復刻カラーのいろいろ
2000年代に入り、日本全国のバス事業者で、過去のカラーリングに復刻した車両をデビューさせるという「復刻カラーブーム」「リバイバルカラーブーム」が到来しました。日本のバス事業は1903(明治36)年に始まったと言われており、2003(平成15)年が100周年のアニバーサリーに当るということも、無関係ではありません。大正末期から昭和初期に創業した多くのバス事業者が、次々と「80周年」「90周年」そして「100周年」を迎える時期だったのです。
そういったアニバーサリーと関連付けて、過去のカラーリングを再現することが意外に話題性を生んだことから、同様の施策が次々と発生したようです。
ここでは、そんなリバイバルカラーのいくつかをご紹介します。
北恵那交通
北恵那鉄道復刻デザインバス(2019年〜)

撮影:中津川駅(2023.2.17)
北恵那交通 三菱2PG-MP35FM(2022年式)

撮影:中津川駅(2023.2.17)
1978年に廃止となった北恵那鉄道の電車デザインを復刻したバス。2019年から毎年1両ずつ増えていて、撮影時点で4両あります。
最初の2両は希望ナンバーでモ560形の車号565,564をそれぞれ復刻していました。
3両目は会社創立100周年を記念して登録番号は100で、車体側面の電車の番号は563を復刻、4両目はその続きで登録番号は101、電車の番号は562となりました。
電車の番号の字体はもちろん、リベットのデザインも復刻するという凝りようです。
名古屋市交通局
市営交通100周年記念レトロカラーバス(2022年〜)

撮影:金山駅(2023.2.17)
名古屋市交通局 日産デADG-RA273MAN(2007年式)
名古屋市が100周年を記念して12両ものレトロカラーバスを登場させた中の1両。1969年からのワンマンカーのカラーを復刻した1両で、80周年のときに復刻されたものと同じカラーです。
前面や側面などに「ワンマンカー」の文字が入ります。
市営交通100周年記念レトロカラーバス(2022年〜)

撮影:栄(2023.2.18)
名古屋市交通局 日野PJ-KV234N1(2006年式)
1988年まで存在した貸切カラーを復刻した1両。
現在の市営バスが白地に青色なので、よく見ないと見逃してしまいそうな復刻カラー。前面には赤いラインが入りますが、後ろから見るとそれこそ現行カラーとあまり変わりません。
限定復刻
道北バス
復刻カラー(2004年〜)

撮影:旭川駅(2016.6.11)
道北バス 日産デU-UA440LSN(1994年式)
復刻カラーの採用ではかなり早い2004年ですが、どうやら学習塾の広告として復刻カラーが採用されたとのこと。車両は代替わりしているようです。
伊豆箱根バス
復刻カラー(2008年〜)

撮影:三島営業所(2013.12.31)
伊豆箱根バス 日産デKC-RM211ESN
伊豆箱根バスが創立80周年を記念して、西武バスからの中古車両に施した復刻カラー。
前面に取り付けられていた赤いエンブレムも復刻されています。
名古屋市交通局
レトロカラーバス(2010〜12年)

撮影:ぽんたか様(名古屋駅)
名古屋市交通局 いすゞKC-LV280N(2000年式)
名古屋市交通局では、2010年に市バス創業80周年を記念し、1969年から1974年まで採用された旧塗装の復刻カラーバスを走らせました。
側面の赤い帯はワンマンカーを示すもので、この車両にも「ワンマンカー」の文字が書かれています。
レトロカラーバス(2019年〜)

撮影:ぽんたか様(名古屋市)
名古屋市交通局 いすゞPJ-LV234N1(2006年式)
名古屋市交通局の10年後の復刻カラー第2弾です。2019年6月から、市バス90周年を記念して、1975年から1989年までのカラーデザインを再現しました。
東急バス
創立20周年記念復刻塗装車(2011年〜)

撮影:渋谷駅(2016.2.21)
東急バス 三菱PJ-MP37JK(2005年式)
東急バスでは、1991年の東京急行電鉄からの分離独立20周年を記念して、5種類の復刻塗装車をデビューさせました。一度に複数の種類の復刻塗装を揃えるパターンの先駆けとなりました。
これは1950年代から採用されたカラーデザインで、裾に鋸型のブルーがあり、赤帯の上下にはゴールドの細線があります。
創立20周年記念復刻塗装車(2011年〜)

撮影:渋谷駅(2016.4.30)
東急バス 三菱LKG-MP37FK(2011年式)
こちらは新車に塗られた初代貸切カラー。1953年の貸切事業開始から採用されたブルーグレーのカラーデザインで、各地のバス事業者に影響を及ぼしたデザインです。
創立20周年記念復刻塗装車(2011年〜)

