HALF AND HALF JOURNAL
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無 意味 な 破 片 無意味な破片
Fragments
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★ぴったりしたエレガントな曲名を付けたい〈ミスター・マーチン〉［A］ ☆ ☆ ☆ Updated
2013.4.29 JR大館駅前 朝市通り アロマ―情報鎖国なのよ。 放送局長―それは分かってる。やくざの集団だよ。 アロマ―学校の教師崩れよ。 ナモネ氏―そう言えば、日本の報道機関は馬鹿正直に北朝鮮の脅迫に協力してるな。余計なことだ。 特派員―標的にする日本の都市の名前をわざわざ挙げましたね。日本の偵察衛星は何をしてるのかな？ 編集長―そうだな。話はずれるけれど、9日付けの朝日新聞によれば、国連のバン・ギムン事務総長は、〈現在の緊張状態は非常に危険だ。計算違いや判断ミスによる偶発的な事件が制御不能な状況を招きかねない〉と語った〔2〕。山火事の原因はそれだな、と直感したね。 Pyongyang
a multiplié ces dernières semaines les déclarations belliqueuses, furieux
du nouveau train de sanctions adopté par l'ONU après son nouvel essai
nucléaire début février et des manoeuvres militaires conjointes en cours
entre les Etats-Unis et la Corée du Sud. 編集長―それ以上の説明らしい説明は見当たらないな。 特派員―北朝鮮は国民にさえ本当のことを話さない面子の国ですから、ね。キム・ジョンウン体制でも、これは改善されてない。 ナモネ氏―制御不能な状況や異常事態があっても、黙ってるわけだな。 編集長―しかし、三八上北地方にある三沢基地も標的のひとつにして、そのミサイルが38度線に落ちたとしたら、漫画だよ。 ☆ 放送局長―闇の中の劇場だ。アメリカとロシア、中国の演出だと思う。宇宙から北朝鮮の現状をスキャンしてるけど、黙殺の仕返しで知らんふりを決めこんでるんじゃないか？ アロマ―イギリスのヘーグ外相(William Hague)は北朝鮮を〈壊れた国、友だちのない国〉だと言った〔4〕。 ナモネ氏―〈壊れた国〉？前代未聞だ。 But
Russian Foreign Minister Lavrov went further, voicing concern that
"we may simply let the situation slip out of our control and it will
slide into a spiral of a vicious circle". Russia's Lavrov fears 'spiral' 放送局長―国家の指導者に対してそんな強烈なせりふは今までなかったよ、な、君？ 特派員―ええ、宇宙兵器のボタンを押したような怒りですよ。 アロマ―16日の情報では、北朝鮮のミサイル発射は可能性が低くなったということです〔6〕。 ☆ アロマ―安心して、二ツ井に行けるわね。 編集長―礼子おばさんが痴呆症で二ツ井の施設に入ったから、見舞いに行くつもりだよ。ついでにきみまち阪と川の撮影。 ナモネ氏―まだ日本海には近づかないほうがいいな。 and
warned "they will end up leading a broken, friendless country". UK's Hague calls for calm amid
tensions アロマ―今は無理よ。砂利がたまって、浅いから。 編集長―約12km上流に拉致疑惑事件の被害者の家がある。 ナモネ氏―忘れていたよ。若い女性が能代の海岸に車を残して行方不明になった事件だな。 特派員―小阿仁川の三里(みつさと)という集落ですね。 放送局長―〈みさと〉ではないのか？ 編集長―そう、地元の読み方だよ。 放送局長―ああいう北朝鮮の工作員は秋田県で他にどんなことをやってるか、想像してみなければならないな。津軽と三八上北地方でも、だ。 アロマ―街中に黄色を塗ってる。 ☆ ☆ ☆ я 日本海周辺のごたごた B A Mr
Martin ; Miroslav Vitous & Philippe Petit 1 Corée du
Nord: USA reportent un essai Par AFP Mis à jour le 07/04/2013 à
09:20 Le Figaro 2 朝日新聞 2013年4月9日20時52分 3 North Korea
tensions: Russia's Lavrov fears 'spiral' 29
March 2013 Last updated at 11:52 GMT BBC 4 North Korea: UK's Hague calls for calm amid tensions 7 April 2013 Last updated at 13:32
GMT BBC 5 Voice of Russia イリナ イワノワ 9.04.2013, 13:12 6 サンケイ 2013.4.16
23:31 *ミラー・イメージ集 ▼ 東京駅暗殺事件 11; イニシャルを見れば、完全なミラー･イメージ 5.15事件のミラー・イメージ ▼ V字型の階段の記憶 8; 大館の二つの橋と5.15事件の連関 大館橋の12のバルコニーと12本の街灯 ▼ V字型の階段の記憶 20; 広尾のおばさんと母親が大館に来た |
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★アメリカのニュー・ミックス・ジャズらしい〈夜の街〉［A］ ☆ ☆ ☆ Updated
2013.4.23 半分半分放送局長―東北地方っていう呼び方はただ方角を表わしただけで、おもしろくないな。昔は、立派な名前を持ってた。 ナモネ氏―そうだな。古代から陸奥(みちのく)、出羽、奥羽などと言われていたもんだ。 アロマ―奥羽っていう言葉の起源は何なの？ ナモネ氏―陸奥の奥と出羽の羽を合わせた北東北の名称だよ。 JR大館駅前 朝市通り ナモネ氏―16世紀後半まで文献資料では見たことがない。キリシタンの時代にもない、なあ。 放送局長―すると、徳川幕府の世の中になってから、かな？ ナモネ氏―そうだとしたら、歴史を消去する意図がある。 アロマ―あやしいな。インターネットで見ると、江戸時代の末期に使われてる。公式に定着したのは明治後半〔1〕。 ナモネ氏―日本が中国の東北地方に領土を持ったころだな… 特派員―明治政府はそれまで何と呼んでたの？ アロマ―奥羽地方。 [cat willow
