中ドア上部)
上田交通 いすゞBA20(1969年式)
BA20

撮影:ポンコツ屋赤木様(1989)

屋根の肩部分に側面の行き先表示器を設置するパターンは、1950年代からあったようです。ツーマン車の時代で、中ドアが乗り口であったため、その位置も中ドア上になります。
ワンマンカーになってからも、しばらくは慣例でこの位置に設置している事業者が数多く見られました。
1980年代に入り、キュービックタイプのボディになる時期には、姿を消しています。

腰板部
南越後観光バス 三菱K-MP118N(1983年式)
MP118N

撮影:樋口一史様(小出営業所 2004.9.20)

腰板部分に行き先表示窓を設置する一例です。
かつての手差しの行き先表示板が腰板部分にあったため、それを表示窓にする際に同じ位置に取り付けたという経過だと想像します。また、客窓をつぶさずに設置できるというメリットもあります。
国鉄バス、越後交通、宇野自動車などが遅くまで採用していました。

前ドア次位
小田急バス いすゞK-CJM500
CJM500

撮影:吉祥寺駅(1985.1.15)

前ドアが乗り口になるワンマンカーの標準的な行き先表示の位置は、前ドアの次位になります。首都圏などの均一運賃制のバスの場合、前乗りになるため、このような配置が多く見られました。

中ドア前位
岩手県交通 いすゞBU10D(1972年式)
BU10D

撮影:盛岡駅(1985.5.21)

中ドアの前位に行き先表示器がつくのは、主に中ドアを入口にする事業者に多く見られます。ただし、引き戸の場合は戸袋窓の前になってしまうため、必ずしも入口の脇にあるわけではありません。
写真の車両は、側面の行き先表示器には中身が入っていません。

西日本鉄道 日野KC-HT2MMCA(1997年式)
HT2MMCA

撮影:西鉄久留米駅(2016.11.5)

中ドア前位のケースでも、中ドアが折り戸の場合は行き先表示器は中ドアの隣に来ます。
写真の車両は、LED表示器になっています。

中ドア次位
川中島バス 日野RC320(1970年式)
RC320

撮影:ポンコツ屋赤木様(上田営業所 1989.3.29)

中ドアの次位に行き先表示器がつくのは、主に中ドアを入口にする事業者に多く見られます。1970年代にはここに車掌台を存置する事業者が多くあり、行き先表示器はつけにくかったのですが、1980年代以降の中乗り前降りの事業者では、この位置につける例は増えています。

後ろドア前位
千曲バス 日産ディーゼル4R95(1971年式)
4R95

撮影:ポンコツ屋赤木様(上田営業所 1989.8.12)

前後ドア車の場合、側面の行き先表示窓は後ろドア前位に付くのが普通です。これは、前後ドア車の多くが後ろ乗り方式であることからの必然です。

側面行き先表示器なし
松本電気鉄道 三菱MR410(1972年式)
MR410

撮影:ポンコツ屋赤木様(松本営業所 1989.8.9)

側面に行き先表示器を用いず、手差しの行き先表示板を使っている事業者もあります。ツーマン時代に使用していた表示板をそのまま使用できるメリットを優先したものと思われます。また方向幕にはコマ数の物理的制限もあり、系統数が多い場合はその都度取り替える表示板の方が対応しやすいという考え方もあったのでしょう。
岩手県交通(盛岡地区)、松本電気鉄道、頸城自動車などが遅くまでこの方式でした。

後ろ面の行き先表示器

方向幕なし
岩手県交通 いすゞBA30(1970年式)
BA30

撮影:53様(矢巾営業所 1984.8.5)

1960年代までは、後ろ面の方向幕設置を前提としないボディスタイルが標準でした。
後面の方向幕は優先度が低いことと、手動の時代には乗務員が後ろまで行って操作する必要があることから、地方では1990年代まで未設置の事業者が多かったほか、都市部でも1970年前後に未設置とした時期がありました。

方向幕あり
京王帝都電鉄 いすゞK-CJM500(1983年式)
cjm500

撮影:府中駅(1983.1.3)

後面の行き先表示窓は1950年代後半には都市部を中心に普及し始めたようです。当初は、車両のスタイルが方向幕に対応しておらず、丸いおでこに飛び出たように設置していましたが、1960年代後半のモデルチェンジで、幕板に収まるようになりました。
なお、自動連動でなかった時代、後部での操作を解消するためか、会社名表示に固定したり、白幕表示にしたりという例も多く見られました。

系統幕付
国際興業 いすゞBU04(1974年式)
BU04

撮影:53様(大宮駅 1984.8.11)

後ろ面の方向幕にも系統幕を併設した例。国際興業などで見られました。
多くの場合、正面に系統幕を付けても後ろ面はつけないという例が多いようです。これは、後ろ面の表示は前面より簡素化することが可能なためだと思われます。それに対し、前面と同様の表示内容にする場合、このように後ろ面にも系統幕を設置することになります。

