土曜日、久しぶりに銀座へ出かけた。目的は緊急事態宣言解除で再開したライブハウスへ行くこと。
家は昼前に出た。久しぶりに街へ出たので、大改装工事中の渋谷駅で、乗り換えが複雑になっていてまごついた。
開演までには時間があったので、たっぷり銀ブラを楽しんだ。
30年前、社会人になりたての頃、よく行った店でランチ。革製品専門店でカーフの財布のクリーニング。銀座教文館で立ち読み。
『死と向き合って生きる』(平山正実)が死生学・グリーフケアのコーナーにあった。つい最近、図書館で借りて読んだ本。「買って、読め」というささやきが聞こえたので購入した。本を買うのも久しぶりのこと。
消費欲が回復しているのか、高級ブティックはどこも長蛇の列。入場制限もしている。冷やかしに宝石店を覗こうとしたら「予約がないと入れない」と言われてしまった。
前に銀の指輪を買った店は制限をしていなかったので、ちょっとウインドーショッピング。銀製品ならまだ手が届きそうなので、いずれコレクションを増やすつもりで下見。
伊東屋で上から下まで文具をゆっくり見てまわり、三越も一回りして、エスカレーター脇のソファで一休みした。
新橋の居酒屋で腹ごしらえをして、コリドー街にあるライブハウス、ケネディハウス銀座へ移動。来店は4月以来。配信ライブも何度か観たけど、やはり生で聴く音楽は違う。
有観客営業ができないあいだに内装も変わった。椅子の座り心地がよくなった。
懐かしい曲もあれば、新しい曲も演奏した。3回のステージで30曲近く演奏があった。
リーダーの上田司さんが亡くなり、ステージは少し寂しくなった。以前は控えめにしていたボーカルの岡部智美ちゃんが進行をがんばって務めていた。
智美ちゃんの歌うユーミンの「埠頭を渡る風」を聴いていたら、司さんのコーラスを思い出して、涙がこぼれた。
身近な、大切な人を失くす、ということはこういうことなのか。
あらためてその衝撃と重さを感じた。
12歳で身近で大切な人を失くした。その死別体験を特別なことと思ったことはない。私の人生では初めからそう決まっていたような、当たり前のことのように感じていた。
それは他の多くの人は体験しないような特別な体験だったということに、初めて客観的に気づかされた。
遠くて身近な存在だった上田司さんを失くしたことが教えてくれた。
あれは普通の出来事ではなかった。その後の人生が一変するような出来事だった。だから私の人生も故人の影を追いかける普通ではない人生だった。自分の人生を特別に思うことは悪いことではない。むしろ、自分だけの生を生きることはとても大切なこと。そんなこともリズムに身体を預けながら考えていた。
楽しくて、ちょっぴり悲しい、幸せな夜だった。
- Daniel
- Take It Easy
- How Deep Is Your Love?
- 悲しき天使(Those Were the Days)
- 夢芝居
- Plastic Love
- ひこうき雲
- 埠頭を渡る風
- アイノカタチ
- China Grove
- Black Magic Woman
- Hot Stuff
- That's What Friends Are for
セットリストで印象に残った曲。