2013.4.11東北地方という呼び方は歴史を消してしまう ] ☆ 特派員―秋田から函館に行く船があるか、と思ったら、ないな。 アロマ―まさか。秋田から船で北海道に行けないの？ 半分半分放送局長―行けるよ。新日本海フェリーで秋田港から苫小牧港へ。青森と函館には寄らない船だ。見捨てるっていう感じだな。 アロマ―嫌ってるのよ、ね。 ナモネ氏―そのわびしい航路には先天的にふるえるよ。 放送局長―秋田と函館のひそかな関係についてどうにかこうにか理解したけど、悪い歴史が邪魔してるよ、な。 アロマ―秋田港は土崎にある。そこから函館の港に船旅したら、いろいろ新しいことが見えてくるわね。 [cat willow
2013.3.26 北日本航路; 秋田と函館のあいだには船がない
] ☆ 編集長―三八上北地方のニュースはないか？ 特派員―ありませんね。 ナモネ氏―山火事があったぞ。 アロマ―TBSが夜中の映像を流した〔2〕。でも、韓国との国境に近い北朝鮮の山火事よ。 半分半分放送局長―38度線だ。ミサイル墜落だと思ったら、そういう報道はなかった。 編集長―六ヶ所村のニュースは？ 特派員―何もないですね。 編集長―下北半島の大間は？ 特派員―魔王原子力発電所ですね。あれは建設中で、津軽海峡の向こうで息をしてる函館市民は必死に反対していますよ。しかし、青森県はうそみたいに静か。 アロマ―でも、〈津軽ジェンヌのcafe日記〉というのを見たら、〈by tsugirl〉ってあるの。 放送局長―〈two girl〉も悪くないんじゃないか？ ナモネ氏―あの地域のだじゃれ外国語風翻訳病は、やりきれない。 アロマ―弘前に多い。日本の外への同化の欲求ね。 特派員―ただのアンチ・ニッポンだよ。テナント・ビルの〈ジョッパル〉というのは強情張りという意味の方言〈ジョッパリ〉に由来するけど、そう名づけたからといって、独創的な文化が育つわけじゃない。 放送局長―田舎を馬鹿にされたくないから、舶来の様式とのミックスに一生懸命なんだ。よくあることだ。食べものだって、そうだろう？それで田舎が立派に思われるように願ってるのさ。 アロマ―中心意識がないのは確かね。 編集長―それよりむしろ一種の証明じゃないかな？異なる文化の融合を求める意識があるかもしれない。そして、そこにアイデンティティを探してる人がいないともかぎらないね。 ナモネ氏―しかし、な、現実はだじゃれだけで終わりだよ。何も残らない。伝統や政治のプレッシャーが強いと、軟弱な人は言葉遊びに逃げるもんだ。 ☆ ☆ ☆ я 日本海周辺のごたごた A A City of night; Pink Martini 1 wikipedia 2 TBS 19日11:33 湊城と津軽秋田の安東一族 |
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★〈ノクターン〉のせつなさはこの会話にふさわしいかな？［A］ ☆ ☆ ☆ Updated
2013.4.5 アロマ―ライブドアの元社長堀江貴文が１年９か月ぶりに仮釈放されたって。 ナモネ氏―頭を体が裏切ったような日本的な事件だったな。創業の社長を売ってしまった。 特派員―証券取引法違反で有罪になったけど、あんなのは国家暴力団の陰謀ですよ。 半分半分放送局長―そう、フジ・サンケイグループと日本政府は愛国主義を旗印にして何とか独善的放送を守った。何とか放送局だ。 ハーフ・アンド・ハーフ スタジオ 放送局長―番組の談合主義は国際的に評判が悪い。 編集長―マス・メディア全体の問題だ。往生際が悪い生き物だよ。〈高松宮日記メモ〉と〈アリスと有栖川宮〉で、もうどうにもならないと悟らなければいけない。今までどおり無理に進めば、国連の5大国が手を出さなくても、日本は必然的に分裂する。 放送局長―何と言ったって、真実は強い。 ナモネ氏―そうだ。歴史について何が言えるか？ 特派員―ええ、歴史をもう一度学びなおすことも新しい国の創造につながりますよ。 編集長―それが北朝鮮か日本かの分かれ目だろうな。 放送局長―国際社会への針路もある。 アロマ―個人が配信できるインターネット・ラジオの状況はひどい。ライブドアが一番人気だったけど、今はアクセスが分からない。他のパーソナル・ネット・ラジオは消滅してしまった。 ナモネ氏―ただ聞いていろ、というのが国家の本音。 アロマ―聞くためのメディアばかり増えて、いやね。 放送局長―なるようになるもんだ。 [Cat willow 2013.3.29] ☆ 特派員―たしかにインターネットによる情報のコミュニケーションは、10年前にくらべると、自由の度合いが減ってますね。原因は組織的な妨害にあると疑っているけど、それを裏付けるような文書を見つけました。 放送局長―どういう文書なんだ？ 特派員―自民党の憲法改正草案です。 放送局長―文書にはちがいないよ、な。〈いとく〉ショッピング・センターでキムチを買ってキムチ丼をつくったら？ 編集長―昔は朝鮮漬けと言ってたな。赤トウガラシが少し白菜に混じっていた。最近のは陰険な色だ。 特派員―自民党の憲法改正草案とキムチを同じケースに並べるなんて。まじめな話ですよ。ええと、今の憲法と草案の比較表を見ると、第21条（表現の自由）に記された〈通信の秘密〉が草案では第19条（思想及び良心の自由）の第2項に移っている。 ナモネ氏―それで？ 特派員―表現の自由のコンテクスト、あるいは枠組みと言ってもいいんですけど、それから読むと、通信の秘密というのは表現するメディアの自由と安全をも当然ふくんでいる。 編集長―言い換えれば、通信手段だな。 放送局長―あっ、なるほどね。おれは、通信の内容の秘密に関する規定だと思っていたよ。 編集長―しかし、そう明確に書いてはいない。第21条を読んでくれないか？ 特派員―〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。〉 編集長―表現の自由の保障が表現するメディアの自由と安全を侵害されないことを定めていると思うね。といっても、それを誤解がないように明確に表現してくれないと、迷惑だ。 ナモネ氏―ノートに書いて人に読ませたりガリ版刷りで配布したりする時代でないから、な。 アロマ―特派員は通信の秘密と自由を切り離せないと考えてるのよ。現実的に、ね。たとえば、ウェッブログが自由を失うのは、書き手が脅迫されるか、コンピューターなどに障害が起きるか、だから… 編集長―そう言っても、検閲の禁止のあとにつづけて書いてるから、表現手段の自由と安全については無関心だ。 特派員―草案では〈通信の秘密〉が第19条（思想及び良心の自由）の第2項に書きこまれたけど、思想および良心の自由の侵害を禁止する規定が消されてしまっているので、ただ(個人情報の保護等)という名目ですね。〈何人も、自己に関する情報を不当に取得され、保有され、又は利用されない。2 通信の秘密は、侵してはならない。〉 編集長―個人が発信する情報を個人情報の中に入れてる？冗談がひどすぎるよ。 ナモネ氏―思想と良心の自由を認めないとは、背徳だ。 ☆ ☆ ☆ A Nocturne; Johnny Griffin
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TBS 27日13:12 ▼ ライブドアは罠に落ちた Updated 2007.3.21 憲法改正 |
