ダイスケ  日だまり日記

 

(14)

4月2日〜5月31日

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4月2日(水)  「カラス」

いよいよ4月。きのうは暖かくて桜の花が咲きかけたけど、きょうは冷たい雨が降っているので、桜もどうしようかと迷っているかもしれないね。このままフリーズして、週末に一気に咲いてくれればいいんだけど・・・猫のボクには関係ないけどね。

それより、きのうショッキングな光景を見ちゃったんだ!ヒェー(@_@;) いま思い出してもビビっちゃうよ〜!

1羽のカラスが物置の屋根の上でじっと庭の池を見下ろしていたんだけど、突然すーっと降りてきたと思ったら、1匹のガマガエルをくわえて飛び上がったんだ。池のガマはだいぶ少なくなったけど、まだ十数匹がウロウロしているんだよ。

大きなガマ蛙をくわえて飛んでいるカラスは異様だったね。でも重いので遠くまでは飛べないらしく、物置の屋根に降りて、暴れるガマを手で押さえつけてクチバシで器用に食べはじめたんだ。Dorianさんは最後まで見ることはできなかったらしいよ。

弱肉強食の自然界ではあたりまえの出来事かもしれないけれど、やっぱりショックだよね。カエルが声もなくもがいている姿は哀れで、音がないだけにその凄惨さは際だっていた。

ボクもカラスに目を付けられないようにおとなしくしていよう・・・

 

4月6日(日)  「不安・・・」

さいきん心配なことがあるんだ。不安で不安でたまらないよ。あ〜どうしよう!

何かって?じつは、去年の9月にこのあたりに2匹の野良の子どもがやって来たんだけど、そのうちの1匹のお腹が大きいんだ。地面に着いちゃうほど大きくて、歩くのもしんどそうなんだ。あれは絶対臨月だよね。畑の堆肥のそばの農機具置き場によくいるんだけど、あそこで出産したらどうしよう。

ボクが不安になるのにはわけがあるんだ。もしも、生まれてくる子がボクの子だったらと思うと、いてもたってもいられない。覚えがあるのかって?ムムム・・・ないわけじゃないような・・・

生まれた子どもがボクにそっくりな毛並みだったら言い訳できないよね。もちろんその時は責任を取るつもりだよ。でも、野良の子は最初から人間にはなつかないからね。母猫が人間を寄せ付けないんだ。それに母猫にとっては、子どもの父親が誰かなんてどうでもいいことなんだよ。子どもは自分だけの子だと思っているからね。

最近は人間の女性も、結婚はしたくないけど子どもは欲しいという考えの人が増えたんだって。優秀な精子があれば男なんか必要ないんだって。人間もだんだん猫化しているんだね。

あ〜それにしても心配だ。ここ2〜3日が予定日かも・・・

 

4月10日(木)  「首都陥落」

野良のお腹は大きいままだから、まだ産まれないみたいだね。ボクにはどうすることもできないから、ただ遠くから見守るばかりだよ。もっともまだボクの子だと決まったわけじゃないけどね。

人間の世界では、戦争が終盤を迎えたみたい。バグダッドという都市がアメリカ軍に制圧されて、大統領の銅像が引きずり下ろされたりしている。イラク人がカメラに向かって「アメリカ軍ありがとう、ブッシュに感謝している」なんて叫んでいる映像をテレビが繰り返し流しているけど、これが今のあの国の本当の姿だとはとても思えないよ。

いくら独裁者に苦しめられていても、自分の国をメチャメチャにして乗っ取ろうとしている敵国を、そんなに簡単に受け入れられるはずないものね。宗教の違いだけでも大変なことだと思うよ。ブッシュさんは「これはイラクの解放であって侵略戦争ではない」なんて言ってるけど、もう戦後処理のことで主導権を握ろうとしているし、国連なんて無視しているし、結局はイラクの石油が欲しいだけなんじゃないの・・・

