たんぼの記録 2003

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 2003年の米作りを画像で紹介します。 主にコシヒカリが中心になります。

  3月9日 種籾の準備 

 種籾に付いているノギや枝梗を取り
 種蒔き時の精度を良くします。

 特にコシヒカリは、薄播き・細植えにするので
 注意します。

 


  3月14日 塩水選

 塩水と種籾の比重差を利用し、不良籾を選別します。

 比重 1.1の塩水に浮く種籾を捨てます。
 


   3月14日 種籾殺菌・浸種

 育苗中の病気を防ぐ為、種籾の殺菌をします。
 イプコナゾール・銅剤に24時間浸けた後、水を
 毎日取り替えながら10日間程浸種します。

 目的は籾殻に含まれる発芽抑制物質を洗い流し、
 水分量を上げることによる休眠
打破です。

 目安は、積算温度100度(水温10度で10日)です。


   3月20日 あぜ塗り  作業前

 種蒔きの準備とともに本田の準備も始めます。

 まずは壊れかけた畦の補修からです。

 冬の間にモグラや雨により穴ができたり
 草が生えたりしています。
   3月20日 あぜ塗り  作業後

 このままでは水管理ができませんので、
 畦塗り機で畦を固め直します。
 
 作業のために上を歩いたり水を貯めても
 壊れない丈夫な畦を作るには、適当な水分量と
 適当な作業速度が必要です。

 我が家の畦の総延長距離は7000m以上ある
 ので作業には1週間ほどかかります。


    3月27日 種蒔き   コシヒカリ

 平年より10日遅れの種蒔きです。

 用土はロックウールマット、覆土は無肥料培土。
 
 種蒔き機は条播き成苗播種機 0.4〜1合播き。
 コシヒカリは0.7合播きが中心です。

 この後10日おきにキヌヒカリ・どんとこいを播種します。
 


    3月27日 平置き出芽

 播種が終わった苗箱をハウス内にならべ
 保温材(発泡ポリを使っています)をべた掛け
  します。

 この後発芽までの1週間から10日、換気に
 気をつけます。

 この時期高温管理による失敗を多く見かけます。


    4月3日 出芽

 今年は夜温が高かったので1週間で出芽しました。

 低温の年は10日程かかることがありますが
 潅水や日中の高温管理は避けて発芽を待ちます。

 保温材を剥がすのは、ストレスを避けるため
 曇雨天の日か朝夕の弱光時に行います。

 0.6合播きの生え方はこんなものです。
 


    4月3日 発芽時の様子 

 保温材を剥がしたときの状態です。

 平置き育苗の場合、鞘葉が地表で展開し
 最初から緑色の芽が出ますので、予備緑化
 及び緑化の行程は不要です。

 覆土を落ち着かせる為たっぷり潅水します。

 写真をclickして下さい。


    4月7日 第1葉展開

 播種10日目、この時の腰の高さが後々の
 生育を左右します。

 第1葉の葉鞘の高さが低いほどがっしりした
 苗に仕上がります。
 写真の苗では約2.5Cmです。
 
 


   4月10日  播種後2週間

   1.5〜2葉期です。          ----->拡大
   4月10日  播種後2週間
 
  
背丈は苗箱(3Cm)程度です。


     4月17日  播種後3週間

  2.5葉期で草丈約10センチです。

  普通はこの時期に田植えをしますが
  コシヒカリは過分けつと倒伏をさけるため
  3.5〜4.5葉期まで待ちます。


      4月19日  荒代掻き 

 育苗と共にたんぼの準備も始めます。

 まずは荒代掻き。伊勢平野は温暖で今年は
 特に雨が多かったため草の発生が多く、また
 近年4月が暖かい傾向にあり夏草の発生が
 異常に早くなっています。 
 代掻き後の夏草の二次発生を抑える為代掻きは
 2回に分けて行います。
 上の田んぼは秋耕を行った田、左は不耕起の
 田です。
 雑草の発生のしかたに違いがあるのがわかり
 ます。