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★〈メモリーズ・オブ・ユー〉には苦味があってもいい[A] ☆ ☆ ☆ Updated 2013.3.30 半分半分放送局長―アンダーソンさんは最初からハセを〈ストレンジャー〉だと思ったかもしれないな。 編集長―それは荻原さんから聞いたことで、ね、理由は知らない。悪い感じはしなかったよ。 Half and Half Studio 編集長―荻原さんと出会ったころの話で印象的だったのは、女の友だちはすぐにできるということだな。しかし、それが災いして、というニュアンスで、反対に男の友だちがいないということだった。日本人の生活が豊かになると、そういうアメリカ人に対する嫌悪を隠さなくなったのかもしれないけれど、裏には国家機関があったはずだ。クラーク・ゲーブルに似てると言ったのはアトリエの大学生で、ぼくは、何となくそう思った。 放送局長―クラーク・ゲーブルはアメリカが参戦したあと1942年に飛行機事故で妻の人気女優を失った。それで彼は軍隊に入った。 編集長―大館に帰ってから、80年代半ばか、NHKの教育番組で見たよ。それで、その大学生がある日アトリエからの帰りに宇宙航空研究所の前のバス停で偶然について話したことを想い出した。飛行機が落ちるな、と予感したら、そのとおり飛行機が落ちたニュースが流れた、というんだ。 放送局長―アメリカに帰りたくない理由があったはずだな。アメリカなら建築設計の仕事がいくらでもある。 編集長―理由は日本が好きだったからだろうな。 ☆ 放送局長―アンチ・ロマンの小説《日付のない街》の第1部〈日付のない日記〉はそのころ書いた。うわさという現象をテーマにした作品だ。生活環境とフィクションのあいだに濃密な類似がいくつもあるけど、自覚的にそうしたのかな？ 編集長―もちろん。ぼくはホーム・ドラマが嫌いだったから、そういうストーリーは想像もしなかったな。しかし、うわさというテーマは哲学的な関心から出た。現実の出来事が反映したとは思わない。 放送局長―しかし、そう言っても、ね。コイン・ロッカーに捨てられた嬰児の事件は70年前後世間を騒がせた奇怪な流行だ。大館のような街でロシア系の少女がそういう疑惑の渦に巻きこまれるが、行方が分からないので、ボーイ・フレンドの大学受験生はノイローゼになる。日記は、バスの中で混血の少女の名前が聞こえたとき、他人の声か自分の声か、疑問に思うシーンからはじまる。 編集長―日記にはロシアも混血も出ないね。 放送局長―それはともかく、家庭らしさがない個人主義的な家族の風景だな。高校の校長である無口な父親、厭世的で世間離れしたピアノ教師の姉。婚約者で何でも説明できるのが自慢の市役所職員N。クリスマス・イブのパーティでキリスト復活の話にコイン・ロッカーの死骸がまちがってからまるところなんか、ショッキングだ。 ナモネ氏―おばさんは大変な感違いをしたもんだ。日本批判の白眉だ。 特派員―あのシーンには富里(とみさと)の別荘での出来事が反映してますね、恋文横丁の想い出話とアンダーソンさんの反応が？ 編集長―そう。 放送局長―ピアノ教師の姉という設定は、二つの美里を連想させる。沖縄の戦時中の事件からあのリベラリスト密告事件を思いついたのか？ 編集長―ピアノ教師というのは、かなり自然だったな。あのころは夢中にジャズを聞いてた。主人公のガール・フレンドの父親が戦争中に密告されて拷問を受けた事件は、歴史の事実から創造したことじゃないね。沖縄戦でそういう事件があったかどうか？密告は取るにたりないような、しかし、どこにでもありそうな小さい悪だ。 ナモネ氏―集落でみんながそれに関係したんだから、なあ。仕方なく、といっても… ☆ 特派員―あの日記は記号問題ですね。絵描きの小説だと思います。おばさんの家で停電したときのように主人公は急に自分の位置が分からなくなる。見なれた事物の指示記号があいまいになる。象徴的なのは放送終了後の何も映さないTVのノイズ。だから、市民はいろんなストーリーを入れようとする。 アロマ―パーティで使ったグラスの破片が落ちてるから、何も映さないTVと同じね。単なるオブジェ。 編集長―20世紀前半に画家たちが問題にしたことだ。要するに、散在的で表現的なんだ。なぜか言葉も人も全体的な連関を失ってる。 アロマ―あれはジグソー・パズルがヒント？ジャニーと一緒に入った〈キディ・ランド〉で見た？ 編集長―そうだったかどうか？忘れたな。 ☆ 放送局長―第2部〈消えた消しゴム〉にもピアノが出るよ、な。バス・ターミナルで拾ったノートに新聞記者の一人称で書かれた別のうわさのような根も葉もないストーリーだ。彼はそこのレストラン・バーに局長と友人と一緒に行って、ピアノ演奏をしている昔の恋人に再会する。二人でつくった名曲〈消えた消しゴム〉のリクエストを送り、彼女がさりげなく弾いてくれるのを待つ。しかし、ちがう曲が流れる。いつまでも他の曲だ。 アロマ―彼女はたわむれに知らないふりをしてるだけなのか？それとも別れた男とあの名曲を本当に想いだせないのか？ ナモネ氏―映画《カサブランカ》の再会のパロディだよ。 放送局長―おれが好きなコメディだ。ところで、《一種の小説》は明らかに現実が反映してる。終戦後まもなく横浜のバー〈ブルースター〉でGIが録音したと言われる幻のピアニスト、ジョー・ケケの演奏テープをめぐるストーリー。プロローグの〈原曲〉は変わったドラマだ。無名のジャズ・トリオが京都のクラブで演奏したとき、その合間に若い女が何気なくピアノをちょっと弾くと、感動的な曲だが、彼女は断片しか覚えていない。ピアニストはそれを発展させて曲をつくる。しかし、彼女はその新しい曲〈Too
much coffee〉を聞いているとき、精神異常になる。あとでジョー・ケケの一人娘だということが分かった。 編集長―あの小説はノイローゼとの戦いで、第1部は1981年大館に帰ってまもなく一気に書き上げた。〈原曲〉のストーリーはインスピレーションだ。現実の破片があるとは思わなかったな。 ナモネ氏―影響は確かにあるな。古いデッサンがあるから、簡単にできた。 アロマ―音痴で楽器の演奏も全然だめな人がそんな小説書くなんて、ね？ ☆ ☆ ☆ ☆ 恋文横丁の暗い記憶 G A Memories of you; Frank Sinatra 事物の指示記号 全体的な連関 〈日付のない日記〉関連ストーリー |
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★〈アイ・ル・ビ・シーイング・ユー〉はやはりこの人の歌で[A] ☆ ☆ ☆ Updated 2013.3.22 編集長―ナモネ氏は菅江真澄が出羽秋田人と記したことをどう考えますか？ ナモネ氏―それと表裏のような関係にあるのが、《水の面影》の中心的な舞台、秋田城跡の寺内に死後埋葬されたいという願いだ。なるほど。 特派員―もったいぶらないで話してください。 ナモネ氏―つまり、アキタ(齶田、飽田、秋田)は歴史的に一番古い地名だ。徳川時代に久保田と変えられた。菅江真澄は三河の国の生まれだが、祖先の土地津軽秋田に帰り、そこで現地報告書を書いたということだ。祖先とは安東秋田一族だ。 長木川 大館橋から ナモネ氏―そういうことだ。故郷が今どうなっているか、知らせるのが目的。津軽藩と佐竹藩の検閲は厳しいから、当然本当の理由は極秘だ。 編集長―秋田実季は徳川の時代に今の茨城県宍戸に移された。豊臣との天下分け目の戦いで徳川の味方をしたけれど、裏切りがあったと汚名を着せられて。