それにしても、肝心のフセインさんはどこかに隠れて出てこないし、絶対にあるはずだとブッシュさんが言うもみつからないし、これから何が起こるかわからないね。引きずり下ろされたのは銅像であって、大統領本人じゃないんだもの。首都が制圧されたからって、安心できないよ。まったく困ったもんだ。

イラクの兵士や一般人、米英兵、記者など、どのくらいの犠牲者が出たことか・・・人間って欲深い動物だよね。猫はご飯と寝るところがあれば何もいらない。なわばりだって犯さなければ争いにはならないんだ。猫に生まれてよかったよ、ボク。

 

4月13日(日)  「トホホ・・・」


この前は猫のくせになまいきなこと書いたからバチが当たっちゃったみたいだ。

野良のことが心配で見に行ったら、気が立ってる野良に引っ掻かれてこの通り。情けない顔になっちゃったよ。え?傷ついたライオンみたいでカッコイイ〜〜だって?言ってないか、誰も・・・

でも口のまわりはペロペロ舐められるのですぐに治ると思うよ。

 

 


4月17日(木)  「動物のお医者さん」

春になってうちの庭にもいろんな花が咲き出したよ。ボクの爪を研ぐ柿の木の下に、わすれな草がこぼれ種ではえてきて可愛い花が咲いたんだ。それはいいんだけど、この花を踏んづけるとDorianさんが怒るのでゆっくり爪を研ぐこともできない。どこか他の場所をみつけなくちゃ・・・

猫関係のMLで話題になったドラマ「動物のお医者さん」、第1回なのでDorianさんといっしょに見てみた。原作がマンガなのでドラマもマンガチックで、お子さま向けといったかんじだけど、いろんな動物が出てくるのでけっこうおもしろかったよ。主役はチョビというハスキー犬なんだけど、これがまたお利口なんだ。猫はミケという三毛猫(そのまんまだね)で、これもまたお利口なの。役の中でお利口という事じゃなくて、役者としてだよ。おとなしく膝に抱かれてポーズまでとっているんだもの、びっくりだね。

ずいぶん出演料もらうんだろうな。ボクはいくらお金をもらってもあんな事はやりたくないね。

 

5月8日(木)  「もう5月!」

日記をサボっているうちにもう5月もなかばになってしまった。きょうなんか初夏の陽気で、久しぶりに玄関のタイルの上で昼寝をしたよ。

 

5月11日(日)  「記念日」

パソコンを新しくしたのでDorianさんは念願のBGMをつけたんだけど、ちょっと心配なことがあるんだって。それは、パソコンによっては表示に時間がかかる場合もあるので、来てくれた人が待ちきれなくて帰っちゃうかもしれないということなんだ。じつは今までのDorianさんがそうだったからね。10秒以上待たされたらいやになって×を押しちゃうんだって。まったく人間ってせっかちだよね。

きょうは母の日だね。じつはボクにとってもきょうは記念すべき日なんだよ。5年前の母の日に、ボクはDorianさんちの子になったんだ。

そのころ、遠いところで一人暮らしをしていたオネエサンが、ダンボールの中で鳴いているぼくたち(兄貴と妹とボク)をみつけて部屋につれてきたんだって。でも、そのアパートはペット禁止だったので、困ったオネエサンは車で2時間もかけて実家に持ってきたんだね。Dorianさんは「これが母の日のプレゼントかい」なんてぼやいていたけど、内心ではうれしかったみたい。

その後、兄貴のミャーは裏のマシコさんちの子になって、妹はインターネットで里親を探してもらって東京の猫になったんだ。妹のハナコは今ごろどうしてるかなぁ・・・

 

5月16日(金)  「マーキング」

猫のマーキングといえば、自分の縄張りを主張するために塀の角や電信柱などにオシッコを引っかけることをいうんだけど、人間の世界にもマーキングってあるんだって。

訪問販売の人が、次に来るときのために門やドアの外に小さなマークをつけていくのを「マーキング」というのだそうだ。たとえば水道のメーターの横とか、郵便受けの脇とかちょっと目にはわからないようなところに、○だの×だのいろんな記号を書いていくんだって。は契約が取れたところ、×は取れなかったところ、は居留守をつかう家、はキックで「門前払い」、はやくざやヤンキーが住んでいる、金、銀はお金持ち、などなど・・・なんだかそこの家の情報がみんな分かっちゃうようで気味が悪いよね。