撮影:ポンコツ屋赤木様(池上駅 2012.7.30)
東急バス 日産デPK-JP360NAN(2005年式)
1967〜84年の間に貸切バスに導入されていたゴールデンデラックス塗装も復刻されました。
なお、このほかに、マーキュリーカラー、ミルキーウェイカラーも復刻されました。
全但バス
復刻カラー(2011年〜)

撮影:播磨観光タクシー様(出石車庫 2016.8.24)
全但バス 日野LJG-HU8JLGP(2011年式)
全但バスでは、2011年以降に導入したハイブリッドバスについて、1970年代までの濃緑色の旧カラーに塗装しました。アニバーサリーとは関係なく、低公害車両のカラーデザインを区別したという事例です。
長崎県交通局
お買い物バス(2011年〜)

撮影:長崎駅(2018.10.16)
長崎県営バス 日野PB-RX6JFAA(2005年式)
長崎県営バスでは、2011年に長崎バスからコミュニティバス「らんらん」の車両を引き継ぎ、「お買い物バス」として、県営バスの旧カラーに塗り替えました。モニター屋根などのレトロ仕様は、元々のスタイルです。
京王バス
100周年記念塗装バス(2013年〜)

撮影:調布駅(2016.2.21)
京王バス 三菱QKG-MP37FK(2013年式)
京王グループでは、バス開業100周年を記念して、2013年1月から新車11台に4種類の復刻カラーを施して運行しています。
これは1950〜70年代の「路線旧々塗装車」。現在の西東京バスとほぼ同じカラーですが、お手本にした写真が初期の三菱R21型だったようで、窓下や前面社紋下のリブが表現されています。
100周年記念塗装バス(2013年〜)

撮影:多摩センター駅(2018.8.28)
京王バス 日野QPG-KV234L3(2015年式)
これは、1975年に採用された路線バスカラーで、クリーム色地に朱色のラインだけにした簡易塗装です。
年式から分かる通り、記念塗装スタート時の車両ではなく、後に追加となった車両です。
100周年記念塗装バス(2013年〜)

撮影:多摩センター駅(2022.7.16)
京王バス 三菱QKG-MP37FK(2013年式)
これは、1980年に初代ワンロマ車に採用されたカラー。当時の標準カラーをベースに、高速バスカラーにちょっと歩み寄った塗り分け線が特徴。次年度製のワンロマ車は高速バスカラーそのものに変り、この初代カラーも間もなく一般カラーに塗り替えられてしまったので、京王の復刻カラーの中では最もマイナーなカラーデザインといえるでしょう。
100周年記念塗装バス(2013年〜)

撮影:南大沢駅(2022.7.16)
京王バス 三菱QKG-MP37FK(2013年式)
これは、貸切・高速カラー、或いは1981〜82年の2代目ワンロマ車のカラーの復刻。京王帝都の文字やK.T.Rのロゴなど、懐かしいアイテムも復刻されています。
このカラーの意匠の一部は、今でも関連会社の特定バスで見る事が出来ます。
100周年記念塗装バス(2015年〜)

撮影:調布駅(2016.2.21)
京王バス 日野QPG-KV234L3(2015年式)
記念塗装バスの追加分として、1970年代に採用されていた貸切バスの色違いパターンが復刻されました。
これは、当時の観光バスカラーの朱色のラインをブルーに変えたもので、京王といえば赤系統だと思っていた向きには意外な色選択に映りました。復刻カラーの題材としては、マニアックな部類だと感じます。
100周年記念塗装バス(2015年〜)

撮影:新宿駅(2016.2.21)
京王バス 日野QPG-KV234L3(2015年式)
同じく貸切カラーの色違いで、こちらはグリーンの車両。当時を知る人でなければ、京王バスには見えません。
奈良交通
旧塗装復刻車両(2013年〜)

撮影:奈良駅(2022.6.4)
奈良交通 いすゞQPG-LV234N3(2013年式)
奈良交通が創立70周年を記念して、1955〜82年に導入した車両に採用していたカラーの復刻車両1両を新造、春日大社と法隆寺を結ぶ観光路線バスに使用しています。
茨城交通
赤バスカラー(2013年〜)

撮影:水戸駅(2014.11.8)
茨城交通 日産デKL-JP252NAN(2001年式)
2013年に中古車2台をかつての「赤バス」カラーに復刻しました。ワイパーやライトベゼル、バンパーを銀色に塗っているほか、「ワンマン」の行灯も窓内に付けています。
近江鉄道
昭和カラー(2013年〜)