そう訴えたのは最上義光で、徳川家康は事実でないことを認めたにもかかわらず秋田実季を追放処分にした〔1〕。放送局長が言ったように日本海と船を奪い取られて狭い陸の中に閉じ込められてしまった。この理由は伝えられてないけれど、キリシタン迫害の視点から見れば、必然性が分かる。秋田一族は不条理な運命を生きたと思うね。代わりに秋田を支配した佐竹の久保田藩はキリシタン弾圧が厳しかった。 放送局長―〈あん・ぱさん〉の解釈はおもしろいと思うね。〈秋田家処分の背景にはシベリアと北海道をふくめた日本海航路の支配権がある。それをキリスト教の精神があやつると、構造の変化は予想しがたい。しかし、秋田の裏切り説は民族主義に人気があり、明治維新で再登場して犠牲を増やした。〉 特派員―構造の変化は明治の文明開化でやっと実現しましたね。 ナモネ氏―明治政府は明治4年(1871)廃藩置県で秋田県を作った。秋田の復活だ。 アロマ―わくわくした。でも、秋田一族が明治維新でどんな活動したか、調べても分からないのね。有栖川宮とひそかに連絡を取ってたと思いたいけど… ☆ アロマ―《水の面影》を読んでみて、変だな、と思ったのは、坂上田村麻呂将軍ゆかりの場所がよく出るけど、安倍比羅夫将軍はないということね。将軍浜と将軍野の由来は田村麻呂の野営。御船が沢は田村麻呂が船を着けたから。槻館(つきだて) あるいは鏡のメタフォールでもある月の館と書く月館は田村麻呂の陣営跡だとある。大化改新のあと斉明天皇の時代に最初に秋田の米代川に遠征に来た将軍は嫌われたということかな？ ナモネ氏―安倍比羅夫に関する日本書紀の記述がそうだ。意図的な欠落が多い。 編集長―あれは魔力を封じ込める一種の呪術ですね。 アロマ―古四王神社が比羅夫をまつる神社よ。古い四つの王とは、神社では四道将軍の一人大彦命をまつると言い伝えているけど、神社を建てた子孫の越の国の王つまり安倍比羅夫将軍のことだと思う。 ナモネ氏―大彦と比羅夫かもしれないな。 アロマ―菅江真澄はそこで怒ってる。天照皇大神 (アマテラスオオミカミ) 宮がひっそりあるけど、古代から秋田の村を守っていたのを知る人がないのは恐れ多いことだ、と。 放送局長―忘れられたヒロインだ。 ナモネ氏―土崎浦の蒼龍寺の縁起もおもしろいよ。御船が原の由来についてだが、聖徳太子が船で秋田に来て、人々はそれを畏敬して御船を埋めたとある。 編集長―それは安倍比羅夫将軍がきみまち阪の少し上流、七座神社のあるあたりで土地の神に船を捧げたというストーリーによく似てる。造船物語のヴァリエーションだな。つまり鉱山開発と経営の象徴。 放送局長―聖徳太子と鉱山と言えば、日本で最初に銅の仏像を製作したのが他でもない聖徳太子と蘇我馬子だ。しかし、銅の産地は書いてないよ。 特派員―あれは公文書なんです。秋田から持ってきたと知れたら、この地方は混乱と戦争の連続ですよ。米放送局長は公文書の読み方を学ばなければいけませんね。 ナモネ氏―蘇我馬子の子が蝦夷だから、ストーリーがぴったり合う。 ☆ アロマ―最後になったけど、《水の面影》という題名は寺内にある面影の池の反映です。世に言う鏡の池、姿見の池。池の神様におそなえして祈れば、恋する人の影が自分と並んで水に映る。半分半分だわね。ロマンチックだけど、合いの子のキリシタンの伝説かな？ ナモネ氏―そういうのは他にない、なあ。 アロマ―水に映る影が薄ければ、長生きしないという言い伝えもある。長生きのおまじないに女は櫛や鏡を池に投げる。男は刀や弓矢を投げて水神(みつはのめ)に祈る。そうすれば、影が濃くなる。 編集長―それは神社の賽銭と似ているね。大地から奪い取った鉄などの鉱物資源を元に返すというのは無意識的な一種の贖罪行為だろう。櫛は目をいためないで銅の白熱光線を透かし見る仮面のメタフォール。ガラス製の鏡は言うまでもなく青銅鏡が起源だ。 ナモネ氏―それで池の水が澄めば、な。 特派員―ええ、環境のために合理的なこともやらなければいけませんね。 アロマ―どうもありがとうございました。〈アリスと有栖川宮〉シリーズはアルファベットの終わりまで来たので、終了します。続編はキリシタンの時代と有栖川宮の創設その他関連する歴史の予定です。 ☆ ☆ ☆ ☆ アリスと有栖川宮 z A I’ll be seeing
you; Jo Stafford Tommy Dorsey and His Orchestra 1 秋田安東氏研究ノート: 渋谷鉄五郎 齶田、安倍比羅夫 造船物語 ▼ List 11; 仮面について 仮面をつけた人物の墓碑柱 咒 漢字の呪術性 記号システム ▼ List 11; 仮面について 黒・白・赤、1；5 ［4］ 〈あん・ぱさん〉 秋田実季の悲劇 ▼ List 8; 船と裏切り/ 秋田家の遺伝子/ 秋田キリシタン 大彦 安倍比羅夫 越の国 聖徳太子 蘇我馬子の子蝦夷 面影の池 櫛 |
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★雪が消えた庭で聞く〈シャドー・オブ・ユア・スマイル〉[A] ☆ ☆ ☆ Updated 2013.3.18 編集長―まず〈cat
willow〉に書いた記事を読んでみたいな。 〈アリスと有栖川宮 w〉の対話で秋田の湊川と湊城の歴史を考えると、菅江真澄の《水の面影》に出会った。この人も思いがけないところにいる。しかし、本人に聞けば、当然のことだ、と現代の日本人の迷妄さを哀れんで答えるだろう。そんな想像が浮かんだ。《水の面影》はロマンチックにひびくが、どんな内容か？市立図書館で東洋文庫の菅江真澄随筆集を借りて来て解説を見ると、予想に合うような事実があった。 *菅江真澄は1812(文化9)年それを書いて、例外的に出羽秋田人と記した。 *その地域が気に入ったのか、寺内に埋葬されることを望み、寺内村大小路高野の丘に埋葬される。 *《水の面影》は上巻だけ残る。草稿のようである。図絵はない。下巻は未発見だという。 編者内田武志は、1946(昭和21)年能代市の安濃家から作品を借りたが、返却後の昭和23年2月20日大火で焼失したという。怪奇的なストーリーだ。 JR常磐線我孫子(あびこ)駅から行こうか？ ☆ アロマ―ええ、《水の面影》は上巻しか発見されていないことでも分かるように歴史がひそかに壊されてる。でも、《水の面影》には真実が映ってる。終わりに書き記された安彦(あびこ)左衛門尉の物語はあるメッセージを伝えようとしてるわね。これは安彦とつづる。 ナモネ氏―それで終わったのは、検閲があったという証拠だよ。 アロマ―師文(もろぶみ)という人の墓に死んだ年月日が〈今年今月今日〉とだけあるのを見て、真澄は言い伝えを聞く。誰が語ったかは書いてないけど、それによれば、安彦は最上藩主義光の命令にそむいて、秋田に来て土崎に隠れ住んだ。義光は梅津政景に安彦を討つように命じた。安彦は抵抗しないでみずから命を絶った。妻があとから来て、その墓を建てたという。安彦左衛門尉は実在したかどうか明らかでなくて、梅津政景は佐竹藩の家老だった人です。 編集長―菅江真澄があやふやな伝聞を批評しないのは、最上と佐竹を嫌っているからだろうな。 アロマ―随筆の終わりの文は、こうですね。〈世をはばかりて、時代は記さなかったのか。〉 特派員―〈今年今月今日〉なんてフランス人のエスプリだよ。〈今日は何日? 