HALF AND HALF JOURNAL
破 片 無 意味 な
無意味な破片
Fragments
HHJ
仮面よりも怪奇な社会について語る登場人物たち。
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★ ★ ★ Updated 2003.12.27 特派員―2003年は事故が目立って多い年だったけれど、どう思いますか? ナモネ氏―そうだなあ。事故のニュースを見たり新聞記事を読んだりすると、テロだ、と確信する癖がついたよ、私は。続発した石油タンク火災や原子力発電所の事故はどれもこれもテロ。口には出さないが、そう叫んでる。周りの者は黙ってるが、表情は油粘土のように重くなった気がする。HHJは、事故の情報をちゃんと集めているか? 特派員―9.11以後、世界中の事故を追跡するぞ、と局長が意気込んでいましたが、ねえ、最近じゃあ、もう投げやりで、ファイルを保存して終わりです。ぼくも、うんざりですね。地球に事故がない日は一日もない。 半分半分放送局長―ああ、何しろ報道機関も一緒に事故を起こす世の中だ。 特派員―今、原子力発電所の事故について話していたんですが、例を挙げると、9月15日北海道泊村の泊原発2号機で1次冷却水漏れ。2月26日には青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場にある燃料送り出しピットの漏水事故。共同通信によれば、壁面の亀裂付近で計画外の溶接が行なわれたのが原因らしい。 放送局長―国際核融合実験炉の候補地だな。自爆装置には絶対反対だ。 特派員―ええ。問題は、小さなミスや不正ですね。それだけなら、表面に異変が現われなくても、いくつかのミスや不正がある決定的な係わり方をすると、地下鉄日比谷線の脱線衝突のように惨事が起きる。 ナモネ氏―化学変化みたいなもんだな。 放送局長―〈3時にあいましょう〉と〈3時のあなた〉です〔1〕。3時から7時までは、街頭テレビHHBの放映時間帯。しかし、冷却水洩れ、つまり、ニュースになった事実が目的だったか、それともチェルノブイリ(Chernobyl)のような重大事故を未然に発見したのか〔2〕…これは何とも言えないな。 ナモネ氏―二井田工業団地に１１月誘致工場ニプロファーマ(医療器具製造)が完成したとき、佐野実ニプロ社長が横目を使った宣伝をした。〈世界戦略のセンター工場〉である、と。殺菌消毒に使うコバルト60は健康食品なのか?北鹿新聞の見出しは、〈世界戦略の核工場〉だと腹の底をぶちまけてる。 特派員―脅しのせりふを吐く悪い症状があるのは、世界中を見回しても、北朝鮮メディアとアル・カイダと北秋田の双生児(野呂田芳成、小畑元)ですね。 放送局長―国際テロ組織がヨハネ黙示録を読んで、あれに出てくるチェルノブイリ(ニガヨモギ)の利用法を考えたとしたら、そして、その疑惑がロシア人を動かすとしたら、目の前が真っ暗だな。
★ 特派員―事故テロは、第2次世界大戦前から日本とドイツが熱心に研究実行していたにちがいありませんね。このコピーをちょっと読んでみてください。ヒッチコックのあの映画の裏話です〔3〕。 「断崖」の場合もそうだったが、「逃走迷路」も封切られてみると熱狂的に迎えられ、撮影所ではだれもが呆気にとられた。ヒッチコックとアメリカ政府とのあいだに、思いがけずも微妙な状況が発生したあとだけに、驚くのも不思議ではなかった。ブルックリン海軍工廠で破壊工作員により戦艦が爆破されるという挿話があり、ヒッチコックは四月に最終的な編集をしているとき、この場面に実際のニュースを挿入することにした。