撮影:近江八幡駅(2015.8.29)
近江鉄道 日産デKL-UA452MAN(2002年式)
近江鉄道が2013年9月に、西武バスからの中古車両の施した復刻カラー。同社では「昭和カラー」と呼称します。
東濃鉄道
創立70周年記念車両(2013年〜)

撮影:多治見駅(2016.4.16)
東濃鉄道 三菱TKG-MK27FH(2015年式)
東濃鉄道では、2013年11月に、創立70周年を記念して、名鉄カラーになる前の緑系のカラーデザインを復刻しました。好評だったため、その後の新車にも採用されています。
国際興業バス
復刻塗装(2013年〜)

撮影:大宮駅(2020.12.25)
国際興業バス いすゞQPG-LV234N3(2013年式)
国際興業では、2013年から、緑色の彩度が異なる旧カラーの復刻カラーの運行を開始しました。このカラーは、1959〜97年の間に採用されたもので、オリジナルの車両が廃車になることから、代わりに登場させたもの。
復刻塗装(2013〜2018年)

撮影:左党89号様(飯能駅 2016.8.21)
国際興業バス いすゞKC-LV380L改(2000年式)
国際興業が1950年に東都乗合自動車を合併した後に採用したカラーを復刻した車両が1両だけありました。使用色はライトパープルとマルーンだそうです。
標準色に塗られていた中古導入車を塗り替えたもので、2018年にこの車両が廃車になって、姿を消しました。
JRバス関東
赤いつばめ(2013〜15年)

撮影:左党89号様(東京駅 2013.12.15)
JRバス関東 日野QPG-RU1ESBA(2012年式)
東京駅高速バスターミナルのリニューアルを記念して、2013年12月に登場した復刻カラー。
臙脂色系のデザインは見慣れないカラーリングですが、名神高速道路開業を前に開発が進められた試作車のカラーです。
青いつばめ(2013〜15年)

撮影:左党89号様(東京駅 2013.12.15)
JRバス関東 三菱BKG-MS96JP(2008年式)
同時期に登場した青系の復刻カラーは、1964年の名神高速バス開業の際に採用されたカラーで、前面の動輪マーク、側面のJNRマーク、つばめマークと国鉄の文字まで入ります。
当時の実物は、青色が紺色に近かったのと、裾の青色はなかったので、復刻カラーというよりそれをモチーフにした新デザインのように感じました。
国鉄カラー(2017年〜)

撮影:ポンコツ屋赤木様(高遠駅 2020.12.8)
JRバス関東 日産デKC-UA460LSN(1999年式)
JRバス関東では、路線バス1両を国鉄バス時代の1972年に採用されたデザインに復刻しました。前面の動輪マークや側面のつばめマークも復刻されています。
上の「青いつばめ」をベースにした路線カラーで、現在でもJRバス東北やJR四国バスでは普通に使用中です。
大阪市交通局
ゼブラバス(2014年〜)

撮影:大阪駅(2016.5.7)
大阪市交通局 いすゞPDG-LV234L2(2010年式)
大阪市交通局では、2013年の市営交通110周年を記念し、2014年1月より「ゼブラバス」と呼ばれた路線バスカラーを復刻した車両の運行を開始しました。
このカラーは、定期観光バスに採用された臙脂色のデザインを濃緑に変更したもので、窓下の赤いラインはワンマンバスを表します。
ラッピングによるもので、窓部分にはHゴム支持を表現する工夫も見られます。
東京都交通局
灰緑カラー(2014〜19年)

撮影:巣鴨駅(2016.3.27)
東京都交通局 いすゞPJ-LV234L1(2004年式)
東京都では、都営バス創業90周年を記念して、2014年1月からラッピングによる復刻カラー5台の運行を開始しました。
こちらは、1950〜59年に採用されていたデザイン。
都営バスの運行情報サイトではボンネットバスカラーと書かれていましたが、前面はリアエンジンバスの塗り分けです。
都電カラー(2014〜18年)

撮影:巣鴨営業所(2017.3.4)
東京都交通局 いすゞPJ-LV234L1(2004年式)
こちらは、1959〜67年に採用されていたクリーム色に臙脂色のラインが入ったデザイン。当時の都電と同じカラーでした。
これらはすべて在来車へのラッピングだったため、2018〜19年にすべて解除されました。
美濃部カラー(2014〜19年)