大型サイズ
岩手県交通 いすゞK-CLM470(1982年式)
CLM470

撮影:53様(2006.8.18)

後面の方向幕を大型にする例は、国際興業や千葉県の京成グループなど一部で見ることができました。
前面と同じく視認性を高める目的と同時に、前面と共通化を図ることでの部品点数の合理化を視野に入れたものと思われます。
結果的に、普及には至りませんでした。

下部に取り付け
西日本鉄道 いすゞKC-LV380N(1999年式)
LV380N

撮影:博多駅(2017.11.25)

西日本鉄道では、西日本車体の58MC〜96MC(後期型)では、リアウィンドウの下部に方向幕を取り付けていました。
その目的はよく分かりません。取付強度の問題、幕交換などのメンテナンス性向上なども考えられます。(注3)

特殊な系統番号表示

京王帝都電鉄 日野RB10(1966年式)
RB10

撮影:板橋不二男様(渋谷駅 1973)

東京バス協会では1972年に漢字+数字の系統番号を導入しますが、その最初期に、正面腰板に大きく系統番号を表示する例がありました。
京王帝都電鉄では、都心部の車両に表示幕を取り付けました。1980年代になってから取り外され、通常の系統幕に系統番号を表示する方式に統一されました。

東京急行電鉄 いすゞBU06D(1971年式)
BU06D

撮影:53様(渋谷 1973)

東京急行電鉄は、表示板方式でした。これは元々ついていた経由地表示枠を活用したもののようです。
これと類似した例は、北海道の阿寒バス、くしろバスや沖縄県各社で見られます。

ワンマンバス関連表示

ワンマン表示灯
岩手県交通

盛岡駅(1984.5.25)

ワンマンバスであることを示すため、前面窓左側上部に「ワンマン」の表示を出すことが「ワンマンバス構造規格」で義務づけられていました。これは照明式が主流ですが、プラスチック製プレートの場合もありました。いずれも緑色地に白文字で「ワンマン」と書かれています。
1986年の改正で表示義務はなくなりました。

出入口表示
表示内容

ワンマン入口 出口 ワンマン出入口 しめきり

ワンマンバスが登場すると、これまで1か所だった扉が2か所以上になるため、扉脇に出口・入口の表示をすることが「ワンマンバス構造規格」で定められました。
ワンマンバスであることを示すため、入口に当たる扉には「ワンマン」を併記した表記とする必要がありますが、「出口」については、「ワンマン」併記の必要はありません。
また、ツーマン車として使用する場合や、2ドア車のうち前ドアのみで出入する場合などは、使わない扉には「しめきり」と表示します。
なお、「ワンマン」の併記は1986年に不要となりました。

表示方法
小窓方式
富士急行 日野RB10
RB10

撮影:大月駅(1980.8.29)

初期のワンマンバスは、方向幕のような小窓を設置し、中の幕で表示する方式が多く見られました。
1960年代には、ワンマンとツーマンを兼用することが多く、扉の機能をそのたびに変える必要があるため、このような方式としたのだと思われます。
乗降方式が頻繁に変わる神奈川中央交通では、2000年代まで小窓方式を採用していました。

表示板方式
富士急行 日野RE100
RE100

撮影:御殿場駅(1978.8.22)

出入口表示を表示板とする方式も多く見られます。
こちらも差し替えを容易にするための造りにしたものと思われます。方向幕ほど頻繁に変える必要のない物なので、コストの低い方式としたようで、1980年代にはこの形に移行した事業者もあります。

はめ込み方式
富山地方鉄道 日野K-RE121(1981年式)
RE121

撮影:富山駅(1982.3.27)

ワンマンバスへ統一されると、出入口表示を変える必要性はほとんどなくなり、表示をはめ込んで固定したり、ビスで止めたりする仕様に変わってゆきました。
さらに1990年代に入ると、シール(フィルム)張りとするように変わっています。

前面のワンマン・乗り方表示
岩手県交通
ワンマン・中乗り・前降り

撮影:釜石営業所(1985.8.10)

法的な義務はありませんが、前面にワンマンバスであることや乗り口、運賃支払い方法などを表示する例も多く見られます。
写真の岩手県交通では「ワンマン・中乗り・前降り」と表示しています。ワンマンバスであることと、乗り口が中ドア、出口が前ドアであることを示しています。

南部バス
ワンマン

撮影:板橋不二男様(五戸営業所 1977)

乗り口等の記載はなく、「ワンマン」であることを明示した表示板。国鉄バスでも同様の表示をしていました。
車掌が乗ったツーマンバスと混在していた時期に、支払方法の違うワンマンバスであることを示す意味があったのだと思われます。

西東京バス
後のり

撮影:武蔵五日市駅(1985.1.5)

ワンマンバスが当たり前になると、乗降・支払方法のみを記載するパターンが主流になります。
西東京バスでは、乗車口を示す「後のり」の札を正面に入れています。緑色地に白文字です。首都圏では、前乗りが主流だったため、後乗りに変更するに当たっては、その部分を強調する例が多かったようです。