今日は毎日だ〉とプレヴェール(Jacque Prévert)の詩にあるんだ。 放送局長―秋田実季の悲劇が二重写しになってるな。 ナモネ氏―あのころの佐竹のイメージはひどいもんだ。土崎には将軍野の西北、旧雄物川と湊川(今の新城川)の合流地点あたりに中世からつづく湊城があったが、佐竹義宣が1604年国替えで常陸から秋田に来たとき新しい城下町の基盤にするために土崎湊の神社など建物と住民を移転させたというのだ〔1〕。土崎湊の1kmほど南、高清水の丘にある天平5 (733) 年聖武天皇の時代に設置された出羽柵、これは秋田城とか湊城という別名でも呼ばれたが、菅江真澄は《水の面影》で城(じょう)という地域を歩き、城跡の前(まえ)城町と後(うしろ)城町の建物と住民はすべて久保田に移されて今は畑だと書いている。住民は古志王の神、つまり越の国の神様を崇拝したとある。宗教的な影を引いている。私は、寺内高清水の丘にも古い湊城があり、それも破却して住民を移したのだと思う。しかし、湊城という言葉はないな。 特派員―湊が消えて城(じょう)だけになった。町の建物と住民をすべて移すなんて異常だ。町の破壊は制度の破壊ですね。 放送局長―今流行のドーナッツ。湊城が二つか？ ナモネ氏―堂々めぐりだ。湊城は安東秋田実季(さねすえ)が1602年秋田から追放された謎にかかわってるのだ。伊勢の朝熊に幽閉されたときに、な、新しい城の建設計画が絡んでるという話が広まったそうだ〔2〕。 アロマ―1599年~1601年秋田実季が土崎に湊城を建設。 編集長―新しい湊城にはキリスト教会堂があったかもしれないな。あるいは、そういう様式の城か？ アロマ―湊城の絵はないのよ。本当に変ね。 ☆ 編集長―しかし、複雑だから、その辺で《水の面影》にもどろう。安彦というのは、キー・ワードだ。明治初期に華族令を制定するとき三春藩主秋田映季(あきすえ)が秋田系図に祖先として記した安日(あび)王を連想させる。権威のある学者がそれを正しいと認めて、明治政府は秋田映季に子爵の称号を与えた。その秋田系図は秋田実季が幽閉生活の中で書いたものだった〔3〕。 アロマ―先祖は安倍頼時の子貞任(さだとう)、水源にいるのは大阪で神武天皇と戦った長髄(ながすね)彦の兄安日(あび)ですね。 特派員―秋田実季が幽閉されたのは、やはりキリシタンをやめなかったせいでしょうね。〈日本史〉を書きつづった有名な宣教師フロイスはローマに送った手紙で秋田という大都市が蝦夷地との貿易で繁栄している様子を語っていますよ〔4〕。キリスト教の宣教師が帆船で日本海の北に行こうとしなかったとしたら、不自然です。 ナモネ氏―そうだ。職務怠慢、使命感の放棄だよ。 アロマ―湊城は破却されたそうだけど、京都の南蛮寺破却と同じじゃないか、と思った。 ナモネ氏―破却には特殊な意味があるな。 ☆ ☆ ☆ ☆ アリスと有栖川宮 y A The shadow of your smile; Frank Sinatra 1 秋田市：土崎・歴史・観光HP 佐竹氏物語: 渡辺景一 他 2 佐竹氏物語: 渡辺景一 無明舎出版 3
津軽秋田安東一族: 七宮涬三 4 wikipedia 湊川 湊城 秋田実季 南蛮寺 ▼ List 8; 京都の南蛮寺破壊から３００年の暗黒が始まった |
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★誰が歌っても気分が出る〈スリルは終わった〉[A] ☆ ☆ ☆ Updated 2013.3.11 アロマ―アンダースン・ファミリーと東郷青児、たまみさんの間柄はどんな感じだったんですか？ 編集長―家族みたいだったな。ジャニーがいることも、そんな印象を強めた。 半分半分放送局長―そこにハセが入って何かがはじまったように見えるけど、その出会いというか混ぜ合わせのおもしろいストーリーをまだ聞いてないな。 編集長―1973年夏の沖縄旅行のあとだった。船で鹿児島についたときは本当に1000円札1枚しか残ってなくてヒッチハイクで3日がかりで東京に帰った。電車は神戸の三宮駅と法隆寺駅のあいだだけだね。ぼくは黒ん坊みたいだったけれど、秋、10月かな、アパートの前に40代半ばの女性が立っていた。空色のショールの反映か、青白い顔で困ってるように見えたから、話しかけた。すると、国勢調査で来たという。だけど、旅行者の多い薄暗い外人アパートに入るのが不安なのだった。英語が話せるから協力を依頼されたと言うので、案内することにした。そのとき、坂にあるアトリエの女流画家じゃないかな、と思った。バラのアーチと〈H.アンダーソン〉という表札がある。聞いてみると、その通りだった。遊びに行っていいですか、と自然に言葉が出た。荻原さんは気持よく受け入れてくれたね。そんなわけで、絵画教室を開く毎週金曜日にアトリエに遊びに行くことになった。絵画教室といっても、大人中心で、おしゃべりしながらの芸術的な社交の空間だったね。 アロマ―アンダーソン・ファミリーとの出会いは広尾のおばさんを想い出させたと言ってる？ 編集長―そう、ぼくは広尾のおばさんと夫のアメリカ軍人を想い浮かべていたね。ジャニーというハーフの男の子がいるのもよく似てる。 ナモネ氏―それくらい分かりにくいことはない、なあ。 放送局長―それを話しことがあるのか？ 編集長―いや、ときおり何か分かるかもしれないという期待感はあったけど、秘密にした。ただアトリエには美術界の資料があって、それとなく広尾のおばさんが死んだあと男の子を育てた姉の画家の名前を探してみたな。どこにもなかった。 ☆ 特派員―アンダーソンさんと最初に会ったときは？ 編集長―忘れたのは、悩みの深い顔に当惑したから、だろうな。そのころはなぜか建築設計の仕事をしていなかった。外国語スクールで英語を教えて、暇なときは外人記者クラブに行ったりウィスキーを飲んだりという生活だったらしい。シャワーしか浴びないのは不思議だったけど、戦争経験から来てるんじゃないかな、と想像した。 放送局長―なるほど。ハセは南の島から帰ったあとだ。旅行の話はしたか？ 編集長―別に。例外はあるけれど、アンダーソンさんはアトリエに姿を見せなかった。小学生のジャニーはかならずいて、遊んでた。公園通りにパルコがオープンしたとき王子様の衣装でパレードの花馬車に乗ったそうだ。人気者なんだ。しかし、沖縄の話はしなかったけれど、ある日、隣にある大家の洋館の前を通ったとき階段上の門に奇妙なリンクを見つけた。〈ピアノ教室 美里〉という小さい表示板があるのだ。荻原さんの話では母と娘の二人暮しの洋館だ。どういうわけか、嘉手納基地の近くの行ったことがない美里という集落を忘れていなかった。 アロマ―ビューティフル・タウンよ。 放送局長―分かった。ハセは何かとぼけてるように思えるね。ヘンリー・アンダースンは沖縄戦に参加して、嘉手納飛行場の建設にたずさわった…そういうことだろう？ 特派員―焼け野原でビューティフル・タウンという名前が哀れに思えた。あるいは悲劇があった… アロマ―美里さんのピアノが聞こえると… 編集長―しかし、ピアノの音は聞いたことがないな。 ☆ ☆ ☆ ☆ 恋文横丁の暗い記憶 F A The thrill is gone; Ella
Fitzgerald アンダーソン 東郷青児 アンダーソン・ファミリーとの出会い ▼ List 3; パール・ハーバー・ストーリー 3 パール・ハーバーの影 広尾のおばさん |