撮影:渋谷区(2016.4.3)
東京都交通局 いすゞPJ-LV234L1(2004年式)
こちらは1968〜80年に採用されたクリーム色にスカイブルーのデザインで、当時の都知事の名前を当てはめて「美濃部カラー」と通称されます。
下部のスカイブルーが前面に向けて斜めに降りてくる感じは、写真のように右側面から見ないと再現度合いが確認できません。
冷房車カラー(2014〜18年)

撮影:渋谷駅(2016.4.3)
東京都交通局 いすゞPJ-LV234L1(2004年式)
こちらは1981年に採用された黄色に赤帯のカラーで、ミニバスに使われていたものを大型バスに展開したものですが、色彩公害であるかのような指摘があり、短期間で次のカラーに変更されたものです。
黄色が派手だとか赤がどぎついだとかの指摘だったと記憶しますが、今見るとそれほど刺激的ではありません。
ナックルカラー(2014〜19年)

撮影:渋谷区(2016.4.3)
東京都交通局 いすゞPJ-LV234L1(2004年式)
こちらは1982年に採用された緑色のナックルラインが入るカラーで、上のカラーが不評だったため、コンペの結果採用されたもの。
都営バスではノンステップバス採用に当たり、このカラーをベースに黄色い円の入るデザインに変更したため、このカラーは2013年に消滅していました。
三重交通
70周年記念復刻塗装バス(2014年〜)

撮影:津駅(2016.4.16)
三重交通 いすゞKL-LV280L1(2005年式)
三重交通では、創業70周年を記念して、1951年に採用された旧カラーを復刻したバスを2014年2月にデビューさせました。
三菱のボンネットバスに由来する窓下3本ラインを持つカラーで、色はブルーです。
頸北観光バス
復刻カラー

撮影:本社営業所(2016.9.3)
頸北観光バス いすゞKL-LV280L1(2001年式)
頸北観光バスでは、中古車両に、頸城グループの旧カラーを採用しています。
旭川電気軌道
旭川バスカラー(2014年〜)

撮影:旭川駅(2016.6.11)
旭川電気軌道 三菱QKG-MP38FM(2014年式)
旭川電気軌道では、2016年の創業90周年に向けて、2014年10月の新車に3種類の旧カラーを展開しました。
この1両は、1968年に合併した旭川バスのカラーで、銀色にピンクの鋭角デザインが入っています。
旧カラー(2014年〜)

撮影:旭川駅(2016.6.11)
旭川電気軌道 日野QKG-KV234N3(2014年式)
こちらは1970〜80年代の路線バスカラーで、日野車1両がこのカラーになりました。
なお、このほかに、この時点で現存するツーステップバスのカラーも復刻されています。
防長交通
長距離バスカラー(2015年〜)

撮影:防府駅(2016.5.29)
防長交通 日野SKG-KR290J1(2015年式)
防長交通では、2015年に創立80周年を記念して、複数の復刻カラーを登場させました。
この車両は臙脂色のデザインで、親会社の近鉄のカラーを流用したもので、防長交通では長距離バスとして使用されたものです。
近距離バスカラー(2015年〜)

撮影:徳山駅(2016.5.29)
防長交通 日野SKG-KR290J1(2015年式)
こちらは色違いの青系カラーですが、近距離バスに採用されたもの。非冷房車の時代に用いられたものです。
その後、冷房車は緑系の色違いが採用され、そちらはこの時点では現存していました。
防石鉄道カラー(2015年〜)

撮影:防府駅(2016.5.29)
防長交通 日野SKG-KR290J1(2015年式)
1992年に防長交通に合併した防石鉄道のカラーも復刻されました。側面には「防石鉄道バス」の文字も入ります。
しずてつジャストライン
銀バス(2011年〜)

撮影:静岡駅(2017.3.19)
しずてつジャストライン 日野LJG-HU8JLGP(2011年式)
しずてつジャストラインが復刻カラーを連発する前、2011年に導入されたハイブリッドバスに採用された銀バスカラー。窓下の青帯が、前面のライトを避けたことで、偶然か意図的か昔日のライン形状を再現した結果となっています。
旧貸切・急行カラー(2015年〜)

撮影:静岡駅(2017.3.19)
しずてつジャストライン 三菱QKG-MP38FM(2016年式)
静鉄では、2015年の新車から復刻カラーを積極的に導入しています。
赤系のこのカラーリングは、かつての貸切バスや長距離バスのカラーです。1953(昭和28)年に採用されたデザインだそうです。
旧路線カラー(2015年〜)

撮影:静岡駅(2017.3.19)
しずてつジャストライン 三菱QKG-MP38FM(2016年式)
緑系のカラーリングは、近距離路線バスのカラーで、1948(昭和23)〜1969年の間に採用されたもの。
銀バス(2016年〜)

