その頃

童話の裏表紙

三匹の子豚



オオカミ 「ブタ君、ブタ君、こんにちは。ドアを開けてくれないか」

子ブタ 「いやだよ」

オオカミ 「どうしてそんなことを言うんだい」

子ブタ 「家に入れれば、俺たちを食べようっていうんだろう」

オオカミ 「やだなあ、ブタ君。どうしてそんなことを言うんだい」

子ブタ 「それよりも、俺たちをブタ君とか種類名で呼ぶなんて失礼だな」

オオカミ 「それじゃあブタ君、何て呼べばいいんだい」

子ブタ 「ちゃんとそれぞれの名前で呼んでよ」

オオカミ 「分かったよ。じゃあ名前を教えておくれ」

子ブタ 「俺は『ぶー』、弟は『ふー』、そして末っ子は『うー』だ」

オオカミ 「何だ単純な名前だな。俺はまた『ウルトラピッグ』とか『ブタ吉くん』とかいうのかと思ったよ」

子ブタ 「お前もアホだな。自分たちで発音できないような名前を付けるわけないだろ」

オオカミ 「それもそうだな」

子ブタ 「お前だって多分『ほえぇ』とか『うぉぉ』とかって間抜けな名前なんだろ」

オオカミ 「そんなことないさ」

子ブタ 「わかった、お前、名前ないんだろ」

オオカミ 「あるよ。教えてあげるから、ドアを開けておくれ」

子ブタ 「いやだよ」

オオカミ 「それじゃあ、俺がこの家を息で吹き飛ばしちゃうぞ」

子ブタ 「やれるもんならやってみな」

オオカミ 「既に藁の家と木の家は壊しちゃったからね」

子ブタ 「無理さ。この家はレンガでできてるんだよ。おまけにセキュリティが強化されてる」

オオカミ 「どういうことだい?」

子ブタ 「鍵は二重だし、無理に開けようとすると警報が鳴るようになってる。そして指紋認証もついてる」

オオカミ 「それはたいそうな作りだな。実は俺は警備会社に勤めているから、そういうことは専門なんだよ」

子ブタ 「そりゃあ知らなかった。それなら、この家に侵入なんて、おいそれとはできないことは分かるよね」

オオカミ 「それはそうだが、セキュリティにも抜け穴がある」

子ブタ 「さすが専門家、煙突が弱点だということを見抜いたんだね」

オオカミ ・・・煙突が弱点なのか。白状しやがって、バカなブタめが・・・

子ブタ ・・・俺の下手な誘導に引っかかって、煙突から入ってくるつもりだな・・・

オオカミ 「煙突の中、やけに煙いな」

子ブタ 「大丈夫。下で鍋なんて煮えていないよ」

オオカミ 「俺も煙突に蓋をしてブタの燻製を作ろうなんて思ていないよ」

岩手県のバス“その頃”



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