Dorianさんは、うちの門にも何か書いてないかとじっくり見てみたけどなかったって。こんど大きな字で ヤって書いておこうかなんて言ってるよ。

 

5月18日(日)  「チェリーセージ」

 
毎日お天気が悪くていやになるよ。Dorianさんは、日曜日だというのにボランティアとかで出たり入ったりしている。だからボクも出たり入ったり。台所が足跡だらけで、帰ってきたDorianさんに怒られちゃった。そんなこと言ったって、ボクだってパトロールで忙しいんだよ。

 お隣の家を壊すときにもらってきて、塀のそばに植えたチェリーセージの花が咲いたよ。赤くて小さくて可愛い花だ。これから夏まで次々に咲くので楽しみだ(と、Dorianさんが言ってる。ボクは花なんかに興味ないからどうでもいいけどね)

 

 


 

5月23日(金)  「草の実?」

夕べはひどい目にあったよ!近くの原っぱで遊んでたら、小さいけし粒みたいなものが体じゅうに付いちゃって、舐めても舐めても落ちないんだ。そいつはネバネバして毛の中にもぐり込んじゃって、気持ちが悪いったらないんだ。
仕方ないからDorianさんのふとんにもぐり込んで、毛布にそいつを移してやった。

朝起きたら毛布がつぶつぶだらけだったので、Dorianさんはびっくしていたよ。ボクはヤバそうだったので逃げ出した。
夕方家に帰ってくると、待ちかまえていたDorianさんにブラシでゴシゴシこすられちゃった。けし粒はまだまだ毛の中に入っているので、一粒一粒指でつまんで取らなくちゃならない。

最初は何されるのかとビクビクだったけど、からだじゅうを手で撫でられているとだんだん嬉しくなってゴロンと床に寝ころんで、されるままになっていたんだ。おかげでけし粒はみんな退治して、さっぱりしたよ。それにしても、あの小さいツブツブは何だったんだろう?


5月24日(土)  「マホメット」

Dorianさんがパソコンの前に座ると、ボクはその膝めがけてジャンプして、ひざの上で丸くなって寝る。(あいかわらず指をチュパチュパして寝るんだけど、それはナイショね)
でも電話が鳴ったり用事があると、Dorianさんは急に立ち上がるのでボクはドスンと下に落ちちゃうんだ。ひどいよね。

その昔、マホメット教を開いたマホメットという偉い人は大の猫好きで、ムエザという猫を飼っていたんだって。ムエザがひざに乗ってきて広げた袖を下敷きにして寝ちゃったときなど、猫を起こすのがしのびなくて、なんと!その袖を切り落として席を立ったんだって。

用事を済ませて戻ってくるとムエザが頭を下げてお礼を言ったので、マホメットは猫の背中を三度なでてやった。それ以来、猫は高いところから飛び降りてもちゃんと着地できるようになったんだってサ。

猫が着地できるのは猫の優れた能力で、べつにマホメットさんのおかげではないと思うよ。でもDorianさんにももう少し気を遣ってもらいたいよね。袖を切り落としてくれとは言わないけど・・・

 

5月31日(土)  「香箱(こうばこ)」


震度6の地震があったり季節はずれの台風が来たり、原因のわからない肺炎が流行して死者がおおぜい出たりと、人間の力の及ばない災害が続いて、なんだか世紀末みたい・・・なんていったら大げさかなぁ。
きょうは台風で外に出られないので、一日おとなしく寝ていたよ。

猫が手足をたたんでうずくまることを「こうばこを組む」というんだ。
 こんなかんじね。「香箱」とは香の道具一式をしまっておく四角い箱のことなんだけど、たしかに四角くなっているよね。昔の人は風流な言い方をしたもんだね。

Dorianさんは「ティッシュボックスになってる」なんていってるけどね。

 

つづく