たんぼの記録 2004 収穫期
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     8月7日 出穂25日後


  左 慣行稲 ・右 への字稲 ともに登熟が進んで
  きましたが、高温による消耗が激しく例年よりも
  下葉の枯れ上がりが進んでいます。

  出穂日は同じでしたが、穂の大きさの割りに慣行稲の
  登熟がやや遅れています。

  への字稲は刈り取りまであと10日を切ったようです。


    
写真は拡大できます。

 慣行稲は平年より出来が良さそうですが、やや背が高く
 倒伏も見られます。
 
 日平均気温が高く消耗も激しいようで、穂の色付きを
 上回るスピードで下葉が枯れ上がって来ました。


 への字稲は慣行稲を上回るスピードで登熟が進んで
 いますが、やはり高温による消耗が激しく例年より早く
 下葉が枯れ上がってきました。
 
 このような年には若干の実肥が有効なのですが、
 『穂肥・実肥は食味を落とす・・』 という迷信が通用して
 いる現状では、堂々と施用することが出来ません。

     8月12日 出穂30日後


 この地方の早期コシヒカリは、出穂後35日で
 稲刈りの時期となります。

 よく出来た年のコシヒカリの穂は、こがね色というより
 赤みを帯びた熟色になります。

 左慣行稲は葉の枯れ上がりが進行しています。
 俗に『秋落ち』といわれ、収量・品質の低下に
 つながります。


    写真は拡大できます。

 慣行稲は登熟がやや遅れています。
 異常な高温のため、『乳白米』『未熟米』が多そうです。

 この写真の稲は観測点より一週間早く田植えをした
 圃場のもので、出穂後ちょうど35日目になりました。。

 天候を見て稲刈りを始めます。

     8月16日 コシヒカリ収穫開始


 コシヒカリは稲の品種中で最も熟色・姿が悪いと
 いわれます。

 熟した穂の色が他品種よりやや赤っぽく、
 大きく湾曲します。

 葉が止葉を含め3枚生きており、穂の先端が完熟時
 穂首近くに未熟な青い籾が少し残っているくらいが
 刈り取り時期の理想です。


 左 慣行稲と、右 への字稲の1株を比較しました。

 への字稲は全体的に大柄で、株元より上部が発達
 している様子がよくわかります。

 下の写真はそれぞれの穂を分解したものです。
  
詳しい説明は写真をクリックして下さい。

 


 平均して穂が小さく、バラツキが大きくなっています。

 また、穂数が立ちすぎの為小さな穂の登熟率が
 よくありません。


 比較的大きな穂が揃っています。

 屑穂が少なく、全体の登熟率が高くなっています。

     収穫機についての別ページがあります


     8月22日 出穂40日後


 観測点が収穫適期になりました。

 左 慣行稲の収量は8俵(480Kg/10a)の平年並、
 右 への字稲は11俵(660Kg/10a)の出来です。

   

 この写真の圃場は本年度コシヒカリの最高収量、反当
 12俵(720Kg/10a)を記録しました。

 畦際の株は草丈115センチで穂先が地面に付くほど
 湾曲しますが挫折倒伏はありません。


 株不相応に大きな穂が付くと、今年のような高温年には
 写真のような穂首近くの籾の登熟不良・乳白米が発生し
 収量・品質の低下につながります。
 
 このまま時間を置いても登熟は進まず、かえって胴割れ
 ・変色米が増えるので、あきらめて刈り取りましょう。


 今年の夏の高温傾向はへの字稲にとっても過酷な
 条件だったようで、写真のような登熟不良・不稔籾が
 目立ちます。

 葉の枯れ上がりも例年になく早かったようです。

 


     収穫後


 刈り取りの終わった田んぼもその年の稲作の履歴です。
 よく観察しましょう。





 下の写真(左慣行・右への字)は同一距離からの
 撮影です。

 元肥無施肥・疎植の稲の方が株が大きく、一本の茎も
 太いのがわかります。


     9月6日 への字の原点


 近所の減反田で見つけたコシヒカリの自生です。

 無肥料・無防除の湿田に去年のこぼれ種子から何十株
 かが芽生えました。
 もちろん全部の株が1本植え(?)です。

 どの株も測ったように50本以上に分けつし、重く穂を
 垂れています。

 先日の台風の風で倒伏した田んぼが多く見られますが、
 この自生コシヒカリは一本も倒れませんでした。

 この稲の姿がへの字稲作の見本です。
 


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