彼が選んだのは、横倒しになったノルマンディ号のカットだった。フランスのこの伝説的な定期船は、アメリカ政府に引き取られてからは正式に″ラファイエット″、と改名され、マンハッタン埠頭に繋留中だったが、二月九日に不審火が出て一部分が燃え、翌日、船腹を上にして水面に浮かんでいた。消火のために注ぎこまれた何トンもの水の重みで船体が傾いてしまったのだ。 「破壊工作員がタクシーからチラッと外を見たあと、ノルマンディ号の船体を見せた」とヒッチコックは語っている。「それから破壊工作員のクローズアップ。横倒しになった無残なノルマンディ号を見てからまた前を向き、にやりとほくそえむ。このカットに海軍はえらい騒ぎでユニヴァーサルに抗議してきた。ノルマンディ号の破壊工作がおこなわれ、海軍の警備が手薄だったからそんなことができたと、わたしがほのめかしているというのだ」海軍の抗議にもかかわらず、このカットはそのまま使われた。実際に破壊工作があったかどうか、ただちに調査がおこなわれたからかもしれない。 ナモネ氏―《逃走迷路》は真珠湾奇襲攻撃の直後に制作された映画だが、ううむ、あのニュース映画社のテロリストどもが爆破した戦艦の映像が、ねえ、本物の事件だったとは。 放送局長―あのシーンは1秒あるかないかで、おかしいな、と思ったよ。アメリカ人の傷を刺激するのを恐れたのか、と。 ナモネ氏―真珠湾で横倒しになった戦艦オクラホマと同じだからな。 特派員―横倒しになるのは、普通ではないそうですよ。ナチスのスパイ〈キューン〉がハワイで暗躍していた事実が方向付けたのは、アメリカ軍の関係者たちが脅迫に負けて敵の攻撃に有利な不可解な行為をしていたということ、最後のシーンを作るための秘密工作があったということですね。 放送局長―まあ、そういうことだな。パール・ハーバーとニューヨークで。しかし、ナチスのテロリストが自由の女神の展望台から転落するラスト・シーンも凄いよ。ラファイエット(La Fayette)と言えば、アメリカの独立戦争のとき救援して戦ったフランス貴族だ。それが縁で、独立100周年記念にフランスは自由の女神像を贈った。ヒッチコックは映画の中で報復したのだ。 特派員―その映画の制作に入る前に、彼はイギリス情報省の友人と映画会社を作ろうと話し合っていた。友人がシナリオに協力した可能性がありますね。 放送局長―そうすると、君、あの映画には情報省のメッセージが入ってたかもしれないな。 特派員―問題の広告看板、あの現代的な環境サインですね。イギリスはナチスの汚い秘密の手法を知っているんだぞ、とブレーキをかける目的があったんじゃないでしょうか? 放送局長―スィングの王様ベニ―・グッドマンの名曲、〈Don’t be that way(その手はないぜ)〉 ナモネ氏―真珠湾は、それでひどい目にあった。しかし、アメリカとイギリスはあんな環境サインをどうやって潰したのか? 特派員―戦争だから、できたこと。 放送局長―ああいう手法の具体的な例を公開すると、どうなるのかな?ハセは記号論の悪用を非常に心配していたが、やはり猿真似する奴が出るだろうな。どんな困った状況なのか、言え、と威張りくさって。 ナモネ氏―ふざけたシナリオを陳列してみせる… 特派員―記号論の本は両刃の剣ですね。 ★ ★ ★ 1 TBSとフジテレビのワイドショー。 2 1986年爆発。放射性物質による汚染が現在も続く。 3 原題; 天才の暗い面(The
dark side of genius) The life of
Alfred Hitchcock by
Donald Spoto 1983 チェルノブイリ原子力発電所の事故とその後