新潟交通
後のり・あと払い

撮影:新潟駅(2017.8.26)

写真の新潟交通では「後のり・あと払い」と表示しています。上段が後ろのドアから乗ることを示し、下段が運賃を降りる時に支払うことを示しています。
後ろドアの「後」と後払いの「後」が同じ漢字なので、混同を防ぐため平仮名書きにする例も多く見られます。

神奈川中央交通
運賃後払い

撮影:戸塚バスセンター(1985.4.2)

神奈川中央交通では、1970年代末から、前面向かって右側に小窓を設け、運賃支払方式を表示するようになりました。同社では、同じ路線で往路と復路で乗降方式が変わるという複雑な事情があり、それを利用者に示すための方策だと思われます。
写真の車両では、「運賃後払い」と書いてあります。

コラム
方向幕の連動方式
方向幕を動かす方法は、時代ごとに進化してきました。
かつては巻き取り機を動かすハンドルやレバーが車内側にあり、乗務員が覗き窓を確認しながら動かす手動式でした。
これが次の段階で、運転席の押しボタンにより遠隔操作できる方式が登場します。しかしこの場合も、必要なコマで止めるのは人間の役目で、覗き窓を確認しながらの作業になります。半自動式とでも言いましょうか。この段階で、前、側面、後ろの複数個所の幕を同時に動かす「連動方式」が可能になりました。
そして最後の段階で、目的の番号にセットすると指定したコマで停止する全自動式になります。
ところで、これらの連動方式に、様々な組み合わせがあったというご指摘を掲示板(2018.12.29)にて頂きました。これについて、図解にて説明させていただきます。

1.前1枚−側面1枚−後1枚の場合
1-A.三連動方式
三連動方式 最も単純な方式で、前面、側面、後面とも方向幕は1枚ずつで、すべてを同時に動かす方式です。
この方式の場合、3ヵ所の表示内容は共通させる必要があり、基本的には行き先(系統番号を含む)を表示します。往路・復路を別のコマにする必要があるため、コマ数が多くなる欠点があります。
(例:西武バス)

1-B.二連動+側面方式
二連動+側面方式 前面、側面、後面とも方向幕は1枚ずつですが、側面のみ別系統で動作させる方式です。
この方式の場合、側面のみは往復共通の表示をすることができます。コマ数の集約は可能になりますが、別の路線を運行するときには、2システムのセットが必要になります。
この場合、側面だけは手動というケースもあったようです。
(例:関東バスの大型幕)

2.前2枚−側面1枚−後1枚の場合
2-A.二連動+二連動方式
二連動+二連動方式 前面の系統幕と方向幕が分かれているケースです。系統番号は往路復路に関わらず共通なので、行き先が変わっても系統番号は変えないで、コマ数を削減するのが目的です。この場合は、系統幕と方向幕は別々のシステムにする必要があります。
そこで、前面の系統幕と側面幕が連動、前面の方向幕と後面の方向幕が連動する、2系統が存在する方式です。
(例:小田急バスの普通サイズ幕)

2-B.三連動+前面幕方式
三連動+前面幕方式 上の方式と基本的には同じですが、後面の方向幕を前面の系統幕と組み合わせています。この場合、後面も側面と同様に往路と復路が同じ表示になります。
(例:都営バスの普通サイズ幕)

3.前2枚−側面1枚−後2枚の場合
3-A.二連動+三連動方式
二連動+三連動方式 前面だけでなく後面にも系統幕が独立しているケースです。
側面のみは系統幕がなく、往路復路共通の表示になるため、前後の系統幕と連動します。
(例:関東バスの普通サイズ幕)


このコラムは、掲示板(2018.12.29)の内容をもとに図解しています。例示したバス事業者もそれに基づきます。
組み合わせや動作方法などは、これ以外にも存在する可能性があります。また、図は組み合わせを解説するために単純化してあります。
(注1)
厳密には、バス車体に「行き先表示窓」があり、その内部に「行き先表示器(巻取器)」を取り付け、そこに布製またはビニル製の「方向幕」を取り付けて行き先を表示する。2000年代に入って普及したLED式の場合には、その「行き先表示器」の部分にLEDの表示部分が内蔵されており、「方向幕」に相当する別パーツはなくなった。
一般的には、この「行き先表示窓」も含めて「方向幕」と呼び、さらにLED式については幕が存在しないにもかかわらず「LED方向幕」などと呼んでいる。このような呼称に違和感を感じるが、一般化している用語でもあり、本稿においても「行き先表示窓」を示す用語として「方向幕」という用語を使っている。
(注2)
梨野舞納様(当サイト掲示板2017.12.7)によると、元々は左から[系統番号][起点][終点]という使い方をしていたものの、合理化により[系統番号][起点-終点][不使用]となったとのこと。
(注3)
掲示板(2021年11月26日)において、特快24C-1様からのご指摘によると、後面方向幕のみ手回しであったために下部に付けたとのこと。
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