撮影:静岡駅(2017.3.19)
しずてつジャストライン いすゞQPG-LV290Q1(2016年式)
銀色地に青いラインが入った1970年代カラー(1969〜79年に採用)を復刻。当時の「静岡鉄道」ロゴが入ります。
赤バス(2018年〜)

撮影:静岡駅(2021.9.15)
しずてつジャストライン いすゞQPG-LV290Q2(2018年式)
しずてつジャストラインでは、2018年に複数の復刻カラーが追加されますが、1980年に採用された「赤バス」も新たに加わりました。縦の赤いラインは前後ドアを前提にデザインされているので、後ろの部分には違和感があります。
また、撮影時点では、近隣の営業所ではこのカラーの車両は現役でした。
小田急箱根高速バス
創立15周年記念カラー(2015年〜)

撮影:新宿駅(2016.5.3)
小田急箱根高速バス 三菱QRG-MS96VP(2015年式)
小田急箱根高速バスでは、創立15周年を記念して、2015年4月より、小田急電鉄時代のカラーを復刻した車両の運行を始めました。
このカラーは、小田急バスカラーとよく似た塗り分けですが、当時の小田急ロマンスカーとイメージを合わせたオレンジバーミリオンになっており、裾にはグレーのラインも入ります。
シティバス立川
復刻カラー(2016年〜)

撮影:立川駅(2016.5.14)
シティバス立川 三菱PJ-MS86JP(2006年式)
シティバス立川では、1990年代の貸切バスのカラーデザインを復刻した高速バスを、2016年1月にデビューさせ、高速バス立川飯田線で使用を開始しました。
このデザインは、小田急グループのカラーをベースに斜めラインと金色ラインを入れたもので、斜めラインが流行している時代のアレンジでした。
十勝バス
創立90周年記念復刻塗装車両(2016年〜)

撮影:釧オロ様(十勝バス本社 2016.8)
十勝バス 日野QPG-KV290Q1(2016年式)
創業90周年を記念して、新車のうち1両に、1985年頃まで採用していた黄色ベースのブルーリボンカラーを復刻。黄色の塗料は、当時のものをメーカーに特別オーダーしたとのこと。
前面のウィングマークは、若手社員が倉庫から見つけた当時物を磨き上げて装着したそうです。
ちばシティバス
復刻版塗装車両(2016年〜)

撮影:京成稲毛駅(2022.4.13)
ちばシティバス いすゞPA-LR234J1(2006年式)
公式Webサイトによると、このカラーリングには、下記のような意味があるそうです。
ピンク色は老若男女問わず、お客様に親しみのある色
水玉は輸送する「地域」を表す
リボンはその地域を「結ぶ」という意味
大分交通
大分交通120周年復刻号(2016年〜)

撮影:別府駅(2018.10.17)
大分交通 日野KK-RJ1JJHK(2004年式)
大分交通が1896(明治29)年の豊州電気鉄道の設立から120周年を記念して、かつて運行していた別大電車のカラーを再現したもの。
黄色と緑のツートンカラーに、屋根の薄茶、床下の台車などがラッピングにより描かれています。前面は通常カラーなので、電車の窓を表現している後ろ姿をお見せします。
岩手県交通
復刻カラー(2016年〜)

撮影:紫波営業所(2018.10.2)
岩手県交通 いすゞKL-LV280L1(2002年式)
岩手県交通では、2016年に中古車2両に、1970〜90年代のカラーを再現しました。本来は上半分の地色は白なのですが、これは銀1色に塗られています。
特にアニバーサリーとは関係なく、またその後の継続性もなく、復刻した趣旨は不明です。
東京ベイシティ交通
復刻カラーバス(2017年〜)

撮影:新浦安駅(2022.3.21)
東京ベイシティ交通 いすゞQPG-LV290Q1(2017年式)
通称「東京ベイシティバス」が運行開始から40周年を迎えたことを記念して、新車4両を復刻カラーバスとして登場させました。同社はオリエンタルランドの子会社として、1976年にオリエンタルランド交通として設立され、1977年より路線バスの運行を開始しています。
1989年に京成資本が入り、現在の社名となり、カラーデザインも現行カラーに変りました。
東武バスイースト
復刻版デザイン車両(2017年〜)

撮影:流山免許センター(2022.4.13)
東武バスイースト いすゞ2KG-LV290N2(2017年式)
車内掲示によると、このカラーリングはには、下記のような意味があるそうです。
ボディ全体を明るくすることにより、車両の存在を強調して、対外的事故防止に役立てることをねらい、1971年から採用
1985年まで活躍
中鉄バス
創立120周年復刻塗装車(2017年〜)