Why? 《逃走迷路》がなぜパール・ハーバーに出るか、もっと考えたい |
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マスク・キングダム-2 ☆ ☆ ☆ Updated 2003.12.11 編集長―70年前後の早稲田キャンパスに戻ると、ぼくがレッド・リストに載った可能性は十分考えられる。69年は東大が安田講堂事件で学生の革命騒ぎが高まったために入学試験を中止、それで早稲田の競争率は戦後最高になった。法学部に入った学生は、国の将来を左右する頭脳だから、政府と大学側は警戒しただろう。ぼくは政治活動はしなかったが、大学側が機動隊をキャンパスに入れることやロックアウトで学生を外に締め出すこと、講義のテキストなどは大概の学生と同じく強く批判した。対立の背景には、民主主義社会で育った若者とそうでない老人クラブの権力に対する感覚の違いがあったと思うね。しかし、ぼくがマークされたとすれば、70年だと思うが、ある晩キャンパスの近くでフランス語クラスの友人に出会って法学部のバリケードに誘われて行ったのが原因だろう。民青の徹夜集会があって〔1〕、他のセクトが攻めてくるというので、正面は塞がれていた。危険な活動をするなんていう意識はなかったね。単なる好奇心だよ。 半分半分放送局長―アパートで火事が起きたのは、偶然か? 編集長―あれは隣の家だ。昼過ぎガラスが割れる音で目を覚ましたら、廊下の窓に炎が迫っていたので、一人で、バケツで水を撒いて延焼を食い止める運動をちょっとしたが、しかし、バリケード徹夜事件の後だったかどうか…不愉快だったのは、同じ建物に住むアパート所有者が感謝の言葉を口にしなかったことだ。 特派員―普段から嫌われていたということですね。 ☆ 編集長―まあ、いい。本題に戻ろう。1974年のことだが、大館市で江戸時代の原始共産主義思想家の墓が発見された。安藤昌益が晩年北秋田で活動して、そこで死んだという事実。このニュースは中央の報道機関が伝えて、友達の間でも話題になった。問題は、そのあとカンボジアのポル・ポト政権が首都の住民を強制的に移住させて重労働させたり虐殺したりしているという囲み記事が朝日新聞に出て、記者がそれを昌益思想の実践としてフレーム・アップしたことだ。あの卑劣さには唖然としたよ。戦後ハーバート・ノーマン(Herbert Norman)が書いた《忘れられた思想家》を読んでいたから〔2〕。 放送局長―朝日新聞は左翼とリベラルの味方だという神話がそれで崩れた。 編集長―そういうことだ。といっても、ぼくは誰よりも醒めていたつもりだったね。72年に大学を中退して外人旅行者の多いアパートで暮らしていた、あの時代は。 特派員―その記事が出たあと、画家の荻原寛子や夫のアメリカ人アンダースンが態度を変えませんでしたか？ 編集長―いや、いつもと変わらなかった。その話はしなかったけどね。ただ、アンダーソンさんは英語教師をしていて、もう建築設計の仕事はしていなかったから、居間で見かけると、ほとんどいつも深いもの思いに沈んでいた。それは敗戦後の東京を想い出させた。荻原さんに最初に二科展に誘われて行ったときの出来事は、忘れない。美術館の控え室でタレントとしても有名な画家の松任谷国子に話しかけてお茶とお菓子のサーヴィスをしてると、会長の東郷青児が来てロマンチックな絵と全然イメージが違う重苦しい顔を向けた。それを笑いながら荻原さんに言うと、〈彼女は頭山満の孫よ〉と小声で言うのだ。聞いたことがない名前だったが、戦前の右翼の大物だった〔3〕。 ☆ ☆ ☆