 ぴーぴー草を緑肥として利用するなら秋耕を、
 雑草の嫌いな方は春耕を選べばよいでしょう。

 成熟したイネ科雑草は炭素率が高くそのまま
 鋤き込んでも害はありません。
 代掻き中も土が見えている程度の少な目の水で
 草や稲藁を土中に押し込むように代掻きします。

 特に冬場乾燥した年には水量を多くすると
 浮き藁の処理に困ることになります。
 
 荒代・仕上げ代とも縦横掻きはせず田んぼの
 長手方向にのみ作業をします。
 縦横掻きをすると深起こしになり、耕盤が凸凹
 になるので田植えが難しくなります。
 


      4月21日  仕上げ代掻き

 荒代掻きから3〜4日経つと藁や草が浮き
 上がらなくなります。
 必要な水を足して表面だけをさっと仕上げます。

 代掻きの要領は「てんぷらの衣」と同じで、多少
 だまが出来ても良いのでしつこくこね回さない
 ことです。
 ただし、ひどい漏水田や畦際は丁寧にします。


     4月24日 コシヒカリ苗
 
 種蒔きから1ヶ月、3.5葉期になりました。
 田植えを開始します。

 薄播きでもきれいなマットが出来ています。

 コシヒカリの植え終わりまで10日かかるので
 遅く植える苗には尿素0.5%の液肥を与えます。
 この追肥で苗いもちの発生と老化を防ぎます。


     4月24日 田植え開始 

 できるだけ風の無い日に田植えをします。
 
 我が家の田植え機は50株/坪までしか粗植が
 出来ませんが、コシヒカリは40株くらいが適当
 だと思います。

 キヌヒカリは分けつの発生が少ないのでやや
 密植ぎみ(50株)が良いようです。
 田植え中の運転席からの眺めです。

 この程度のひたひた水が田植えしやすく、また
 植え付け精度も良いようです。

     田植え後の田んぼ

 薄播き苗を粗植するので近くで見ないと
 田植えしたのが判りません。

 一般の田植えの四分の一の植え込み苗数
 です。

 元肥ゼロなので1ヶ月もすると、もっと哀れな
 姿になります。
 
 上の田んぼのクローズアップです。

 計算上は1株あたり2本前後植わっている
 はずなのですが、欠株も10%以上あります。

 これがへの字稲作のスタートです。

 まだ判りづらいと思います。
 写真をclickして下さい。


    5月4日 コシヒカリ田植え終了   
 
 コシヒカリ3.5ヘクタールの田植えが終わりました。
 3日後、活着時の姿です。

 左はよその田んぼです。
 これから秋まで両者の成育の違いを定点観測
 してみようと思います。 おたのしみに。

 


       5月8日 除草剤散布

 
 我が家は50グラムタイプ
 の投げ込みパック剤を
 使用します。
 遠投が利くので便利です。

 パックが水面に落ちると。
 
 容器が水に溶け、薬剤が
 沈みます。
 水と反応した薬剤は水面に
 浮き上がり、表面張力に
 よって田んぼ一面に拡散
 します。

 薬剤は水に溶け最終的に
 土面に処理層を作ります。


       5月25日 田植え後 30日

隣の田んぼ

 葉色が濃くなり盛んに分けつしています。
我が家の田んぼ

多少背が伸びたかな?といったところ。


          5月25日 田植え後40日


隣の田んぼ

分けつ本数が1株30本を越え、少し
茂り過ぎが心配になってきました。

出穂まであと50日ありますがそれまで
がラグ期となります。

我が家の田んぼ


地温が上がり急速に生育が進みました。

元肥ゼロですが周りの田んぼより葉色が
濃くなるのが不思議です。         
 
細植えの稲は扇状にぱらっと太い分けつ
を出します。    写真をclickして下さい。
          


         6月11日 田植え後55日  出穂45日前


隣の田んぼ

ただ今分けつが40本を超え
過密状態になっています。

そろそろイモチ病の心配が--


我が家の田んぼ

ただ今分けつが平均15本です。

への字稲作にとって一番大切な時期
出穂45日前になりました。

チッソ量で正味4Kg散布します。


   つづく

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