撮影:岡山駅(2022.7.30)
中鉄バス 日産デKL-JP252NAN改(2003年式)
中国鉄道の創立から120周年を迎えるのを記念して、中鉄バスが譲受車3両に復刻カラーを塗装しました。3両ともボディメーカーが異なり、これは西日本車体。
前面の紺色の塗り分けは、車体に合わせて簡略化されています。
佐賀市交通局
復刻版カラー市営バス(2017年〜)

撮影:He526様(佐賀駅前 2018.7.1)
佐賀市交通局 日産デKL-JP252NAN(2002年式)
佐賀市交通局では、市営バス80周年記念事業の一環として、2017年1月に中古車両1両を復刻カラーにしました。このカラーデザインは、1982年まで採用されており、2000年に姿を消したそうです。
車内も臙脂色の座席シートを採用するなど、昔の雰囲気を再現しています。
関東自動車
復刻カラー(2017年〜)

撮影:左党89号様(宇都宮駅 2017.3.12)
関東自動車 日野QKG-KV290N1(2017年式)
関東自動車では、創立90周年を記念して、新車に昭和20〜30年代に使われていたというシルバーを基調にした復刻カラーを採用しました。
1927年の設立時から継続使用されていたという翼のマークも復刻されています。
東野交通
復刻カラー(2017年〜)

撮影:左党89号様(宇都宮駅 2018.5.2)
東野交通 いすゞQDG-LV290N1(2017年式)
東野交通では、創立100周年を記念して、1970年代まで使われていたデザインの復刻カラーを登場させました。側面には「東野鉄道株式会社」の文字も復刻されています。
東野交通は、2016年12月に、それまでの東武グループを離れ、みちのりグループ入りし、2018年には関東自動車と合併しました。
復刻カラー(2017年〜)

撮影:左党89号様(宇都宮駅)
東野交通 日野KL-KV280L1(2004年式)
復刻カラーという意味ではないかもしれませんが、東野交通では、2017〜18年の中古購入車両について、旧カラーに近いデザインを採用しています。これは、東武グループから離脱したことで、これまでの東武カラーが使えなくなったための措置と思われます。
西鉄バス
復刻デザインバス(2018年〜)

撮影:西鉄久留米駅(2021.4.10)
西鉄バス久留米 日産デKL-UA452MAN(2005年式)
西鉄グループでは、九州電気軌道設立の1908年から110周年を迎えることを記念して、1950年代の路線バスに採用された「青バス」デザインを、ラッピングにより復刻しました。当時の社紋やエンブレムなども再現しています。
このほか、北九州地区では路面電車北九州市内線カラーの復刻バスもあります。
東洋バス
復刻塗装車両(2018年〜)

撮影:勝田台駅(2022.4.13)
東洋バス 三菱PA-MK25FJ(2006年式)

撮影:勝田台駅(2022.4.13)
千葉県の東洋バスが創業70周年を記念して中型バス1台に採用したもので、水色のくさび形デザインが特徴。
前面には三菱のエンブレムも復刻されているほか、後面窓の冷房車シールも復刻の一環だと思われます。細かいところにこだわった復刻カラーです。
四国交通
60周年アニバーサリー記念号(2018年〜)

撮影:本社(2023.1.29)
四国交通 三菱2TG-MS06GP(2018年式)
四国交通が創立60周年記念で、高速バスの新車1両を復刻カラーに塗装しました。
2022年には創立65周年として路線バスもこのカラーにしましたが、そちらとは巡り合わせが悪く、撮影できませんでした。
高槻市交通部
復刻レトロカラーバス(2019年〜)

撮影:高槻駅(2022.3.12)
高槻市交通部 日野LKG-KV234N3(2010年式)
高槻市営バスが開業65周年を記念して、1970年代のワンマンカーのカラーをラッピングにより復刻しました。
人口の急増や沿線の発展が進んだ時期で、窓下の赤い帯はワンマンカーを表します。1990年代の中頃まで使用されました。
近鉄バス
復刻デザイン塗装バス(2019年〜)

撮影:東花園駅(2022.1.20)
近鉄バス いすゞ2DG-LV290N2(2019年式)
近鉄バスでは、近畿日本鉄道から分離独立して20周年を迎えることから、2019年8月に1980年代までのデザインを復刻したバスの運行を開始しました。
なお、このカラーは、名阪近鉄バスでも2014年と2020年の2回、復刻しています。
秋田中央交通
仙秋号30周年記念カラー(2019年〜)