1 日本共産党系の民主青年同盟の略称。早大法学部6号館が本拠と言われていた。 2 カナダの外交官、歴史家。軽井沢生まれ。GHQとともに仕事をしたが、 レッド・パージに引っかかり、1957年4月4日カイロで自殺した。 3 頭山満は玄洋社の幹部。玄洋社は超国家主義団体で、明治14年設立された。社長は平岡浩太郎。日清戦争前の朝鮮における活動、日露戦争での対ロシア強硬策の主張、満州義軍の活動、朝鮮併合の工作、中国革命の援助など常に超国家主義の代表格として存在して、黒竜会などの団体を派生させ、政治・戦争・侵略・テロなどの背後にあって謀略的な裏面工作を続けた。昭和21年占領軍の右翼団体解散令によって解散した。 [小学館大百科事典: 川村善二郎の記述の要約] 参考 解散指令導いた外交官 人ありて 頭山満 :
読売新聞 Web 玄洋社の名が、連合国軍総司令部（ＧＨＱ）の文書に記されている。１９４６年（昭和２１年）１月４日付の「ある種類の政党・協会・結社その他の団体の廃止に関する覚書」。 ハーバート・ノーマンについてもう少し詳しく知るために |
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☆ ☆ ☆ Updated 2003.12.3 特派員―H2Aロケット打ち上げが29日失敗して、うれしかったね。 暗智君―1千億円が灰になった。もったいないことだ。もう止めたほうがいいよ。 編集長―本当だ。中国が有人衛星〈神舟〉の打ち上げに成功した後だけに間の悪い失敗になった、とイギリスのある報道をインターネットのTBSニュースが紹介してる。 半分半分放送局長―宇宙開発は共同でやらなけりゃ、金の無駄使いだな。 アロマ―日本は無理よ。なぜかって言うと、人工衛星の利用目的が怪しい。だから、環境観測技術衛星〈みどり2号〉が電力不足で操作不能になったことにも、あたしは笑いを抑えきれなかった。 ナモネ氏―あっ、そんな衛星が頭の上を飛んでいたのか? 放送局長―そうか…目的が怪しいというのは日本精神の特徴だよ。今年の春からときどき意識に浮かぶんだが、大森実のインタヴューに答えて、あの児玉誉士夫が戦争中カナダから輸入したラジウムの利用目的を高射砲の弾丸に塗る夜光塗料に使うと語った〔1〕。この話には裏があるな、と直感したね、おれは。だいたい軍事目的をはっきりさせるわけがない。 ナモネ氏―私もそう思ったよ。ラジウムは、敗戦後秘密裏に隠して医者に贈り、放射線治療に使用されたということだが、ねえ。 編集長―何かに役立てるために、と言ってる、進駐軍の目から隠したのは。放送局長―満州帝国で生体実験をやってた国だから、ぞっとする話だ。人工衛星の危険な利用法について想像すると、不安に囚われてしまうなあ。 ☆ 特派員―今度の失敗したH2Aロケットが積載していた衛星は、公式発表では、北朝鮮の核兵器に関する情報収集が目的のようです。春先に打ち上げた同一目的の衛星は、サテ、ライトだったかどうか、駄洒落を言ってる場合じゃないけど、疑惑が残りますね。 放送局長―必要がない手段だ。 暗智君――今さら慌てて宇宙からの監視なんて、国民を馬鹿にしてる。 放送局長―実際、君、北朝鮮の政治姿勢に対して言葉で批判はしないで、そういう威嚇的なことをやるのは《言論による内政干渉》より悪い対応だ。サテライトで監視する対象は何なのか、どんな装置を極秘に積んでいるのか、良識のある者は疑ってしまうよ。欺瞞の多い仮面政府なんだから。 ナモネ氏―まあ、宇宙と防衛についてはアメリカに任せたほうが安心だわい。日本の権力者は個人の生命を腹の中では屁とも思ってないから、宇宙に日本人を送っても、無事に帰還させるなんてことは本能的に予定しない! 特派員―まったく、国民の生命尊重が宇宙での輝かしい栄光の鍵ですね。 ナモネ氏―妻と子どもが待っているホームに帰すことを全然考えないのだ。 放送局長―リヴァー・ポート・アワーで喋ってもらいましょう! ☆ ☆ ☆ 1