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★名曲〈ウィスパー・ノット〉を女性のしっとりした歌声で [A] ☆ ☆ ☆ Updated 2013.2.28 ナモネ氏―あんこアメときなこアメだけだな、呼び名どおりの原料を使ってるのは。しかし、わずかな種類しか食べないよ。 アロマ―イチゴアメは、本ものの果実をまるごと使ってる。 ナモネ氏―あんなのは昔はなかった。 半分半分放送局長―とにかく合成着色料のアメが多いっていうのは、何だ？伝統とは関係がないよ。 ナモネ氏―よく覚えてないが、な、クリーム・ソーダの緑色も合成着色料だった。あれは色鮮やかでモダンな感じがしたもんだ。 編集長―あの色を天然自然の素材で出すとしたら、ちょっとむずかしいな。しかし、青リンゴのアメの場合、自然のリンゴの味をつけるのは簡単だ。 放送局長―それがないのは変だよ。他の食品や製品は、自然の素材を利用するのが流行して定着してるんだ。 編集長―何でもいいけれど、おいしいのをつくってもらいたいな。 特派員―あめっこ市のアメには偽装表示はないけど、びっくりしたのは場違いな食べものの出店があること。横浜の豚まん、比内鶏の丸焼き、佐世保ホットドッグ、なんか文字どおり嫌味ですよ。 アロマ―ヨコハマのイメージを悪くするなんて、ひどいわよ。 編集長―やはりそれも規制しなければ、だめだな。 ☆ 特派員―ヨーロッパは馬肉の偽装表示で大騒ぎですよ。 ナモネ氏―その話はしたくないな。 放送局長―甘いロマンチックな話をしてるんだから、生々しいのを混ぜるのはよそう。 ナモネ氏―そうだ。スサノヲ・コンプレックスだ。つまり、その… 編集長―そうそう、たしか日本の文化人類学にそういうのがあった。スサノヲがああいう残酷なことをやって暴れるから、アマテラスが岩屋戸に隠れて世界が真っ暗になった。 ☆ 特派員―しかし、肉類の広告を見たくない気持、ぼくはよく分かりますよ。ヤフー・ジャパンはまるで分かってませんね。 アロマ―ウェッブ・サイトの内容と関連がないアドだから、いらいらさせられるわよ。邪魔なのが多すぎる。 ナモネ氏―私は感受性が強くないが、な、目ざわりだと思う。広告の位置やサイズを変更できるようにすればいい。 アロマ―でも、あれはYoutubeとちがって、ウェッブ利用者の収益の可能性はないのよ。 特派員―ヤフー・ジャパンの丸儲けですね。良心的なシステムかどうか、疑問だな。 放送局長―やはりアメリカ人はフェア・プレイだ。人間が社会的な存在だということを忘れないから、１0ドル世間からかせげば、１ドルうしろ向きに放り投げる。 ☆ ☆ ☆ A Whisper not; Anita O'Day |
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★〈ファンタスチック、それは君〉はうっとりするチョコレート・ムード [A] ☆ ☆ ☆ Updated 2013.2.24 半分半分放送局長―ハセが都立美術館の二科展に誘われて行ったときも不思議なことがあったな。荻原寛子はなぜハセを控え室に行くように言ったんだろう？ 半地下室 放送局長―控え室というのは、会員が休むところだよ。おれの想像を言うと、アンダーソンさんがロバート中尉の友人で、大館について知っていたから、ハセを特別あつかいするように頼んだんじゃないか、ということだけど？ 編集長―そうだとしたら、一言でも話していいと思うけど、ロバートも大館も聞いたことがないね。あれが特別あつかいと思ったことはない。 放送局長―ハセの小説が気に入ったから、かな？ 編集長―そのときはまだ学生時代に書いたあの映画監督のシュール・レアリスム風の小説的な作品を読ませてなかった。絵も見せてなかった。才能が分かるわけがない。単純に美術界の雰囲気を作家の卵に知ってもらいたいと思ったのかもしれないな。 アロマ―女のインスピレーションはすごいわよ。 ☆ ナモネ氏―東郷青児がさりげなく会いたがったから、でないか？高松宮と知り合いだったとしたら、大館の長谷川について何か知っていたはずだ。 特派員―日記によれば、終戦後の昭和20年12月高松宮はアメリカ人に古代織物を紹介するために画家のアトリエを織物美術研究所龍村の展示館にした。 放送局長―ハセに何か言ってもいいんじゃないかな？ 編集長―そう思うね。しかし、あのころ荻原さんは東郷青児の態度などに何か感じ取っていたかもしれない。ときおりぼくはその何かが表現されるような感じがした。たとえば、彼の絵のイメージとちがう抽象画をわざわざ見せたとき。それで次第にあの二科会の会長に会いに行かなければ、という気にさせられて、まいったね。理由がないんだから。 放送局長―変な関係だな。 編集長―そういうときに東郷青児が急死して、これはニュースより早く荻原さんが教えてくれた。宮崎空港から棺を羽田空港に運ぶ、と言ったのを聞いて、羽田に迎えに行こうかな、と思ったね。それも荻原さんが言いたいことの翻訳みたいなものだな。1978年のことだ。 アロマ―誤訳じゃないわね。高松宮日記を読んで、すっきりした。 放送局長―しかし、東郷青児が抵抗の画家だとは、夢にも思わなかったな。マス・メディアは美術界を利用するだけだ。 編集長―本当に美術の世界のためになることはやらないな。 ☆ ☆ ☆ ☆ 恋文横丁の暗い記憶
E; A Fantastic, that's
you ; Benny Carter & His Orchestra 都立美術館の二科展 ロバート中尉 映画監督のシュール・レアリスム風の小説的な作品 東郷青児 大館の長谷川 高松宮日記と会話 ▼ List 3; 生の感触---ある画家へのリンクと、それから |
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☆ ☆ ☆ Updated 2013.2.5 アロマ―ナモネ氏はスグリの迷信を何か聞いたことがありますか？ ナモネ氏―迷信はないな。編集長はそんなことを言ってたが、ね。スグリが少なくなったのは、他に原因があると思ってる。 アロマ―大気汚染とか岩瀬川の山瀬ダムによる水質悪化とか？ JR早口駅前通り 特派員―大気汚染が共犯者ですよ。スグリはどこでも減少してるんだから。 ナモネ氏―昔は街を出れば、スグリがあったもんだ。あれはどこにでも自生するありがたい植物だ。取って食べて、怒られたという経験はない。 アロマ―何年も前に編集長の話を聞いたとき、インターネットでちらり見たけど、スグリでつくった酒を飲んだら体調が良くなったっていう人がいた。ウィキペディアにはインフルエンザに効くという説がある。 特派員―迷信には言葉で伝えてはいけない迷信もあるのかな？ ナモネ氏―そうすると、子どもたちがスグリを食べてるのを見て、背中を向ける人がいるのか？ アロマ―そういうのを覚えてるんですか？スグリを悪者にしてるわ、ね？ ナモネ氏―いや、ただ想像でしゃべったまでのことだよ。もう少し情報がほしいもんだ。スグリが薬になるというのが本当だとしたら、まじめに真相を探らなければ、駄目だな。 アロマ―そうね。リヴァー・ユートピアはスグリを一度も撮影したことがないの。今年の夏は、スグリをいっぱい食べたい!!!
