入門

路線バスの冷房装置

ボディ バスの冷房装置は観光バスを中心に1960年代から取り付けが進んでいましたが、路線バスに関してはドア開閉の頻度が高いことなどから、導入は進みませんでした。冷房開発技術の促進と使用環境の検証を受けて、1970年代中頃に西日本方面から徐々に導入が始まり、1980年代に入ると関東地方でも導入が本格的になり、1990年代に入る頃には一部の地方を除いて冷房車が当たり前になります。
バスの冷房装置には、走行用のメインエンジンとは別に冷房用のサブエンジンを装着した「サブエンジン式」と、メインエンジンで冷房用のコンデンサを駆動させる「メインエンジン直結式」の2種類があります。
ここでは、1980年代を中心にした初期の冷房車の特徴について、まとめてみます。
(注1)

サブエンジン式冷房

メインエンジン直結冷房

ヂーゼル機器(→ ゼクセル → サーモキング)
ヂーゼル機器の冷房装置は資本関係のあるいすゞ製のバスの標準仕様として採用されています。エバポレーターを屋根上に分散配置したタイプから始まり、その後の集中形でも屋根上に突起のないものを標準としていたのが特徴です。
いすゞ以外への装着例も見られますが、これは主にバス事業者側で機器統一を進めるためのユーザー仕様だと思われます。
なお、ヂーゼル機器は1990年にゼクセルに社名変更、さらに2003年にはバスエアコン事業をサーモキングに事業統合しています。その後、2010年にはインガソールランドに吸収されましたが、サーモキング事業部としてブランド名は残されています。
2000年のいすゞのエルガへのモデルチェンジの際、標準品はデンソー製に変わりましたが、サーモキング製は2015年までオプションとして残されていました。

分散式
集中式(屋根上形)
集中式(半屋根上形)
集中式(室内形)
日本電装(デンソー)
日本電装はトヨタ系列の機器メーカーであることから、日野自動車が標準品として採用しています。ヂーゼル機器と同様、ユーザーによっては、他のシャーシメーカーのバスへの搭載例があります。
1996年に社名をデンソーに変更しています。
最終的に、バスエアコンのトップメーカーとなっています。

大型バス
中型バス
富士重工
富士重工業でもバスクーラーの製造を行っており、同社のボディを標準とする日産ディーゼルが標準品として採用しているほか、富士重工製ボディを持つ他のシャーシの車両にも供給しています。
当初から屋根の中央部にエバポレーターを配置していました。

三菱重工
三菱重工業でもバスエアコンを製造し、三菱自動車製のバスが標準品として搭載しています。他のメーカーと異なり、三菱以外のバスへの供給はないようです。
エバポレーターの位置は、当初は後部屋根上で、スケルトンタイプのボディになると同時に前側に移っています。この点は、ヂーゼル機器やデンソーと同じ傾向です。重量配分の都合でしょうか。

大型バス
中型バス
(注1)
日本のバスに初めて冷房装置がついたのは、1958年のことで、西日本鉄道が導入した新型貸切バスが最初。冷房装置の開発は日本電装が行った(ぽると出版 2010「西工の軌跡」P.89)。その後、1960年代には冷房付の高速バスが試作されるなど、長距離バス、貸切バスへの冷房装置の取り付けが進んだ。
一方、路線バスの冷房装置も西日本鉄道から始まり、都市型バスでは1976年にサブエンジン冷房、1977年に直結冷房を採用した(鈴木文彦 2003「西鉄バス最強経営の秘密」P.231)。

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