大森実 ; 戦後秘史。著者は執筆当時毎日新聞記者だった。 児玉誉士夫は海軍の軍需物資調達を引き受ける児玉機関の長として知られる。戦後の政界の黒幕というイメージがある。 |
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☆ ☆ ☆ Updated 2003.11.8 特派員―〈有事法制、憲法改悪により、戦後の平和憲法の枠組みを大きく変換しようとしている。ワイドショー的な政治や劇場主義的なスタンスで国民がごまかされている。現実に今はどう変わっているのかを訴えていきたい。〉これは衆院選秋田2区の社民党候補者山本喜代宏が小泉政治について語ったものです〔1〕。自分がどんな環境で生きているかをよく認識してそれを率直に表現した人は、他にはいませんよ、政治に係わる生き物の中では、ね。 ナモネ氏―そこへ行くと、民主党のリーダー菅直人は、限られた環境でのみ生き生きと活動してるな。日本共産党も知らん振りしてるが。戦前中国に脱出して日本軍と戦った鹿地亘のような人間が出ないのは、どうしてなのか? 半分半分放送局長―そこが、つまり劇場主義なんだな。国会議事堂の地下で、〈話はとっくについてる。〉 ナモネ氏―マルセル・カルネ(Marcel Carné)監督の《天井桟敷の人々》を覚えてると思うが〔2〕、あのナチス占領下で製作したレジスタンス映画では舞台俳優が主役の一人を演じる。本来は古典劇の役者だが、現実の変化に無関心でない。 特派員―割りに三枚目ですね。 放送局長―俗っぽい芝居に出演するようになって、好き勝手に即興的なドラマを作るところがおもしろい。 ナモネ氏―〈犯人はあそこだ!〉と特別席にいる3人の脚本家を指差して慌てさせる場面だよ、私が想い出させたいのは。 放送局長―日本はアジアの模範的なデモクラシー劇場になるはずだったが。日本人は議会で生活費を稼ぐのを諦めるべきだ。その分財政が楽になるよ。役人の数も減らして、コンピューターに仕事をさせるシステムを開発すれば、もっといい。 ☆ アロマ―ブッシュ(G.Bush)大統領はイラクにデモクラシーを定着させるための予算を組んで、議会で承認されたあと、演説した〔3〕。〈イラク占領はワールド・ワイド・デモクラシーの将来における分岐点だ。〉〈自由なイラクの建設は、地球規模のデモクラシー革命の分水嶺的な出来事になる。〉過去の遺物で支配されている国々の名を挙げたが、しかし、しかし、日本という国は抜きにした。 ナモネ氏―そうか、日本人の半分は納得しないなあ。 特派員―先進国は入ってないけど、これには不安なニュアンスがありますよ。なぜかって言うと、アメリカ人は第一次世界大戦からずっと犠牲を厭わない意志を持ってきたことを強調して、その例を並べたけれど、日本・ドイツ・イタリアとの戦争は〈two-front war in the 1940s〉と言ってる。ニ正面戦争ではない。 放送局長―ううむ、ニ面戦争と聞こえる。そういう言い方は記憶にないな。 アロマ―二つの顔を持つ戦争よ。 特派員―二つの仮面の戦争、じゃないかな? ナモネ氏―《七つの顔を持つ男》かもしれない。片岡知恵蔵主演。 放送局長―朝日新聞発行の現代用語辞典《知恵蔵》で調べてみよう。 アロマ―朝日新聞について。 放送局長―〈世界の常識である〉! アロマ―キサク・ハセガワについて。 放送局長―〈一人で喋ってる〉! 編集長―決して一人で喋ってるわけじゃない!