ジャムをつくってみたい!!! ☆ 編集長―リヴァー・ドキュメンタリーでスグリを一度も撮影したことがないのは事実だけれど、季節外れだったかもしれないな。あの川のどこにスグリがあると聞けば、ぼくはかならず撮影するね。 アロマ―タイミングも考えなければ、ね。今年の夏は鳳凰山の下の寺の沢川に行ってスグリを食べたい。ナモネ氏の想い出を信じて。 編集長―あそこには昔スグリがあったと思うけれど、ドキュメンタリー撮影で見たことがない。想い出さなかった。アケビは昔のようにあった。 ナモネ氏―インターネットで何か、スグリのおもしろい話が見つかったか？ アロマ―ええ、最初に〈ウプサラ時代〉というウェッブサイト。スウェーデンの古い都の歴史だけど、スグリからヴィン･ベール(vin-bar)と呼ばれる上等で良質のワインが作られた。いつごろか、明らかでない。ウプサラというのは映画監督ベルイマン(Ingmar
Bergman)のふるさと。 ナモネ氏―《野いちご》という映画があったな。 アロマ―それから、イギリスのダン･バーク教授のお話〔1〕。サルベストロールがガンに有効だと言って、それが多く含まれる果物や野菜をあげてる。イチゴ、ブルーベリー、ラズベリー、ブドウ、黒スグリ、赤スグリ、ブラックベリー、クランベリー、リンゴ、ナシ。黒スグリはスグリ科だけど、女性に人気のカシスあるいはブラックカラントのことです。この地方に自生する今問題にしてる西洋スグリ(gooseberry)は出ませんね ナモネ氏―西洋スグリというのは、何だ？ アロマ―普通そう呼んでるということでしょう。 編集長―日本スグリもあるように思えるな。 アロマ―冗談はともかく、３番目に見たのはあまりにも意外な事実。インドにはスグリの祭があるっていうの。ゴンド族の人たちはスグリの木のまわりに集まり、花が咲き実がなるように祈願する。スグリの実は息子の誕生と同等に見なされて、伐採されることがなく、保護されているそうです〔2〕。 ☆ ☆ ☆ ＡIt's a lonesome old
town; Frank Sinatra 1 幸せの深呼吸 weblog 2 徳島の小児科山田クリニック HP |
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★〈ディジー・アトモスフィア〉のプレイは生命のパワー [A] ☆ ☆ ☆ Updated 2013.1.25 ナモネ氏―80年代にNHKの歴史番組で見たが、陸軍は皇道派の計画を察知して、盗聴した。確か録音していた。陸軍が黙って青年将校らの反乱をやらせたのはなぜか、私には理解できなかったな。陸軍省と警視庁まで難なく制圧されているのだ。得意のやらせなのか？ 真中橋跡 米代川左岸から右岸の門を撮影 編集長―単純なことを言うと、クーデターは天皇と皇族をひどく苦しめた。天皇は特に戦後マッカーサーに言い訳したようにクーデター・ノイローゼだった。陸軍の攻撃を恐れて宮城の中に戦車を配備したのは正しい判断だね。 放送局長―なるほど、ね。陸軍の統制派はずるいよ。あんまりだ。 編集長―ストーリーの展開から見れば、うまく行ったな。そのあとにテロ組織玄洋社の広田弘毅が内閣を組織して、11月ナチス・ドイツと協力してソ連をたたく防共協定を結んだ。ソ連侵略は秘密条項だ〔1〕。陸軍は、海軍と反対に東南アジアよりも満州の国境線を北に延ばすことに執着したから、あきれるよ。 特派員―昭和12年度の軍事費が世界的にショッキング。予算額では歳出の46.4%で前年よりわずかに高いけど、臨時軍事費がめちゃくちゃ増えて結果的に総歳出の62.4%にまで急上昇した〔2〕。 ナモネ氏―クーデターが成功したという証拠になる。 放送局長―話が逆だ。普通なら陸軍の軍事費は減らされる。 特派員―ええ、管理責任がありますから、ね。 編集長―天皇がそこでも思いきってストップをかけてたら、な。おかしなストーリーだ。 ☆ 放送局長―やはり帝都の真ん中での反乱は、真ん中での反乱は、陸軍統制派の陰謀だと思う。近衛文麿が断言したとおりだ〔3〕。それを証明するのは中橋中尉の動きだよ。1933年に栗原安秀中尉の影響を受けた昭和維新の内乱未遂事件に連座して満州に流されたが、2年後の12月古巣の近衛歩兵第3連隊に戻った〔4〕。これがおかしい。3か月後歩兵第1連隊の栗原中尉らと共同でクーデターだ。 特派員―満州帰りのきざな役者ですよ。あやつられた登場人物だとは思えない。 編集長―軍人は命令に服従しなければいけないな。 アロマ―近衛兵というのは、天皇と宮城を警護するのが役目ですよ。帝都の真ん中で反乱を起こしたら、天皇や皇族が何と思うかな？ 特派員―なるほど。中橋は一人で天皇の敵の役も演じてるな。記号の密着がある。 ナモネ氏―そう言えば、そうだ。中橋と建設直前の真中橋には秘密のリンクがあるように思えてきたな。いくら天皇親政のためだろうと、重臣ブロックを大量虐殺するのはひどい。 編集長―コンクリートの真中橋建設工事に予算をつけた政治家たちだと考えればいい。中橋の復帰はタイミングが合ってる。 放送局長―NHKが文書を調べれば、簡単に分かることだ。 特派員―実際そうでしょうね。建設工事にゴー・サインを出したから、岡田啓介首相が真っ先に襲撃された。殺害の情報が流れたけど、この人はうまく逃げた。 編集長―言うまでもなく議会制の崩壊を防がなければ、国家そのものが危ないな。テロリストの満州帝国に支配されるところだった。 放送局長―先に登場する3人の〈てる〉の関係は、どうなんだろうな？ 編集長―高松宮のシナリオだな。日記を読めば、そう思える。 ☆ ☆ ☆ □ V字型の階段の記憶 34 A Dizzy Atmosphere; Dizzy Gillespie Sextet 1,4 wikipedia 2 昭和2万日の全記録 日中戦争の道 3 List 3高松宮日記メモ; 皇道派と統制派の違い 2.26事件 ▼ List 3高松宮日記メモ;
2.26 内戦の危機 ▼ List 3高松宮日記メモ;
2.26 皇族集合と伏見宮の悲嘆 ▼ List 3高松宮日記メモ;
2.26 反軍が存在しない戒厳令 ▼ List 3高松宮日記メモ; 昔どこかで見たようなクーデター計画 真中橋 大館橋建設計画の始まりと終わり 重臣ブロック 長谷川テル 石田博英夫人の回想 ▼ List 1 ; 大館大火の疑惑 回想 1 長谷川テル関連記事 |