撮影:左党89号様(秋田駅 2021.1.5)
秋田中央交通 いすゞ2TG-RU1ASDJ(2019年式)
秋田中央交通では、1990年に開業した高速バス「仙秋号」の30周年を記念して、新車2両を運行開始当時の青系カラーにするとともに、3001・3002の希望ナンバーを取得しました。
当時、小田急バスと共同運行でスタートした「フローラ号」が赤系に塗られ、「仙秋号」はその色違いの青系でしたが、後に緑系に塗り替えられていました。
芸陽バス
90周年復刻塗装車(2020年〜)

撮影:西条駅(2022.9.25)
芸陽バス 日野2KG-KV290N3(2020年式)

撮影:西条駅(2022.9.25)
2021年1月に開業90周年を迎える芸陽バスでは、路線バス利用が急激に増加した昭和30年代のデザインを復刻した記念塗装車を登場させました。1970年代後半まで使われたカラーだそうです。
ラッピングによりスタンディーウィンドウを表現しているほか、前面に日野のウィングマーク、後面に日野KVのバッジなど、細部にもこだわりが表現されています。
山梨交通
全面広告バス(2020年〜)

撮影:甲府駅(2022.6.25)
山梨交通 いすゞKL-LV280L1(2002年式)
ラッピング広告バスで旧カラーを再現したという変わり種。1956〜87年の間に採用されていたカラーデザインです。
位置こそ違いますが、社名ロゴも当時のものが再現されています。ホイールも地色のグレーに塗られています。
北鉄能登バス
復刻青バスカラー(2021年〜)

撮影:七尾駅(2022.7.9)
北鉄能登バス 日野PKG-KV234N2(2007年式)
北陸鉄道の子会社の北鉄能登バスが、前身の七尾バス創立(1991年)から30周年を記念して、3両の復刻カラーを登場させたうちの1両。
終戦後から1960年代まで採用されたカラーデザインで、地色が薄いブルーなので、青バスと呼ばれたそうです。
前面や側面に社紋が再現され、側面には「ワンマン入口」などの表記、中ドアには「自動扉」の表記があります。
復刻赤帯カラー(2021年〜)

撮影:七尾営業所(2022.7.9)
北鉄能登バス 日野PKG-KV234N2(2007年式)
こちらは1970年から採用された旧カラーの復刻。おでこから屋根にかけての塗り分けやライト周りの銀色など、当時のイメージを再現しています。
もっとも、元々のカラーの車両が残存しているほか、親会社の北陸鉄道の高速バスが最近このカラーに回帰しています。
北海道拓殖バス
創立60周年記念復刻版塗装車両(2021年〜)

撮影:釧オロ様(帯広駅 2022.8.24)
北海道拓殖バス いすゞ2TG-LV290Q3(2020年式)
1960年の創業から60周年を記念して、新車1両を、創業から1980年代前半まで使用していたカラーに復刻しました。
ハンドルと塔をイメージした社紋や、T.B.Kのロゴも再現されています。
江若交通
復刻カラー(2021年〜)

撮影:sakaisuji66613様(朱雀門ひろば 2022.6.12)
江若交通 三菱PJ-MP35JM(2006年式)
江若交通が中古車1両を、1980年代まで使われていたカラーで就役させました。
前面には三菱ふそうのエンブレム、側面のサッシは銀色で出入口表示はHゴム風というあたりに、こだわりを感じます。
網走観光交通
ブルーリボンカラー(2022年〜) 網走観光交通 日野PJ-KV234N1(2006年式)

撮影:網走駅(2022.6.12)
網走交通から2002年に分社し、2009年に東急グループを離脱した後、2010年に現社名となった網走観光交通が、網走交通時代の「ブルーリボンカラー」の復刻カラー車両を登場させました。
側面にブルーリボンのマークが再現され、その脇には、かつての東急グループマークに代えて現在の自社の社紋を入れています。また、前面には日野のウィングマークも取り付けられました。
このカラーの時代には、前ドアのメトロ窓車が用いられていましたが、この車両も中古で前ドアツーステップ車を購入しており、車種選択も的を得ています。
弘南バス
昭和ラッピングプロジェクト(2022年〜)

撮影:左党89号様(弘前BT 2022.11.13)
弘南バス 日野2KG-LR290J3(2017年式)

撮影:左党89号様(弘前BT 2022.11.13)
地元有志による「弘南バス昭和ラッピングプロジェクト」により実現した復刻カラー。1960〜80年代に採用されていたカラーデザインで、2000年代まで残存していました。
ホイールも朱色に塗られています。また、出資者であるクリニックの広告が窓に展開されています。
なお、報道では「つばめカラー」という表現が使われていましたが、当時そういう呼び方があったかどうかは定かではないので、ここではプロジェクト名で呼ばせて頂きます。
復刻デザイン塗装(2022年〜)