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☆ 1 北鹿新聞インタヴュー 10.30 2
詩人のジャック・プレヴェールがシナリオを書いた。1945年制作。 3
TBSi,NBC(THE WASHIGTON POST
by Dana Milbank and Mike Allen) 11.7 |
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☆ ☆ ☆ Updated 2003.10.28 アロマ―10月20日のNBCニュースによれば、国際テロ組織アル・カイダがNBCにヴィデオ・テープを送って、テロ対象の国として、アメリカ、イギリス、スペイン、ポーランド、日本、イタリアを挙げた。日本とイタリアはイラク戦争の同盟国ではないけれど〔1〕、初めて憎悪のターゲットになった理由は、何ですか? 編集長―北朝鮮の誇大宣伝的な脅しに韓国と日本の国民が飽きてしまったということだろう。しかし、一方、北朝鮮の独裁者がひそかにロシア・中国・アメリカのシナリオを選んで、日本の謀略機関のシナリオは読まなくなったために、仕方なくアル・カイダを極東のドラマに参加させることにしたのだ、と思うね。イタリアに恐怖をばら撒くというのは、イタリア人が自由で何をしても憎まれない性質を持ってる国民だからじゃないかな。 アロマ―内部の分裂と闘争を煽る作者には、おもしろくないんでしょうね。この記事を読んで、あたしは、自民党が定めた衆院選挙の投票日11月9日を想い出しました。アメリカの9.11テロ事件の忌まわしい日付の連想で、どんな悪いことが起きるか、不安でした。自民党はどんな目的でその日付を選択したと思いますか? 編集長―もちろんアメリカ人に対する嫌味だが、日本の有権者に対して強迫観念を植え付けて自民党の崩壊を防ぐという目的があるね。これに非常にまずい中味を入れたのが国際テロ組織の今度の予告だ。クライマックスが近づいたという気がするよ。 アロマ―極東の舞台で、新しい登場人物たちはどんなテロを起こそうと計画しているでしょうか? 編集長―やはり何と言っても生物化学兵器が一番現実的だな。 ☆ 特派員―作者と登場人物の関係に譬えるのは、ちょっとどうかと思いますよ。親分は笑顔を売って、子分が裏で悪いことを引き受ける、まったく次元の低い芝居です。しかし、そういう裏表の分裂症的なひどさは、日本人の間では普通ですね。 アロマ―あたしが思うには、原爆ショックですよ、それは。対立や争いは、たとえどんなことでも予想もしない恐怖と苦痛を招く、と無意識に先天的に信じている。 編集長―おもしろい意見だが、だからと言って、同情するべきじゃない。考えることに伴う苦しみさえも嫌がるから、そんな馬鹿な国民になるのだ。世界の歴史を見てみよう。国際関係で最も恵まれた国は、日本だ。 アロマ―ええ、地理的に幸運な位置にある、と思います。 特派員―それから、芸術文化の高さがヨーロッパの侵略に対する防波堤の役割を果たした面もあることを忘れてはいけないのじゃないか? アロマ―現在は、もう尊敬する気にはならない。国際テロ組織のターゲットにされても、おかしくないわよ。 ☆ ☆ ☆ 1
ナシリヤでの自爆攻撃の犠牲になったニュースでも分かるように、イタリアは同盟の主要メンバーである。訂正します。 |
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☆ ☆ ☆ Updated 2003.10.21 特派員―19日約50人のアンテルミタン(不定期労働の裏方)がフランス国営放送TF1の番組〈Star Academy〉の舞台に乱入したそうです〔1〕。 半分半分放送局長―とうとうやってくれたか! 特派員―21時10分、若い歌手がデュオで〈Et moi et moi et moi〉を歌いだそうとしたとき。彼らアンテルミタンは権利の請求を説明して、《あんたらのTVを消せ Eteignez