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★〈サムシング・スペシャル〉は都会を歩く女たちのイメージ [A] ☆ ☆ ☆ Updated 2013.1.14 アロマ―米放送局長は大館橋建設計画の始まりと終わりに5.15と2.26があることに疑問を持った。後編は、HHJによれば、どんな事件か？ 大館橋と有栖川宮通り 編集長―2.26事件については前に簡単に話し合って真実の一面を明らかにした。大館橋と秩父宮の関係をテーマにしたとき。だから、ただ名前の記号問題に焦点を合わせたいな。クーデターの主謀者安藤輝三(てるぞう)にはこんなリンクがある。高松宮の幼名光(てる)宮。光の宮と書いてそう読む。反日宣伝放送の長谷川テル、ハチ公の青銅の像を制作した彫刻家安藤照。それから、真中橋にリンクがつく主謀者の一人中橋基明。どう考える？ 半分半分放送局長―大館橋建設計画にからむ動きで分かったのは、2.26事件は秩父宮と昭和天皇の仲を裂くのが重要な目的だったということだよ。そのシナリオには、高松宮と長谷川テルの名前もあったと考えていい。高松宮はクーデターのときしばらく宮城に入れなかった。長谷川テルは、日記の最後に2.26事件を書いて満州青年と結婚して中国で宣伝放送をやった。高松宮は、日記の解釈と石田博英夫人の回想からすれば、その計画を立てたか、支援したか、いずれにしても関係したという疑惑が濃くなった。 ☆ ナモネ氏―安藤輝三の名前を聞いたときに、日本はもう天皇の国でない、陸軍幕府の国だ、そう絶望したと思う。 特派員―彫刻家安藤照は男性ですね。ハチ公の銅像は2年前の4月21日渋谷駅前で除幕式をやった。これは謀略だ、復讐だ、と直感した人は多かったはずですよ。 編集長―明治維新の復讐だな。維新という言葉を使うのは大正維新と同じく価値を下げるための逆手に取った嫌味だろう。天皇派とリベラルは、そう受け取るね。 ナモネ氏―安藤輝三大尉がそれを自覚していたとすれば、クーデター劇場の役者だったことになる。しかし、あのころ安藤と言えば、明治時代に復活した共産主義的な思想家安藤昌益。それから、津軽秋田と蝦夷の忘れられた日本海の支配者安東秋田一族だ。複雑に波紋が広がる。 放送局長―秩父宮が麻布の歩兵第3連隊にいたときの部下だったから、少なくとも秩父宮が巻き添えになるのは承知してたはずだよ、な。 アロマ―秩父宮と結びつけたのは誰か、それが問題よ。 ☆ ☆ ☆ □ V字型の階段の記憶 33 A Somethin' Special; Sonny Clark Quintet 1 昭和2万日の全記録 日中戦争の道 : 講談社 大館橋建設計画の始まりと終わり 重臣ブロック 大館橋と秩父宮 長谷川テル 大正維新 石田博英夫人の回想 ▼ List 1 ; 大館大火の疑惑 回想 1 日記の解釈 長谷川テル関連記事 |
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★〈ブルー・コンセプト〉の傷つきやすいトランペットの音色 [A] ☆ ☆ ☆ Updated 2013.1.3 半分半分放送局長―〈2度ノックしやがった〉というのはおもしろいよ〔1〕。高松宮が怒りをぶつけたのは逗子なぎさホテルのルーム係の態度に対してだけど、事実だったか、な？おれはそう思わない。 特派員―ナモネ氏はどう解釈しますか？ ナモネ氏―ナモネ(何にもない)だよ。その日の日記には、宿泊人の名前の高崎と駅の高崎が出る。 編集長―高松宮はかなりいらいらしてるね。 JR大館駅 アロマ―前橋の知事官舎の一室で？ 編集長―明くる日、赤城山の猪谷旅館で、かもしれないな。高松宮は高崎というミラー・イメージに不安なメッセージを感じ取った。 放送局長―罠の中だとしたら、徳川派とテロ組織玄洋社の罠だな。高崎というミラー・イメージには恐怖感が湧かないけど、しばらくして特派員から高崎ハムについて聞いて、ぞっとしたよ。 ナモネ氏―その話は気が進まないが、なあ。 放送局長―高崎ハムは群馬畜産加工組合として1937年つまり昭和12年創業、翌年本社がある高崎市の名前をかぶせて高崎ハムに社名を変更した〔2〕。首都圏ではおなじみのブランドだ。つまり、例の女官が赤ちゃんを産んでから9年後、高崎ハムが世に広まった… 編集長―そのせりふで人間の勝利だ。高松宮も米放送局長の勇気とウィットに感謝すると思う。 放送局長―何でもないことだ。 ナモネ氏―9年後というのは、第2次上海事変の年で、長谷川テルが香港に脱出した。そして、おそらく日本を非難する放送の第一声をあげた〔3〕。 ☆ アロマ―うそっぽい、と思うのは、逗子なぎさホテルで高松宮の靴にミカンが2個入っていたってことね。高崎男爵の令嬢のいたずらか、と疑うけど、その仕返しをしてやろう、というのは大げさよ。 ナモネ氏―高崎男爵の登場はおもしろくないはずだな。 アロマ―高松宮は何か他のメッセージをこめてる。ミカンと言えば、静岡。 特派員―徳川の本拠地。 放送局長―童謡歌手川田正子が歌った〈みかんの花咲く丘〉だよ。動揺させる歌手だ。 アロマ―ええ、ずっと前に話を聞いたけど、あのヒット・ソングは並木路子の〈リンゴの唄〉に対抗してつくられた。 放送局長―そう、作曲者の海沼實は静岡のミカン畑を見て曲を書き上げた〔2〕。伊東市で行なわれるNHKラジオ放送の前の日に。1946年の夏だ。〈みかんの歌〉という題名だったけど、〈リンゴの唄〉の作詞者サトウハチロウに嫌味を言われるから〈みかんの花咲く丘〉に変えたということだ。当然だな。〈リンゴの唄〉が大流行してたときだから、な。 特派員―高松宮日記の1947年8月30日。川田正子のお別れ放送。あれの解釈が変わりますね。 編集長―〈放送の編集もよかった〉と汚い裏方をほめてるから、気になっていたよ。長谷川テルとオーヴァー・ラップする。 放送局長―〈みかんの花咲く丘〉は逗子なぎさホテルのミカンも想い出させるけど、あの出来事の復讐なんだろうか？ 編集長―歌の陰に何があったか、どんなメッセージがあったか、だな。 ☆ ☆ ☆ A Blue Concept;
Art Farmer & Gigi Gryce Quintet V字型の階段の記憶 2; 長谷川テルという抗日戦線のヒロイン 2 wikipedia 3
V字型の階段の記憶 4 ; テルはラジオ放送局で仕事を始めた |