撮影:修善寺駅(2023.1.1)
東海バス 日野2KG-KR290J4(2022年式)
東海バスが創立105周年を記念して、1960〜70年代に活躍したカラーデザインを復刻しました。
東海バスは今でもオレンジとイエローを使用していますが、復刻に当たっては、当時の色を使用したとのこと。また、ドアの小さい窓を表現したり、日野の「立体エンブレム」を復元するなど、細部にはこだわったとのことです。
広汎復刻
島原鉄道
スリーレッドライン(2003年〜)

撮影:島鉄BT(2018.10.15)
島原鉄道 日野KL-HR1JNEE
島原鉄道では、2003年に新車導入したノンステップバスから、1970年代まで採用されていたカラーデザインに戻しました。同社では、スリーレッドラインと呼称しています。
当初の意図は不明ですが、結果的にすべてのバスがこのカラーデザインに戻されました。
秋北バス
旧塗装車(2008年〜)

撮影:左党89号様(鷹巣駐車場 2014.6.22)
秋北バス いすゞU-LR332J(1995年式)
2008年に創業65周年を記念して、中古車2台を旧カラーに塗装しました。この時点でまだ旧塗装車が残存していたので、復刻とは言えないかも知れません。その後の国際興業以外からの中古車にもこの塗装を採用しており、実質的に旧カラーに戻ったということのようです。
十和田観光電鉄
鉄道代替バス(2012年〜)

撮影:左党89号様(三本木営業所 2014.6.21)
十和田観光電鉄 いすゞP-LV314K(1989年式)
2012年に十和田観光電鉄の鉄道廃止に伴う代替バスとして導入した中古車が、旧カラーを採用しています。この時点で元々の旧カラー車は残存していました。また、このカラーになったのは、鉄道代替バスのみです。
鉄道車両がこれとよく似たカラーであったからなのかもしれませんが、粋な計らいです。
一畑バス
青バス(2012年〜)

撮影:出雲市駅(2016.5.28)
一畑バス いすゞQPG-LV234N3(2014年式)
一畑バスでは、100周年を記念して、2012年4月よりかつての「青バス」を復刻した車両をデビューさせました。このカラーは、1980年代まで採用され、2000年3月まで使用されていたとのことです。
なお、その後の新車にもこのカラーが使われています。かつてのカラーの評判がよく、継続的に採用されるというのは、島原鉄道に続く事例です。
北陸鉄道
高速バス(2015年〜)

撮影:金沢駅(2022.7.30)
北陸鉄道 三菱2TG-MS06GP(2020年式)
復刻カラーと言えるかどうかは分かりませんが、一旦新塗装に移行したものが旧塗装に戻ったということで、ここに含めます。
北陸鉄道では、2000年に路線バスを新デザインに移行し、2008年から高速バスも同じカラーになっていましたが、2015年の新車から高速バスのみ旧カラーをまとうようになりました。
北海道の阿寒バスと似たような事例です。
阿寒バス
丹頂鶴カラー(2016年〜)

撮影:釧オロ様(本社 2017.9)
阿寒バス 三菱KL-MS86MP(2001年式)
阿寒バスでは、路線や用途ごとに色々なカラーが存在していましたが、伝統的な丹頂鶴カラーをリファインし、2016年より路線バスや中距離バスに採用しました。この時点で旧カラーは現存していましたので、厳密には復刻カラーではありません。
旧カラーでは前面まで回り込んでいた丹頂鶴が側面で完結するようになり、車体裾の英語も省略されています。
祐徳自動車
復刻カラー(2016年〜)

撮影:佐賀駅(2016.11.5)
祐徳自動車 日野SDG-KR290J1(2016年式)
祐徳バスでは、2016年の新車から、旧カラーを採用しました。屋根上が赤色ですが、この部分は本物の旧カラーとは異なります。
その後、在来車もこのカラーに塗り替えを進めているようです。
その他
小田急バス
創立70周年記念ラッピングバス(2020年〜)

撮影:武蔵境駅(2021.9.11)
小田急バス いすゞ2PG-LV290N3(2019年式)
復刻カラーではありませんが、ちょっとツボにはまった記念カラーなので、ここでご紹介。
小田急バスのカラーを「小田急ブルー」にしたという記念バス。「人と街を結ぶ」をテーマに、左側面には昔の街並、右側面と後部には現代の街並が描かれています。
前面は通常の赤色なので後ろ姿をお見せします。