vos télés》と書いた吹き出しを広げた。局側では広告を流して他の番組に切り替えた。 放送局長―政府に圧力をかけるために。France2(国営放送局)でも放送が妨害された、か …なるほど、違うねえ、向こうは。モリエール(Molière)の子どもたちだよ。 特派員―負けちゃあいられませんね? 放送局長―おれが放送を中断するっていうのは、ちょっと、うむ、どうかと思うね。HHBは、レジスタンス放送なんだから、君。 特派員―これもどうかと思うニュースです!フランスが長年イタリアなど外国向けに送信してたFrance2の無料放送を10月中旬不意打ちみたいなやり方で終わりにした〔2〕。100万ユーロの節約のために。 放送局長―フランスの原子力発電所の電力供給が事故か何かで途絶えた日(9月28日)から、まだ1か月もたってないな〔3〕。イタリアとの国境は火花が散ってないか? 特派員―そのチャンネルがそんなに無益だったら、という怒りの声がある、なぜ金をたんまり使ってきたのか、と。フランス外務省の決定は経済への波及効果を勘定に入れてない、ということでしょうね。 放送局長―そうだな。しかし、同時にメディア業に付きものの特権意識が匂ってくるよ。情報の生産と供給に関して、彼らはうぬぼれが強くて恐ろしく排他的なブルジョワなんだ。 特派員―そうそう、PCとインターネットの連合はせっかく築き上げた特権を台無しにする、と古い頭は考えてる。個人放送局が、地球的な広がりで可能になった。ミュージックCDの製作、映画やドキュメンタリーのDVD製作、情報記事や批評、エセー、小説など言語表現のリアルタイムの地球的な公開、それらが簡単に安い費用で誰でもできるような世界になった。 放送局長―特権の意地は日本の閉鎖系の特徴だよ。 ☆ ☆ ☆ 1,3 AFP 2 Le Monde |
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マスク・キングダム-1 ☆ ☆ ☆ Updated 2003.10.11 特派員―朝日新聞とテレビ朝日が〈驚異の仮面王国〉と何やら意味ありげに名づけて1998年4月世田谷美術館で開催した青銅製仮面などの展覧会を覚えてる人たちは、HHJが連載している エセー《仮面について》に目を通してみて、びっくりするはずです。中国三星堆遺跡で発見された〈縦目〉の仮面、朝日新聞からコピーした写真が、その年の2月に始まったエセーの入り口で出迎えるからです。謎はそう感じ取る人間の側にあると考えて間違いはないけれど、読者が胸を高鳴らせてエセーを読み進むと、どこかで必ずこんな疑問に行き当たって当惑すると思います。なぜ朝日新聞はこれまでにないこのような興味深い考察に露ほども関心を示そうとしないのか?鍵は編集長が持っているので、今日はあの新聞社と長谷川喜作の古い関係に焦点を当てて真面目に話してもらいたいと思います。 編集長―そのことについては、タバコを吸いながらじゃないと、難しいな。あの新聞社に裏があると気づいたのは、リヴァー・ユートピア妨害工作を連載する前ではなかったと思う。疑惑を感じてから大学時代の記憶を何度も辿りなおした。確実なのは、ぼくも朝日新聞を購読する若い知識人の一人だったということだ。ラジオ局の取材をキャンパスで受けて友達と一緒に旅行の話をちょっとしたことはある。女性記者が重いテープレコーダーとマイクを持って話しかけてきた。学生運動で騒然としていた時代だが、新聞記者の取材はなかった。 特派員―あの新聞社に嫌われるような出来事はなかったんですか? 編集長―無数の情報を集める組織なんだから、一学生に自分の何が情報として記録されたか認識するのは不可能だろう。しかし、想像しなかったことだが、朝日新聞の名前が暗がりに隠れていた。1970年クラブの機関紙〈旅友〉に発表したあのエセーの裏話なんだ。 半分半分放送局長―早稲田のバック・ストーリー・ブルースだな。三つのエセーの一つが前衛小説顔負けに映画監督が作品の構想を語る《怪人百面相》…想い出すだけで、楽しくなるね。詳細はリンク・ページで読んでもらうとしよう。 編集長―それがいいね。ところで、旅友賞をもらった作品はキャンパスで当然ファンを作ったが、ぼくは内憂外患が口癖だったようにいい気になる余裕はまるでなかった。一方、あの作品は手から手へ勝手に渡って朝日新聞社あるいはその関係者の誰かの不愉快な感情に火をつけた…というのも、あれの奇抜な構想は朝日新聞で読んだ劇団天井桟敷の主宰者寺山修二の雑文からヒントを得ていた。追いかける者と犯人が同一人物だという作品を考えている、そんな内容だ。マルセル・エーメ(Marcel Ayme)のアーバン小説か安倍公房の小説のコピーらしいが、こっちは少年時代に愛読した江戸川乱歩の作品に結びつけた。