その頃

ノラざえもん

第3話 明日のテストは100点だ!!



のびぞう 「ノラざえもん! 明日テストなんだよ。ボクが100点取れるような道具を出してよ」

ノラざえもん 「テストで100点? じゃあ・・・♣鉛筆!

のびぞう 「わあい、この鉛筆で答えを書くだけで100点が取れる鉛筆だね!」

ノラざえもん 「違うよ。普通のHBの鉛筆だよ」

のびぞう 「普通の鉛筆で100点取れるの?」

ノラざえもん 「もちろん取れるよ。正解を書けばいいんだよ!」

のびぞう 「そうなのか!・・・って、正解を書けないからノラざえもんに頼んでいるんじゃないか」

ノラざえもん 「そうなんだ・・・じゃあ・・・♣消しゴム!

のびぞう 「わあい、この消しゴムで答えを消すと100点取れるという斬新な消しゴムだね!」

ノラざえもん 「違うよ。普通のプラスチック消しゴムだよ。端っこで消すと黒くなるから、真ん中で消してね」

のびぞう 「何普通のもの出してんだよ! 頭の悪いボクが100点取れるような新しい道具を出してよ」

ノラざえもん 「しょうがないなあ・・・♣コンピューターをハッカーするソフトが入ったCD!

のびぞう 「これをどうしろっていうの?」

ノラざえもん 「このソフトを電子メールで先生に送るんだ。そうすると、先生のパソコンから明日のテストが盗めるよ」

のびぞう 「やったー。ノラざえもん、ありがとう、頼りになるよ」

ノラざえもん 「やれやれ、世話の焼けるのびぞう君だな」

のびぞう 「よおし、ノラざえもん、テストが手に入ったよ。・・・あれ? でもこれ問題用紙だけど、答えが書いてないよ」

ノラざえもん 「当たり前じゃないか。答えを書くのは生徒なんだから」

のびぞう 「ノラざえもんのバカバカバカ。答えが分からないと100点取れないよ」

ノラざえもん 「しょうがないなあ。それじゃあ、♣未来に電話できるFAX受信機!

のびぞう 「うわ、未来だって! それそれ、そういうの待ってたんだ。でも、これでどうやって100点取るの」

ノラざえもん 「これで明日の夜のシズミちゃんに電話して、『答え合わせしたいからシズミちゃんの答案用紙FAXしてよ』ってお願いしてみ」

のびぞう 「ノラざえもん、あったまイイ! さっそく電話してみるよ」

ノラざえもん 「あ〜あ、またのびぞう君を甘やかしちゃったな」


のびぞう 「待てよ。こんな便利な電話があるんなら、10年後のシズミちゃんに電話して、10年後にボクと付き合ってるかどうか聞いてみよう」


ノラざえもん 「でもいいか。正解の答案を覚えることで、勉強になるという面もあるんだよな」


のびぞう 「ノラざえもん! やったよ。10年後のシズミちゃんに電話して『のびぞう君のことどう思う』って聞いたらね、『ダメ!大学の中で大きな声でのびぞう君の名前出さないで』とかって怒られちゃったよ。付き合ってること友達に知られたくないんだよ。可愛いなあ、相変わらず」

ノラざえもん 「なんで10年後になんか電話するんだよ。明日の夜に電話しないと、テストの答え分からないだろ」

のびぞう 「もうテストなんていいよ。だって、大学生のシズミちゃんと付き合ってるってことは、ボクも大学行けてるんだから、これ以上勉強なんかしなくたって大丈夫なんだよ。やったー」

ノラざえもん 「あ・・・のびぞう君、ちょっと待ってよ。どこ行くんだよ。あ〜あ、まさか高校時代にのびぞう君がいじめを苦にして自分の家に放火して家族をみんな殺しちゃったから、仲間内でのびぞう君の名前を出すのが禁句になってるなんて、今ののびぞう君には言えないよ」

岩手県のバス“その頃”



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