岩手県交通のカラーバラエティ

トラディショナル・バージョン(写真版)


岩手中央バス、岩手県南バス、花巻バスの3社が合併して1976年に成立した岩手県交通は、1980年代になっても旧3社のカラーや国際興業グループのカラー、そして新しく加わった貸切新カラーやTDA提携カラーなど、様々なカラーのバスが入り乱れて走っていました。
そんなバラエティに富んだ80年代のカラー図鑑です。

オリジナルカラー
岩手県交通カラー(1976〜)
岩22か1997

撮影:盛岡駅(1984.5.22)

1976年の岩手県交通成立に伴い生まれたカラー。路線バスの新車から中古車、貸切バスまであらゆるバスがこのデザインに塗られました。どんな形のバスに塗っても、不思議と違和感のないカラーでした。
なお、このカラーのバリエーションとして、ボンネットバスの「まきば号」・「弁慶号」のカラーがあります。両方とも、古いボンネットバスに合うように、シルバーの地を白やクリームに変えるなどのアレンジを施しています。

まきば号(1982〜)
岩22か1764

撮影:盛岡駅(1984.5.25)

弁慶号(1982〜)
岩22か1764

撮影:一関営業所(1985.8.11)

貸切新カラー(1983〜1987)
岩22か1982

撮影:一関営業所(1985.1.17)

1983年に登場したスケルトンタイプの貸切車に導入された新カラーは、青の濃淡に「IWATEKEN KOTSU」のローマ字を白で抜いたスマートなデザインとなりました。
当初は上級車の特別色という意味合いだったようですが、1985年には貸切・高速すべての新車に塗られました。
しかし、1986年には国際興業グループ入りしたため、その後の新車は国際興業グループ貸切カラーに塗られることになり、順次塗り替えが進み、1987年には姿を消してしまいました。

旧3社のカラー
岩手中央バスカラー(〜1985)
岩手中央バスカラー

盛岡駅(1984.5.22)

盛岡・花巻地区を基盤としていた岩手中央バスからの引継ぎカラーには、路線バスカラーと長中距離カラーがありました。
路線バスのカラーは、盛岡・花巻地区の路線バスにまだかなり残っていましたが、廃車が進んだほか、年式の新しい車両については1985年に塗り替えが進んで姿を消しました。

岩手中央バス長距離カラー(1973〜1984)
岩手中央バスカラー

滝沢営業所(1984.9.5)

こちらは長距離バスカラーで、1970年に国際興業グループになった後、早坂高原線や花巻空港線などに用いた国際興業貸切カラーです。
岩手県交通カラーへの塗り替えが進み、1984年には姿を消しました。

花巻バスカラー(〜1986)
花巻バスカラー

撮影:北上営業所(1984.6.11)

花巻バスでは、クリーム色と朱色のツートンカラーを用いていました。窓下のラインが青いのはワンマンカーを区別するカラーでしたが、“その頃”にはワンマンカーしかなく、原形の赤いラインのカラーは廃車体でしか見ることはできませんでした。
1986年にこのカラーの車両では最も新しかった1973年式が県交通カラーに塗り替えられ、このカラーは姿を消しました。

岩手県南バスカラー(〜1987)
県南バスカラー

撮影:水沢営業所(1985.8.17)

岩手県南バスでは、路線バスから貸切バスまですべてのバスがこの赤と白のツートンカラーに塗られていました。花巻バスカラーにも言えることですが、側面の塗分け線にボンネットバス時代の面影が残っています。
台数的には他の2社のカラーより多かったようですが、1987年までに廃車や塗り替えで姿を消しました。

譲受車のカラー
国際興業路線バスカラー(1974〜1984)
国際興業カラー

撮影:盛岡駅(1984.5.22)

国際興業からの譲受車を塗り替えせずに使用した車両も多数ありました。国際興業の社名の上には紙が貼られ、KKKロゴは広告看板などで隠されており、譲受車を安価に就役させる方策だったようです。
岩手中央バス時代の1974年から岩手県交通成立後の1979年ごろまで、このような状態で就役しました。なお、1977年以降に就役した車両のうち、盛岡地区以外に配置になった車両は県交通カラーに塗り替えられています。
盛岡地区に相当数がありましたが、1984年までに廃車になって姿を消しました。
(注1)

岩手中央バスカラー(元神奈川中央交通)(1981〜1986)
神奈川中央交通

撮影:滝沢営業所(1985.12.7)

1981年に神奈川中央交通から譲受した車両の、中央の帯を青く塗り、裾の赤い波型を消して、岩手中央バスカラー風にしたものです。雨樋の部分に残る細い赤いラインが、神奈川中央交通カラーの証しです。
全面塗り替えを行うより一部分塗り替えにより経費を削減したものと思われます。
本物の岩手中央バスカラーは1985年末までに姿を消しましたが、こちらは1986年が明けてからしばらく残りました。

国際興業グループカラー
国際興業貸切カラー(1986〜)
国際興業カラー

撮影:都南車庫(1987.4.16)

1986年に岩手県交通が国際興業グループ入りし、同年製の貸切バス・高速バスの新車から、国際興業貸切カラーを採用しました。追って、在来車の塗り替えも始まっています。高速バスについては、1987年前半までにすべて塗り替えられました。(注2)
なお、“その頃”には、まだ一般路線バスはオリジナルカラーを堅持していました。

夜行高速バスカラー(1988〜)
国際興業カラー

撮影:松園営業所(1988.7.21)

1988年に運行を開始した高速バス盛岡−東京線に採用されたカラーです。国際興業グループとして初めての夜行高速バスで、親会社ともどもの導入でした。
なお、このデザインはその後の東北地方の国際興業グループの夜行高速バスの標準カラーになり、秋北バスや十和田観光電鉄などでも採用されています。

提携カラー
TDAカラー
TDAカラー

撮影:盛岡駅前(1987.4.16)

盛岡駅と花巻空港を結ぶ空港特急に使用される車両には、東亜国内航空(TDA)の航空機と同じレインボーカラーのバスが使用されていました。
なお、北海道の旭川電気軌道や十勝バスの空港バスも同じデザインです。

(注1) この時期の国際興業路線カラーは、飽くまでも譲受車の塗装を塗り替えずに使用しただけで、路線バスのカラーをこのカラーに変更していたわけではありません。そういう意味では、21世紀に導入された同カラーとは意味合いが全く異なります。
(注2) 国際興業貸切カラーも2つの時期があります。一つは「旧3社のカラー」の所で取り上げた「岩手中央バス長距離カラー」で、乗合車両にしか用いられなかったほか、社名は車体後部に書かれていました。二つめは1986年に国際興業グループになって採用されたものです。結果的にこの同じカラーは1984〜86年の2年間のブランクを開けただけで復活したことになります。
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80s岩手県のバス“その頃”