道具立ては、完全に自分のものだ。 ☆ 放送局長―あれをコピーだと言って非難するやつはいなかった。よかったら、みんなが大好きな靴音のアイディアについてバック・ストーリーを聞かせてくれないか?別にないか? 編集長―大学に入ったとき、父が、食堂の隣りにある靴屋が作った黒い革靴をプレゼントしてくれてね。これは法律を勉強する学生らしい靴だったはずだが、東京で悩みの種になった。つまり、革靴には昔風に鋲が打ってあるんだが、キャンパスで見るのは普段着にスニーカーか音を立てない革靴。自由な生活の象徴。真夜中の街路や地下街では、自分の革靴の響きが非常に気になった。しかし、考えてみると、大都会の人間は足音を失った生活をしてる、象徴的だ、という答が出た。 特派員―だから、映画の主人公はごく普通の会社員でなければならないわけですね。不幸なことには、自分の足音を探してるという意識がない。 放送局長―足音が隠れていた空缶というのは、空っぽな自分のことだな。 編集長―ころがってる空缶は都会的なイメージだったから、あえて解説する必要はないと思う。ぼくは71年に《夜の風景》という北海道のアイヌ民族のラブ・ロマンスを書いて、これもクラブでは評判がよかった。法律と歴史の両面から描いたので、法学部の友だちでさえ〈ああいう見方もあるんだな〉と感心してくれたものだ。この作品は前に言ったように江戸時代の紀行家松浦武四郎が書いた実在のアイヌ娘の物語を下敷きにした。しかし、朝日新聞が掲載した北海道旧土人保護法に対するアイヌ人の屈折した意識に関する報告を読まなかったら、その問題を小説で考えてみるということはありえなかったはずだ。これは、さっとノートに書いて、構造の枠に嵌めたら完成だったね。宗谷海峡と津軽海峡という類似の空間をオーヴァー・ラップさせたということだよ。 放送局長―朝日新聞のプライドを二度踏み台にして恰好よく飛んだわけだ。中国やアメリカと戦って敗北しても、アイデンティティは何食わぬ顔で維持してきたプライド。しかし、あの頃早稲田にいた者でなければ、こういう政治的なバック・ストーリーはもっともっと説明なしには信じがたいだろうな。法学部の学生はみんなレッド・リストに載っていた、とか。 特派員―当時の〈旅友〉が残っていれば、奇跡的ですね。 ☆ ☆ ☆ 《夜の風景》について 《怪人百面相》 ▼ List 1 V字型の階段の記憶; 50麻布のお嬢さんが人間嫌いと仲良しに |
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☆ ☆ ☆ Updated
2003.10.11 編集長―フランスに行って感心したのは、街路で目立つ看板が薬局の緑十字だけだということだね。美術作品を国と市民が造ろうとしたためかもしれない。例えば、エッフェル塔に合わせて映画博物館と広場をデザインしたように、だ。しかし、革命後の歴史を想い起こすと、感覚を刺激するさまざまな記号を法律で排除したのはノイローゼ防止の目的もあったからだろうと理解できた。 特派員―パリの中心なんか、脳に安らぎを与える灰色の建物がずらり並んでいますね。夜は少し怖いですよ。しかし、あの街が首都防衛のためにナポレオン(Louis Napoleon)3世の時代に近代的に改造されたのは事実です。 編集長―フランス革命では喫茶店と新聞とポスターが渦巻きを作り出した。恐怖政治は、王朝派の反革命テロだと疑っていい。 ナモネ氏―さすが70年安保の学生だ。 特派員―そう言えば、ボードレール(Charles Baudelaire)は暗殺に怯えてノイローゼだったけれども、最初に時計の詩を作った詩人ですね。時計は何語でもぺらぺらだ、と憎しみをぶつける。死刑執行人のように思えて。 編集長―絶対ノイローゼ防止の習慣だと思うのは、朝食がクロワッサンとカフェオレに決まってることだ。あの不思議な朝食の記号システムは法律みたいなものだよ。 特派員―はい、しかし、この現代的な問題に触れると、戦前のアメリカ人は、日本人は観念的な国民だと見抜いていたけれど、今でも観念的ですね。物よりも心や精神が大事だと空念仏を唱えて終わり。 編集長―個人や個人主義などは認めないくせに個人の内面的な努力に期待するっていうのは、おかしなことだ。 ナモネ氏―正しい考え方をしようという意識はどこから出てくるのか、冷静に考えてみたい。 ☆ ☆ ☆ |